安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>506号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------506号--2009.07.19------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「Q&A」「ビスフェノールA」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 またまた「有機認証」に関する違反のニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農林水産省関東農政局及び独立行政法人農林水産消費安全技術セ
ンター(以下「センター」という。)は、有機JAS規格の登録認定
機関である特定非営利活動法人有機農業推進協会(以下「有推協」
という。)に対する調査を実施しました。

 その結果、有推協が、事業者に対する有機JASの新規認定に係る
調査又は認定の維持に係る調査において、有機認定ほ場で使用が認
められている有機JAS規格適合資材と確認できない資材が施用され
ているにもかかわらず、認定の技術的基準に適合していると判断し、
事業者に対し認定又は認定の維持をしていたことが判明しました。

 このため、有推協に対し、JAS法に基づく認定に関する業務の改
善及び新規認定業務の停止(90日間)を命じました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この手の違反例は多発していて、調べれば違反が見つかるという
ことなのでしょう。つまり「有機認証」はほとんどすべてがウソの
かたまりであると判断するしかありません。

 それにしてもここは結構大手みたいです。「有機認証」も、もう
いい加減にやめれば?と思うのは私だけでしょうか。

 次はブログにも書いたのですが、「食品安全情報blog」から。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

鍼麻酔:毛沢東主席の宣言

 1958年頃から1970年代半ばに中国が宣伝していた「鍼麻酔」はイ
ンチキである、という記事。

 内容としては、手術の時に鍼麻酔された患者のほとんどには鎮静
剤・麻薬・局所麻酔薬が投与されていること、鍼麻酔が有効である
とした統計には大きな誇張があること、文化大革命のもとで患者に
は医師や当局を喜ばせなければならないという大きな圧力がかけら
れていたこと、1970年代後半になって批判が許されるようになって
から心ある医師がそのインチキを語るようになったこと、それ以降
漢方薬への信頼や使用が減少していること、人道的で手術に使える
ような鍼麻酔や鍼による鎮痛法はない。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090713
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 漢方医学(中国では中医)は易、天文とならんで古代中華文明の
精華ではあるのですが、さすがに現代医学と対抗するのは無理があ
ります。

 世に「東洋医学」のファンは多くて、「鍼麻酔」も実際に可能だ
と信じている人も多いのですが、残念ながら全くのインチキだった
というのが真相です。そういえば昔、「心霊手術」などというもの
もありました。みんな同じインチキです。

 以下は魯迅の言葉です。

「これまで医者の言ったことや処方のやり方を考えてみて、私は、
漢方医というものは意識するとしないとにかかわらず、一種の騙り
に過ぎない、と次第にさとるようになった。そして騙られた病人と、
その家族に深く同情した。」

 現在でも、漢方医学のすべてが無効というわけではなく、有効な
ものもたくさんあります。しかしその限界を知らねばならないと思
うのです。「東洋医学」などと言って持ち上げるのは、ヒイキの引
き倒しというものです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「ビスフェノールA」
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 前回のQ&Aで「ビスフェノールA」の話がありました。いまだ
にいろいろと言われていますので、今回はすこしまとめてみたいと
思います。

 またまた「食品安全情報blog」で、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

* Prop 65リストにビスフェノールAを入れるかどうかに関する公
開ミーティングの資料

カリフォルニア州OEHHA

 ビスフェノールAを生殖発生毒性のある物質としてリストに含め
るかどうかについて議論が行われた。プレゼン資料やオーディオが
提供されている。

 その結果、7人の医師からなる委員会の満場一致でビスフェノー
ルAが有害であるという科学的根拠は十分ではないと否決されたと
報道されている。

 カリフォルニア州の上院では子ども用食品飲料容器へのビスフェ
ノールA使用禁止が先月可決されている。

(ビスフェノールAの問題は科学ではなく政治)

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090716
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ビスフェノールAが問題視されたのは、「環境ホルモン」の騒ぎ
からです。

 今さらという感じですが、「環境ホルモン」というのは、「内分
泌攪乱物質」のことで、「内分泌物質(ホルモン)」と同じような
働きをして、生物に影響を与えるというものです。

 それまでにも、体内のホルモンと同じような効果のある物質は知
られていました。

 よく知られているものでは、大豆のイソフラボンがあります。ビ
スフェノールAと同じく、女性ホルモンに似た働きをします。

 効力としては、本物の女性ホルモンが最も強く、イソフラボンは
それほど強い効果があるわけではありません。ビスフェノールAに
至っては、一万分の一という人があるくらいで、ごくわずかな効果
しかありません。

