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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------516号--2009.09.27------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「糖度」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「エコナ」について、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 花王が特定保健用食品(特保)の食用油「エコナ」関連製品の販
売を自粛している問題で、主婦連合会などの消費者団体は25日、
東京都内で緊急集会を開き、「安全性を保証できず販売を自粛して
いるエコナが、特保なのはおかしい」として、特保としての許可の
取り消しを求めた。

 これに対し、集会に出席した花王事業グループ長の安川拓次執行
役員は「販売自粛をしているのは、商品を改良するための一時的な
措置。エコナは国際的にも安全性が認められている」と説明した。

 エコナの安全性を評価している内閣府食品安全委員会の北條泰輔
評価課長は「消費者は心配している」として、できるだけ早く結論
を出す意向を示した。特保の許可を担当する消費者庁の相本浩志食
品表示課長は「食品安全委員会の結果を踏まえて、考えたい」と話
した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090925-00001046-yom-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 確かに、安全なのか、そうではないのか、わかりにくい話です。
当事者の花王は以下のように説明しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

○今、家庭で使っているエコナは食べても大丈夫ですか? 長年使
ってきましたが、このまま使っても大丈夫ですか?

■大丈夫です。お召し上がりいただけます。

 花王は、エコナ(意図せず副生した、グリシドール脂肪酸エステ
ルを含む)の安全性については、特定保健用食品(トクホ)申請時
から、外部試験機関による世界標準の試験を通じて多くの評価を積
み重ねており、発がん性を含め、安全性に問題のないことを確認し
ております。

○安全なのに、販売を自粛するのはなぜですか?

■花王は、消費者の皆さまにお届けする製品に関して、安全性の確
保はもちろんのこと、安心してご愛用いただくことを事業の基本姿
勢としております。

 安全性に問題はありませんが、エコナには、製造の過程で、意図
しない微量のグリシドール脂肪酸エステルが一般食用油よりも多く
副生されていたことが、新たにわかりました。そこで、消費者の皆
さまに、より安心してお使いいただくために、製品中に含まれるグ
リシドール脂肪酸エステルを一般食用油と同等レベルに低減するこ
ととし、それまで一時販売自粛を行うことと致しました。

○グリシドール脂肪酸エステルに、発がん性はないのですか?

■「グリシドール脂肪酸エステル」について、発がん性を含め、現
時点で安全性への懸念を科学的に示す報告はありません。ただ、こ
の「グリシドール脂肪酸エステル」が分解して、発がん性のある
「グリシドール」に変わるかもしれないという可能性について、近
年ヨーロッパを中心に議論がなされているため、一般食用油と同等
レベルに低減することと致しました。

http://www.kao.com/jp/corp/important/20090916_001.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 科学的事実について言えば、この説明で過不足ありません。トク
ホであればこそ、こういう対応をしたとも言えます。

 「エコナが危険である」というのは間違いですが、「エコナは身
体によい」というのも幻想であったと思います。この騒動で、健康
食品(トクホ)としてのエコナは信用を失いました。

 マスコミの方は予想通り、ニュースとしては流しましたが、追求
したり、深く解説するような動きは見られなかったようです。

 理由は二つ、この問題がわかりにくいこと、花王が大広告主であ
ることです。わかりやすい不正を、弱小業者がやったときこそ、マ
スコミの出番なんですね。必要なときには出てこず、どうでもよい
ときに出てくるのはまさにマスコミの習性というものです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「糖度」
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 質問がありましたので、「糖度」についてまとめてみます。

 果物などではよく「糖度」が話題になります。もちろん、糖度が
高い=甘い=おいしいという図式が成り立ちます。

 甘さだけがおいしさではない、というツッコミが入りそうですが、
実際は果物のおいしさはほぼ糖度で決まります。

 昔、ミカン農家に出入りしていたときの話ですが、みかんをトラ
ックに積み込んだあと、よく味見をしました。

 適当にみかんをころがして、おいしそうなものを当てるのです。
食べて味を見たあと、確認のため糖度を測ります。

 農家には糖度計(屈折計)という道具が常備してあって、簡単に
糖度が測れます。

 斜めになっているガラス板の上に果汁をのせ、横から覗くと糖度
が表示されます。

 ミカンの場合は12度を越えるとかなりおいしく感じます。10
度を下回ると売り物としては落第点になります。最高で14度くら
いでしょうか。

 このときの経験では、やや小さめで、見た目より重く感じるミカ
ン、皮がうすいけれど、張りつめていなくて少し余裕のあるものが
よかったと思います。

 大きすぎるもの、皮が浮いているもの、色の悪いものはたいてい
ダメでした。他の果物ではたいてい大きなものほど甘いのですが、
ミカンはそうでもありません。

 果物によって糖度の値はずいぶん違います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 糖度は甘味を判断する目安となるもので、一部の野菜、果物、ジ
ャムなどに表示されています。

