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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------51号--2000.10.29------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「ポリフェノール」
     「ポリフェノール」(Q&A)
     「牛乳」(Q&A)
     「レトルト食品」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 Q&Aで「ポリフェノール」についての質問をいただきました。
とりあえずの返信をしておきましたが、私もあまりよく知らなかっ
たことでもあり、ここで補足しておきます。

 まず、フェノールというのはアルコールの親類です。炭化水素は
普通、棒状につながった炭素のまわりに水素が結合したものです。
その一部(末端)の水素が水酸基(−OH)に置き換わったものが
アルコールと呼ばれます。

 炭素数2の炭化水素であるエタンがアルコール化すると、エタノ
ール(エチルアルコール)になりますが、日常生活でアルコールと
いえば、これを指します。毎日お世話になっている、お酒の主成分
です。

 炭化水素のかわりにベンゼン環(おなじみの亀の甲です)に水酸
基ついたものはフェノールと呼ばれます。ベンゼン環のせいでアル
コールより反応性が高くなり、アルコールと違って酸性を示すよう
になります。日本語では石炭酸と呼ばれます。

 炭化水素に結合した水酸基をアルコール基というように、ベンゼ
ンに結合した水酸基をフェノール基と呼びます。一つの分子中にこ
のフェノール基を複数もったものを「ポリフェノール」と呼ぶわけ
です。(やっとたどりついた・・)

 ベンゼン環は別にひとつに限らず、複雑な化合物内のあちこちに
あっても良いのです。食べ物の世界で有名なポリフェノールといえ
ば、お茶に含まれるカテキン・タンニン、そばのに含まれるルチン、
大豆のイソフラビン、ブドウ果皮などに含まれるアントシアニン系
の色素などがあります。

 この間に話題になったポリフェノールネタとしては、4、5年前
だったと思いますが、チョコレートの話がありました。チョコレー
ト業界と。関連があるのでしょうが、日本でチョコレート学会のよ
うなものが開かれ、いろいろとチョコレートの成分についての研究
発表がありました。

 私はその時、チョコレートの実際のカロリーは今まで考えられて
いたよりも少なく、半分くらいしかない、という話に一番興味があ
ったのですが、世間ではポリフェノール類の薬理作用に注目が集ま
ったようでした。

 カカオ豆はポリフェノールをとてもたくさん含んでいるらしいの
です。その次に話題になったのは、赤ワインのポリフェノールです。

 なぜ、ワイン全部ではなく、赤ワインかということは、ここまで
読んでいただいた人は想像がつくと思います。要するに、ここで話
題になっているポリフェノールというのは、ブドウ果皮に含まれる
色素のことなのです。

 最近、紫キャベツか何かの色素にガンを抑える作用がある、とい
う研究論文が発表され、天然色素のメーカーが喜んでいましたが、
これも同様のポリフェノールでしょう。

 で、赤ワインにまつわる話に必ずついてくるのが「フレンチパラ
ドックス」というやつです。

 同じような食生活を送っているヨーロッパの近隣諸国の中で、フ
ランス人は心臓疾患の罹患率が有意に少なく、その原因はフランス
人がたくさん飲んでいる赤ワインにある、といったような話です。

 要するに、毎日フランス料理を食べていたら、コレステロールが
たまって心臓病になりそうなものなのに、赤ワインのおかげでそれ
ほどでもない、という話になるわけです。

 この話自身は反論は聞いた事がないので、たぶん本当なのでしょ
う。でも、毎日フランス料理を食べているわけでも、浴びるように
酒を飲んでいるわけでもない私のようなものにとっては、あまり係
ないように思うのですが・・。

 私は偏見を込めて、ソーセージでビールを飲むより、チーズでワ
インを飲む方が身体に良いのか、と勝手に納得しています。

 このように、一つの物質というか、特定の分子について、その生
理的な作用を調べるという研究は、実ははじまったばかりです。こ
れからも、様々な物質の薬理作用や、あるいは毒性が報告され、そ
のたびにある食べ物が注目されたりするでしょう。

 こうした知見の積み重ねがやがて新しい栄養学の体系となってい
くのだとは思いますが、あまり細々とした情報に振り回されても、
つまらないと私は思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.最近、「○○にはポリフェノールが含まれています」というよ
うな宣伝文をみかけます。「体に良いもの」というような雰囲気で
書かれています。さて、ここで気になったのですが、ナス・ごぼう
・レンコンなどの「あく」です。何かで読んだのですが、ごぼうや
ナスのアクには、ポリフェノールという成分が含まれているとのこ
と。すると、せっせと野菜のアク取りをしつつ、「ポリフェノール
含有食品(?)」を買い込むのはすごくマヌケなことのような気がし
ます。

