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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------508号--2009.08.02------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「有機栽培について」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の記事について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先日のメールマガジンで無農薬野菜についての以下のような記述
がありました。

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 世の中に本当に「無農薬」で栽培している野菜など売っていない
と考えるべきです。完全に「無農薬」で栽培することは、そんなに
簡単ではありません。その農家に行けば、倉庫には農薬や農薬まが
いの資材がきっとあると思います。

 もちろん、できるだけ使わないようにはしているのでしょうが、
農家の言葉では「できるだけ使わない」が「無農薬」になってしま
うのです。

 良心的な農家は「無農薬」などとは言わないものです。「自家製
の堆肥」で「無農薬」が達成できるのなら楽なんですけれど、そん
なことはあり得ません。この程度の話でだまされてはいけません。
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 これを読んだ多くの人は、無農薬として売っている野菜はすべて
嘘で、そんなものはあり得ないという風に理解すると思います。

 私は大変な苦労をしながらも、実際に農薬も化学肥料も一切使っ
てない農家で数年働いていました。

 何年も働いている間に、そういう農家は全国に何人もいることを
私は知りました。

 偏見に満ちた誤った情報は流さないでください。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 もう一度書きますが、「無農薬」という表示に関する問題点は、
以下の二つです。

(1)「無農薬」であることで何がよいことであるかが不明である。

 つまり、本当に「無農薬」であったとしても、そうでないものと
比べて、何かよいことがあるわけではないということです。

(2)「無農薬」だと言っていることが本当かどうか、検証の方法
がない。

 今回のお便りでは、やはり(2)の問題はクリアされていません。
「大変な苦労をしながらも、実際に農薬も化学肥料も一切使ってな
い」と言ってみたところで、それが本当であるかどうか、誰にもわ
からないのです。

 人の言うことを信用しないようですが、何故こんなことを言うか
というと、「有機栽培」という、認証の方法が用意されているから
です。

 「有機栽培」であっても、何かよいことがあるわけではありませ
んが、少なくとも認証の手順ははっきりしており、それに違反すれ
ば公表される仕組みになっています。(違反が多すぎて困っていま
すが)

 要するに、本当に「無農薬」だと主張するのなら、「有機栽培」
の認証をとるべきである、ということです。その認証をとらないの
なら、やはり本当に「無農薬」かどうかは信用できないと思います。

 表示の問題としては、「無農薬」という表示は禁止されています。
当然ながら「無農薬」表示の野菜は、信用できないし、買うべきで
はないです。

 以下のコメントが案外実態をついていると思っています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 銭儲け一番に考えるなら無農薬栽培、売るの簡単ですからね(で
も実際は・・・)

http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20080817/1218954695
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはあくまで一般論ですから、メールをいただいた方が働いて
いたところで本当に無農薬で栽培していたかどうかについては関係
ありません。

 だから信用するもしないもないのですが、やはりそう主張するか
らには、証拠が必要ではないかと思います。

 有機栽培については下の欄で続けます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「有機栽培について」
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 イギリスで「有機栽培」について、こんな発表があったそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「有機」に健康効果なし=一般食品と栄養変わらず−英調査

7月30日5時29分配信 時事通信

 【ロンドン時事】農薬や化学肥料の使用を減らして作られた有機
食品の栄養は、一般的な食品とほぼ変わらず、取り立てて健康に好
ましい効果をもたらすわけではない−。英食品基準庁が委託した調
査報告が29日公表され、消費者が抱く有機食品の効能とは反する意
外な結果が明らかになった。

 委託を受けたロンドン大学衛生熱帯医学大学院が、過去50年間に
発表された文献を精査した。13の栄養素のうち、ビタミンCやカル
シウムなど主要10栄養素では栽培方法によって大きな違いは出ない
との結果が得られたという。

 食品基準庁は調査結果について、「有機食品を食べるなという意
味ではなく、食べたからといって健康面でより優れた効果が得られ
る証拠はないことを示している」と指摘している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090730-00000016-jij-int
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「食品安全情報blog」でも紹介していて、以下のような解説がつ
けられています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

日本のYahooニュースについていたコメントがあまりにもひどいの
で解説

●有機農産物には残留農薬が少ないから健康への悪影響が少ないと
いう主張は残留農薬モニタリング結果によって既に何度も何度も否
定されている

 有機農産物からも残留農薬は検出される。頻度は多少通常農薬よ
り少ない。しかし基準違反という尺度を用いれば圧倒的に有機農産
物の基準違反の方が多い。有機では認められていないはずの農薬が
しばしば検出されるから。健康影響に関してはどっちもほぼ影響な
し。

 ただし英国やヨーロッパの話。日本で怪しげな「資材」を使って
「無農薬」と称している人たちの作るものについてはデータがない
のでなんとも言えない。

 うちの研究所に電話してきた人は農薬として認可されているもの
以外を使えば「無農薬」だと主張していた。その人が害虫を殺すた
めに使っていたのは毒性の強いストリキニーネ。使わないでくれと
言っても無農薬ではそれが常識みたいなこと言ってた。

