安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>57号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------57号--2000.12.10------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「トレハロース」
     「海の水」(Q&A)
     「エビ」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 以前に、「コンビニ弁当のご飯は,なぜ固くならないのか?」と
いう質問をいただいて、よくわからなかったのですが、ちょっと面
白い話をみつけました。

 トレハロースという糖類を販売している会社があるのですが、そ
このホームページで、ご飯にも効果がある、というデータを紹介し
ていました。固くなったり、べとついたりしないご飯ができるのだ
そうです。

 そのデータには、比較として、ソルビトールを使った時のものも
出ていましたので、今まではソルビトールを使用していたものと思
われます。

 このデータはたぶん本物でしょう。そこで気になるのが、トレハ
ロースというのは?ということです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 トレハロースは、ブドウ糖2分子が還元末端同士で結合した2糖
類です。

 ヒトは小腸にトレハラーゼという酵素を持っていて、ブドウ糖に
分解しながら吸収します。つまりカロリーは砂糖と同じ4kcal/g、
血糖値も上昇します。シュガーレス素材として用いられる糖アルコ
ールではありません。糖尿病患者のための砂糖代替甘味料にはなり
ません。

(略)

 食品中での糖の役割は、味覚的に甘くすることでおいしくしたり
食べやすくすることが目立ちますが、実はでんぷんの硬化を遅らせ
て柔らかさを保ったり、微生物の繁殖を抑えて腐るのを遅らせたり
と様々です。

 糖の種類によって食品中での効果は様々ですが、トレハは砂糖の
約半分の甘さと甘味が低く、今まで糖を使いたくても甘さが邪魔に
なって使えなかった食品や少量しか糖が入らない食品により少ない
量で効果を発揮したりと、食品加工上非常に多くの可能性を秘めて
います。

http://www.hayashibara.co.jp/h_shoji/contents_oy.html より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ブドウ糖2分子ということは、麦芽糖(水飴)と同じです。ブド
ウ糖どうしの結合の仕方が違う、ということのようです。ちなみに
砂糖はブドウ糖と果糖が1分子ずつ、乳糖はブドウ糖とガラクトー
スが1分子ずつ、結合したもので、これらは二糖類と総称されてい
ます。

 自然界にも、存在する物質です。きのこ類には特にたくさん含ま
れているそうです。上記の文章では、甘味は砂糖の半分ということ
ですが、糖類には違いありません。したがって、トレハロース自体
の安全性については、問題はなさそうです。

 ついでに、先程出てきた、「ソルビトール」というのは、よくソ
ルビン酸(保存料)と間違う人がいるのですが、ブドウ糖にアルコ
ール基がついた、「糖アルコール」と呼ばれるものの一種です。

 トレハロースがなぜ、今頃商品として出てきたかというと、最近
でんぷんから、工業的に製造する方法が確立したためです。でんぷ
んはたぶん、トウモロコシかジャガイモからとるものでしょう。

 でんぷんはもともと、ブドウ糖分子が長くつながってできていま
す。食べると、分解してブドウ糖(またはブドウ糖が2分子つなが
った、麦芽糖)にして、消化吸収しています。

 この麦芽糖の、結合の仕方を変えたものがトレハロースらしいの
ですが、詳しい製法についてはよくわかりません。

 メーカーの推奨している使用範囲は極めて広く、「練りアン、餅
菓子・団子、流しもの、蒸しもの、洋生菓子、果実加工、めん類、
米飯類、肉加工品、卵加工品、惣菜、飲料」とほとんど何でもあり、
の状態です。

 トレハロースは自分のまわりの水分子と強く引き合い、安定した
状態になるので、トレハロースを含んだ食品は、乾燥・冷凍に対し
て安定で、変質しにくく、戻りも良い、という効果が主な狙いのよ
うです。

 いいことづくめのような話ですが、どうも釈然としないのは、私
だけではないと思います。確かに、カチカチになったご飯より、や
わらかいご飯の方が美味しいに決まっていますが、こんなやり方が
良いことなのかどうかは、別問題です。