 これが何故問題になったかというと、U字効果とか言っていまし
たが、通常の毒性学の常識とは違って、極低用量のときに逆に効果
が高まる現象がある、と一部の学者が主張したためです。

 もし本当なら「衝撃の事実」ですので、一斉に確認のための研究
が始まりました。日本でも、環境省が中心になって、研究を進めま
した。

 実はすでに結論は出ています。結論は「環境ホルモンは存在しな
い」です。心配されていた極低用量での効果というのは幻でした。
したがって、「環境ホルモン」の一つとして問題視された、ビスフ
ェノールAに対する嫌疑は基本的には晴れています。

 ところが未練というか、ビスフェノールAが「環境ホルモン」候
補としてあげられた物質の中で、唯一「女性ホルモン」効果が実測
できる物質だったため、未だに研究を続けている人がいて、それを
根拠に一部の人たちが悪口を言っているというのが現状です。

 このあたりの経緯を、厚生労働省がまとめています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ビスフェノールAについてのQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html

 ビスフェノールAについては、動物を用いての急性毒性、反復投
与毒性、生殖・発生毒性、遺伝毒性、発がん性などの様々な毒性試
験が実施されており、その結果から無毒性量が求められています。

 これらの毒性試験における無毒性量を基に種差や個体差などに起
因する不確実性も考慮し、安全側に立って、ヒトに対する耐容一日
摂取量が1993年(平成5年)に、0.05mg/kg体重/日
と設定されました。

 それに基づいて、我が国の食品衛生法の規格基準においては、ポ
リカーボネート製器具及び容器・包装からのビスフェノールAの溶
出試験規格を2.5μg/ml(2.5ppm)以下と制限してい
ます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 いろいろと書いていますが、安全性についての話は上記部分で終
わっています。

 この規制値を守っている限り、何の問題もないということです。
たとえこの百倍の量が溶けてでたとしても、人体に影響が出るとは
考えられないです。

 それにもかかわらず、未だに問題視する意見がなくならないこと
を、「科学ではなく政治」だと言われているわけです。

 以下はそれにまつわる興味深い話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 欧米での尿道下裂の発生率が日本の約10倍もあることは興味深い。
環境ホルモンが関係しているかもしれないヒトの異常として、日本
ではもっぱら精子数減少が取り上げられている。しかし、欧米では、
乳がん、前立腺がん、睾丸がん、停留睾丸、尿道下裂なども取り上
げられている。

 これらの日本での発生率は欧米に比べて、いずれも非常に低いの
だ。すなわち、乳がんの発生率は1/4、前立腺がんでは1/10、精巣
がんでは1/5である。日本人の乳がんと前立腺がんの発生率の低い
のは、脂肪分がすくなく、大豆(植物性女性ホルモン)の多い食事
が原因と見られている。一方、尿道下裂は出生時に判る異常である
から、遺伝的要因すなわち人種差が主たる原因になるのだろうか。

 環境ホルモンが原因かもしれない異常は日本では欧米に比較して
ずっと少ない。それにも係わらず、日本政府の環境ホルモン予算は
欧米に比較してずっと多いのは不思議だ。日本の予算は1998〜2000
年の間、約80億円/年である。米国は約30億円/年、英国は1994〜
2001年の8年間で合計27億円にすぎない。

http://www.yasuienv.net/EDCFin.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 日本人は長寿で有名です。しかも心臓疾患をはじめ、欧米で多い
病気が異常に少ないこともよく知られています。「日本食」のブー
ムの背景にはこんなこともあるのですが、果たして食事がどの程度
影響しているのかよくわかっていません。

 当たり前ですが、本物の女性ホルモンより大きな効果を持つ女性
ホルモンに似た物質は存在しません。下水などで女性ホルモン効果
を測定すると、ほとんどすべてが人間の排出した本物の女性ホルモ
ンによるものです。

 結構大量に女性ホルモンが存在する女性の身体の中に、極微量の、
しかも効果の低い女性ホルモン様物質があったとして、何か影響が
あるということはありません。もちろん男性でも同様です。

 「微量だが効果が大きい」のでも、「効果は小さいが無視できな
いほど多量にある」のでもなく、「効果のごく小さいものが極微量
存在している(かもしれない)」のです。それが何か?ですね。

