安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>554号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------554号--2010.06.20------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「食中毒」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回と同じく、「雪兎」さんから、こんなメールをいただきまし
た。通常、メールの送信者は匿名にしていますが、今回はメール中
にご自分のブログを紹介してくれていますので、匿名の意味がない
ですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「食の安全」の「専門家」としてメディアにしばしば登場する、
「食品と暮らしの安全基金」代表・小若順一の講演に行ってきまし
た。

http://d.hatena.ne.jp/usagi-snowrabbit/20100612/1276350018

 自分とこで売っている、「無添加白だし」とやらで、アスペルガ
ー症候群などの発達障害が改善されたと宣伝するのが目的だったよ
うです。私は声を荒げて、あんたが言っているのが事実なら、
NatureやScienceに論文出せばいいじゃないか?「素人グループ」
なら研究者を味方に引き入れればいいじゃないか?学者にはインチ
キがばれるけど素人向けの講演なら騙せると思っているのか?と言
ってやりました。

 善人面してマスメディアに「食の安全」の「専門家」として登場
している人物が、実態は詐欺まがいの商法を行っていることを、告
発したいと思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 いつも思うのですが、「無添加白だし」で発達障害が改善された、
というのを本当に信じてこう言っているのか、それとも単に詐欺の
ネタとして語っているのか、判断がつきません。

 前者なら常識を、後者なら良識を疑うわけですが、案外まともそ
うな人にも、こういうことを言う人は多いのです。ここで紹介され
ている、怪しげな「専門家」はともかく、生産物に責任を持たねば
ならないはずのメーカーにもこんな人がいるのは本当に困ったこと
です。

 このブログのコメントで、以下のサイトが紹介されていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 低コストに抑えなければならない?給食費などの事情もあるのは
わかりますが、給食に使われている食材に不安があります この春、
子供が一年生になり、改めて給食の献立表を見た時、“ショートニ
ング”“マーガリン”などの気になる単語が目につきました。神経
質になっているわけではありませんが、やはりそういう添加物は極
力子供に与えたくないのが本音です…子供にアレルギーがあるわけ
ではありませんし、毎日”給食おいしかった!”と子供は言ってい
ます。安全性に問題ない範囲だろうとは思うのですが…私自身、小
学生の頃は学校給食が大好きでいつもおかわりしていました 小町
のお母様方はどう思われますか?

http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2010/0612/322609.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「食品安全情報blog」のうねやまさんも嘆いていましたが、この
質問への回答に、読むとちょっと頭が痛くなるようなコメントが並
んでいます。

 半分は「神経質すぎ!」という批判ですが、殘りは奇妙な「添加
物批判教」といった感じのものです。

 このあたりは現在、日本におけるこれらの考え方の分布を正常に
反映しているということなのでしょう。レベル低すぎ!とは思いま
すが、あまりそれを言うと偉そうに聞こえてしまいます。

 栄養士や医師といった、きちんと勉強してきたはずの人でさえ、
添加物でキレる子が…などということを言ったりするのは、やはり
教育に欠陥があるのかもしれない、などと考えてしまいます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食中毒」
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 6月になって、O157による集団感染事故がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 三重県は2日、津市白山町にある全寮制の私立日生学園第二高校
(岡島義信校長、生徒数421人)の生徒ら119人が腹痛や下痢
などの食中毒症状を訴え、うち17人が入院したと発表した。生徒
5人から病原性大腸菌O157が検出され、津保健所は校内調理の
給食が感染原因となった疑いがあるとして調査している。現在は全
員快方に向かっているという。

 また、三重県伊賀市の日生学園第一高校と、同じ敷地内にある日
生学園付属中学でも、高校生26人、中学生27人が腹痛や下痢の
症状を訴え、中学生1人が検査入院した。同じ給食業者が調理して
おり、県が関連を調べている。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/100602/dst1006022209004-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 続報です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 津市の日生学園第二高と伊賀市の同学園第一高、付属中で発生し
た病原性大腸菌O157の集団感染で、県は17日、新たに第二高
で1人の生徒の感染が確認され、感染者は計189人になったと発
表した。これで原因とみられる給食を食べた993人のすべての検
査結果が判明した。

 感染者の内訳は、第二高は生徒154人をはじめ、教職員と給食
調理従事者が各5人、第一高と付属中は生徒23人と給食調理従事
者2人。これまでに入院した27人のうち、26人が退院し、残る
第二高の1人も快方に向かっているという。

http://mainichi.jp/area/mie/news/20100618ddlk24040168000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 症状は軽かったようですが、これだけ患者が出ているのに、あま
り報道はされていなかったように思います。