 糖度は糖度計により測定します。糖度計には光の屈折率を利用す
る屈折計と、偏光特性を利用する旋光計があります。

 糖度計により測定された果物などに、特に基準はありませんが、
各市場、メーカーでの一応の目安となる数値があげられているよう
です。また農産物の場合は、収穫時期、種類、同じ種類でも品種に
よってそれぞれの目安に違いがあります。

果物の糖度の目安(一例)

柿     16度以上
ぶどう   17
かんきつ類 10
メロン   14
すいか   11
りんご   13〜15
いちご   12〜13
桃     13
梨     12
(東京中央卸売市場調べ)

http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/chie/376.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 上の記事に「屈折計」と「旋光計」とありますが、通常は屈折計
の方で糖度を測ります。

 糖分(ショ糖)を水に溶かすと、水の屈折率が大きくなる性質が
あります。この性質を利用して、あらかじめ一定のショ糖濃度の水
の屈折率を測定して目盛りをつけておき、実際の屈折率をその目盛
りにあてはめて糖度を読み取るわけです。

 濃度は一般に重量比で、ショ糖の重さをショ糖溶液の重さで割っ
た百分比です。

 溶液100グラムにショ糖10グラムがとけている場合、糖度は
10です。(ショ糖10グラムと水90グラムで溶液を作った場合
も同じです。)

 屈折計で読み取った糖度をよく「ブリックス」と言いますが、溶
液に溶けているのがショ糖(=砂糖)のみであれば、単純にショ糖
濃度=ブリックスです。

 ここから話がややこしくなりますが、果物などでは実際に溶けて
いるのはショ糖以外の糖分が多いのです。ショ糖と他の糖分では、
少し屈折率の変化の度合いが違います。

 本来は補正すればよいのですが、そもそも糖分の中身がよくわか
らないこと、糖分による屈折率の違いがわずかであることなどから、
普通はかまわず「この溶液がショ糖溶液であれば、ショ糖濃度はこ
れくらいである」ということでブリックスを単位として使っていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

濃度(g/100g) ブリックス(%) 屈折率 補正値

ショ糖
  0          0   1.3330 0
  10         10   1.3478 0
  20         20   1.3638 0
  30         30   1.3811 0

ブドウ糖
  0          0   1.3330 0
  10        9.95   1.3478 +0.05
  20        19.84   1.3636 +0.16
  30        29.67   1.3805 +0.33

果糖
  0          0   1.3330 0
  10        9.89   1.3477 +0.11
  20        19.70   1.3633 +0.30
  30        29.54   1.3803 +0.46

http://sugar.lin.go.jp/tisiki/ti_0108.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 上の表を見れば、少々の違いは無視してかまわないことがわかる
と思います。

 読者のみなさんには蛇足だと思いますが、ブドウ糖と果糖が結合
したものがショ糖です。ブドウ糖が二つ結合したものが麦芽糖(水
アメ)、乳糖と呼ばれるのは、ブドウ糖と果糖が結合したものです
が、ショ糖とは結合の仕方が違います。

 デンプンはブドウ糖がたくさん結合してできています。したがっ
てデンプンを分解すると、ブドウ糖が得られます。ブドウ糖はショ
糖より甘味が低いので、転化酵素を使って、ブドウ糖を果糖に変え
ます。果糖は甘味が強いので、できたブドウ糖と果糖の混合物は砂
糖なみの甘味があります。これが転化糖です。

 ブリックス糖度はこれら糖分の濃度を、「ショ糖(である)とし
て」測っているわけです。

 ただし、注意しなければいけないのは、水の屈折率を変えるのは
糖分だけではないということです。

 たとえば、食塩だとこうなります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

濃度(g/100g) ブリックス(%) 屈折率

食塩
  0          0   1.3330
  10        11.7   1.3505
  20        22.7   1.3684
  25        28.1   1.3778

(温度が20℃の場合、 食塩の飽和濃度は26.38g/100gである。)

http://sugar.lin.go.jp/tisiki/ti_0108.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これを知らないと

「醤油の糖分を屈折計で計ったら、 糖度が30もあった。 醤油にはこ
んなに砂糖が使われているのか?」

 というような間違いがおこります。これは醤油に溶けている塩分
をはじめとする、いろんな物質の濃度が、屈折率で測ってブリック
ス30のショ糖溶液と同じくらいであることを意味しています。

 つまり、屈折計による糖度(ブリックス)は、あらかじめほとん
どの成分が糖であることがわかっている、果物やジャムなどにしか
使えないというわけです。

 私が好きなものに「果汁50%のチューハイ」というのがありま
す。ほとんどジュースそのものの味で、アルコール分が5%程度入
っているというものです。果汁以外は糖分を追加していないそうな
ので、だいたいの糖度は予想がつきますが、一度測ってみたくなり
ますね。

