安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>509号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------509号--2009.08.09------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「有機農業運動」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の記事について、こんなメールをいただいています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「無農薬」を科学的根拠もなしに手放しで礼賛し、健康によいと
いう読者に誤った知識を与える記事を流し続けるメディアには困っ
たものです。彼らは基本的に文系社会の人たちのようで、つける薬
がありませんね。

 先日も毎日新聞に次のような記事が出ていました。ご覧になった
かもしれませんが、念のためご紹介しておきます。有名人の個別事
例を使う、というよくある手口です。

 英食品基準庁のニュースが流れたばかりだというのに、この始末
です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 教えていただいた記事というのが、次のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

土と向き合う/4 宮川大助さん

◇育てる喜び、大変さ体験を−−「無農薬」家庭菜園で体調回復、
宮川大助さん

 「人間は死んだら土に返るけど、一方で土から出てきたものを食
べて生きている。自分たちが踏みしめているものを大事にしなけれ
ばと思いますよ」。家庭菜園で野菜を作る「農」ある暮らしをして
いる宮川大助さん(58)はしみじみと話す。

 奈良県生駒市の自宅近くに畑を購入したのは5年前。88年に胃
がんを発病した妻花子さん(53)の体調がすぐれず、無農薬野菜
を食べて少しでも良くなればと考えたからだった。

 畑はそれまで25年間放置されていたため、落ち葉が積もってで
きた腐葉土は野菜作りに最適だった。収穫したジャガイモで肉じゃ
がを作った。「生涯でこんなにおいしいジャガイモは食べたことが
ない。コリコリとした食感が最高だった」

 今はトマトやキュウリ、インゲンなどが収穫期を迎えている。2
日に1度は朝5時ごろから畑に出る。野菜はすべて無農薬。花子さ
んは体調が良くなり、耳にまでできていたじんましんも治った。

http://mainichi.jp/sp/nou-shoku/news/20090731ddm012040091000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も読んでいましたが、またか、という感じです。毎日新聞を読
んでいれば、まあいつものことです。

 「無農薬=身体によい」という思い込みが記者にあるので、因果
関係を全く考えようとしないわけです。

 これほど簡単な世界観なら、記事を書くにも苦労しないですね。

 次は「日経サイエンス」の記事を送っていただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------
日経サイエンス記事

2009-07-29
多幸之介が斬る食の問題
リーダーがしっかりした生協の情報発信はこう変化する

7月1日付けの記事に、生活協同組合コープ神戸広報室が発行す
る新聞「きょうどう」の取材を受けたことを書いたが、その新聞
「きょうどう」の7月号が発行となった。その大見出しは「食品添
加物とどうつきあうか」で、サブ見出しが「化学物質の適正使用と
有効活用なくして21紀の食は語れない」。さらに小見出しとして、
「『無添加は安全』は本当?、安全か否かは『量』の問題、科学的
根拠に基づく適正利用を」と続く。その記事は、食品添加物をすべ
て悪者扱いしている人たちに最も多い誤解の原因となっている「量
の無視」を強く戒めた記事となっており、小生がいつも市民講座な
どで話をしている意図が正確に伝わっている内容であった。これが、
生協の新聞であるだけに、非常に感慨深いものだった。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 冒頭部分だけ紹介しましたが、以下生協とのやりとりを書いて、
生協も変わってきているという記事になっています。

 生協にもいろいろあるので、「無添加・無農薬原理主義」のよう
なところばかりではありません。ただし、末端に行くと実はどこの
生協もあまり変わらないというところはあります。

 私に言わせると、どうしてみなさんそう信じやすいのか、不思議
に思ったりするところです。

 さて、もう一つ、メールをいただいているのですが、下の欄で紹
介します。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.イオンのジャストプライスのちくわのアレルギー表示に、「原
材料の魚はえび、カニを食べています」との記述がありました。意
味のある記述とは思えないのですが・・・

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A.魚がエビ・カニ類を食べて、胃の中に残っていることはあるで
しょうが、すり身には内蔵は入りませんので、何だか変な感じです
ね。

 ただ、以下のような記述があることからすると、意味がないとも
言えないようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今回新たにエビ・カニが加わった主な理由は、エビ・カニに対す
るアレルギー患者さんの数が増えているという調査の結果です。ま
たエビやカニは、大きな魚のエサとして食べられます。その魚をア
レルギー患者が食べることにより重篤なアレルギー症状が起こるこ
とも考えられます。食品に関わる業者の方が行う表示には、製品に
よっては「本製品(かまぼこ)で使用しているイトヨリダイは、エ
ビ(特定原材料等の名称)を食べています。」といった注意喚起が
必要となります。

