安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>531号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------531号--2010.01.10------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「本の紹介」「Q&A」「マスク」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 今回は本の紹介です。中西準子先生の本がまもなく発売になりま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

日本評論社

『食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点』

 「食の問題」が強い社会的関心を集めている。「食の安心・安全
とは何か」に立ち返り、中西リスク論が「食」に対する考え方を提
示する。

第1章 食の安全――その費用と便益
第2章 食べもの情報 vs. リスク(対談 高橋久仁子)
第3章 食をめぐる論争点――わたしはこう考える
第4章 さまざまな食の問題

http://www.nippyo.co.jp/book/5205.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 高橋さんとの対談があるのですね。そういえばお二人は同年代な
のかもしれません。

 中西先生の略歴というのが、上記出版社のサイトにありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

中西 準子(なかにし じゅんこ)

著者経歴

1938年中国大連市生まれ。
1961年横浜国立大学工学部工業化学科卒業。
1967年東京大学大学院工学系博士課程修了。
東京大学工学部助手、
東京大学環境安全研究センター教授、
横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、
独立行政法人産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター
長を経て、
現在、同研究所安全科学研究部門研究部門長。

専攻/環境工学、環境リスク評価。工学博士(09年12月現在)

http://www.nippyo.co.jp/writer/614.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今まで出た本では、以下のところが現在も売っている一般向けの
本です。

『水の環境戦略』(岩波新書)

『環境リスク論―技術論からみた政策提言』(岩波書店)

『環境リスク学―不安の海の羅針盤』(日本評論社)

 いずれも一般向けに書かれていますので、ぜひお薦めしたい本で
す。

 生協時代に、石けん運動というのがあって、下水道の研究をして
いた先生の講演を聞いたことがあります。そういう工学関係の先生
なので、「食のリスク」という本は初めてだと思います。

 リスク評価の世界では第一人者です。一般消費者にとって、最も
関心の高い「食」の分野でのリスクコミュニケーションを考えると
いうことなのでしょう。

 実はこの本の中で、このメールマガジンからの引用があるのだそ
うです。先生から直接連絡をいただきました。15日発売というこ
とですので、ぜひ読んでみてください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.天然ゴムの使い捨てゴム手袋をつけ、弱アルカリ性の洗剤で食
器を洗っています。しばらくすると、ゴムがべたついてゴム同士が
くっつくようになります。薄手の装用感が気に入っているので、使
い捨てゴム手袋を使用しているのですが、この状態で食器を扱うこ
とは、何か有害だと思われますか?

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A.天然ゴムが洗剤などで劣化したのでしょうね。ゴムが劣化する
と、以下のように変化するそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

天然ゴムの劣化経過の例 (数ある症例のなかの一つ)
 
変色(黄変等) → べたつき → 表面の溶融(べたつきの進んだもの)
→ 硬化 → 風化

http://www.asahi-net.or.jp/~xj2h-ktym/hozonhou.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 天然ゴムはゴムの木からとった、天然の高分子(ポリイソプレン)
です。劣化しても特に毒性とかいうことはないと思います。

 天然ゴムで要注意なのはアレルギーですが、これは劣化するまで
もなく、新しいものでもアレルギーがある人には症状が出ます。

 さて、ご質問の件で気になるのは、「使い捨て」手袋を使い捨て
されているのかどうかという点です。文面からはどちらとも取れま
すが、もしかして何度も使っているのでしょうか?

 文字通り使い捨てですので、一回使うごとに捨てて、毎回新しい
ものを使ってください。

 使い捨てでない、厚手のものの場合は、使ったあと水でよく洗っ
てから乾かすとよいのだそうです。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「マスク」
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 昨年の11月に発表されているのですが、国民生活センターのサ
イトに、「マスク」関する記事がありました。食べ物とは関係あり
ませんが、相変わらずインフルエンザが流行っているようですので、
とりあげてみます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ウイルス対策をうたったマスク−表示はどこまであてになるの?−

 新型インフルエンザの流行によりマスクの需要が増加しているが、
最近では「ウイルス99%カット」など、ウイルス対策をうたった商
品が多く見受けられる。

 国内におけるマスクの公的な認証や基準としては、作業現場等で
発生する粉じんの吸入を防ぐための防じんマスクに関するもののみ
であり、風邪をひいた時や花粉対策として使用されるマスクには公
的な認証や基準はない。そのため、一般に販売されているマスクに
は、高いフィルターの捕集効率をうたった表示が氾濫しており、消
費者はどの商品を選択してよいのかの判断が難しい状況にある。ま
た、高いウイルス捕集効率をうたう商品もあるが、本当に表示どお
りの性能が得られているのか疑問が持たれる。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20091118_1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これがなかなか面白いので、引用していきます。以下はいずれも
同じページの記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

