安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>54号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------54号--2000.11.19------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「いただいたメール」
     「電子レンジ」(Q&A)
     「牛乳」(つづき)

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 引き続き、牛乳についてのメールをいただいています。以下に紹
介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛乳について、いろいろな意見が寄せられていますが資料があり
ましたので、もし参考になればと思いお知らせします。

「食べ物文化」1992年12月号(No.176) 芽ばえ社
特集 牛乳の新しい視点と問題点

 ここで、秋田大学医学部講師、島田彰夫(あきお)氏が「日本人
の体質と牛乳」、「乳糖分解乳の問題点、ガラクトース摂取と白内
障の関係」という内容で日本人には牛乳は合わない旨を述べられて
います。

(概要)

 乳糖分解酵素を持つ人が少ない日本人にとって、牛乳はカルシウ
ム供給源とはならない。日本人は大豆や野菜、海藻などからカルシ
ウムを取った方が効果的である。また、乳糖が分解(乳糖→ガラク
トース+ブドウ糖)されている牛乳やヨーグルト、チーズについて
も日本人はガラクトース分解能が低いため、ガラクトースが眼の水
晶体に蓄積して白内障を起こす恐れがある。(老人性の白内障でな
く比較的若いうちにおこるタイプ)

 したがって、これらについても日本人はできるだけ避けたほうが
よい。

(nandeのコメント)
 牛乳を飲めない人は無理して飲まなくてもいいと思いますが、飲
める人は牛乳もチーズもヨーグルトも大豆も野菜も海藻もバランス
よく食べればいいんじゃないでしょうか。

 「実験で、日本人に牛乳を与えたところカルシウムはよく吸収さ
れなかった」とか「牛乳を毎日飲んでいる日本人は飲まない人とカ
ルシウム量の差がなかった」とかデータがあるとよりはっきりする
と思いますが、知っている範囲ではそのようなことは聞いたことが
ないので・・・。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 nandeさんのコメントは妥当なものですが、島田氏の説は承服し
難いものです。

 ガラクトースが白内障を起こす、という説自体は、私は否定も肯
定もできる立場にはありませんが、専門家として、そのような結論
に達したならば、一般向け雑誌でご高説を述べている場合ではない
でしょう。

 すみやかに実験結果を論文にまとめ、専門誌などを通じて、世に
問う必要があります。もし本当なら、WHOあたりで大騒ぎするよ
うな話ですから。

 しかし、学会でこのようなことが問題にされているという話も、
寡聞にしてききませんので、きっと論文としては発表していないの
でしょう。

 論文として発表できない、科学者の説は、仮説以前の、憶測の段
階です。このようなものを、一般向け、しかも若い育児中の母親も
たくさん読んでいるような雑誌に書くというのは、私ははっきり言
って犯罪だと思います。(脅迫罪?威力業務妨害?)

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛乳に関する色々な意見を見て、私も一言書きたくなりました。

 まず、乳糖不耐症についてですが、

> モンゴロイド系の日本人には乳糖不耐症の人が多く大量に飲むの
> には適さないということでした。

 これは正しいのですが、ヒトを含むほ乳類全般で見ても成畜(成
人)では乳糖不耐が当たり前であるということを確認しておきたい
と思います。そして、むしろ水代わりに「乳」を飲まざるを得なか
ったアラビア人や(理由は不明ですが)北欧系の人々のような乳糖
消化可能であることの方が異常?であり、イタリア・ギリシア人に
も乳糖不耐が多いそうです。

 しかし、『乳の飲用は不自然なことである』という意見には反対
です。人類も野生の状態では、繁殖年齢を過ぎてからの寿命はなか
ったと思います。牛乳を含む食生活の改善により、寿命も延びてき
ました。アレルギーなどの理由で他の食品への置き換えは可能です
から、無理して牛乳を飲む必要はありませんが、非常に良質な栄養
源であるので、なんらかの形で食事に組み込みたいと思います。

> 本来は、体が弱って栄養が足りない、そんな時に栄養豊富な牛
> の乳を少し分けてもらうというような使われ方だった

 直接この論旨とは関係ないのですが、アフリカ赤道直下の飢餓地
域への脱脂粉乳(乳糖を含む)の援助が、溶解した汚い水と住民が
乳糖不耐であったことによって、体力回復どころか下痢が悪化した
という例があるそうです。したがって、普段牛乳を飲んでいない乳
糖不耐の人間が、体力低下後にいきなり牛の乳を分けてもらうこと
は危険かもしれません。たとえ遺伝的に乳糖不耐でも、飲乳習慣に
よって腸内微生物が酵素をもち、牛の乳を分けてもらうことが可能
となります。

 以上は「足立達著:ミルクの文化誌」を参考にしました。
http://www.gumbo.ne.jp/tohoku_book/shop/tohoku_ac/

> 牛乳ばかりを奨励してもマグネシウムが足りないから、逆に骨粗
> しょう症になってしまうよ。

 確かにカルシウムとマグネシウムの比率は重要ですが、現実に日
本人はカルシウム不足の状態です。精製食品ではマグネシウムが少
なく、近年摂取量が低下しており、特にインスタント食品愛用者は
心配です。しかし、カルシウムを減らすのではなくマグネシウムを
増やすような指導が必要と思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こちらはごくまっとうな意見ですね。「乳糖不耐症」については、
下の欄に書いてみました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.最近、気になる話を耳にしたのですが、> それは、電子レンジ
調理した食べ物は体に害があると言う話です。電子レンジ用冷凍食
品のことではなくご飯でも野菜でもお菓子でも、電子レンジで加熱
された料理を食べるのは良くないという内容です。電磁波の悪影響
はよく聞く話ですが、それで加熱された「食品」までもが体に害を
及ぼすのでしょうか?

