安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>52号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------52号--2000.11.05------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「牛乳の話」(いただいたメール)
     「化学調味料」「アンチモン」(Q&A)
     「豚肉」(つづき)      

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回のQ&Aの牛乳の話について、お便りをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

> 牛乳および乳製品は、消化も悪く、人間の身体には適さない

 上記に対するAとして根拠不明とされていますがふつうに考えれ
ば、牛乳は牛の乳であって人間に飲ませるための乳ではないという
ことくらい明らかです。

 人間の体は牛の乳を必要としていないのです。人間が乳を出すの
は子供を育てる必要のある時のみで女ならいつも出るというわけで
はないですよね。牛だって同じです。でも人間が乳を欲しがる為に
一生無理に乳の出る状態にされて搾り取られているわけです。

 本来は、体が弱って栄養が足りない、そんな時に栄養豊富な牛の
乳を少し分けてもらうというような使われ方だったのが今では大量
消費にあわせる為、大量生産をし、その結果例の雪印のような事が
起こったと考えられます。しかし、今の日本に栄養不足の人が本当
にいるんでしょうか?

 肉食や乳製品を食べないことに関しては凄い反撃がありますが、
常になぜそう言うのか、その趣旨の背景にはどういう事情があるの
かを冷静に考えれば「著者の勝手な思い込みの類と思って間違いな
いと思います。」とは簡単には言えないのではないでしょうか。

 牛乳を否定するわけではありませんがあまり知られていない事実
にも目を向けていけば食に対する考え方も自ずと変わってきます。

> この手の話にいちいちつきあっていたら、キリがありませんよ。

こんなに簡単に片付けて欲しくなくてどうしても気になったので書
かせてもらいました。失礼しました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ご意見ありがとうございます。この件に関して、また別のことで
もかまいませんので、皆さんのご意見をお待ちしています。

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 シドニーオリンピックに続いてパラリンピックも終わりました。
パラリンピックでの話題として、ドーピングの摘発、ということが
ありました。パラリンピックの世界にも、プロ化とともに、こうし
た問題がやってきたようです。

 どくとるマンボウシリーズでおなじみの北杜夫さんが、東京オリ
ンピックの直後に書いた「怪盗ジバコ」という本で、将来のドーピ
ングの隆盛を予言し、その対処策まで提示していました。

 30数年前に、東京オリンピックを見て、このようなことに気付
いた北杜夫さんの炯眼には今更ながら敬服します。さてそこで提案
されていたドーピング対策とは、何とドーピングの解禁なのです。

 そこで語られる未来のスポーツ界では、ドーピングの定義を改め、
「身体に害になる薬剤の使用」をドーピングとして取り締まり、害
が少ないものに関しては原則自由としています。

 よく考えてみれば、これで何の実害もないはずです。現在のよう
に、すべてのドーピングが禁止されている状況のなかで、隠れて薬
剤を使用するのは、いかにもアンフェアで非難されるべきと思いま
す。でも、原則自由になってしまえば、より効果があって、害の少
ない方法を、みんながとれるのですから、それで良いのではないで
しょうか。

 障害を持ちながらも、ひたすら努力することで、スポーツの世界
でプロとしてやっていける社会が到来した今こそ、禁止一辺倒のド
ーピング対策を見直す必要があると、パラリンピックを見ていて、
私は思いました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.化学調味料は危険ですか?

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A.化学調味料というと、いわゆる味の素ですね。味の素は「グル
タミン酸ソーダ」ですが、その他にも、「イノシン酸」「グアニル
酸」なども化学調味料といってよいと思います。

 普通、だしなどの味の成分は、たくさんの分子が混じっていて、
特定の分子だけ、ということはないのですが、その中でも、特に味
の強い分子だけを取り出して、結晶させたものを化学調味料と分類
しているようです。

 結晶させたり、純度をあげる工程が化学的なものなので、こう呼
ばれますが、いわゆる化学合成してつくっているわけではなく、原
料は天然物です。味の素は一時、石油からの合成法も開発されまし
たが、コストの面で問題があり、天然物から発酵によって製造する
方法になっています。

 安全性という面では、とりたてて問題にするような毒性はありま
せん。これはWHO(世界保健機構)などの公式見解です。

 しかし、便利で効果の高いもので、しかも安価ですので、食品製
造の現場では、安易に使い過ぎる傾向があります。良くない原料を
使って、味の方は化学調味料でごまかす、といったものが結構あり
ますので、化学調味料を大量に使ったような食品はあまりお勧めで
きるものではないと思います。