 お伺いしたいのは、
1.ごぼうなどのアクには「ポリフェノール」が本当に含まれている
のか。それは巷でよく云われる「ポリフェノール」と同じものなの
か。
2.そもそも「ポリフェノール」とは、どんな物質なのでしょうか
(不勉強ですみません、、)
3.野菜のあく抜きって、本当に必要なのでしょうか?(レンコンを
酢水に浸けるのは、見た目を重視する「料亭料理」の習慣が家庭に
普及したと聞いたことがありますが)

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A.ポリフェノールで検索してみると、以下のサイトに説明があり
ました。
http://www.iri.pref.ehime.jp/iri/sodan/q-a/q_sub.htm#shokuhin

それによると、

(1)ポリフェノールというのは総称ですので、アクの本体となっ
ているものも、巷で話題のものも、ポリフェノールには違いないよ
うです。

(2)ベンゼン環(亀の甲)に水酸基(OH)がついたのがフェノ
ールだったと思います。ポリというのはこの水酸基の部分がたくさ
んあるもの、という意味だそうです。亀の甲の部分にもいろんなバ
リエーションがありますので、種類は無数にありそうです。上記の
サイトでは、

「種類を大別しますと、タンニン、フラボノイド系のカテキン、イ
ソフラボン、ルチン、アントシアニン系のアントシアン等がありま
す。」と書いてあります。

(3)アク抜きというのは、伝統的な調理上の知恵であると思いま
す。ご指摘のレンコンの場合なんかは、不要のような気もしますが、
一般的には、アク抜きをするのが普通のものは、しておいた方が無
難と思います。

味覚と安全性、有用性は案外関係があります。科学的に解明されて
いなくても、美味しい成分は安全・有用であり、美味しくない成分
は害があるか、不要なものであることが多いと思います。

良薬は口に苦しといいますが、薬というのは毒の一種という面もあ
りますので、常時食べるようなものでないことを教えてくれている
のだと思います。

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Q.「牛乳および乳製品は、消化も悪く、人間の身体には適さない
ため、極力、飲んだり食べたりしないほうが良い」という主旨の本
を読んだのですが、世間一般では、牛乳は健康の必需品ですし、私
自身も30年以上、毎日(多い時は1リットル)飲み続けてきたの
で、ちょっと、驚いてます。
 本当でしょうか?

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A.これは根拠不明ですね。科学というものは最終的に「事実」を
確定する力はありません。また栄養学という分野でも、まだまだ未
知の部分が大きいので、一見奇異な、このような説を唱える余地は
常にあります。

 また、活字というのは不思議なもので、どんなデタラメでも、真
面目な文章にしたものを活字で読むと、もっともらしく感じるもの
です。

 これだけではどういう意味でいっているのかはよくわかりません
が、おそらく著者の勝手な思い込みの類と思って間違いないと思い
ます。

 どうしてそう思うのかというと、こういう説を認めてしまえば、
何でもアリになってしまうからです。「常識」を楯にとって、新し
い説を認めようとしないのは、私の嫌うところなのですが、新奇な
説を唱える方は、その常識にとってかわるだけの覚悟が必要です。

 今まで、あらゆるデータは、牛乳の栄養的な効果を示しています
し、害になるといったことも知られていません。神託ではないので
すから、そうしたデータを前に、この著者はどういう態度をとるの
か、実に疑問です。

 私としては単なるヨタ話として、無視された方が良いと思います。

 この手の話にいちいちつきあっていたら、キリがありませんよ。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「レトルト食品」
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 私の子供時代に発売された「ボンカレー」が私の初めて見たレト
ルト食品です。その後、さまざまなレトルト食品が発売され、イン
スタント系の食品の代表格になってしまいました。

 正式には「レトルトパウチ」で、レトルト釜と呼ばれる、加圧式
の加熱装置を使用するのでこの名があります。パウチというのは例
のプラスチック製の袋です。

 「レトルト」という名から、何か特殊な処理をしていると思って
いる人も多いのですが、実は容器が違うだけで、缶詰と同じものと
思ってください。

 スープやソース類を開発するとき、レトルトパウチにするか缶詰
にするか、いつも悩んだものです。資材費はレトルトパウチの方が
安くなりますし、物流なんかも全体のサイズが小さくなって、有利
なのですが、少し製造ロットが大きくなるようでした。