 既に結論は出ているのですから、いい加減にこんな話はなくなっ
てほしいものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ビスフェノールAは虫歯の充填物の中にも使用されているように
私たちの体に直接触れる部分に多く使用されている。厚生省は溶出
するビスフェノールAは微量であり、プラスチック製容器などの使
用でただちに健康に障害が出るとは考えられないという結論を出し
ている。

 しかし、弱いながらもエストロゲン様作用をもつビスフェノール
Aが溶け出しているのは事実である。また、ビスフェノールAは母体
内で分解されやすいことから、胎児への移行はないと考えられてい
たが、へその緒から検出されたという研究が発表され、大きな衝撃
を与えた。現時点では胎児や乳児に対してどの程度の濃度でどのよ
うな影響をおよぼすのかはまったく明らかになっていない。より詳
しい研究成果が待たれる。

http://www.ecology.or.jp/member/harm/9910.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 結論が出ているものをレトリックで補って、何とか体面を繕って
いる図です。数少ない、国民に対する脅しに使えるネタを、死んで
も放さないぞ、と言っているようでもあります。

 最後に、中西準子先生のお話を紹介しておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 まず、奥論考の最後から引用。“「環境ホルモン」をめぐる一連
の報道は、環境問題や人間の健康について警鐘を鳴らすものだった。
つまり、「警鐘報道」と呼ぶことができる。この種の「警鐘報道」
を、ジャーナリズム本来の重要な役割の一つと考える人はいるだろ
う。

 だが、もともと「悪いニュース」が「いいニュース」になる傾き
をもつジャーナリズムにおいて、「警鐘報道」は特有の「危うさ」
を持っていると考えるべきなのだ。(中略)しかも、「悪いニュー
ス」が後になって誤っていたことが分かっても、「警鐘を鳴らした
のだから」と免罪される。そうした環境の中で、「悪いニュース」
=「いいニュース」だけが増幅していく。「警鐘報道」にはこうし
た陥穽がつきまとう。

 本稿で見た「環境ホルモン」報道の洪水のさまは、まさしくこう
した「警鐘報道」の陥穽にはまったものだ。アラームニス(警鐘を
鳴らす人)たちは、「環境問題に熱心なジャーナリスト」という美
名のもとで、せっせと「悪いニュース」を拾い集めた。

(中略)「環境ホルモン」が疑われる物質の溶出をしばしば報道し
た。(中略)これらの事例は人間の健康と直接つながるものではな
いし、ましてや「人類の危機」とはかかわりがない。(中略)「環
境ホルモン」報道は、しばしばこうした文脈で出来事を大仰に伝え
てきた。なぜか。「悪いニュース」は「いいニュース」だからであ
る。“

(略)

 そこで、最も人々を不安に陥れたのは、多分「生殖障害」あるい
は「生殖異変」というキーワードだったと奥さんは書いている。そ
れが、「精子数の減少」につながっていく。それが、怖れだけなら
まだ問題はそれほど大きくはならなかったかもしれないが、カップ
ラーメンという身近な物、また、多摩川というこれまた誰もが知っ
ている川のコイ、給食食器、子供というかたちで、どんどん「危険
感」を煽るキーワードが提供されていった。

 多摩川の報道の時点では、英国で当初報告された事例が、下水処
理水中に含まれる人の排泄物中の女性ホルモンだということが明ら
かにされているにも拘わらず、多摩川のコイがノニルフェノールの
影響を受けているかのような報道が行われた。

 多摩川の調査(?これが調査?)を受けて、朝日新聞は「環境ホ
ルモン汚染が進めば、子どものいないSF小説のような社会が出現す
るかもしれない」と書いた。今から考えれば、およそあほらしいこ
とが、麗々しくクオリティ・ペーパーに載り、洪水を作っていった
ことが分かる。

 こういう危機は、<おどろおどろしきこと>+<身近>、つまり
異質の二つの要素が組み合わされて作られることを、繰り返しだが
書いておこう。

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak281_285.html#zakkan283
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「およそあほらしい」ことで心配する人が少しでも減りますよう
に。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 いよいよ夏休みのシーズンです。来週には近くに住んでいる息子
が、わが家の2匹のイヌを連れて、キャンプに行くのだとか言って
いました。

 中国語検定の合格発表があり、3級、4級ともに合格していまし
た。思っていたより悪い点だったので、ちょっと不満なんですが、
合格したのでよしとします。もう少しうまくなったら中国で暮らし
てみたい…などと思っているのはやはり変なのでしょうね。

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