 だんだんと使用範囲は広がっているようですので、しばらくする
と変なウワサ話も出てきそうです。トレハロースの毒性については、
別に問題はないと思いますが、こういうものが蔓延していっては、
本来、品質管理の問題であったことが、手間隙かけずに解決してし
まいますので、却って大きな事故を起こす原因になりはしないかと
心配です。

 新しいものが出てきたときに、保守的になるのは決して良いこと
ではありませんが、とりあえず私は今、こういう風に思っています。
情報、ご意見などありましたら、お寄せください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.海にはなぜ塩が溶けているのですか?子どもに聞かれて、全然
わかりませんでした。

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A.これは川の水に溶けている塩類が、長い間にたまってきたもの
です。

 川の水は真水と呼ばれていますが、ごくわずかの塩類を含んでい
ます。この塩類はどこから来るのかというと、主に岩や土などから
溶けてくるのです。

 地球上の水は、海から水分が蒸発し、大気中で集まって雲を作り、
やがて雨になって降ってきます。海に降った雨はそのままですが、
陸に降った雨は、やがて川となって海に戻ってきます。

 蒸発した時は水分だけが気体になりますが、川の水になって戻っ
てくるとき、少しずつ塩類を溶かして帰ってきます。何十億年かの
間に、その塩類がたまってきたので、海の水は塩辛いのです。

 塩辛いのは主に食塩(塩化ナトリウム)ですが、海水中には、そ
れ以外の塩分もたくさんあります。金とかウランとか、いろんな元
素まで含んでいるという話もあります。

 最近では、人間の活動の結果としての塩類(肥料や生活排水、工
場排水などからのもの)も無視できない量であるようです。ごく微
量ですが、PCBやダイオキシンなんかも、世界中の海の魚から検
出されています。

 海水を煮詰めると塩分が固体として残ります。いわゆるニガリと
いう成分(主に塩化マグネシウムなど)は自分で空気中の水分にと
けて、落ちていきますので、海水中よりも塩化ナトリウムの濃度を
あげて、塩化ナトリウムを結晶させたものが、いわゆる食塩です。

 塩化ナトリウムの純度をあまりあげると、却って味覚としては美
味しくなくなります。また、純度が低すぎても、食塩としては使え
ません。ほどほどの純度に調整したものが、いろいろと市販されて
います。

 食塩の原料として、海水からのものとは別に、岩塩というものも
あります。これは、大陸内部で、塩水がたまった湖だったところに、
岩塩の地層があって、そこから掘り出されます。

 湖に塩がたまるのは、海水と同じメカニズムです。日本の湖は、
水が流れ出るので、真水のままですが、大陸内部には、海への出口
を持たない湖があり、そんなところでは、海水のように塩類が溜ま
っていきます。だんだんと塩分の濃度が濃くなり、やがて地層とし
て堆積していく、というわけです。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「エビ」
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 お正月の話を書こうと思っていて、今までに書いたページの内容
を見ていたら、「カニ」は書いているのに「エビ」は書いていない
ことに気づきました。そこで今回はエビの話です。

 エビというのは、世界中で日本人が最も食べるんだそうです。エ
ビ類の輸入額は、魚介類の中でも、特に多いものです。

 キューバのカストロ首相が、「キューバのエビは自分たちで食べ
ずに、日本に全部輸出して、その金で学校に給食を実施しよう。」
と言ったとか。実際、伊勢エビ(結婚式で見る、豪華なやつ)はキ
ューバあたりからの輸入品がほとんどです。(オーストラリアあた
りから来る、ロブスターというのもあります。)

 伊勢エビはかなり大きいものですが、私たちの食べているエビは
実はみんな子供です。エビの養殖をするためには、卵を孵化させて
エビの子供(稚エビ)をとる必要があります。その卵をとるための
親エビを見せてもらったときは本当に驚きました。