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A.これはデマでしょうね。

 電磁波というものに対して、何もかも電磁波で、害がある、など
と言い出した人がいるので、このような話になっているのだと思い
ます。

 電磁波というのは、電波からX線、γ線まで、いろいろな波長の
ものがあります。テレビやラジオの放送や、携帯電話なんかも、電
磁波を使って送られています。

 電磁波は波長によって、いろいろの種類に分けられます。放送な
どに使われるのは、電波と呼んでいる波長の長いものです。
(波長が長い=周波数が少ないという関係にあります。)

 光と私たちが呼んでいるものも、可視光線という範囲に入る、波
長の比較的短い電磁波です。その前後に紫外線や赤外線というのも
あります。

 電子レンジに使われるのは、マイクロ波というところです。携帯
電話とかに使われる電波と似たようなところですので、携帯電話の
マイクロ波効果について、などという話は聞いたことがあります。

 最も波長の短い部分の電磁波は、原子を電離させる力を持ってい
ます。これは放射線と呼ばれるものの一部になり、X線やγ線とい
うのがこれにあたります。

 γ線などにあたると、原子レベルで影響をうけてしまいますので、
ちょっと心配なのですが、電子レンジで使っているのは、そのよう
な部分ではありません。

 電波と水とが摩擦をおこして発熱する、というのは何だか想像し
にくい話ですが、その結果、食品が変質するというものではないと
思います。

【補足】

電磁波の身体への影響としては、

(1)ごく波長の短いX線、γ線などの放射線に分類されるもの。
(2)可視光線近辺の電磁波の影響(紫外線、赤外線を含む)。
(3)マイクロ波の加熱効果。
(4)以上より波長の長いいわゆる電波での影響。

といったところがあります。

(1)はきわめて危険なものです。昨年の東海村の事故は、電磁波
ではなく、中性子線が主な原因だったようですが、一定の量をあび
ると、必ず影響が出ます。(大量の被爆は死亡に直結します。)

 ガン治療用の放射線は、コバルト60などから出るγ線を利用して
いると思います。これも一生の間に決まった量までの照射しかでき
ません。

 食品にγ線を照射して、変質を防ぐ方法もあります。食品自体が
放射能をもったりはしないようですが、何もそこまでしなくても、
と思うのは私だけではないと思います。

(2)については、身近なものですし、影響も様々です。紫外線に
ついては、最近では害を強調する学者さんが多いですね。日光浴な
んかもよくないとか。日焼けサロンは危険じゃないのでしょうか。

(3)はおなじみの電子レンジです。携帯電話も、高出力のものを
長時間、耳元で使用するのは、あまり感心しないそうです。私はで
きるだけPHSの方を利用しています。(出力が低いので)

 電子レンジの加熱の原理は、この波長の電磁波が、水と摩擦をお
こし、そのために発熱するんだそうです。(1)の放射線とは、作
用の仕方が違うので、食品そのものの変質を心配する必要はありま
せん。

(4)については、まだ論争中です。今のところは、電磁波一般に
ついて、完全に無害とはいえないが、とりたてて身体に影響すると
いうほどではない、というところでしょうか。少なくとも、テレビ
の電波や送電線からもれる電波が、紫外線よりも害があることはな
いと思います。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「牛乳」(つづき)
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 牛乳の成分としては、「乳脂肪」「乳たんぱく」「乳糖」が主な
ものだと思います。

 牛乳は日本では昔は「薬」に近い、「滋養強壮」という目的で用
いられるものでした。戦後、学校給食(脱脂粉乳でしたが)の開始
とともに、牛乳の消費は拡大しました。長期的にみて、牛乳が国民
の栄養状態に寄与したことは疑いないと私は思っています。

 乳脂肪は、バターになる成分ですが、いわゆる動物性脂肪とは成
分が違います。他の動物性脂肪と同じく、飽和脂肪酸が多いのです
が、炭素数の少ない、「軽い」脂肪酸が多いのです。

 どちらかというと、今盛んに宣伝している、「太らない油」に近
い感じではないかと思います。(中鎖脂肪酸というやつです。)