 また、しらすやちりめんじゃこなど、まるごと食べる魚について
は、漁獲時にエビ類と一緒に水揚げされ、小さいため選別されずに
混入してしまうこともあるため、同様に注意喚起表示が必要とされ
ています。

http://www.fureaikan.net/syokuinfo/mm/mm200626.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 もう少し詳しく調べてみると、厚生労働省のサイトに情報があり
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

□原材料としては使用していないにも関わらず、採取方法による混
獲、原材料として使用する魚がえび、かにを捕食している、原材料
の加工方法等の理由から最終製品に特定原材料のえび、かにがコン
タミネーションしてしまう場合にも表示が必要ですか。

■えび、かにが最終製品に必ず混入するということであれば、最終
製品ではえび、かにが原材料の一部を構成していると考えられます
ので表示が必要です。

 一方、混入する可能性が完全に否定できない場合であっても、え
び、かにが原材料の一部を構成していないと判断される場合には、
表示の義務はありません。

 なお、魚肉すり身などには、様々な段階でえび、かにがコンタミ
ネーションすることが考えられます。しかし、このような場合、原
材料中の意図しないえび、かにの混入頻度と混入量が低いものにつ
いては、患者の食品選択の幅を過度に狭める結果になることから注
意喚起表記の必要はないものとかんがえています。

http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 単にすり身原料の魚がエビ・カニを食べているだけでは、表示の
必要はないです。

 ところがその次にこんなことが書いてあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

□コンタミネーションをどのように注意喚起すればよいですか。

 コンタミネーションしてしまう場合には、原材料表示欄外にその
旨注意喚起をすることが望ましいです。

 ただし、原材料表示欄外であっても、特定原材料等に関して「入
っているかもしれない」などの可能性表示は認められませんので、
同一製造ラインを使用することや原材料の採取方法等により、とき
にある特定原材料等が入ってしまうことが想定できる場合には、明
確に注意喚起をしてください。

(注意喚起例)

○同一製造ライン使用によるコンタミネーション

・「本品製造工場では○○(特定原材料等の名称)を含む製品を生
産しています。」

・「○○(特定原材料等の名称)を使用した設備で製造しています。」


○原材料の採取方法によるコンタミネーション

・「本製品で使用しているしらすは、かに(特定原材料等の名称)
が混ざる漁法で採取しています。」

○えび、かにを捕食していることによるコンタミネーション

・「本製品(かまぼこ)で使用しているイトヨリダイは、えび(特
定原材料等の名称)を食べています。」

http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ご質問の件は、これに該当するようです。

 一般にすり身は北洋のウケソウダラが原料ですが、最近では東南
アジア産のイトヨリダイのすり身も多く使われています。

 どうも捕獲からすり身製造までの間に、エビ・カニ類が混じって
しまうことがあるようです。本来除去すべき内蔵が混じっていると
いうことなのでしょう。

 この場合、「食べている」という表示が却って誤解を招いていま
す。もっとはっきり、「エビ・カニ類が混じっている可能性があり
ます」と書いた方がよいのではないかと思います。

 しかし、エビ・カニ類のアレルギー表示が始まったとき、冷凍す
り身からエビ・カニ類のタンパク質が検出されることに気付いた人
がいるのですね。このあたりは感心するところです。

 イオンの件に戻りますと、どうも安物の原料を使っていることを
告白しているようでもあります。安価なものなので、仕方ないので
はありますが。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「有機農業運動」
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 以下が「問題の」メールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも興味深く、読ませていただいています。(あくまで、「興
味深く」)有機栽培についての論争を読ませていただいて、一言お
話をさせていただこうと思いました。

 有機農業と一般的に言われておりますが、その原形は、40年ほど
前に遡ります。あまり知られていないようですが、農薬の一番の被
害者は生産者です。

 当時、農薬の被害に遭うなどして、農薬を使用をやめた生産者と
レイチェル・カーソンの「沈黙の春」や有吉佐和子氏の「複合汚染」
を読み、化学物質に危機感を覚えた消費者とが、結びつき、運動が
始まりました。

 その運動は、有畜複合の農業と提携という流通形態を基本として
全国に広がりました。

 この運動は、後に「有機農業運動」と呼ばれるようになりました。
この「有機」とは、「機(とき)有りき」、つまり物事にはタイミ
ングが大事だ、という意味合いと、有機的な人のつながりを大切に
しよう、といった意味合いが込められていると聞いています。

 つまり、有機肥料の「有機」では、ないのです。

 次第に、いろいろな意味合いの有機農業が発生したため、行政が
無理やり、「有機農業」に独自の定義を当てはめたと思われます。
(この制度では、不思議なことに一定の農薬の使用が認められてい
ます。)