 というより、消費者の方で、どうもレトルト食品を嫌がる人が多
かったのです。缶詰と同じですよ、といってもなかなか難しいもの
がありました。

 レトルトと缶詰の違いですが、中身を温めるときには、そのまま
熱湯に入れてあたためる、レトルトパウチのう方が断然有利です。
また、中身に固形物が多いときは缶詰でないとつぶれてしまいます。

 したがって、ソース・スープ・シチューの類はレトルトパウチ、
果実・魚介などでは缶詰を選ぶことになります。

 レトルト釜というのは、文字通り加圧式の加熱機で、圧力を上げ
ることで中の温度を120°以上にあげることができます。これに
よって、ほとんどの微生物を殺すことができるのですが、完全とい
うわけではないようです。

 細菌の中には、芽胞という状態になって、このような高温にも耐
えるものがあります。中でもやっかいなのは、ボツリヌス菌で、こ
の菌は猛毒の毒素をつくるため、きわめて危険なものです。

 日本では以前カラシレンコンで食中毒事件がおこっています。何
しろ猛毒ですので、うつ手がない、やっかいなものです。

 このような細菌は環境が厳しくなれば芽胞を作り、環境が良くな
れば繁殖をはじめます。そこで、殺菌後、常温に戻し、もし生き残
っているものがあれば繁殖を始めるのを待ちます。それから細菌検
査して、異常のないのを確認してら出荷するのが良いのです。

 と書くと簡単ですが、商品を届ける側からすると、実に大変なこ
とです。在庫量を見ていて、適当な時期に発注するのですが、予定
通り生産は終わっているのに、メーカーが上記の期間、出庫してく
れないのです。

 そこを何とか、と頼み込むのですが、普段品質管理については偉
そうなことを言っている手前、全然聞いてもらえませんでした。も
ちろん、生産即出庫と思っていたこちらが悪いのですが。

 レトルトパウチの材質は、中にアルミ箔が入った複合材料です。
中身を選ぶので、すべて缶詰のかわりをするわけにはいきませんが、
適したものならば、缶詰よりいろんな意味で優れています。業務用
の世界では、すでに缶詰からレトルトパウチに移行しているものが
多いと思います。

 余談ですが、カレーやシチュー、スパゲティソースなどは、業務
用として、大量に生産されています。とくに小さい店で多くのメニ
ューを出す場合は、1個あたりは高くなりますが、1人前の小さな
業務用レトルトパウチを利用することえあります。

 たくさんの種類のレトルトパウチを用意しておいて、注文があれ
ば1個だけ温めるので、効率も良く、また下手な調理人が作るより
はるかに美味しいものも多いのです。

 こうした「業務用の1人用パック」を消費者むけに販売する、と
いうのが実は私の得意技でした。業務用の世界は奥が深く、安いだ
けが取り柄のものから、一流のレストランで出しても恥ずかしくな
いものまで、実にいろいろあるのです。

 レトルトパウチ食品は、一般的に保存料などの添加物を必要とし
ません。商品の性格上、どうしても加工食品、インスタント食品と
いうことになりますので、お勧めするというわけではありませんが、
べつにいやがる理由もありません。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 先日話題になった北朝鮮への援助米ですが、何と1995年と1996年
産の米で50万トン用意するそうです。(10月28日版毎日新聞)

 政府管理米の4〜5年古米の話は聞いていましたが、まさかこん
なに持っていたとは!

 こんな古米は通常の食用の米としては出荷できないので、飼料や
その他の加工用にするとかいっていましたが、それでは処分しきれ
なかったようです。

 いくら先方が困っているからといって、こんなやり方は失礼だと
私は思います。昔、学校給食の牛乳がアメリカからの脱脂粉乳だっ
たとき、これはアメリカでは豚のエサなんだということでした。

 実際、不良在庫で悩んでいたアメリカの農業にとっては、大いに
たすかったことだったそうです。50年たって、同じことをこんどは
日本がしているというわけです。因果はめぐるといいましょうか。

 しかも1000億円もの金を一般会計から食管会計に繰り入れるとい
うおまけつきです。一般会計もたいへんですので、それを30年分割
で処理するということです。

 何だか多重債務者の債務処理を思わせる話です。(最近、この手
の処理をするデータベースの仕事にかかわっていますので、変な事
にくわしくなりました。)


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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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