安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>546号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------546号--2010.04.25------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「塩の表示」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「食品安全情報blog」から拾ったネタなんですが、こういうニュ
ースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

横浜市:輸入粉末ジュース、認可外添加物含有で回収命令/神奈川

 横浜市保健所と金沢福祉保健センターは21日、南米商品の輸入
会社「ボンペックスジャパン」(同市金沢区福浦)が09年12月
にブラジルから輸入した果汁などの粉末ジュース「CAMP SU
CO EM PO−SALADA DE FRUTAS」に、添加
物「サイクラミン酸」が含まれていたとして回収命令を出したと発
表した。関東、中部、近畿地方のブラジル雑貨店などに卸売りされ、
約6000袋が流通している。サイクラミン酸は発がん性があるた
め食品衛生法で使用が禁止されている。粉末ジュース中の含有量は
微量で健康被害の報告はないという。【山田麻未】

毎日新聞 2010年4月22日 地方版
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20100422ddlk14040314000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このニュースを紹介している畝山さんのコメントは以下のとおり
です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 サイクラミン酸に発がん性なんて無いですから。サッカリンと同
じく、かつて疑いをかけられたことはあったけれど科学が疑いを晴
らしたにも関わらず行政が対応していないだけ。

 使用が認められている国もたくさんある。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20100422
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ミもフタもない書き方ですが、チクロ(サイクラミン酸)に発ガ
ン性がなかったというのは、以下のような最終報告が出ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 サッカリン、ズルチン、チクロは3大人工甘味料で、ズルチンが
発ガン性などから1968年に全面禁止になりました。チクロが1970年、
サッカリンも1973年に使用に制限がつけられました。禁止になった
理由は「科学的根拠もなくマスコミが魔女に仕立て上げた」という
事です。

 そして、そのマスコミは人間の楽しみを奪ってから30年。次のよ
うな報道をします。

「人工甘味料サイクラミン酸Na(チクロ)のサル長期経口投与実験
で発がん性が確認できなかったとの最終報告が、「TOXICOLOGICAL
SCIENCES: 53, 33-39 (2000))」に発表された。チクロはネズミに
ぼうこうがんを起こすとして1969年に米国、日本等で禁止された。
実験は、‘70年より米国国立がん研究所グループが行っていたもの
で、病理検査は高山昭三・昭和大学客員教授(元国立がんセンター
研究所長)が担当した。サル、500mg/kg(体重)投与群:11匹、
100mg/kg(体重)投与群:10匹、対象群:16匹で行われ、’94に解
剖された。(2000/09/20−新聞−朝日(朝刊))

 チクロの騒動を知っている人には実に無責任な報道であると驚き
ます。さんざん騒ぎ、チクロを製造している人を非難し、罵倒し、
購読者を増やし、そして30年後にひっそりと訂正報道をするのです。

http://takedanet.com/2007/04/post_bacb.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 問題の記事は毎日新聞のものです。他の新聞社では「日本では発
がん性があるとして1969年に使用禁止となった。」と書かれて
います。

 「あるとして」と「あるため」の違いはかなり大きいです。「あ
るとして」なら、使用禁止になった理由は「ある」だが、本当のと
ころはわからないというニュアンスがあります。「あるため」なら
全く事実として伝えているわけです。

 「あるとして」と書いた記者は上記の最終報告を知っているのに、
「あるため」と書いた毎日の山田記者は知らなかったのでしょうね。

 この事件は食品添加物の国による指定の違いが原因なので、でき
るだけそういう違いをなくして国際標準を作っていくという作業が
必要であるということです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。


-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「塩の表示」
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 2008年4月21日に「食用塩の表示に関する公正競争規約」という
ものが施行されています。2年間の猶予期間があって、塩の表示に
ついては、今年の4月21日から完全に実施となります。

 既に店頭にならんでいる塩の表示は変っていますが、意外と知ら
れていないと思いますので、紹介しておきます。

 いろんなサイトで紹介されていますし、公正取引委員会からも詳
しい情報が出ています。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.april/08041804.html

 「食用塩公正取引協議会」のサイトが最も詳しいです。
http://www.salt-fair.jp/

 要領よくまとめているのが以下の記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「天然塩」「ミネラルたっぷり」など、食用塩の優位性を示すた
めに使われてきた広告表現が制限されるようになる。食用塩公正取
引協議会が策定した「食用塩の表示に関する公正競争規約」が4月
21日に完全施行となるためだ。規約は景品表示法に基づき、公正取
引委員会の認定を受けた自主ルール。必ずしも表現が拘束されるも
のではない。ただ、同規約に違反する商品は、消費者庁から直接、
警告などを受けることになる。

 規約の対象になるのは、「塩化ナトリウム40%以上の包装された
食用塩」の販売業者や製造業者、輸入業者。包装されていない塩や
液体タイプの塩、「ごましお」や「塩こしょう」など混合塩は対象
外となる。