主なテスト結果等

1.フィルターの捕集効率

 ウイルス対策をうたっているにもかかわらず、フィルターの捕集
効率が低いものがあった。さらに、N95マスクの基準を満たしてい
ると受け取れる表記があっても、捕集効率が80%以下のものが3銘
柄あり、消費者が誤認するおそれがあった。

2.着用時の顔とマスクの間からの空気の漏れ

 すべての銘柄で平均漏れ率が40%以上であった。また、フィルタ
ーの捕集効率が高いものでも、顔との隙間からの漏れがあるため、
ウイルス等の微粒子を完全に遮断することはできない。

3.使用感

 どの銘柄も鼻の辺りは半数以上の人が隙間があると回答した。ま
た、プリーツ型ではさらに頬の部分にもできやすかった。

 漏れ率が小さいものは、息苦しい。

4.表示

 全ての銘柄でウイルス対策をうたっていたが、フィルターの捕集
効率が低いものがあった。また、全ての銘柄で隙間からの漏れがあ
りウイルス等の微粒子を完全には遮断できないと考えられるため、
消費者にマスクの効果を過信させるおそれがあった。

 「99.9%」など捕集効率と思われる表記が目立つように記載され
ていたが、捕集対象はウイルス、ウイルス飛沫、バクテリアなど粒
子の大きさが異なるものであった。

 3銘柄でN95マスクの基準を満たしているかのような表記があった
にもかかわらず、捕集効率が80%以下と低かった。また、1銘柄で
インターネット上の広告にあった「N95規格相当」の表示がパッケー
ジにはなかった。

 15銘柄中6銘柄で着用方法に関する表示がなかった。

5.価格

 1枚当たりの価格の安い銘柄でフィルターの捕集効率が低いもの
がみられたが、価格が高いものであれば性能がいいというわけでは
なかった。

消費者へのアドバイス

■症状がある人は咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために積極
的にマスクを着用するようにしよう(咳エチケット)。一方で、ウ
イルス対策をうたっていても、フィルターの捕集効率には差がある
ことや、実際に着用した場合にも顔とマスクとの間には隙間ができ
ることから、マスクをすることによってインフルエンザなどの感染
を完全に予防することはできないと考えられるので、マスクの効果
を過信しないように。

■できるだけマスクと顔の間に隙間なく着用できるように、価格よ
りも自分の顔のサイズ、形に合ったものを選ぶことは重要である。

■表示されている捕集効率は、捕集対象等が必ずしも同じではない
ので、数値をみても商品の性能を比較する目安にはならない。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここまで読めば、よくある話で、やはりもう一つ信用できないの
だな、と納得しておしまいなのですが、このページには続きがあり
ます。

 メーカーからの反論が掲載されているのです。有限会社エージェ
ントワン、株式会社ケンユー、株式会社スピーデリック、中国投資
開発株式会社、株式会社豊産業とずらりと並んでいます。それぞれ
の内容は違うのですが、全体としては国民生活センターの見解に対
する反論になっています。

 自社製品の表示には根拠があり、国民生活センターの見解は正し
くないというのが多いですね。

 それに対して、国民生活センター側は再度見解をまとめています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

商品テスト部の見解

1.フィルターの捕集効率の試験方法について

 国内においてはフィルターのウイルスの捕集効率を調べる公的な
方法がありませんが、「新型インフルエンザ流行時の日常生活にお
けるマスク使用の考え方」(新型インフルエンザ専門家会議)では、
新型インフルエンザの患者に接する可能性の高い医療従事者につい
ては、N95マスク(防じんマスクDS2)の着用が勧められていますの
で、今回は防じんマスクDS2の規格に基づく方法でテストしました。

 なお、防じんマスクDS2では捕集効率を測定するのに、0.06〜0.1
μmの塩化ナトリウム粒子を使用しますが、N95マスクにおいても0.
075±0.020 μmの塩化ナトリウム粒子が使用されていることから、
この2つのマスクはほぼ同等の規格として扱われています。NIOSHの
認定を受けている参考品のN95マスクの捕集効率の表示値と今回の
テストの値もほぼ一致しています。

 また、今回は、いくつかの銘柄で捕集効率を示すのに使われて
いるVFE(ウイルス濾過効率)、PFE(微粒子濾過効率)、BFE
(細菌濾過効率)等に関してはテストを実施していませんので、
今回の結果と比較することはできません。

 このように、現状では、消費者にとっては難解な様々な評価方法
での捕集効率が記載され、適切な商品選択が難しい状況にあります
ので、表示に関する基準作りを要望しております。また、フィルタ
ーの捕集効率が高いものでも、顔とマスクの間の隙間から漏れが生
じるため、消費者にマスクの効果を過信しないようにとのアドバイ
スとともに、捕集効率がフィルター素材に関するものであることを
明確に表示するなどの基準作りも要望しております。

2.フィルターの捕集効率の記載方法について

 今回のテスト対象銘柄の製造者等がすべて社団法人日本衛生材料
工業連合会に加盟されているわけではありませんが、国内で唯一、
一般的に使用されるマスクの表示に関する自主基準を定めておられ
ましたので、参考にさせていただきました。この基準は既に平成20
年3月1日より施行されているものですが、移行期間が3年間とされ
ています。