 FoodScienceのサイトに掲載されていた、「食品衛生レビューNo.3」
2009.5.22という記事を著者の笈川さんから送っていただいたので、
そこから引用してみます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

●O157はやはり怖い。でも、なぜか報道は小さい……

 原因食品として一番疑わしいのは、生野菜を提供していれば、サ
ラダとなります。1996年に大阪府堺市の小学校給食で集団発生した
O157事件では、生野菜のカイワレダイコンが疑われました。報告書
では断定していませんが、同日、老人ホームに出荷されたカイワレ
ダイコンでもO157事件が発生し、DNAパターンも小学校給食の事件
と一致したので、私はこの事件の汚染源はカイワレダイコンでは
ないかと考えています。

 堺市の多くの学校給食施設では、盛り付けがきれいになるように、
スポンジに張っている根の部分を切らずに、シンクに入れて洗浄し
ていました。しかし、根の部分を切ってから長時間水洗した学校で
は、O157食中毒の発症がありませんでした。やはり、カイワレダイ
コンの根の部分やスポンジにO157が存在していたものと考えられま
す。しかし、カイワレダイコン自体が悪いのではなく、洗浄方法に
問題があったといったほうがよいでしょう。

 では、カイワレダイコンはどこで汚染されたのでしょう。一般に
は、カイワレダイコンの種子のヒダの部分にO157などの細菌が潜ん
でいることが考えられ、栽培に使用していた地下水の汚染されてい
た可能性もあります。野菜などの植物では、細菌のような物質を根
で吸収され茎を通して上へ上げることは考えられません。ですから、
発芽野菜(スプライト)を生で提供する場合は、根(細菌が多く生
存するスポンジ)の部分を切ってから洗浄することで、細菌を取り
除くことができます。

(略)

 ほかの食中毒菌に比べ、極めて少ない菌量(100個以下)で感染
するのがO157の特徴です。発症者のふん便からは、1g当たり100万
個程度のO157が検出されます。健康保菌者もいますので、用便後の
手洗いが重要です。潜伏期間が3日から9日と、長いことも特徴とし
て、知っておくべきでしょう。

 O157は牛などの大腸の常在菌です。したがって、生の牛肉は汚染
されていることが多く、焼き肉では焼き台に載せるハシ(トング)
と焼いて食べるハシを分ける必要があります。幼児には絶対に生肉
を食べさせないようにしなければなりません。また、幼児が「ふれ
あい動物園」などで牛に触って遊ぶことで、O157感染が毎年発生し
ています。幼児が牛を触った後は、直ぐ手を拭くように配慮が必要
です。(食品衛生コンサルタント 笈川和男)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今年の食中毒については、以下のところに情報があります。

食中毒発生事例(速報)
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html

 お馬鹿なことにExcelのファイルで公開しています。相変わらず
ノロウィルスが圧倒的に多いのですが、それに次いでカンピロバク
ターが多くなっています。

 これについて、国立感染症研究所のサイトで、情報が出されてい
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

カンピロバクター食中毒の現状と対策について

1.カンピロバクター食中毒の発生状況(厚生労働省食中毒統計1)
より)

1)カンピロバクター食中毒は、患者数2人以上事例の事件数、患
者数ともに増加傾向を示しており、近年は年間患者数2,000〜3,000
人に達している(図1)。また、1997年より、患者数1人事例の事
件数が急激な増加を見せているが、これはこの頃より一部の自治体
で患者数1名の散発食中毒事例が多数報告されるようになったこと
が大きく影響している。

2)原因食品は、鶏肉や牛レバー等の肉類およびその加工品が多く
を占め、肉の生食や加熱不十分が主な要因であるが、調理課程にお
ける二次汚染による食中毒が起こりやすい傾向もある。

3)病因物質は、Campylobacter jejuni (C. jejuni )が大半を
占めており、2008年の患者数2人以上の事件数299件のうち、C.
jejuni と確定した事件数は247件となっている。

4)原因施設としては、飲食店がその大半を占めている。

5)発生時期は5〜7月にかけてピークとなるが、年間を通じて散
発事例が多いという特徴がある(図2)。


2.カンピロバクター食中毒の予防対策

 鶏肉生産の大規模化等により、鶏肉の消費量が増大する中、カン
ピロバクター等の鶏肉に起因する食中毒が発生していることや、牛
生レバーに起因する食中毒が発生していることなどを受け、主に次
の対策を講じてきたところである。

1)食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律の施行
(1991年)