 対象となる表示は、JAS法や食品衛生法によって定められた
「一括表示」と、自主ルールで定める「製法表示」やその他、商品
パッケージやパンフレット、DM、チラシ、ネット上で使用される
広告表現。

 「一括表示」では、食用塩の名称を「食塩」「塩」に限定。原材
料名は「海水」「海塩(天日塩)」「岩塩」「湖塩」の四種類に限
定される。

 また、自主ルールで定める「製法表示」は、製法を規約で定める
16の工程から選択。原材料名は、前出四種類の表示と共に、原産国
(国内産の場合は地名も可)の表示が必要になる。

 さらに、商品名にも自主ルールを設けた。

 例えば、原産地と加工地が異なる場合。同じならば問題はないが、
メキシコ産の原料を使い、商品名で「赤穂の塩」など加工地を使う
ケースもありうる。この際は、商品名の近くに原産国を表示するこ
とで商品名に使うことができる。

 商品説明の中で使う表現も制限する。

 「天日塩」「焼き塩」「藻塩」「フレーク塩」といった表現は規
約で定義づけており、これら表現は定義の範囲内で使うことができ
る。

 一方、優良誤認を招く可能性のある表示は禁止する。「天然塩」
「自然塩」など塩を直接修飾する表現や「太古」「最古」「古代」
など根拠なく歴史性を強調する表現だ。
 
 ただ、「特選・特級」といった表現は自社商品内に比較対象があ
れば表示することができる。
 
 過去には別の公正競争規約の加盟企業に行政が直接指導したケー
スもあり、協議会加盟で景表法による指導を免れるものではない。
ただ、協議会では問題発生時に調査委員会を設置し、消費者庁と連
携して指導に当たるため、一定の緩衝材の役割を果たすことになる。

http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2010/04/post-247.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「自然塩」という名はなつかしいですね。私たちが扱っていたの
は「伯方の塩」でした。当時「伯方の塩」と「赤穂の天塩」の間で
論争がありました。「天塩」の色が茶色なのは、添加しているニガ
リに含まれる土(泥)の色だというのですね。

 これは本当だったようで、その後「天塩」の色が変り、白っぽく
なりました。両方ともメキシコの天日塩を使っていましたが、消費
者にはあまり伝わっていなかったようで、商品名に地名を使ってい
ることもあり、「自然塩」は国産というイメージも強かったように
思います。

 いわゆるフードファディズム(ある食品に対して、有益または有
害の情報を過度に評価する傾向)のハシリとして考えられる状態に
あったと思います。

 当時は塩は専売制でしたので、これらの「自然塩」は塩の加工品
という扱いでした。その後専売が廃止され、既存のメーカーも同様
の商品を発売するようになり、ますます混沌とした状態になりまし
た。

 ようやくそれが整理されようとしているわけです。この新しい規
約で塩に対する知識が広まることを期待します。よくある誤解はこ
んなものです。

・精製塩はニガリを除去しているので身体に悪い。

 実は「自然塩」の方にニガリを添加しているものがありました。
添加していないものは、精製のレベルを下げて、少しニガリが残っ
ている状態のもので、「原塩」「並塩」と似たようなものでした。

 ニガリを除去することが食塩を作るということなので、これは謂
われなき非難でした。漬物などに使うときは精製塩でない方がよい
のですが、これはあくまで用途に応じた使い分けという問題です。

・食塩が白いのは化学的に処理をしているから。

 今どきこんなことを信じている人はいないと思いますが、茶色の
塩を信奉していた人にはこう信じていた人もいたのです。

 ニガリを添加せず、真っ白な塩を売っていた「伯方の塩」は、こ
の誤解と戦っていたわけです。

・イオン交換膜でできた塩は「化学塩」だ。

 最も原始的な方法では、海水を塩田に入れ、そのまま天日で蒸発
させてしまうという方法がありますが、最後に加熱して蒸発させる
までのプロセスとして、「濃縮」という工程があります。この濃縮
工程にはいろいろな方法があり、その一つがイオン交換膜を使用す
る方法です。実はやっていることは同じなのです。

 膜を使った方法には、海水中の不純物を除去できるという利点も
あります。日本近海の海水を原料にするなら、膜方式の方が安心だ
と私などは考えています。


 こういう誤解をなくすためにも、今回の規約では、「工程」を表
示しようという画期的な試みがされています。以下の項目を実際の
工程にしたがって列挙するというのです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■イオン膜:塩分濃縮膜、イオン交換膜などの別名があるもので、
海水の塩分を濃縮する操作です。

