安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>519号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------519号--2009.10.18------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「本の出版について」「Q&A」「エコナとトクホ」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 何度か書いていますが、まもなく私の書いた本が出版されます。
ということで、以下は宣伝です。

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『「食の安全」裏側の話』

著 者:渡辺宏
出版社:株式会社カザン
定 価:本体 1,400円+税
2009年10月23日発売

 月刊「食生活」連載の記事「つくり手の事情・消費者の言い分」
が本になりました。
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 題名は私もアイデアを出したのですが、編集の方で決めていただ
きました。2003年に出した、『「食の安全」心配御無用!』の続き
のような題名なので、気に入っています。

 今回の内容は2004年の4月から、2006年の3月まで、雑誌「食生活」
に連載した記事「つくり手の事情・消費者の言い分」をまとめたも
のです。

 この連載は、毎回ある食品をとりあげて、私の経験した作り手と
の付き合いを中心に、いわば楽屋ネタとして書いたものです。

 生協を退職して10年以上たちました。もうこの手の話を書くこと
はないと思いますので、最後に本になれて、本当によかったです。

 出版の経緯ですが、今年の8月に、突然「食生活」の編集長から
電話をいただきました。例の連載をまとめて本にしたいというので
す。

 私にとってはありがたい話なので、すぐに東京の編集部まで出向
いて、相談してきました。

 「食生活」の版元は連載当時とは変わっていて、雑誌自体もずい
ぶん印象が変わっています。以前は栄養士の専門誌ということで、
硬い印象でしたが、最近は一般的に興味深い話なども多くなってい
るようです。

 何年も前の記事ですので、当初は少し書き直した方がよいのかと
思っていましたが、秋のうちには出版したいということです。結局
内容はほとんど記事のままで、前文をつける程度にして、9月中頃
には原稿を渡しています。

 そこから速攻で作業していただき、驚いたことに10月中にもう
出版となりました。先週から私のサイトに、表紙の画像も出ていま
す。

 前の本はそれほど売れたという話は聞かなかったので、今度も期
待してはいけないのでしょうが、やはり売れてほしいものです。目
指せ再版!です。

 ということで、編集部に迷惑をかけないためにも、このメールマ
ガジンの読者のみなさんには、ぜひ買って読んでほしいと思います。
よろしくお願いします。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.「中国産みかんの缶詰は安全か」少し気になりまして。製造過
程で使う薬品や果実の残留農薬には全く心配しませんが、「シロッ
プ漬け」のシロップは 当然ですが中国の工場の水道水を使用して
いるはずですよね。中国の水は水質が悪いと聞いております。タイ
産のパイナップル缶は心配せずに食べていますが、中国産みかんの
缶詰は シロップが気になってしまいます。

 もしも、私の聞いている噂が真実で 中国が極端に水質の悪い国
で水道水も劣悪であるならば 食べるのを避けたくなります。

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A.「水質が悪い」というとき、具体的には以下のようなことが考
えられます。

(1)微生物汚染が進んでいる。

(2)有害な物質が含まれている。

(3)水の硬度が高くて飲用にむかない。

 このうち、(1)については水道というのはうまくできていて、
塩素の残留を調べればわかります。残留塩素の検査は試薬で簡単に
できますが、これで検査して塩素の残留が確認できれば、微生物に
ついては心配ありません。

 よく、浄水器なんかを売るのに、「塩素が入っているので危険で
す。」などと言いますが、あれはまっ赤なウソというもので、塩素
が残留していない水道水は危険極まりないので飲んではいけません。

 もちろん、中国の水道水でもこの点については心配はありません。
それにシロップは加熱殺菌されているわけですし。

 実は「中国の水道水は飲んではいけない」というときに、一番重
要な要素は(3)の硬度の問題です。日本の川は短くて急流が多く、
川の水を取水した水道水も硬度の低い「軟水」です。