 私の知っている(食べている)エビとは、サイズが全然違う、巨
大なものだったのです。それが大人のエビの姿で、私たちが食べて
いるのは、ほとんど小さい子供なのです。

 エビにもいろいろと種類があります。また、大きく分けて、養殖
ものと天然ものとがあります。お正月によく登場する、クルマエビ
なんかでは、稚エビを養殖して、少し大きくなってから湾内に放流
し、天然ものとして漁獲する、半養殖といえるような方法もあるそ
うです。

 養殖ものと天然ものとでは、何となく、天然ものが優れているよ
うに思います。ただ、天然ものの漁獲には、いろいろと問題が多く、
アメリカなんかでは天然もののエビ漁を批判している人も多いよう
です。

 まず、底引き網を使いますので、他の魚介類が混じってくること、
特にアメリカでは、ウミガメなんかを問題にしている、というのは
最近の風潮です。また、ほんとうに小さなエビまで取ってしまうの
で、資源の面からも、これからは規制されていく方向だろうと思い
ます。

 ムキエビとして売っている、小さなエビも、実はほっておけば大
きくなる、普通のエビです。養殖エビでは、こんなに小さなエビを
出荷すれば大損ですので、当然、ムキエビはすべて天然もののエビ
ということになります。大きくしてからとれば、もっと儲かるのに
と思うのですが、なかなか難しいようです。

 養殖エビとしては、クルマエビの仲間がほとんどを占めています。
一番多いのは「ブラックタイガー」という、なんだか怖そうな名前
のエビです。加熱するともちろん赤くなりますが、生のときは黒い
縞模様がある、おなじみのエビです。

 エビの養殖は台湾で大成功を収めたのが、世界中で注目を集めた
ことがあります。ところがコンクリートで固めた池に、大量にエビ
を入れ、エサも大量に与えて、早く、大きくするという「集約型」
だったため、病気が出たりして、まもなく台湾ではエビ養殖は衰退
していきました。

 ただ、エサ産業や養殖技術は生き残って、他の国に産地を拡大し
ていきました。フィリピン、インドネシア、ペルーをはじめ、世界
中でいろんなエビの養殖がされています。ベトナムなんかでもはじ
まっているとか。

 さすがに最近では、極端な集約型で養殖し、投入資本を短期で回
収する、あとは野となれ式のやり方は少なくなって、持続的な方法
をどこでも模索しているようです。

 エビ類はもちろん、冷凍で輸入されてきます。中身を保護するた
めに、水といっしょに、氷の中に入ったような状態のブロックで、
段ボール箱に入っています。それを解凍して、消費者向けの商品と
するのですが、この辺の賞味期限関係の話は前に書きました。

 また、再度冷凍して出荷するときも、表面を保護するために水を
かけていっしょに凍らせます。このため、氷の分、重さが多くなり
ます。まさに「水まし」ですが、他の冷凍魚介類でも、このような
処理をしていることは多いのです。

 エビ類は解凍して時間がたつと、黒くなっていきます。このため、
調理寸前まで冷凍しておき、流水で急速解凍するのが良いのです。
この黒変を防止するため、亜硫酸が使われます。別に毒性という問
題はないようですが、スーパーによっては、国内の業者に、一定以
上の残留を義務づけたりしています。まったく黒変しないようなも
のは、逆にどうかと思います。

 また、プリプリとした食感を出すために、重合リン酸塩を使用す
ることもあります。

 ニューカレドニアのエビ養殖の話はこのメールマガジンの最初に
少し書きました。

http://www.kenji.ne.jp/food/review/review1.html

 で、そのつづきなのですが、エビというのがどういうところで育
っているのか、という話を書きます。

 エビの養殖場は、海の近くの池です。エビは海の生き物ですが、
特に子供のうちは、河口などの塩分の少ないところに好んで住みま
す。それで池には、海の水を入れたり、川の水を入れたりできるよ
うにして、塩分を調節できるようにしているところが多いのです。