■逆浸透膜:淡水化膜、ROなどと呼ばれるものです。海水を真水
にするときに出てくる濃い海水を利用するものです。

■浸漬:藻塩の製造で海藻を浸漬する操作です。

■溶解:天日塩、岩塩などを溶解してかん水(濃い塩水)を作る操作
です。

■天日:塩田、流下盤、枝条架、ネットなど自然力を利用して蒸発
させ、塩を結晶化したり、海水を濃縮したりする操作です。

■平釜:開放釜で煮詰めて塩の結晶をつくる方法です。

■立釜:真空式、加圧式など密閉釜で煮つめて塩の結晶を作る方法
です。

■噴霧乾燥:海水を霧状に噴霧して塩の結晶を取る方法です。

■加熱ドラム:海水を液滴にして加熱したドラム上で塩の結晶を取
る方法です。

■採掘:岩塩または湖塩を掘り出すことです。

■乾燥:塩の結晶を加熱して水分を除く操作です。天日乾燥は含ま
れません。

■粉砕:塩の塊を砕く操作です。

■焼成:塩の結晶を高温で焼くことです。380℃以上は高温焼成、
380℃以下は低温焼成といいます。

■混合:複数の原料の塩を混ぜたり、添加物を加えて混ぜる操作です。

■洗浄:水や塩水で洗って砂や「にがり」分などを除く操作です。

■造粒:塩を粒状などに成型する操作です。

http://www.salt-fair.jp/term/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今までのイメージでなく、事実を知らせていこうという意図がは
っきりとわかります。「自然」「天然」などの優良誤認表示をなく
すのは当然として、この「工程表示」はなかなかインパクトがあり
そうです。

 全体としてすっきりとした、よい表示規約だと思います。この規
約作りを推進した、日本塩工業会顧問の尾方昇氏の話がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

塩の表示が変わります

 成立の経緯は食用塩公正取引協議会ホームページ“経緯”に書か
れています。塩業界の皆様に大変お世話になりながら成立したもの
です。最初は業界団体もない中で成立することは困難といわれてき
ました。しかし業界の皆様の協力で優れた規約になったと思います。

 食用塩公正競争規約は他の食品の基準に比較して、部分的にはか
なり厳しい規約になっていると思っています。例えば、伯方の塩や
赤穂の天塩のような地名が入った商品で原料塩を輸入している場合
は原料の塩が他国からの輸入であることが商品名と同じ面に記載さ
れることになり、今まであまり例のない思い切ったルールになって
います。これは伯方の塩、赤穂天塩が誤解を受ける表示はしないと
いう強い信念から生まれたものです。

 自然、天然の用語を安易に使ってはならないということが消費者
からは強く要望され、その規制は塩に限らず他の食品でも厳しく扱
われています。これは塩に限らず食品の表示で自然、天然という言
葉を使うことであたかも健康に良いとかおいしいというイメージで
宣伝にも使ってきて、消費者に定義のはっきりしない言葉を使って
あたかもよい品質、価値ある品質と思わせるいわゆる思わせぶりな
表示の代表と考えられたためであろうと思います。今まで自由に使
っていた自然塩とかミネラルたっぷりの表現をやめることを同意し
たのも思い切った決断でした。

 塩の商売は人間が生きていくためにどうしても必要なものを供給
していくという社会的責任を担っています。その点で他の商品と違
うという自覚と誇りを持ってこの規約の実施に各社とも協力してき
ました。目先のイメージをあげてたくさん売りたい、高価に売りた
いという気持ちを抑えて、消費者に客観的な情報を提供して顧客に
満足していただくことが、塩という単純かつ必須の商品の信頼を向
上するものと信じています。

 正しい表示の実現には、業界だけでなく消費者が正しい表示を進
める原動力になっていただくことが第一です。うそつき表示や誇大
宣伝の表示を消費者の力で市場から締め出すことが正しい表示の実
現の最大の力になります。また、おかしいなという表示があれば積
極的に食用塩公正取引協議会とか消費者センターなどに意見を頂い
て是正していくことが大切だと考えています。

http://www.siojoho.com/s12/index.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 実に立派ですね。その他のすべての食品についても、同様の規約
ができるとよいと思います。一部の食品では「優良誤認」のフレー
ズが乱立していてとても見苦しいことを思えば、一時は同様の混乱
の中にあった塩業界がここまでやり遂げたことは素晴らしいです。

 現在の混乱の主な原因を作っているのは、メーカーよりも流通業
界の方だと考えています。しかしメーカーにも恥を知らない人が増
えているのが気がかりなところです。

 流通の人の場合、正しい知識がなくて、誤認情報を振り回してい
るということがよくあります。しかしメーカーの人間、特に開発な
どに当っている人は、当然自社の宣伝が誤認情報であるということ
は知っているはずです。これを黙認しているのはやはり恥ずかしい
ことだと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 体調のせいでこのところブログ更新をさぼっています。メールマ
ガジンは今年で10年目で、一度も休まず続けていますので、こちら
を優先としています。

 盗作騒ぎで上海万博の知名度が上がり、ツアーが人気しているの
だとか。このあたりが何でもありの中国の面白いところです。日本
の作曲家に謝っておいて、盗作ではないと主張するのもメンツが命
の中国人らしい話です。

 その中国に、5月に行くことになりました。ホテルのネット環境
は確認していないので、どうなることでしょうか。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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