 これに対して、中国に限らず大陸の川からとった水は、硬度の高
い「硬水」で、うっかり飲むと下痢をします。中国人は普通「開水」
といって、湯冷ましの水を飲みます。これは昔の井戸水でしたら、
殺菌が目的だったのでしょうが、今では硬度を下げる目的と考えて
よいと思います。

 でも、それほど硬度が下がるわけではありませんので、やはり日
本人は中国では生水は飲まない方がよいのです。ペットボトル入り
で売っている水は、山の湧き水で、比較的硬度が低く、飲んでも大
丈夫です。

 このごろはニセモノで、中身は普通の水道水だったりするという
話もありますが、少なくとも私が買って飲んだ分はおいしかったで
す。

 食品の原料としては、使われた水の硬度(具体的には水に含まれ
るカルシウムとマグネシウム)は別に問題とするほどではないのは
言うまでもありません。

 さて、心配性の方なら(2)の有害物質が一番心配になるのでは
ないでしょうか。これについては、私もやはり心配があって、必ず
しも安全とはいえないと思っています。

 ただ、この場合、被害を受けるのはその水を使った食品を買って
きて食べる私たちではなく、現地で毎日その水を飲んで暮らしてい
る人たちです。

 有害な物質というと、ヒ素とかカドミウムとかいろいろ思い浮か
びます。でも、一口飲んだだけで病気になるというものではなく、
ずっと飲み続けたときに慢性の症状が現れるという性質のものです。
いくら中国でも、致死量のヒ素が水道水に入っているなどというこ
とが問題にならないはずはありません。

 つまり、日常飲む水としては少し不安があるとしても、食品製造
時に使われることで問題が発生する可能性はないということです。

 以上で、(1)(2)(3)ともに心配するには及ばないという
ことをご理解いただけたでしょうか。

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Q.最近EMという微生物を利用(使用)した、有機農業のようなも
のがあると聞きました。 洗剤ですとかの商品も販売されています。
土壌に撒くと、悪玉菌の繁殖を抑制して農薬を使用しなくても野菜
が育つようですが、このような野菜を食べて人体に影響ないのでし
ょうか。飲料なども販売されていますが、なんだか推奨している団
体が怪しいように感じます。

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A.某生協などに「EM」の信者というか推進者がいて、どうも困
った経験があります。フィリピンの農場に持って行って、「無農薬
経営する」などと言うのです。もちろん失敗しましたが。

 ネットで調べればいろいろと情報は出てきます。沖縄の大学の先
生が開発したということですが、はっきりいって「トンデモ」の一
種です。

 何事も信心ですので、信じていればよいこともあるのかもしれま
せん。人の信仰を批判しても無意味ですので、対処法としては無視
する以外にはありません。

 救いは「EM」として売られているのがそのへんにいくらでもい
る微生物ですので、別に害にはならないだろうということです。売
っている人たちも、どんな微生物が入っているのかは知らないので
すが、まさか特別なものは入っていないと思います。

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Q.妊娠7〜8週の妊婦です。今流行の白い鯛焼きを購入し、部屋
に置いたままにした私も悪いのですが、恐らくカビていただろう鯛
焼きをうっかり食べてしまいました(翌日見たら他の鯛焼きの尻尾
がカビていた)。赤ちゃんへの影響はありますか?つわりはもとも
とあったので、中毒の嘔吐かどうかは不明です。

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A.カビが生えていたというのは本当なのでしょうか?今からでは
確認できないはずです。「生えていた」と思うから心配になるので
はありませんか?

