安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>535号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------535号--2010.02.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「賞味期限」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「無農薬」というときに怪しさがつきまとう理由の一つに、「農
薬まがいの農業資材」があります。中国製の資材などから、しばし
ば本物の農薬であったり、農薬登録のない薬品が見つかったりする
のです。

 そういうものに限って「自然の力」などというキャッチコピーで
売られていたりします。

 「ニームオイル」というのもその一つで、殺虫剤が検出されたと
いうニュースがありましたが、何故か農水省が不思議なスタンスで
対応しています。

 「ニームオイル」から殺虫成分を発見した、本山直樹氏のサイト
で報告されていますが、今回はその内容を要約したメールをいただ
きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「ニームオイル」問題に関する農水省の責任(2010年1月27日)
http://sites.google.com/site/naokimotoyama/

 一昨年ピーマンから農薬登録のない殺虫協力剤(それ自体に殺虫
性能は無いが、殺虫成分と一緒に用いるとその殺虫作用が強まる成
分)ピペロニルブトキシド(PBO)が0.02ppm検出された。使用した
筈の無い成分が検出された理由を突き止めると、アグリコマース社
が輸入販売した「ニームオイル」からこの成分が検出されたため、
この商品を使用した農家の作物は全て自主的に撤去された。

 問題のニームオイルを本山教授のグループが調べると、「日本で
認可されていない農薬成分アバメクチン」が検出された。しかし農
水省が一斉分析を分析機関に依頼したところ、アバメクチンは「不
検出」とされたため、「検出されたPBO濃度から、該当商品に農薬
としての活性はない」と断定して、「法的問題(農薬取締法違反)
はない」とした為に、出荷元である園芸振興会は一億円に及ぶ被害
を泣き寝入りせざるを得なくなった。

 ところでアバメクチンと言う農薬成分はその検出分析に高度の技
術が必要とされ、以前別の事件で矢張り本山教授らのグループが検
出していたにも関わらず、他の分析機関が検出限界0.01ppmでも検
出できなかったという事があった。

 今回農水省はPBOの分析条件は発表したのに対し、アバメクチン
については「不検出なので発表の必要なし」として、分析条件を公
表していない。なお農水省が発表した分析条件の検出感度は200ppm
だが、本山教授らの分析条件では検出感度2ppm、添加回収率104%で
あった。

 本山教授らは自分達の分析した「ニームオイル」の商品が、農水
省が分析依頼をしたものと同一の商品である事を供給元から確認し
ている他、分析でアバメクチンを検出したのみならず、問題のニー
ムオイルに「強い魚毒性」と「殺虫性能」がある事も確認している。

 この事はニームオイルに検出されたPBOの作用では説明がつかず、
「アバメクチンの存在を強く疑わせる現象」であるため、その様な
生物学的試験による調査を農水省に進言したが、「不検出なのでそ
の必要は無い」として拒否された。

 この様に今回のニームオイルについての問題について、農水省の
「不可解な不作為」と思われる行動に対して、本山教授は収集した
資料等の詳細を該当頁に掲載し、農水省の再調査を促している。

(過去にこの件について、本山氏のサイトに関連記事掲載あり:
http://sites.google.com/site/naokimotoyama/old/2009/090713

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 一読では意味がよくわかりませんが、何故か農水省がこの詐欺商
品を意図的に見逃そうとしているようなのです。

 何があったのかわかりませんが、まことに不思議なことです。農
水省は「農薬まがい」のこうした詐欺商品が蔓延して、「無農薬」
でも立派な野菜ができるようになることを望んでいるのでしょうか。

 そうすれば「自給率向上」に役立つ…などと本気で考えているの
ではないと思いたいですが、はたしていかがでしょうか。

 このメールには(2)がついていまして、以下のような続きがあ
ります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

