安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>510号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------510号--2009.08.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」
「食品表示を見ないで買うべき16の理由」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前に書いたQ&Aに関連して、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先日の501号に書かれていた、「玄米で酢は作れない」という内
容について質問させていただきます。

 昨日、スーパーの酢売り場で、地元の大手酢メーカーの玄米酢を
見ました。
http://www3.mizkan.co.jp/sapari/product/group/index.asp?id=01006&sid=01&l_id=01
 ラベルには「国産玄米だけを使ったお酢です」と書いてあります。
これは不正表示なのでしょうか?

 地元にあり、友人も勤務しており、好きな食品メーカーでもある
ので、不正表示なのであれば、表示を直してもらえるようにお願い
するつもりです。「玄米で酢は作れない」ということを証明するた
めに、メーカーに対して説得力のある説明が書かれているサイトは
あるのでしょうか?いろいろ検索してみましたが、見つかりません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「玄米で酢は作れない」というより「玄米から直接酢を作るのは
難しいので、いろんな工夫が必要」というのが正しいと思います。

 酢の醸造は「でんぷん」→「糖」→「アルコール」→「酢酸」と
いう順に変わっていきます。アルコール(エタノール)を作るのは
酵母、酢酸を作るのは酢酸菌です。

 でんぷんを糖に変えるには、麹を使うことが多いのですが、その
麹を玄米から直接作るのが難しいというのが問題の基本です。

 解決策として、以下のようなものがあります。

(1)精米した米に麹をつけ、ぬかは別に投入する。

(2)玄米に傷をつけて、麹がつくように加工する。

(3)麹ではなく、酵素を直接投入するなど、別の方法を使う。

(4)原料が玄米100%ではない。

 工場ではもっと違う技術が開発されているのかもしれません。と
にかく、精米しない米からだけで酒を作るという技術は、伝統的な
ものではないのは確かです。

 ただし、上記のように玄米100%でつくる方法はあるのですか
ら、不正表示とかいうような問題ではありません。

 「玄米酢」というと、何か伝統的な、自然なものと思いがちです
が、案外そうでもないのだ、というのがおもしろいですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.輸入農産物は、一定の割合で抜き取り検査が行われ、残留農薬
がチェックされます。一方、国産農産物においても一定頻度で収去
検査が行われているとお聞きします。

 輸入農産物と国産農産物では、残留農薬の検査頻度に差があるの
でしょうか。また、残留農薬の検出率はどちらが高いのでしょうか。

 日本人には、輸入農産物よりも国産農産物の方が安全だという
「国産信仰」のようなものがありますが、果たして本当に国産=安
全と言えるのか気になっています。

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A.輸入農産物には、輸入時の検査があります。これに合格しない
と輸入できませんが、全量が検査されているわけではありません。

 一部を検査して、違反例が多いものは全量検査されるようになり
ます。

 畑で使われた農薬なら、抜き取り検査で充分です。しかし、故意
に農薬を混入した場合、検査では絶対に見つかりません。中国産の
ギョウザでの事件のとき、輸入検査はどうなっているのか?などと
言っている人がいましたが、これは無知というものです。

 一方、国産農産物には基本的に出荷時の検査はありません。ただ、
このごろは農協などで自主検査をしているところも多いようです。

 したがって、一般的に検査の機会がどちらが多いかははっきりし
ないですね。

 市場に出てからの調査では、国産・輸入とも同じように検査され
ています。結果の情報は以下のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品中の残留農薬検査結果(2002年)
国産・輸入 検査数 検出数    基準を超える件数
            件  %    件   %
国産品        868  0.44   27   0.02
輸入品       2,414  0.34   83   0.03
合計   910,989  3,282  0.36   110   0.03

http://www.jcpa.or.jp/qa/safety/q31d.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この0.03%という数字はだいたいいつもこんなものです。こ
の程度だと、基準を超えた野菜を食べ続ける可能性はありませんの
で、とりあえず心配するほどのことはない、というのが結論になり
ます。

 これを見てもわかるように、国産だから安全というのは根拠がな
く、安全性の面からは国産でも輸入でも同じようなものである、と
いうのが正しい理解です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食品表示を見ないで買うべき16の理由」
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 今回はサイトの紹介です。