 少なくとも有機JASですらない「無農薬」と勝手に主張している
モノについては信頼できない。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090731
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで私が上に書いているのと同様の話が出ています。上記の記
事にはコメントがつけられるのですが、確かにわけのわからないコ
メントが多いです。

 「栄養の問題より、農薬の害が問題だから、有機栽培を選ぶ」と
いう認識なんでしょうが、実はイギリスではそちらの方の結論が先
に出ていて、有機栽培だからといって安全性が高いということはな
い(=通常栽培だからといって危険ということはない)ということ
が発表されています。

 それに対して、有機栽培の価値はその栄養価にある、という主張
が出ていて、それについて検証したのが上記の報告です。

 もう一つ、有機栽培の方がおいしいという主張もありますが、そ
れについてはこんな記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

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有機栽培=旨いとは限らない
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2009年6月23日

 最近、有機野菜をウリにした店をよく見かける。有機野菜とは、
JAS法によれば、「化学的肥料や農薬を使用しないことを基本とし、
完熟した堆肥などで土作りを行った農法で、単年作物においては2
年以上、永年作物については3年以上経過したもの」のこと。

 多くの人は、有機野菜は一般的な農法で栽培されている野菜に比
べ、安全性や栄養面、味の点で格段に優れている、だからこそ値段
が高いと思いがちだが、必ずしもそうとは限らない。

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一般野菜より糖度が低いもの
硝酸態窒素が多いものもある
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 実際に有機野菜と一般の野菜の糖度を比べてみると、変わらない
ことも多いばかりか、後者の方が糖度が高くて美味しいこともある。
有機JAS認証は化学合成の農薬や肥料を使用しないことを決めてい
るだけで、美味しさを求めているわけではないからだ。

 また、安全だと思われている有機野菜だが、発ガン性が疑われる
硝酸態窒素が多く含まれていることも多々ある。

 作物の糖度や硝酸態窒素の含有量の決め手となるのは肥料の量や
水分だが、有機栽培は、この量の加減や施肥のタイミングが難しい。
気温が低過ぎたり、乾燥した日が続いて地中の水分が減ると土壌中
での分解が遅く肥料がきかないため、生産技術が未熟な人は多めに
まきがちとなる。そのため硝酸態窒素が増えるわけだ。

 そもそも有機野菜を高値で販売する人の中には、経験が浅く、生
産技術が未熟なまま差別化のために有機に取り組んでいる人も少な
くない。これも「有機=優れている」とは言えない原因だ。

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生産技術の低さが高値の一因
“泥付き信仰”も捨てるべし
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 例えば、名人と言われる人はまず植物をよく観察でき、水や肥料
の過不足、植物の生理、病害虫など重要なポイントも押さえていて、
無駄な動きがない。周囲の雑草や虫食いのある葉をこまめに取り除
くなど、畑もきれいに保っている。こんな名人が有機農業に取り組
めば美味しい野菜や果物が採れるだろうと思うが、彼らは有機農業
に対して関心を示さない。わざわざ有機をうたわなくても十分に美
味しい農産物を生産しているからだ。

 これに対し、有機栽培を始めたばかりの人たちの畑にはがっかり
させられることが多い。野菜を虫から守るには草取りなど栽培環境
を整えることが大切なのに、畑は草だらけ。気が付いた時には虫の
被害が広がっている。収穫量も減るので、高値の割に質が良くない
という事態に陥ってしまう。

 こう考えると、有機栽培だからといって必ずしも優れているとは
言えない。飲食店も、有機農産物に対して正しい知識を持つ必要が
ある。例えば、有機栽培や新鮮さを強調するために、わざと土や葉
を付けたまま出荷することがあるが、これはあまり意味がない。確
かにサトイモやゴボウ、ネギなどは土付きの方が鮮度が保たれるが、
大根や人参などは洗ったものの方が土壌菌が少なく衛生的で、傷み
にくい。イメージだけで判断しないようにしたい。

http://nr.nikkeibp.co.jp/vegetable/20090623/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「日経レストラン」というサイトの記事です。対象はレストラン
経営者なのでしょうが、実に実際的な記事です。

 「有機栽培」を行っている人が、必ずしも技術的に高いというこ
とではないというあたりは実態をよく知っているようです。

 「無農薬」の表示が信用できない、という話は繰り返しませんが、
「有機栽培」の表示についてもいろいろと問題があります。

 以下の例は「有機栽培」の意味すら理解していないのに、言葉が
使われている実例です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

有機や無農薬の表示違反の例

■ ブルーベリー狩り

 「有機栽培」とホームページに表示していたので、認証を受けて
いるか問い合わせた。経営者の認識は、有機肥料を与えているから
「有機栽培」というものであった。誤りを指摘したところ、ホーム
ページの表記から「有機栽培」は削除された。このブルーベリー園
は、もともと「バラやハーブ園」の経営されていた方が、ブルーベ
リーも追加・拡大してブルーベリー園としたものであり、農業や食
料に詳しくなかったと思われます。(2008年4月)