 家庭でも、食卓に置いて、自分でふりかけて食べるような使い方
はあまり良くないと思います。これは味覚が画一的になり、微妙な
味わいを損なうと心配するからです。

 もちろん、好みの問題もありますので、余計なお世話かも知れま
せん。

 この辺のもどかしさがあって、「良心的」な人の中には、化学調
味料には毒性がある、というような脅し文句を言う人がいますが、
これは正しい目的のためにはウソを言っても良い、という思想の現
れで、私はとても良くないことだと思っています。

 私は以上のように、化学調味料について、「毒性の問題はないけ
れども、安易に使用しない方が良い」というように思っています。

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Q.アンチモンは猛毒だという記述がありました。いろいろ調べた
のですが,どうもよくわかりません。

 谷川のそばに井戸を掘ってくみ出した水質検査をしていただきま
すと、アンチモンはやはりかなりな量になりました。このあたりは、
鉛や砒素水銀も比較的多いのだそうです。

 分析をしていただいた化学会社の担当の人の話では,この頃アン
チモンの含有量が一般的に増えているという話でした。プラスチッ
クの硬化剤などに大量に使用されている様子です。

 毒性や浄化方法に関してお教えいただければありがたいと思いま
す。谷水をそのまま使用されているご家庭もあるようです。

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A.アンチモンで検索したところ、以下のような記述がありました。
(http://www.aist.go.jp/NIRE/publica/news-99/99-09-1.htm)

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 近年の産業活動の発展と新たな産業の出現により,特異的な環境
汚染が生じています。この環境汚染の改善を目指して,平成5年3
月に水質環境基準が見直され,25項目の要監視項目及びその指針値
が新たに設けられました。この中で重金属類はアンチモン(Sb),
モリブデン(Mo),ニッケル(Ni)が指定されています。Sb及びNi
については,その生態への毒性が明確でないことから,平成11年2
月に指針値が削除され,指針値の見直しが行われています。この際
の環境基準の見直しにより要監視項目は22項目が指定されています。

 しかし,Sb,Moは水中では多様な化学種として存在し,その存在
形態によって毒性が異なることが指摘されています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記述で読む限り、猛毒ということではないようです。ただし
これは金属アンチモンのことで、アンチモン化合物には毒性の強い
ものもいろいろとあるようです。

 周期律表では砒素の下に出てきますので、砒素に似ているのでし
ょうね。

 上記の文はアンチモンなどをゼオライトで吸着して取り除く研究
についてのものです。

 家庭で効果的に重金属を取り除くのは難しいと思います。水道が
利用できるのでしたら、やっぱり井戸水は避けた方が良いのではな
いでしょうか。

 谷川の水というのは、もっと怖いですね。危険度はさほど高くな
いと思いますので、平気な人は平気なのでしょうが・・。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「豚肉」その2
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 豚は猪の子孫なんだそうですが、見た目にはずいぶん違う動物で
す。

 猪を飼育している人もいるのですが、それを見に行った時の話で
す。大きな鉄製の檻の中に、雄の猪を飼っていましたが、中でどし
どし檻に身体をぶつけて、暴れているのです。

 あれは怖かったですね。鉄製と言っても、見るからに手製のやわ
なもので、猪の巨体に潰されそうなのです。早々に逃げて帰りまし
た。雄の猪は確かに猛獣の風格があります。

 豚でも、雄の豚は巨大なものです。牛と違ってなぜか人工受精し
ない豚では、ある程度の養豚場では、種雄を飼っていますが、サイ
ズはとても豚とは思えないほどの大きさです。

 種雄も、最後は屠殺されて、肉にするようですが、枝肉になって
も、牛かと思うような大きさでした。

 肉にする豚は普通、雑種交配しています。種雄と母豚とは種類画
違うのが普通です。豚の種類としては、わりとコロッとしたヨーク
シャー、胴長のランドレース、小さくて黒いバークシャー、黒白模
様のデュロックといったところが普通のものです。

 昔、都会の真ん中で飼われていたコロコロした豚は小ヨークシャ
ーといって、養豚場で飼われている大ヨークシャーとは違うもので
す。また、最近「黒豚」といってもてはやされているのは、バーク
シャー種のことです。毛色が黒いのが特徴ですが、別に肉が黒いわ
けではありません。

 三元交配といって、ランドレース×大ヨークシャーの母豚にデュ
ロックの種雄をかける、というような配合が普通に行われています。

 養豚場では、種付けから母豚の出産、子豚の育成を一貫して行う
のが普通です。養豚場に知り合いがあったら、ぜひ出産直後の子豚
を見せてもらってください。とても可愛いものです。

 一般に母親の乳房の数と生まれる子供の数は関係があります。豚
は一回の出産で10頭ほどの子を生みますが、どうも母豚の乳房は
子豚ごとに特定のものを確保するらしいのです。乳房の数よりたく
さんの子供が生まれたときは、一番弱くて、自分の乳首を確保でき
なかったものは、育たないということになってしまいます。