2)枚方市が安部司氏を招いて講演会を開催する件について

 来る2月18日(木)に、枚方市の生涯学習活動の一環として以下
の講演会が開催されます。

 しかしこの安部司氏という人物の主張には多くの疑念があり、こ
のイベント開催について、私は疑念を持たざるを得ません。

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消費生活セミナー講演会『加工食品の舞台裏を語る』

講師:食品ジャーナリスト 安部 司さん

 食品添加物を利用することで「簡単」「便利」な生活をしていま
すが、その代償として何かを失っていませんか?「食」についても
う一度考えてみましょう。

 講演では、添加物だけでとんこつスープやお吸い物、無果汁ジュ
ースなどをその場で実演します。
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 農水省と枚方市、共に公的機関でありながら、一方は「無登録農
薬」の摘発を行なわずに農家の被害を顧みないばかりか、今後同様
の「検出され難い農薬成分の入った無登録農薬」の跋扈を許し、ま
た一方は詐欺に近い商売をしている人物を「講師」として呼び、食
に関する正統な理解を妨げる「生涯学習」ならぬ「障害学習」を市
民に勧めています。

 今回の二点は本来怪しげな商売を取り締まる或いは規制すべき公
的機関がその役割を果たしていないと思われる事から、食の安全性
と信頼性(安心ではありません)について、重要な問題であると私
は捉えています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 行政よ、どっちを向いているのだ?というのは私も強く感じます。
「レジ袋有料化」などの音頭をとっているのも行政なのですが、い
ったいどういうつもりなのか理解できません。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.アカギレの手(そうひどい状態ではなかったですが)で味噌を
つくりました。今になって気になります。食べても大丈夫でしょう
か?

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A.何か問題があるのでしょうか?見当がつかないです。

 「アカギレ」ということを気にしているようですが、どうもよく
わかりません。

 味噌などの醸造では、なるべく素手でさわらない方が無難です。
でも、自分で食べるものですから、別に気にするほどではないと思
います。

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Q.以前、糸の引いたわらび餅を食べて、腹痛になり、病院で抗生
物質を処方してもらって治りました。その時、保健所に食中毒の報
告を尋ねると、直接その饅頭屋に電話で食中毒は出てないか聞いた
とか、饅頭屋が 本当の事を言うはずはないと思いました。

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A.食中毒は日常的にあちこちで起こりますので、すべてを保健所
が把握することはできません。

 保健所が対応するのは「集団食中毒」で、主に飲食店などで起こ
るものですよね。市販の食品が原因の場合でも、原因食品がはっき
りすれば対応していくと思います。

 散発的な事例では、ご質問の件のように、一応確かめてみるとい
う程度の対応になるのでしょうね。とりあえずあまり期待できない
ことは確かです。でも、保健所にしてもそうですが、何でもお役所
に期待するのは無理があるのも事実です。

 「糸のひいた」ということですから、異常が事前にわかっていた
のなら、食べたこと自体が間違いでした。

 食べ物の安全確認は、最終的には食べる人自身の問題ですので、
慎重に確認して、怪しければ食べないようにしましょう。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「賞味期限」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも貴重な情報ありがとうございます。勉強させていただいて
おります。

 さて、以下は西友輸入品の回収記事ですが、あまりにもあきれて
しまいメールさせていただきました。

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◆ポテトチップ6品、賞味期限を本来の設定よりも1日または2日長
く記載

 (1)ケトルチップ バッファローブルー
 (2)ケトルチップ ハラペーニョ
 (3)ケトルチップ ハニーディジョン
 (4)ケトルチップ ソルト&ペッパー
 (5)ケトルチップ ソルト&ビネガー
 (6)ケトルチップ スイートオニオン

 輸入者:株式会社 西友プロキュアメント
 販売者:合同会社 西友

『期限まではまだ余裕があります。間違えないように対処を』

・回収情報
http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/jisyukaisyu/kaisyu.html

・食品の自主回収情報
 
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/jisyukaisyuu/jyouhou.html
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 確かに西友の立場としては、情報を公開しないわけにいはいかな
かったんだとは思います。でも回収までする必要はあるのでしょう
か。

 また、想定される健康への影響を見ると

「本来の設定期限を超えた商品を喫食した場合には、健康影響の可
能性があります。」

とあります。

 こんな説明するから、賞味期限が一日でも過ぎると廃棄してしま
う消費者を育てるんだと、一種の怒りさえも覚えます。

 行政指導でこのような公開をしたと思いますが、ひどすぎません
か。行政って、ものを考えないのでしようか。

 回収した品物は廃棄になります。こんなもったいないこと、日本
はいつまで続けるのでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 賞味期限を「1日または2日長く記載」で回収すると言っているわ
けです。ただ、「行政指導」ではなくて、販売者(西友)の自主的
な方針で行われたのだと思います。