 さらに、認証制度を敷いたため、本来の有機農業者が、自前の農
産物を「有機栽培」とは公言できなくなってしまったのです。

本来の有機農業者は、提携を通じ、消費者とつながっていますので、
わざわざ「有機認証」をとる必要がないことと、自分たちの運動か
ら生まれた「有機」という言葉を横取りされた事への抗議の意味も
含めて、認証を取っている人はほとんどいません。

 「歴史を知り、未来を想像し、現在を考える」という事が大切で
はないでしょうか。

※無農薬栽培も技術が進み、「農薬を使わない」栽培から、「農薬
を必要としない」栽培に変わってきています。

 つまり、本来の無農薬栽培とは、健全に生育させるため、病虫害
に冒されず、おいしく、栄養価が高いものとなっています。最近で
は、常識となってきていますが・・・ご存知ありませんでしたでし
ょうか?

以上、全文の掲載を希望します。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 業者臭が強いので、無視しようかと思いましたが、いただいたも
のは何でも掲載するのが基本方針ですので、紹介してみます。(も
ちろん、どんなものでも紹介するわけではありません。このあたり
が限界であると考えてください。)

 でも、もう限界を越えているというか、読んでいて不愉快になる
文章ですね。

 私が産直野菜などに関わったのは、今から30年以上前ですので、
ここに書かれている「有機農業運動」についてもよく知っています。
立派な部分も、うさん臭い部分も含めてです。

 同じころ、ヨーロッパでも似たような「有機農業運動」が起こり
ます。背景に宗教的な思想があったりするところもよく似ています。

 ただ、運動自体は日本とヨーロッパでは全く違った方向に進みま
した。

 個別の産直組織と結びついたり、自前の消費者組織をつくったり
した時点で止まってしまった日本と違って、国の中で大きな運動と
して育ったヨーロッパでは、結局「認証」という当時の最先端の考
えを取り入れていくことになりました。

 ヨーロッパ人はどうもルールを自分たちで勝手に作ってしまうと
ころがあって気に入らないのですが、確かに世界中でこういうルー
ルを自発的に作れるのは彼らだけだということでもあります。

 結局、その流れは世界的なものとなり、日本でもそれに準拠した
「有機栽培」の基準が作られました。日本の役人が勝手に作ったも
のではなく、国際的に「有機栽培」の話をするのなら、あれくらい
にしないと相手にされないからです。

 日本の「有機農業運動」のレベルと比べると、「有機栽培」の基
準のレベルはかなり高いものでした。

 「認証制度を敷いたため、本来の有機農業者が、自前の農産物を
「有機栽培」とは公言できなくなってしまったのです。」

 ということが現実に起こっているのは事実です。しかし、「本来
の有機農業者」がやっていることが彼らの言うとおりなのであった
ら、どうして認証をとらないのでしょうか?

 有機栽培の基準では、確かに使える農薬もあります。しかし全く
使わなかったとしても、認証をとるには一向差し支えありません。

 それどころか、認証をとることによって、「完全無農薬」もはじ
めて実証できるのです。

 ここにすでにウソが含まれていると私は思っています。

 つまり、ヨーロッパとは違い、日本では、どうも言っていること
とやっていることに違いがあったのです。その結果、せっかく始ま
った認証ですが、調べるたびに不正が発覚するという、情けないこ
とになってしまっています。

 でも、不正だらけだと批判されてはいますが、不正を指摘できる
程度には認証制度は実施されているわけです。認証を拒否している
人たちのやっていることが、認証を受けている人たちより、高いレ
ベルであると考える根拠はありません。

 そこで、認証もとらずに「有機」だの「無農薬」だのと言ってい
るものは基本的に信用できない、と言っています。くやしければ認
証をとればよいのです。

 「「農薬を必要としない」栽培」に至っては書いていて恥ずかし
くないのかと思います。できるものならその根拠を示していただき
たい。

 具体的に「「農薬を必要としない」栽培」を提示できなければ、
ウソと断定されても仕方ないですよ。

 国際的にも、「本来の無農薬栽培とは、健全に生育させるため、
病虫害に冒されず、おいしく、栄養価が高いものとなっています。」
というようなことは完全に否定されています。常識どころか、迷信
です。という話を前回紹介したのですが、「興味深く」読んでいた
だけていないようですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「有機栽培」については、しつこくなるのでもう書かないつもり
でしたが、他にネタもないのですよね…。

 ちょっときつい書き方になってしまいました。ご感想などをいた
だければと思います。

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