安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>557号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------557号--2010.07.11------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「合成抗菌剤」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 今回は笈川さんからいただいた、生活衛生ホットインフォメーシ
ョン72「埼玉県で溶連菌食中毒が発生」を紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

埼玉県で溶連菌食中毒が発生

7月5日に埼玉県から障害者福祉施設での溶血性レンサ球菌による
食中毒の発表がありました。溶血性レンサ球菌による食中毒は、通
常の食中毒起因菌による胃腸炎症状と大きく異なり主に呼吸器器官
の疾患です。そこで、概要と過去の事例のついてお知らせします。

食中毒の概要

概  要 障害者福祉施設の入所者が発熱、咽頭痛、上気道炎な
どの症状を呈した。共通食品は施設調理、提供した夕食に限定され
た。患者4名及び調理従事者1名の咽頭拭い液からA群溶血性レン
サ球菌が検出された。

発生年月  平成22年6月20日

原因施設  埼玉県所沢市 障害者福祉施設の給食施設

原因食品  6月19日の夕食に提供された食事   

献立:ご飯、鮭の唐揚げ香味醤油かけ、つけ会わせ(ししとう)、
里芋の含め煮、ナムル、味噌汁(しじみ)

病因物質  A群溶血性レンサ球菌(A群溶血性連鎖球菌)

摂食者数  79名

発症者数  20名


主なA群溶血性レンサ球菌食中毒等事例

■1983年7月 東京都 飲食店 発症者数583名 食中毒として扱わ
れていない

 講演会出席者及びその家族が咽頭炎症状を呈し、共通食は玉子サ
ンドイッチであった。調理従事者2名の咽頭拭い液から発症者と同
型のA群溶血性レンサ球菌が検出された。ただし、自覚症状は無か
った。

■1997年5月 福岡市 弁当屋 発症者数943名

 国際会議の警備をしていた警察官が喉の痛みを主とする上気道炎
症状を呈した。発症者の共通食は弁当であった。調理従事者からA
群溶血性レンサ球菌が食品を汚染し、増殖したため集団発生したと
考えられた。同菌の健康保菌者は数%いるといわれている。

■1998年8月 茨城県 飲食店 発症者数372名

 医療関係者のソフトボール大会参加者が喉の痛み、発熱、咽頭の
腫れなどの症状を呈した。共通食は弁当で、発症者、調理従事者の
咽頭ぬぐい液、弁当の保存食からA群溶血性レンサ球菌を検出した。
調理従事者に事件発生前から喉の痛みを訴える者がいた。

■1998年9月 熊本県 飲食店 発症者数254名

 職員組合大会の参加者と、その家族が咽頭痛、発熱などの風邪様
症状を呈した。共通食は当日配られたサンドイッチであった。早朝
3時半から調理を開始しており、能力以上の受注、手指の洗浄不足
及び調理から摂食まで長時間室員放置が原因と推測された。

■2003年9月 千葉県 寿司屋 発症者数67名

 異なった場所で行われた葬儀出席者が発熱、咽頭痛等の症状を呈
した。出席者の共通食品は寿司店の仕出し弁当しかなかった。寿司
屋の従業員が事件の数日前から発熱、咽頭痛の症状を呈していた。
当該従事者の咽頭ぬぐい液からA群溶血性レンサ球菌を検出し、患
者由来との遺伝子パターンが一致した。

■2005年7月 神奈川県 大学内給食施設 発症者数269名

 大学入試説明会のスタッフ、学生の多数が咽頭痛、発熱の症状を
呈した。共通食は昼食に配られた弁当であった。調理従事者1名が
事件発生の前に発熱、咽頭痛の自覚症状を持っており、咽頭ぬぐい
液からA群溶血性レンサ球菌が検出され、発症者及び弁当から検出
されたものと遺伝子パターンが一致した。

*健康保菌者がいるので給食、仕出し弁当等の施設では、盛り付け
時にはマスクの着用が重要です。(笈川)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 溶連菌による食中毒というのはあまり聞きませんが、こうして見
ると無視できないようです。症状からしてもあまり食中毒とは思え
ませんので、案外もっとたくさんおこっていそうです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「合成抗菌剤」
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 リコール情報にこういうものがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

丸愛「しじみ汁の具」(合成抗菌剤検出) (2010-7-8)