食品表示を見ないで買うべき16の理由
http://archin.jugem.jp/

 『食品の迷信』という本を書いている芳川充さんが書いているの
ですが、本来のブログとは別のところに書いていて、とても見つけ
にくいところにあります。

 内容がなかなかおもしろいので、紹介してみます。

 まず、目次ですが、以下のように「16の理由」をあげています。

1)「国産」はリスクが高い
2)中国食品を避ける無意味
3)食品添加物表示の誤解
4)有機、無農薬栽培のウソ
5)トレーサビリティ表示の裏側
6)天然魚と養殖魚の誤解
7)「生産者の顔が見える」の落とし穴
8)「独自の検査基準」の無意味
9)名産地で選ぶ落とし穴
10)遺伝子組換えを避ける問題
11)アメリカ産牛肉は安全である
12)「天然」を選ぶ落とし穴
13)証明書があるから安心か?
14)カロリー表示
15)国際認証制度の矛盾
16)自らの価値観で選ぼう

 以下にいくつか、目につくところを引用してみます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

2)本物の国産であれば安全か

 次に、国産であることが信頼できる場合は安全なのかについて解
説する。

 「日本の工場は衛生的で、製品も質が高い」というのは日本では
常識として受け止められている。しかし、我々食品輸入に携わって
いる者からすると、これは”非常識”だ。

 なぜなら、日本の食品工場は世界的なレベルからいえば、レベル
が低いところが多いし、製品も輸入品より質が高いとは決していえ
ない。

 最も危険と思われている中国の輸出工場では、HACCPやISOなどの
国際的な衛生管理基準の認証を受けているのは常識。

 しかし、日本ではこれらの認証を受けるためには、多額の設備投
資が必要となり、認証を受けられる工場は少ない。

 ソフト面でも特に日本は優秀ということはなく、当然のことなが
ら製品もそれなりでしかない。

 このことは、統計にも表れている。

 実は、アメリカでの食品輸入検査統計(2006年〜2007年)では、
中国よりも日本の方が違反率が高い。しかも約3倍も高い。

 日本の最も大きな違反原因は時に深刻な食中毒を起こすリステリ
ア菌の検出だ。

 国内に流通する農産物の残留農薬を大規模に調査した結果では、
輸入品と国産の検出率並びに基準値オーバー比率に、ほとんど差異
は見られなかった。

 あらゆるデータを調べても国産が安全であるというデータはない。

 過去に起こった食中毒事件を調べても、外国製品では中国産ギョ
ーザ事件が初めて起こったといってよい。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これなどははじめて聞いた人は驚くと思いますが、私もときどき
書いているように、国産食品が安全というのは事実に反しているの
です。

 この前段に、国産表示が信用できるのか?ということについて書
いているのですが、後段で国産食品が安全であるということを否定
しています。

 輸入農産物と国産農産物については、ちょうど今回のQ&Aでも
出てきました。少なくとも国産の方が安全であるという根拠はあり
ませんでした。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 有機栽培の先進国イギリスでは、政府機関が「有機栽培作物が、
通常の作物より安全であるとか栄養があるといった根拠は現時点で
ない」とはっきり発表し、有機栽培作物の優位性を謳って販売する
ことを禁じている。

 有機、無農薬、減農薬、特別栽培などといった表記を探して買う
というのは、「くたびれ儲けの骨折り損」ということだ。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このあたりはここしばらくよく書いている問題ですね。

 次は「天然」と「養殖」の違いについて。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 天然物のほうがおいしいといえるのは、質の良い天然物を食べら
れ、天然と養殖の風味の違いがわかる食ツーのみ。通常は養殖魚の
ほうがおいしい。

 そして、天然物のほうが安全というのは間違いで、むしろ養殖物
のほうが安全なのである。

 このように、養殖魚に対して事実と全く違う誤う認識があり、そ
れが養殖業の足を引っ張っている。一時期は養殖魚への評価が低い
ために、廃業が後を絶たなかった。現在でも、採算性から考えると、
かなり難しい産業である。

 人々が正しい認識さえ持てば、日本の養殖業界がもっと活気づく
と同時に、日本の養殖技術の輸出を通して、みんなが潤うことにな
る。

 さらには、天然物に過度に依存することなく、効率的な食糧供給
ができる。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 養殖魚についてはあまり書いてきませんでしたが、この認識で間
違っていないと思います。

 次は思わぬ切り口です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 野菜や果物などで、生産者の写真が掲載されていて、「○○さん
が作りました」などと記載されている商品が人気だ。

 「生産者の顔が見える」として、「安心感がある」「親近感があ
る」といった理由だ。

 そもそも消費者はなぜ「生産者の顔が見える」作物を安全と思う
のかと言えば、「顔や名前を出している以上、いいかげんなものを
作らないだろう」と思うからだ。

 しかし、では顔を出さない生産者はいいかげんなことをやってい
るかといえば、そんなはずはない。いいかげんなことをやれば、農
協なりスーパーから締め出しをくらうからだ。