 塩分が少ない方が、成長が早いということです。ニューカレドニ
アでは、全部海の水でした。海水をポンプでくみ上げて、池に入れ、
自然流下で岬の反対側の海に戻す、という方法でした。

 成長は遅くなるのですが、この方が病気が出ない、と云っていま
した。なにしろ、薬剤は一切使用しない、という方針ですので。水
質に注意し、エサが残らないよう、適切な量を与えていけば、基本
的に病気は出ない、ということでした。

 それでも、池から流れ出る水は、栄養が多いらしく、反対側の海
は生き物が多く、格好の漁場になっていました。また、マングロー
ブ林も、養殖場ができてから、ずいぶんと育ってきた、と云って威
張ってました。

 収穫直前のエビのいる池で、網ですこし取って、食べさせてもら
いました。生きているエビの殻をむいて、そのまま食べるのです。
私はちょっとビビリましたが、現地の人の手前、仕方なくそうして
食べました。味は当然、Good!でした。

 その池では経営者夫婦(これはフランス人)と4〜5人の現地人
(いわゆるメラネシア人で、現地ではカナクと自称していました。)
という体制で仕事をしていました。みんな若い人で、将来は彼らが
独立して、カナク人の産業としていくんだ、という夢を持っている
とのこと。

 ニューカレドニアというのは、フランスの植民地で、かつては流
刑地だったところです。大きなニッケル鉱山があって、日本とも関
係が深かったものです。「天国に一番近い島」という本がありまし
たが、あれはニューカレドニア本島ではなく、近くの珊瑚礁の島の
話だそうです。

 今はニューカレドニアでは自治政府ができ、将来の独立に向けて
準備中といったところです。カナク人の独立への要求は強く、かつ
ては武力闘争も盛んでしたが、現在では話し合いで平和に独立する
方向です。ただ、フランス系住民の間では、独立反対派も多く、ま
だ前途多難ではあるようです。

 植民地というのは、今では宗主国に利益をもたらすものではなく、
ニューカレドニア経済は本国からの援助で成り立っているといって
よいくらいです。メラネシア諸国とは比較にならない、高い所得と
生活レベルを維持していますが、独立後、どうなるかという心配は
当然あると思います。

 独立のためには、自立した産業だ、ということで、頑張っている
ようでした。その後、インドネシアでも、かなり大きな養殖池を造
成し、集約型ではなく、有機栽培型の養殖をするんだ、という話が
あり、スマトラ島の写真なんかを見せてもらいましたが、インドネ
シアの経済、政治の危機の前の話ですので、今ではどうなっている
のでしょうか。

 日本がエビの輸入大国であることに、批判的な意見が多いのです
が、私は比較的高価な魚介類であるエビを、日本が輸入することは、
世界の発展途上国にとっては、決して悪いことではない、と思って
います。

 「贅沢は敵だ!」と云っておくと「清貧」ぽくて格好良いのです
が、私は日本人がもう少し贅沢することが、世界中の、これから頑
張っていこう、という国々の人のためには、良いことだと思うので
す。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回のQ&Aへの質問は、私のページの「塩」のところから、い
ただきました。これはもう食べ物の話ではなくて、地球科学の範疇
ですので、私に答える資格はないのですが、とりあえず自分の考え
を書きました。間違っているかもしれませんので、詳しい方はご指
摘をお願いします。

 で、こういう科学的に質問に最適のサイトをご紹介します。「電
脳科学者Ciao」さんの「Life & Science」というページです。ここ
の、「科学相談室」というところに、いろんな質問を受け付けてく
れるところがあります。

http://www.lares.dti.ne.jp/~ciao/index.html

 本物の科学者が、分かりやすく、ときには冗談もまじえながら、
答えてくれます。科学的なものの見方がわかって、とても参考にな
りますので、私はよく見に行っています。

 10日の日曜日は「まぐまぐ」のサーバーがお休みするということ
ですので、今回は一日早く発行します。お便りお待ちしています。

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--57号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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 購読者数1080名です。ご購読ありがとうございます。
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