 銘柄選定については、報告書に記載した条件に則って行いました
ので、特定メーカーに配慮しているというようなことはありません。

3.繰り返し利用について

 消費者が使用したマスクの衛生状態を的確に判断し、適切に取り
扱うことは難しいと考えられますので、「新型インフルエンザ流行
時の日常生活におけるマスク使用の考え方」の通り、原則として使
い捨てがよいと考えております。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は医療機関でのマスクについて書かれた記事ですが、参考に
なります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ まずはN95マスクについて知ろう

 N95マスクの「N」とは耐油性がない(Not to resistant to oil)
という意味である。さらに強いマスクの規格としては耐油性、防油
性がある。医療機関では耐油性は必要ないという判断でNの規格が
用いられている。また95とは0.3μm以上の塩化ナトリウム(NaCl)
結晶の捕集効率が95%以上という意味で、それ以上の捕集効率とな
ると99や100という規格もある。

 ちなみに、産業用の使い捨て式防じんマスクには、わが国の国家
検定が行われており、DS2というクラスのものがN95と理論上は同様
の効果があると考えられる。もしN95マスクが底をついた時にはDS2
の防じんマスクの使用も考慮する必要があるだろう。

 N95の方は、米国労働安全衛生局(OSHA;Occupational Safety
and Health Administration)が認定している。ちなみにN95マスク
の認定を受けているマスクは、何百種類もあることをご存じだろう
か(CDCのホームページ)。

 N95の認定にあたっては、機械的な捕集効率しか評価されていな
い。そのため、どういう人の顔にもある一定の確率でフィットする
ことをN95マスクの認定の条件にすべきという議論が起こっている。
では実際のフィット率はどうであろうか。

■ 6人で6種類のマスクのどれもがフィットせず

 筆者らは、1295人の医療従事者を対象にカナダの医療機関で定性
的なフィットテストを行った。第1選択のマスクは様々のマスクの
なかでもフィットする可能性が高いと言われているものを使用した。

 その結果、男性では93%程度、女性では80〜88%が第1選択とし
たマスクにフィットした。特徴的だったのは、女性の40歳未満の場
合は、80%しかフィットしなかった点だ。

 また、3種類のマスクを準備した結果、ほぼ99%の人が自分にフ
ィットしたマスクを見つけることができた。ところが、6人は6種類
のマスクに増やしても、そのどれもがフィットしないことが分かっ
た。6人はすべて40歳未満の女性であった。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu2007/pickup/200803/505731.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 まとめると以下のようなことになります。

・マスクの宣伝で、「95%」とか「99%」とか言っているのは、
マスクの素材が一定の小さな物質をどの程度捕捉できるかを機械的
に計測した値である。(実際にマスクをしたときに、どれだけ効果
があるということを言っているわけではない。)

・国民生活センターは数値が一人歩きして、消費者に誤解を与えて
いると考えている。

・マスクに関しては能力の基準や表示の基準がまだ存在しない。

・同じ「N95」という規格であっても、マスクとしての実際の能
力が同じとは限らない。

・使用する側からすると、マスクの性能よりも顔にフィットするか
どうかが大切である。特に日本人の若い女性では、フィットしない
ことがあるので、顔にあったものを選び、きちんとフィットさせて
使う必要がある。

 マスクが本当に効果があるのかを疑っていましたが、この記事を
読む限り、エチケット面と、しないよりはましという程度の効果は
あるようです。

 国民生活センターの結論を再度引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■症状がある人は咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために積極
的にマスクを着用するようにしよう(咳エチケット)。一方で、ウ
イルス対策をうたっていても、フィルターの捕集効率には差がある
ことや、実際に着用した場合にも顔とマスクとの間には隙間ができ
ることから、マスクをすることによってインフルエンザなどの感染
を完全に予防することはできないと考えられるので、マスクの効果
を過信しないように。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 二つ目に引用した方はマスクが必須のような書き方になっていま
すが、医療機関向けの説明ですので、一般には当てはまらないと思
います。

 とりあえずマスクは咳やくしゃみが出るときのエチケットとして
使用するというのが無難なようです。「使い捨て」の話になります
が、毎日新しいものを使うことも必要ですね。

 「使い捨て」でないものは使用する意味がなさそうです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 新年早々中西先生から新刊の本を贈呈してくださるという連絡が
ありました。このメールマガジンや私の書いた本も読んでくださっ
ているということです。ありがたいことですが、何だか緊張します。

 テレビに出てきたCMソングを歌っている男の子が、家族みんな
が一年中マスクをしていると言っていて、実際にマスクをアゴにか
けて歌っていました。

 あそこまで行くともう「病気」ですね。。清潔にするのはよいこ
とですが、「潔癖症」は立派な病気です。

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