 何か独特の方法で栽培しているというならともかく、単に、顔が
見え、「心をこめて作りました」というだけで、他より安全が保証
されるということはあり得ない。そもそも店で売られる商品は限り
なく100%近くは安全なものであり、優位性を出すのは不可能だ。

 また、「生産者の顔」がどれだけ本当かという問題もある。これ
はトレーサビリティと同じだが、法律的規制があるわけではない完
全任意な表記。その真偽を調べたり、取り締まったりする者は誰も
いない。

 表示の法律違反が頻発しているのに、完全任意のこれらの記載が
本当である可能性はより低い。農家の写真など、写真素材集として
いくらでも販売されている。

 「顔が見える」販売方法は非常に効果があるため、どこも採用し
ようとするためなおさら怪しい。摘発を受けることもないから、騙
された消費者は永遠に騙されたまま。

 食品表示の裏をよく知っておく必要がある。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 生産者の顔や名前が出ることは悪いことではないのですが、どこ
まで信用できるのかという問題は確かにあります。

 次はもう一度「天然」ということについて。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 基本的は違いは、「精製塩」が塩化ナトリウムの純度が高いのに
比べ、「天然塩」「自然塩」と称すものは、純度が低く、ミネラル
類が多めに含まれていることだ。

 ミネラル類が含まれているから健康に良いかといえば、否。塩の
摂取量から見て、それらの微量のミネラル類が健康に影響を及ぼす
とは考えられない。

 「天然塩」販売者は「自然」「天然」がからだに良いと誤解して
いる消費者の気持ちを逆手にとった商法といえる。

 次に「天然酵母」。

 よく「天然酵母パン」と表示されたものが販売され、人気がある。

 しかし現在、食品製造で使用されている酵母はすべて系統的に選
抜された純粋種だ。野生の酵母など使うことはない。

 ではどういったものを「天然酵母」といっているかというと、せ
いぜい家庭で野生の酵母を培養して使うもの。ただ、この場合、培
養した時点ですでに野生ではなくなる。

 そもそも、人工の酵母などこの世に存在しない。科学がいくら発
達したといっても、まだ人類は生命を化学合成することなどできて
いない。

 だから、天然酵母というのはイメージ効果を狙ったトリックにす
ぎない。

 食品表示における「天然」「自然」とは一事が万事、こういった
ものだ。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは私もいつも言ってきたことです。「天然酵母」を宣伝して
いるのは全く許しがたい犯罪的行為だと私も考えています。という
より、このあたりは私の本を読んでいるな、という感じですね。

 最後は結論部分です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 日本人はみんなが一方向に動くから、販売業者にとっては良いカ
モだ。一網打尽に捕まえられる。

 これは食品だけではなく、あらゆるものがそうだ。社会の隅々ま
で同じ法則が成り立ってしまっている。

 その表示がお気にめすものであれば高くても買う。品質、中身で
判断しないし、できない。する気もない。

 だから成功する会社は、品質の良いものを販売する会社ではなく、
ウソ、ホントに関わらず、消費者の好むラベルをつけた会社だ。

 逆にいくら品質が良くても、消費者の好むラベルをつけられなか
った会社は、評価されずに、失敗する。

 結果として、品質そのものの競争ではなく、いかに魅力的な表示
にするかの競争になっている。だから偽装やウソが蔓延し、長年ヤ
リドクを許してきた。

 製品を何度もひっくり返し、表示を穴があくほど見て「私は騙さ
れない」と思っているほどまんまと騙されている。消費者はそんな
実態をよく知るべきだ。

 表示を見れば見るほど、高いものを買いたくなるような仕掛けが
できている。だから食品表示など見ないで、自分の価値観、自分の
判断力で買うように心がけるべきだ。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 食品以外の分野でも、「エコカー」などという詐欺がまかり通っ
ています。

 「ハイブリッド車」という新技術の開発は評価していますが、そ
れを「環境によい」とか言って売るのはもう詐欺の領域です。そし
て騙される人が圧倒的に多いのも、悲しいことですが事実なのです。

 ここまで言ってしまうと身もフタもないというやつですが、基本
的に正しいことを言っていると私は思います。ぜひ読んでみてくだ
さい。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 お盆休みも今日でおしまいです。今年から犬がいるので、結局ど
こへも出かけませんでした。

 今までの仕事が7月で終わってしまったため、明日からは求職活
動です。職安というところにはじめて行きました。この歳だとやは
りなかなか難しいですね…。何かよい話があれば、よろしくお願い
します。

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