 ジャムなどのように、砂糖を追加する加工品だと、糖度計を持ち
出すまでもなく、入れた砂糖の量とできあがりの量から、糖度は推
定できます。この場合の糖度は50を越えるのが普通ですが、最近
は低糖度タイプという軟弱な商品も多く売られています。

 低糖度のものでは微生物の繁殖が問題になります。微生物の繁殖
には水分活性というものが影響します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 微生物にはそれぞれ生育可能な水分活性範囲があり、ある水分活
性以下では生育できなくなります。その水分活性は生育最低水分活
性と呼ばれ、食品の微生物的変敗を防止する上で重要な指標となる
ほか、どの微生物が食品変敗の原因となりうるか予測することが可
能になります。一般細菌は水分活性が0.90Aw以上で増殖し、
生育に最適な水分活性は0.98Aw以上であると言われています。

 多くの食中毒菌の生育最低水分活性は0.94Aw以上ですが、
黄色ブドウ球菌は耐塩性が高く0.86Aw以上でも生育が可能です。

 酵母菌は0.88Aw以上で生育し、カビは細菌や酵母に比べ乾
燥に強く、0.80Aw以上で生育します。好塩性細菌、耐乾性カ
ビおよび浸透圧性酵母などは更に低い水分活性でも生育が可能です。

 水分活性を0.50Aw以下に抑えることができれば、どんな微
生物の増殖も防ぐことができます。

http://homepage3.nifty.com/hinshitukanri/siryou/suibunkassei.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 糖度と水分活性の関係は、単純に糖度が上がれば水分活性は下が
るという関係です。糖度が高いほど腐りにくいというのは、さまざ
まな食べ物で経験するところです。

 さて、話を戻して、「旋光計」の方は、光の偏光を測ります。偏
光メガネなどというときの偏光です。

 光は波の性質を持っています。通常はあらゆる方向に波をうって
いますが、特定の方向の波のみを通すのが偏光メガネです。

 ショ糖はこの波の方向を旋回させる性質があるので、ショ糖の量
をこれで測ります。ただし、ショ糖以外の糖分では、旋回の方向が
違ったりしますので、ショ糖専用と考えた方がよいようです。

 その他では、「ボーメ計」と呼ばれる、比重を計るものがありま
す。溶液は溶けたものによって様々に比重が変ります。それを測る
わけです。

 「糖ボーメ」と呼ばれる単位があって、お菓子作りなどのときは
よく使われます。ただし、シロップのように、粘度の低い液体でし
か使えません。

 ボーメとブリックスは一定の率で変換できますので、比重を測っ
てブリックス濃度を表示するものもあります。

 ミカンの話に戻ると、高級ミカンとして、糖度を基準以上にした
ものがあります。

 和歌山の有田ミカンでは、糖度12以上のミカンのみを選別して、
「味一みかん」というブランドで出荷しています。出荷されるミカ
ンすべてが糖度12以上というのは、どうやって保証できるのでし
ょうか?

 通常の糖度を測る方法は、破壊検査ですので、出荷するミカンに
は使えません。非破壊検査である光センサーを使って、一個ずつ調
べるのだそうです。

 私には仕組みがよくわからないのですが、赤外線を当てると、糖
度がわたるのだそうです。このあたりが究極の糖度計ということに
なります。

 加工食品で、原料の配分比率がわかっているのなら、糖類の重量
比で糖度を表示すればよいのですが、確認のために製品の糖度を測
ることもよくあります。

 屈折計というのは片手で持てる程度の小さなものです。果物を作
っている農家で、これを持っていない人はモグリであって信用でき
ないと思います。農家を訪問したとき、自分では持っていかずに、
「糖度計ありますか?」などとよく言ったものです。

 もちろん、「ない」という返事ならばつきあいません。逆に自分
の出荷しているものの糖度を正確に言えると、ちょっと信用してし
まいます。

 甘さがすべてではありませんが、糖度はそれほど大切な要素なの
です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回は「安全」方面とはあまり関係がないのですが、ミカンの話
は先日まとめた本の原稿に出てきました。自分でも懐かしく読んだ
ので、久しぶりに触れてみました。

 原稿の中で、みかんの剥き方について書いているのですが、文で
はちょっとわかりにくいので、画像を見つけました。

「正統和歌山剥き」
〜和歌山県民による正しいみかんの食べ方講座〜
http://www.rakuten.co.jp/bunza/436010/448081/448457/

 「和歌山剥き」と言うのですね。和歌山独特のものだということ
も知りませんでした。ミカン一個を3口で、数秒で食べてしまえる
というスグレモノですので、ぜひお試しください。

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