■ いちご狩り 山梨県

 「6種類の無農薬いちご狩りと、9種類の無農薬いちご」、「食
の安全と安心に拘り、無農薬のいちご狩り・いちご」などと、ホー
ムページで「無農薬」を強調していました。

 ところが、別のページには、「イチゴの花が咲く前(10月中旬
頃)まで徹底的に害虫と病気の防除を図り、それ以降無農薬栽培と
したい。そうすることにより、イチゴの果実の表面に付着する農薬
は、食べなくてすむ」とあり、生産過程の前半では農薬を使用して
いることが書かれていました。

 そこで、問い合わせると、やはり農薬を使用しており、一般的に
は無農薬と表示できない栽培方法であることが分かりました。農園
には指摘しましたが、無農薬という言葉を早急に削除することはし
ないとの返答がありました。[2006年11月]

http://www.hat.hi-ho.ne.jp/heart_thoughts/diary/organic.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 文中にことわりなしに「有機栽培」という言葉が出てきた場合、
こうした例(本当は有機栽培ではない)が多いのです。

 もう一つ、今度は認証を受けた本当の「有機栽培」についての問
題点もあります。

 何度も書いていますが、あまりに違反例が多いのです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

有機農業推進協会に新規の認定業務停止命令(90日間)
2009-07-03

ブルーベリー、キウイフルーツに不適正表示
2009-07-03

ホウレン草、スクマウイキ、みず菜に有機JASマークの不適正表示
2009-07-03

有限会社生産者連邦・ブイ・ジー室、インゲンに不適正表示
2009-01-28

有機認定ほ場で、化学合成された肥料を施用
2009-01-28

三ツ里生産、有機JAS規格外の茶葉を混合して販売
2008-11-28

株式会社かも有機米、「あきたこまち」で不適正表示
2008-10-17

日本生態系農業協会に120日間の業務停止命令
2008-09-12

株式会社ピュアブライト(神奈川県横浜市)、有機農産物加工食品
でないノニジュースに「有機栽培」と表示
2008-08-27

フレッシュ佐武及び西條農園で有機JASマークの不正貼付
2008-08-08

三印狭間商店、有機農産物でない米に「有機栽培米」と表示
2008-07-23

おおいた有機農業研究会に改善命令
2008-04-17

株式会社カワマツ、有機米シールを自作
2008-01-16

「民間稲作研究所認証センター」に新規の認定業務の停止命令
2007-11-26

藤本農園(福井県鯖江市)、化学肥料を使用した米に有機JASマーク
2007-09-13

たけのこ水煮に不正な有機JASマーク
2007-08-31

水郷コシヒカリ、認定取消しか?
2007-06-28

株式会社阪急オアシス、醤油で不適正表示
2007-04-06

有限会社ゆうきの里、コマツナ及びほうれん草で不適正表示
2007-02-05

有限会社インタークロス(福岡県北九州市)、梅エキスに有機JA
Sマークを不正貼付
2006-09-27

株式会社ウイング(大阪府茨木市)、有機JASマークを不正使用
2006-08-09

マルゼンフーズ、「有機無農薬大豆卯の花」で不適正表示
2006-06-29

ニューライフクリエイション、ネオファーム、紅茶・ドライフルー
ツ等で不適正表示
2006-06-08

ハグルマ株式会社、トマトケチャップでJAS法違反...認定製造
業者の認定が失効
2006-05-31

木の久食品、たけのこ水煮でJAS法違反
2006-05-26

JA八戸広域自然農法部会、干大根などでJAS法違反
2006-02-28

株式会社ピー・アイ・シー野菜工房、ベビーリーフでJAS法違反
2006-02-28

JA伊賀南部無農薬米生産部会、平成16年産米でJAS法違反
2006-02-28

北海道有機認証協会に認定業務の停止命令
2006-02-28

トマトジュースでJAS法違反
2006-02-15

中田物産、有機農産物加工食品でないハーブティーに有機栽培の表示
2005-12-27

虎喜商店、有機農産物加工食品でないこんにゃくに有機栽培の表示
2005-12-21

http://organicprod.info/index.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

(このサイトでは農水省の記事にリンクしていますが、農水省がURL
を変更してしまったために、多くがリンク切れになっています。)

 ごく少数でしかない認証団体や有機栽培実践農家の数を考えると、
この違反例は異常に多いとしかいいようがありません。

 イギリスの発表でも、きちんと認証した本物の有機栽培について
語っているのであり、その認証自体が疑わしいということであれば、
何をかいわんやです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 銭儲け一番に考えるなら無農薬栽培、売るの簡単ですからね(で
も実際は・・・)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 何気ないコメントですが、私が衝撃を受けた理由を理解していた
だけるでしょうか。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 ようやく8月になりましたが、天気の方はもう一つはっきりしま
せん。夏らしい夏にはならないようですね。

 「無農薬」野菜についてメールをいただいき、ありがとうござい
ました。少しきつい書き方だったとは思いますが、ご了解をお願い
します。

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