 カビが生えていて、しかもおしいく食べられるというのは、あま
りありそうにない話です。カビが生えるほど置いてあれば、味も変
わっていると思うのです。

 だからあまり心配することはないと思います。

 「赤ちゃんへの影響」はわかりませんとしか言えません。そんな
ことを言い出せば、毎日食べているものだって、影響があるかどう
かわからないです。「わからないから心配」ではなくて、「わから
ないから気にしない」が正しいと思います。

 気にすること自体、からだに悪い影響があるそうです。ゆったり
した気持ちで、あまり細かいことを気にせずに暮らすのがよいです
ね。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「エコナとトクホ」
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 少し古いニュースですが、話題の「エコナ」がトクホの取り消し
を届け出たそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 体内で発がん性物質に変化する恐れがある成分を含む花王の食用
油「エコナ」について、消費者庁は8日、特定保健用食品(特保)
の表示許可の取り消しを検討する再審査の手続きに入ると発表した。
消費者庁の発表を受ける形で、花王は同日、特保表示許可を取り下
げる失効届を保健所に提出した。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/manufacturer/310529/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この問題について、「トクホの取り消し」を求める運動などもあ
ったそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 発がん性物質の問題で販売自粛となっている花王のエコナですが、
消費者団体が特定保健用食品の認可を取り消すよう求めているそう
です。

 花王が特定保健用食品(特保)の食用油「エコナ」関連製品の販
売を自粛している問題で、主婦連合会などの消費者団体は25日、
東京都内で緊急集会を開き、「安全性を保証できず販売を自粛して
いるエコナが、特保なのはおかしい」として、特保としての許可の
取り消しを求めた。

 これに対し、集会に出席した花王事業グループ長の安川拓次執行
役員は「販売自粛をしているのは、商品を改良するための一時的な
措置。エコナは国際的にも安全性が認められている」と説明した。

 エコナの安全性を評価している内閣府食品安全委員会の北條泰輔
評価課長は「消費者は心配している」として、できるだけ早く結論
を出す意向を示した。特保の許可を担当する消費者庁の相本浩志食
品表示課長は「食品安全委員会の結果を踏まえて、考えたい」と話
した。

 今回の花王の対応にも不満ですが、この消費者団体も問題ですね。

 前記事の通り、この問題は以前から指摘されてきたことです。な
ので、この問題が問題なら、以前から発売中止やトクホの認可取り
消しを訴えるべきだったのです。花王ではないですが、「今頃にな
って」です。

http://miracle20z.blog97.fc2.com/blog-entry-620.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 単にエサになりそうなニュースに食いついたというだけなのでし
ょうが、いわゆる「消費者団体」は「トクホ」をどう考えているの
でしょうね。

 私はトクホそのものがあまり感心しない制度だと思っています。
別にやめろというつもりはありませんが、初めからそれほど権威を
感じないのです。

 トクホの取り消しを求めるというのは、トクホの権威を認めてい
るということです。

 どうもある種の人たちはお役人を批判しながらもお役人の権威を
実は認めているところがあります。だからたいてい何か問題が発生
ると、お役人がちゃんと監督していないからだ、ということになっ
て、結局役所の仕事が増えてお役人が喜ぶというスタイルが定着し
てきました。

 この件についても、「消費者庁」の「消費者委員会」で議論にな
ったそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 これはひどい、としか言いようがない。消費者委員会の7日の会
議だ。(略)

 会議ではエコナの問題が取り上げられていて、特定保健用食品
(トクホ)の認可について検討されている。だが、多くの委員がジ
アシルグリセロール(DAG)とグリシドール脂肪酸エステルという
二つの問題があることを分かっていない。ごっちゃにしている。

 さらに、「発がん性は一切ないということを担保できて初めて許
可を与えるのが普通ではないか」というような発言が出ている。
「一切ない」などということは確認できない、という科学的基本が、
無視されている。発言した委員は「遺伝毒性で発がん性が疑われて
いるので、遺伝という言葉がある以上、子供孫にかかわる」という
トンデモ発言もしている。うーん、この委員は消費者団体の事務局
長である。

(略)

 どうも、「健康によいとされるトクホに発がん性の懸念なんて、
とんでもない」というのが、多くの委員の考え方の根底にあるよう
だ。だが、トクホがほかの食品に比べてより高い安全性を求められ
ているわけではないはずだ。

(略)