【対象商品】

しじみ汁の具(みそ汁の具)
 [表示内容等]
 包装形態:合成樹脂袋入り
 内容量 :115g
 賞味期限:2010年12月7日〜2010年12月25日
 製造者 :株式会社丸愛 鳥羽店(三重県鳥羽市堅神町90-2)
      株式会社丸愛 答志店(三重県鳥羽市答志町112)

【理由】

日本ドライフーズ(株)製造のFDしじみから、合成抗菌剤フラゾリ
ドン代謝物(AOZ)が0.002ppm検出された

【対策】

回収

http://recall-navi.com/modules/cclinks/index.php?CatID=1
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 同じものが6月に韓国でニュースになっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 2010年6月1日、韓国・食品医薬品安全庁は、中国産冷凍シジミス
ープから食品への使用が禁止されている抗菌剤フラゾリドン代謝物
が検出されたと発表。輸入および販売の取りやめを命じた。2日、
中国経済網が伝えた。

 問題の冷凍シジミスープは浙江省湖州市の中国企業が生産したも
の。韓国企業が輸入し、食品加工企業に卸していた。これまでに計
160トンが輸入されていたという。韓国情報サイト「Innolife.net」
によると、問題のシジミスープは韓国から日本に輸出されていたと
いう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100603-00000014-rcdc-cn
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 また5月には日本でこんなニュースもありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 益峯通商(株)が中国より輸入した水煮しじみから合成抗菌剤フラ
ゾリドンが検出され、食品衛生法第11条に違反するとして、東京都
中央区は同社に回収を指示した。フラゾリドンは食肉や魚介類に含
有してはならない物質に指定されている。

【発表日】2010/05/26

http://www.excite.co.jp/News/recall/20100531/Recall_13044.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------


 今回の件との関係はわかりませんが、関連があるのかもしれませ
ん。

 「合成抗菌剤」というものについての評価ですが、以下は2003年
にベルギーとインド産の粉卵から検出されたときの情報です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ニトロフラン代謝物に係るベルギー産及びインド産粉卵等の取扱い
について


 標記については、在京EU代表部より本年4月7日付けの書簡に
より、一部のニトロフラン系合成抗菌剤(フラゾリドン、ニトロフ
ラゾン)の代謝物AOZ(3−アミノ−2−オキサゾリドン)及び
セミカルバジドを含有するインド産の原料を使用したベルギー産粉
卵が我が国に輸出されている旨の情報提供を受け、厚生労働省の対
応を4月9日に公表したところですが、本日開催の薬事・食品衛生
審議会食品衛生分科会毒性部会(以下、「毒性部会」と略す。)に
おけるニトロフラン代謝物の安全性に関する検討結果を受け、今後
の対応を以下のとおりとしますのでお知らせします。

毒性部会で了承した事項

1.ニトロフラン類の代表的化合物であるフラゾリドンは遺伝毒性
を有する発がん物質である可能性が高いと認められる。フラゾリド
ンの代謝物であるAOZについては、発がん性試験結果は報告され
ていないが、in vitro及びin vivoの遺伝毒性試験においていずれ
も陽性と判断されることから、発がん性を有する可能性は極めて高
いと考えられる。入手した資料からみる限り、許容1日摂取量(A
DI)を設定することは適当でないと考えられる。

2.セミカルバジド及びその親化合物であるニトロフラゾンは、発
がん性を示した試験結果があることから、発がん物質であると考え
られる。発がん性のメカニズムは明らかではないものの、入手した
資料からみる限り、ADIを設定することは適当でないと考えられ
る。

3.1,2に基づき、AOZやセミカルバジドが検出された食品に
ついては、流通しないようにすることが適当である。

4.AOZ又はセミカルバジドが検出された粉卵を原料の一つとし
て製造された加工食品については、入手した資料からみる限り、フ
ラゾリドンの発がん性試験の用量と実際の残留量には大きな差があ
ることなどから、直ちに人の健康確保に大きな支障があるとは考え
られず、回収を行うような類のものではないと考える。

 なお、EUにおいても加工食品については回収の対象としていな
い。


(参考)

● ニトロフラン系合成抗菌剤とは

 フラン系の合成抗菌剤の総称であり、フラゾリドン、ニトロフラ
ゾン、ジフラゾン等が含まれる。わが国では、昭和56年フラゾリ
ドンに発がん性が、他のニトロフラン系合成抗菌剤には変異原性が
疑われたため、再評価が行われ、家きんと牛への使用が取り消され
た。また、平成11年の再評価において、豚に対する使用も対象外
となり、現在では、動物用医薬品として承認のあるものはニトロフ
ラゾンとニフルスチレン酸ナトリウムのみであり、ニトロフラゾン
の使用対象として食用畜水産物への使用は認められていない。