 (1)食鳥処理場の衛生的な構造設備基準の設定
 (2)衛生管理基準の設定
 (3)処理工程での生体検査による疾病り患食鳥肉の排除、等

2)食鳥処理場におけるHACCP方式による衛生管理指針の策定
(1992年)

3)と畜場法の施行令および施行規則の一部改正
(1996〜1997年)

 (1)HACCP方式による衛生管理手法の導入
 (2)と畜場の衛生的な構造設備基準の設定
 (3)衛生管理基準の設定

4)HACCP調査研究事業:食鳥処理場の危害分析情報のデータベー
ス化(2003年)

5)「カンピロバクター食中毒予防Q&A」の公表(2005年)
http://www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/campylo/index.html

 (1)食肉の十分な加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)
 (2)食肉からの二次汚染の防止
 (3)今日の食肉または食鳥処理の技術では食中毒菌を 100%除去
することは困難であるため、牛の生レバーや生の鶏肉の喫食を避け
ること

6)食鳥処理場におけるHACCPジェネリックモデルの普及(2006年)

3.カンピロバクターの汚染実態調査

1)中央卸売市場等を管轄する19自治体において実施された2008
(平成20)年度食品の食中毒菌汚染実態調査における鶏肉、牛肉お
よび豚肉関連品目のカンピロバクター属菌検査結果は表1のとおり
であり、鶏肉関連品目が高率で汚染されていた。

平成20年度食品の食中毒菌汚染実態調査の結果について
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/060317-1.html

(表1)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/359/graph/dt35911.gif

2)2001年に実施された市販の鶏肉および健康な牛の肝臓のカンピ
ロバクター汚染率は表2のとおりで、鶏肉は高率で汚染され、また、
牛の肝臓は内部まで汚染されているとの報告 がある。

(表2)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/359/graph/dt35912.gif

3)2005年に実施された市販の鶏肉のカンピロバクター陽性率は、
冷蔵肉201検体で72%、冷凍肉30検体で37%であったとの報告があ
る。

4)2005年に実施された輸入鶏肉のカンピロバクター陽性率は、ブ
ラジル産30検体で56.7%、タイ産13検体で61.5%、中国産12検体で
16.7%、米国産5検体で20.0%であったとの報告がある。

5)2008年に実施された市販の国産鶏肉のカンピロバクター陽性率
は、84検体で41.8%であったとの報告がある。

http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/359/dj3591.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 文中の「表1」「表2」はこれもお馬鹿なことに画像ファイルで
公開しています。引用できないじゃないか…。

 鶏肉、牛レバーは絶対に生で食べてはいけません。もともと生で
食べるように処理されていないのです。

 昔、某生協で、提携していた養鶏場の鶏肉を説明会に持って行っ
て生で食べて見せるという芸を得意にしていた人がありました。危
ないからやめておけと言うのに聞かないのです。

 生で食べたからと言って必ず当たるわけではありませんが、こん
な薦め方をされた人が、自分も生で食べて事故になったらどうしよ
うかと思わないのが不思議でした。

 私も若いころ、生レバーというので当たったことがあります。や
はりそういう食べ方をしてはいけないということです。

 昔は食中毒と言えば腸炎ビブリオという時代がありました。あれ
はもちろん刺身から來るわけですが、最近ではずいぶん減りました。

 その陰には関係者の努力があるのですが、おかげで刺身は結構気
にせずに食べるようになっています。

 でも、刺身や寿司というのはある程度危険をともなう食べ方です。
日本人ならそれも含めて食文化ということで暮らしていますが、最
近の日本食ブームで、このごろ食べるようになった人たちに、そう
いう事故の事例はないのか少し気になります。

 何でも安全性の追求しようという考えが流行しているのですから、
生で食べるのは危険をともなうのでやめておこうという時代になっ
ても良さそうなものなのに、どうもそうはなりません。

 ほとんど被害が出そうにない危険情報には敏感なのに、現実に被
害が出ている危険情報には鈍感だというのは一見不思議なことです。

 これはたぶん、現実に被害が出ている方は、ある程度その状況が
理解されていて、恐怖感を煽りにくいのに、まだ被害もなく、ウワ
サ程度のときに最も恐怖感を煽りやすいということなのだと思いま
す。

 もちろん、そうして恐怖感を煽って儲けようという人たちがいる
のが一番の問題です。ということで冒頭に戻る、です。 

--〔後記〕--------------------------------------------------

 梅雨入りしていきなりかなり降りました。蒸し暑い夜というのも
あって、やっと季節感が出てきました。

 来週はまた中国へ行きますので、中国からの配信になります。今
年は何度も行くことになりそうです。

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