 乳たんぱくは「カゼイン」「ホエー」などというたんぱく質を含
んでいます。ヨーグルトなどを作ると、固まる部分がカゼイン、上
澄みの部分に含まれるのがホエーです。

 トータルとしては、牛乳のたんぱく質は、卵には劣りますが、他
の畜肉類にまけない、最上級の質を持ったたんぱく質です。

 一部に殺菌によってたんぱく質が変質する、という話があります
が、たんぱく質はそのままで利用できるものではなく、吸収の前の
消化の段階で、胃酸によって固め、消化酵素によってアミノ酸まで
分解するものです。たんぱく質の変質というのは、アミノ酸レベル
で変質するのではなく、温度やPHなどによって、たんぱく質の立
体構造が変わることを意味しています。

 たんぱく質はアミノ酸が長くつながったものですが、直線上にあ
るのではなく、その長い鎖が折り畳まれて、立体的な構造をとって
います。たんぱく質をアミノ酸に分解するためには、まずこの立体
構造をこわし、つぎにアミノ酸どうしのペプチド結合を切断すると
いう手順をとるのです。

 したがって、たんぱく質の変質ということと、栄養が損なわれる
ということとは、私は全然別の次元の問題と思います。

 乳糖は哺乳類の母乳に特有の糖分で、ブドウ糖とガラクトースが
結合した、二糖類です。乳糖も消化吸収するためには、やはりこの
結合を切って、ブドウ糖、ガラクトースという単糖類にしてから、
ということになります。

 この消化酵素は、あたりまえですが、赤ちゃんなら誰でも持って
います。ただだんだんと少なくなって、ふだん牛乳を飲まない人の
体内にはほとんどなくなっています。

 このため、普段牛乳を飲んでいない大人が急に大量の牛乳を飲む
と、乳糖が消化できず、下痢になったりします。このとき、乳糖は
いわゆる植物繊維としてふるまうと思ってください。

 しかし、乳糖消化酵素を作ることができないわけではないので、
毎日飲んでいると、だんだんと消化できるようになっていきます。

 ただ、一部に、遺伝的に消化酵素を作れない人がいます。滅多に
いないのですが、そういう人は本当に「乳糖不耐症」という症候に
なるわけです。

 このように、「乳糖不耐症」といっても、本物の遺伝的なものと、
単に習慣的なものとがあると私は理解しています。

 こういう背景があることもあり、牛乳の栄養的な価値からいって
も、牛乳は飲むのなら、習慣的に、毎日飲むのが良いのです。

 今の世の中で、牛乳を飲まないからといって、栄養的に不足する
ことがあるとも思えませんが、全ての人が栄養過多に悩んでいるわ
けでもありません。

 特に栄養摂取が不安定になりがちな、子供には、牛乳はお勧めの
食品です。何でもアレルギーにしてしまう一部の医者の診断を除け
ば、本当の牛乳アレルギーなどというものは、うんと少ないもので
す。

 人種的な差別は、言うのも恥ずかしいことですし、トータルの確
率の問題と、個人の問題は違います。

 一般に日本人は酒に弱いから、酒を飲むべきではない、などとい
う言い方が正しくないことは理解できると思います。どこの人種に
も酒に弱い人はいるでしょうし、日本人だって大酒飲みはいくらで
もいます。

 ということで、私の意見は、

(1)乳糖不耐症という症状は現実にあります。
(2)これには、遺伝的なものと習慣的なものとがあります。
(3)習慣的なものは改善可能です。
(4)牛乳は栄養的には、優れた食べ物です。
(5)牛乳を無理に飲む必要も、避ける必要もありません。
(6)すべての食品と同じく、個人の食文化の問題として、自由に
選択していくものです。

 といったところです。ちなみに私自身は、いくら飲んでも平気な
のですが、牛乳を飲んでも水分補給になりませんので、今はほとん
ど飲んでいません。(1日2リットルの水分をとる、という個人的
な目標がありまして・・。)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 上記の1日2リットル・・の話は、私の痛風予防のためです。こ
の春から、しばらく痛風の薬を飲んでいたのですが、その薬の副作
用がいろいろいわれたことと、近所の医者と喧嘩した(3人しか待
っていない日に、私の前の人と1時間も世間話をしていて待たされ
たので、お前のところなんか二度と来ない、といって帰ってしまい
ました。)こともあり、夏以降は飲んでいません。

 薬を飲んでいたときは尿酸値はみごとに下がっていたのですが、
飲むのをやめてからも、一度も痛風の発作は起こっていません。何
とか水分補給作戦は成功しているようです。

 水分補給の方法としては、仕事中に、ペットボトル入の「杜仲茶」
を飲んでいます。500ミリリットルを1日2本飲みますので、資
源の無駄遣いということでは、ちょっと後ろめたいのですが、仕方
ないとあきらめています。

 杜仲茶のメーカーとはちょっとひっかかりがあったのですが、現
在では別に意味がありません。何となく他のお茶より効きそう(尿
の量がたいへん増えるのです)なのと、他のお茶と同じ価格で売っ
ているというのが気に入っています。

 杜仲茶が売っていないときは、他のボトルを買うのですが、スポ
ーツドリンク系は甘すぎるし、ウーロン茶は苦いし、緑茶も苦いし、
コーヒーはやっぱり甘いし、ということで、麦茶系(爽健美茶、の
ほほん茶、十六茶・・の類です)を飲んでいます。

 以上、個人的な話ですみません。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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