 EU、欧米においても、ニトロフラン系合成抗菌剤の食用畜水産
物への使用は禁止されている。

 なお、ニトロフラン代謝物AOZはフラゾリドンから、同じく代
謝物セミカルバジドはニトロフラゾンから生成される。

● EUにおけるニトロフラン系合成抗菌剤代謝物の規制

 本年3月13日付委員会決定(2003/181/EC)により、家きん肉
及び養殖水産物におけるニトロフラン代謝物(AOZ、セミカルバ
ジド等)について、ニトロフラン系合成抗菌剤の使用規制の一環と
して、不使用の確認の検出限界(MRPL)を1ppbとすること
が示され、EU各国においてモニタリング検査が実施されるように
なった。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/06/h0627-3.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下に引用するのは、2008年の「食品安全情報」です。抗菌剤の
使用は直接の毒性よりも、耐性菌を作ることを通じての方が害があ
り、使用を禁止しなければならないという意見です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

3.食品生産動物の抗菌剤耐性問題

 本号は食品生産動物における抗菌剤使用が公衆衛生に与える影響
に焦点を当てたものである。概要は次の通り。

■抗菌剤はヒトおよび動物の治療や動物愛護に重要であり、動物お
よびヒトに共通に使用される抗菌剤が非常に多い。

■食品生産動物の成長を促進し、飼料の効果を高めるため、飼料お
よび水に抗菌剤を添加する場合もある。このように長期にわたって
低用量に暴露する方が、治療または予防に使用する場合よりも、抗
菌剤耐性が起きやすいと考えられている。

■2003年にジュネーブで開催されたFAO/OIE/WHO のワークショップ
では、ヒト以外に抗菌剤の使用に伴い出現する耐性菌が、ヒトの健
康に有害な影響を及ぼしていることを示す明白な証拠があるという
結論に達した。

■公衆衛生に対するリスクがあることから、過去10年間にECを含む
一部の国が成長促進目的での一部の抗菌剤の使用を中止した。この
ような方針は、WHOによる勧告事項やCodex委員会によるガイドライ
ンと一致するものである。

■これまでに得られた証拠は、食品中に残留する抗菌剤による毒性
および植物相への影響によるリスクは非常に低いが、菌の耐性獲得
によるリスクは重大なものになりうることを示唆している。

■耐性の病原菌に感染すると、その治療はより困難で高価になるた
め、抗菌剤耐性は公衆衛生、動物衛生および経済的被害の観点から
重要な問題である。

■耐性によって無効となった抗菌剤に代わる新しい抗菌剤はほとん
ど開発されていないため、あらゆる抗菌剤、特に極めて重要な抗菌
剤の効果を維持するための管理措置が急務である。

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2008/foodinfo200806.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 よく「抗生物質」が問題にされますが、「抗菌剤」には抗生物質
も含んでいるのでしょう。抗生物質は基本的に天然物ですが、合成
の抗菌剤もあるというわけです。

 今回発見された合成抗菌剤の代謝物は、有害なものではあります
が、量的に見て健康被害を起こすようなものではないので、回収の
必要があるとは思えません。でも発ガン性などと言われると、大丈
夫とも言えないのでしょうね。

 それよりも問題は使用そのものにある、ということです。中国産
しじみに広く使われていることが発覚したと受け取っていますが、
発見次第、輸入禁止にするなどの圧力をかけることはやはり必要だ
と思います。

 中国産のものでは、この間ウナギ、エビ、カニ、鶏肉などから抗
菌剤が検出されて問題になりました。今年はシジミが問題になった
わけで、やはり中国での生産体制に問題があるということになりま
す。

 ただし、残留している量は非常に微量です。健康被害が出る可能
性はなく、実は中国で耐性菌が発生して、中国人自身が被害を受け
るということが起こっている可能性の方が高いのです。

 少し使うと生産高が増える、魔法の薬のように思われているのか
もしれませんが、メラミンのときと同じく、結局は自分の首を締め
ていることに気付いてほしいと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「食品安全情報」というのは、国立医薬品食品衛生研究所が出し
ている情報で、隔週に出ています。「食品安全情報blog」の畝山さ
んの勤務先ですね。PDFファイルなので、ふだんはブログの方を
見ています。

 8月に大分で栄養士の人たちの前で話をします。ついでに九州旅
行をしようと妻に言ったのですが、断られました。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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