 もし、消費者庁がこの議論を基に決定を下したら、さすがに食品
安全委員会も「科学的に非常に大きな誤解があります」と説明せざ
るを得ないだろう。この議論を認めたら、これまでの食品安全委員
会の緻密なリスク評価はいったいなんだったのか、ということにな
るからだ。そして、消費者庁と消費者委員会は大恥をかくことにな
る。
 
 だが、花王が許可の失効届を自主的に出してくれた。その結果、
消費者庁と消費者委員会は救われた。よかったね。

http://blog.goo.ne.jp/wakilab/e/78919e5ad2a5a2226021b54852423fde
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 とうとう国家機関までトンデモな人たちの牙城になりつつあるよ
うです。食品安全委員会の人もご苦労さまな話です。

 上記の松永さんのブログに、こんなことも書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 消費者委員会は6日に開かれた第2回委員会で、「新開発食品調
査部会」を設置することを決め、部会長に田島眞・実践女子大学生
活科学部教授を充てることを決めた。

http://blog.goo.ne.jp/wakilab/e/6c2a34b52bc7948760defa968cb058a8
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そしてこの田島氏が「あるある発掘大辞典」の捏造番組に関係し
ていたという告発を紹介しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 本年、9 月にスタートした消費者庁の消費者委員に「あるある発
掘大辞典」のときにコメントされた教授が入っておられるとのこと
で、この問題に関する問い合わせを多く頂いております。

 特に、この教授が新開発食品調査部会の部会長、すなわちエコナ
で大きな話題を呼んでいる特定保健用食品の許認可にかかわる重要
なポストに付かれたことが報道されてから、私が最近講演会で話し
た内容を再度教えて欲しいとの問い合わせが殺到いたしております。
そこで、最近の私の講演に用いた要旨を公開させていただきます。

http://www.ffcci.jp/information/images/2020091016.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 Natureの記者が田島氏のウソをあばいたなどという話も出ていて、
なかなか面白いのでぜひ読んでみてください。

 田島氏は記者にこう言ったというのです。
We’re used like TV personalities, I say what the programme
wants me to

 脱線のついでに、この中で「ラクッコピコリン」という物質?の
話も出てきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いずれにしろこの番組の放映の結果、日本ではサラダレタス 2〜3
葉で眠られるということが一般的になってしまい、最近ではネット
で、レタスと睡眠で検索すると Google では 25 万件を超えた数が
ヒットする。そして、かなりの記事にラクッコピコリンが有効成分
として書いてある。

 そのラクッコピコリンで検索すると 1 万 1 千件ほどヒットする
が、英語をカタカナ的に読むラクチュコピクリン(ラクツコピクリ
ン)で検索するとGoogle では 5 件である。ラクッコピコリンとい
う存在しない化合物が日本に定着してしまったのは、この番組のデ
ィレクターが使っていた誤った名称をこの教授がその後も使い続け
たことにある。

http://www.ffcci.jp/files/255107026722542.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「ラクッコピコリン」という言葉を書いているサイトは確かにた
くさんあります。この言葉を注釈なしに使っていれば、「あるある」
の流れを汲むところだと思った方がよさそうですね。

 こんな人たちを相手にしなくてはならない花王も大変だなと思い
ます。でもこれは言わば身から出たサビで、お上の権威を利用しよ
うと思わなければよかったのです。

 花王はエコナを改良の上、再発売すると言っています。そのとき
にまたトクホの申請をするのでしょうか。もう懲りたと思わないの
かと不思議な気がします。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今週末に本が発刊ということで、今回は宣伝を書いてしまいまし
た。この本でいただいたお金で、また中国に行く計画をたてていま
す。3月に行ったのと同じ大連で、一週間のお勉強です。

 知識はある程度身についたので、実践あるのみです。中華料理屋
で、中国人の女の子が中国語でしゃべっているのを聞いて、話しか
けてみようと思うのですが、これがなかなかできないのですよね。
恥ずかしがる歳でもないのですが。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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