 また、乳首によっても乳の出が違うようで、小さなうちから同じ
日に生まれた子豚でも、体格に差が出来てきます。人間と違って、
早く大きくなれば早く肉になってしまうのですから、別に嬉しくな
い話ではありますが。

 牛の乳はどこにでも売っていますが、豚の乳というのはたぶん見
たことがないと思います。豚の乳は猛烈に濃くて、その代わり量は
少ないのです。牛は人工哺乳で育てるのが普通ですが、豚では母乳
な育てる以外に方法はないようです。

 哺乳類の乳の質はさまざまですが、濃い乳を出す動物ほど、哺乳
期間が短く、親子のつながりも薄いという傾向があるようです。も
ちろんこの方面でも、チャンピオンは人間で、とても薄い乳を出し
て延々と子育てするのが得意技です。

 豚は生後半年くらいで出荷されます。種雄と比べてみればわかり
ますが、まだほんの子供です。肉にするためには、他の動物でもそ
うですが、大人になる前でないとまずいのです。特に雄の大人とい
うのはどうしようもなくて、前に書いた種雄の枝肉などというもの
は、普通の豚肉になるものではありません。

 豚を飼っているところにも何度も行きましたが、どうも牛と比べ
ると可愛げがない動物です。それなりに人なつこかったりするので
すが、眼がゆだんならない・・。人間にあまり興味を示さない鶏な
んかよりはましですが、人間との距離というものを考えてしまいま
す。

 養豚場の評価の方法は、何といっても、清潔さです。あたりに臭
いがひどいようでは、中の豚の健康状態も良くないと思われるから
です。また、飼育している人の態度でも、だいたいわかります。見
ていると、おじさんが入ってくると、豚がよってくるところと、逃
げてしまうところがあります。

 人の顔を見ると逃げてしまうというのは、普段から虐待されてい
ると思っていいと思います。虐待されて育った豚からは良い肉はと
れません。(こちらの方が残酷だったりして・・)

 豚のエサはほとんど穀物です。牛と違って、ほとんど雑食ですの
で、何でも食べるのですが、いつもいうように残飯を食べて育った
豚はやておいた方が良いと思います。私は同じような意味で、家庭
で生ゴミを作って、畑に戻すというのにも批判的です。自分の畑に
まいてできた作物を自分で食べるというのなら、文句をいう筋あい
ではありませんが、自分では処理しきれなくて、農家に持っていく
というのは言語道断と思っています。

 エサになる輸入の穀物ですが、最近では「ポストハーベストフリ
ー」というカテゴリのものも市販されています。穀物メジャーであ
るカーギル社などがやっているのも何だかおかしいですが、結構厳
しい基準で運用されているようです。

 ここでおもしろいのは、ポストハーベストというのですから、収
穫後に農薬をかけなければそれで良いということではないことです。

 農薬をかけたのが収穫前か収穫後かは区別できないので、残留農
薬が検出されないこと、というのが出荷基準になっているのです。
農薬を使わないことではなく、農薬が検出されないことが基準なの
です。

 それで、ポストハーベストフリーというカテゴリで出荷する農家
にも、搬入時に残留農薬が検出されないことが求められています。
これは事実上、農薬の使用禁止を意味しています。いわゆる有機農
業の基準では、3年間不使用などという、やや情緒的な面がありま
すが、こちらはいかにもアメリカらしい、実際的な基準だと私は思
っています。

 ついでに言いますと、遺伝子組み換え作物もポストハーベストフ
リーのカテゴリでは出荷できないそうです。こちらは実際的な意味
はないのでしょうが、需要家のニーズに敏感に反応するというビジ
ネスライクな判断です。私も無節操な新技術の開発には批判的です
ので、こういった現実は大いに利用すべきだと思っています。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 農薬ネットの西田立樹さんがNHKの番組に出演されました。N
HKではホームページで「地球法廷」という討論ページを持ってい
ますが、ここでの議論をもとに番組を作ったものです。

 私はどうも「地球法廷」という題名からしてイヤな感じで、無視
していたのですが、西田さんたちの活躍もあって、まずまずの番組
になっていました。再放送は来週の日曜日ですので、興味のある人
はどうぞ。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 NHK BS1 「地球法廷 食の未来」
 放映日:10月22日(日)22:00〜23:15
 再放映:11月12日(日)10:00〜11:15

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

農薬ネットは以下のURLにあります。

http://nouyaku.net/index.html

この番組に対しての批評は、以下のところでグレガリナさんが書い
ています。いや彼がNHKをほめたのは初めてみました。

http://members.tripod.co.jp/gregarina/

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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