 マニュアル化ということがよく言われますが、食品の回収を行う
かどうかという判断は、事前にマニュアルに明記しておくのがよい
のです。

 何か事が起こったときに判断するようにしておくと、どうしても
判断ミス…たいていの場合、公表すべきことがらを隠そうとする意
図が働いたりして、結果をより悪くします。こういうことを防ぐた
めに、たぶん「賞味期限の誤表示は回収」と明記していたのだと想
像します。

 このこと自体は悪いことではありません。問題があるとすれば、
「1日の誤記」は回収に値する誤表示なのか?という点です。

 1日の違いで何が起こるわけではありませんので、私なら「1日
間違えたくらいでは問題ない」としてしまうかもしれません。

 ただ、そのときには本来、事件が起こってからは判断を入れずに
行動するという原則をゆがめてしまう心配があり、なかなか難しい
ものがあります。

 「1日」が「1週間」だったら、「1月」だったら…。どこで線
を引くのかは案外難しいです。

 賞味期限の誤表示を、「実質的な被害がない」からといって公表
しないのはやはりまずいでしょうね。

 ただ、だからといって「実質的な被害がない」状況で、その商品
を回収するのはやはりやりすぎと思います。

(1)事故があったときは公表する。

(2)しかし、実質的な被害がないと考えられる場合は回収しない。

 という二段構えくらいが妥当なのではないでしょうか。

 そういう意味では、メールのご意見に私は賛成です。「間違いは
あったが回収はしない」という対応をぜひ考えてほしいものです。

 だって「もったいない」ではありませんか。

 メーカーが「賞味期限」を決めるとき、いろいろな検査をして決
めるわけですが、だいたいこのあたりまでは大丈夫、という保存可
能期間を決めて、それより少し短い期間で賞味期限を設定するのが
普通です。

 もう大昔の話ですが、「無添加ハム」の保存試験の結果を見せて
もらったことがあります。1ヶ月程度の賞味期限がついている商品
ですが、半年くらい経過してもまだ美味しく食べられたりすること
もあるということでした。3ヶ月程度ならまずほとんどのものが問
題なしということだったので、設定は少し短すぎるのではないか?
と質問したことがあります。

 実験による保存可能期間に「安全係数」をかけて賞味期限を算出
します。安全係数は0以上1未満の数字になります。上記の例では
3ヶ月×0.33くらいが安全係数で、かなり低い値です。

 保存条件にもよりますので、メーカーが安全を見るのは仕方ない
ですが、あまり低い値を安全係数に設定するのは、やはり問題があ
ります。

 お役所の方でもそのことは意識していて、こんな見解を出してい
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

Q12 加工食品に賞味期限を設定する場合、安全係数については
どう設定すればいいのでしょうか。

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 客観的な項目(指標)に基づいて得られた期限に対して、一定の
安全をみて、食品の特性に応じ、1未満の係数(安全係数)をかけ
て期間を設定することが基本です。なお、安全係数は、個々の商品
の品質のばらつきや商品の付帯環境などを勘案して設定されますが、
これらの変動が少ないと考えられるものについては、0.8以上を
目安に設定することが望ましいと考えます。

http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/qa_i.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 実際には0.9くらいがよいのではないかという指導をしている
という話です。

 こういう高い数値を推奨して、賞味期限を長くつけるように指導
しているというのは、「もったいない」からでもありますし、賞味
期限をわざと短くつけることによって、商品の回転をうながす(売
れた場合でも、売れ残った場合でも回転していきますので)という
やり方を防ぎたいということもあると思います。

 安全係数という考えを用いると、賞味期限の誤表示で、安全係数
をかける前の保存可能期間を超えてしまった場合はやはり回収の必
要があります。

 そうでない場合は、公表だけで問題ないのではないでしょうか。
いずれにせよ、安全係数が存在する以上、「1日」で回収というの
は馬鹿げています。

 いっそ自社で採用している安全係数を公開するのも面白いですね。
その場合、安全係数を高く(0.9)つけている企業の方が良心的
であると評価してもらいたいわけですが、今のマスコミでそういう
評価ができるとは思えないのがつらいところです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 相変わらず寒い日が続いています。今回はたくさんメールをいた
だきまして、ありがとうございました。

 近所の梅の花も咲き出しています。3月にまた中国語検定(今度
は2級)を受けることにしたので、少しは勉強しなくては…。

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