安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>502号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------502号--2009.06.21------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「Q&A」「食肉の生食」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
------------------------------------------------------------
ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
------------------------------------------------------------
---〔話題〕-------------------------------------------------

 食品関係のニュースで、こんなのがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 品質管理認証1社のみ 健康食品対象「GMP製造」、負担増に
業界苦慮

 琉球新報

 今秋にも導入される健康食品の安全性に関する「第三者認証制度」
で、認証の条件となる品質・衛生管理の製造工程システム「GMP
製造」に対応した工場を持つ健康食品企業は、県内に1社しかない
ことが18日分かった。

 同制度の取得義務はないが、低品質な健康食品による健康被害を
防止するため、厚生労働省が導入する。認証取得には多額の費用や
長い時間を要すると指摘されている。県健康産業協議会(下地清吉
社長)は「中小規模が多い県内の健康食品製造会社にとって認証を
取得するのは極めて困難。業界全体に対する支援が必要だ」と話し
ている。

 GMPは医薬品などを対象とした製造工程管理システム。食品が
対象の製造管理システム「HACCP」より基準が厳格で、設備投
資も多額になる。県健康産業協議会会員の健康食品企業数は19日
現在で54社あるが、GMP対応の工場は、沖縄市の「マリーンバ
イオ」1社にとどまる。

 第三者認証制度は原料と製品のそれぞれについて、文献を引用し
安全性を検証することも求める。これについても複数種の原料を使
用したり、製造工程が複雑だったりする場合、1000以上の文献
が必要になるとの指摘もあり、業者の多大な負担が懸念される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090619-00000006-ryu-oki
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 健康食品に関して、偉そうなことを言っているのだから、医薬品
なみの品質管理をしてもらおうじゃないか、というところです。

 ちゃんとした品質管理もできない工場で作っておいて、「健康食
品」を名乗るのは厚かましいと私も思います。いつも言いますが、
健康食品の生命線はその効果ではなく、無害性の保証です。

 懸念すべきは「業者の多大な負担」ではなくて、「消費者の安全」
だと思います。安全性を保証できないのに「健康食品」を名乗るべ
きではありません。

 この記事は琉球新報ですので、「県内」というのは沖縄のことで
す。沖縄産の健康食品というのもよくありますが、みんなこんなレ
ベルだと思っておいたほうがよさそうです。

 この記事の中で、「「HACCP」より基準が厳格」という部分
は明らかな事実誤認です。こういう比べ方をするものではないので
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 適正製造規範は頭文字からGMP(ジーエムピー)と呼ばれること
が多い。

 1960年代から米国で採用された規則で、安全性でよりよい品質や
健全性を有する医薬品・食品等を製造するための製造時の管理・遵
守事項が定められている。

 米国のGMPは法的強制力を持つ連邦規則であり、日本でも医薬品
に関しては薬事法に取り入れられたが、食品に関しては法律に基づ
いたGMPの策定はされていない。

 その後米国では食品に由来する危害を防止するためには、まず原
料の安全性を確保し、次に汚染防止対策のためにGMPを遵守し、さ
らに重要な危害をコントロールするためにHACCPを導入する「農場
から食卓まで」という政策に繋がり、世界各国でHACCP導入の機運
が高まった。

http://www.shokusan.or.jp/haccp/basis/1_4_5_gmp.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 つまり、GMPはHACCPの前提であり、GMPを完全に実施
してもなお残る危害の可能性を消していくのがHACCPなのです。

 いつもながら新聞記者の頭の中身に疑問を感じさせる記事ですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.缶詰の急冷する理由は何ですか?

------------------------------------------------------------

A.私のサイトに、缶詰の作り方の話で、加熱後に急冷する、と書
いてあります。改めて質問を受けて、考えてしまいました。

 食品を加熱した後、急冷するのはごく一般的なことなので、あま
り深く考えていませんでした。実際、工場ではよく冷水をかけたり
して冷やしています。

 加熱後の急冷は、一般的には微生物の繁殖温度帯をすばやく通過
させるのが目的です。でも缶詰の場合はすでに滅菌していますので、
あまり関係なさそうです。

 加熱は殺菌のためには高い温度がよいのですが、食品自体への影
響も大きく、充分殺菌できるぎりぎりの温度を設定します。超高温
にすれば殺菌は簡単ですが、食品もダメになってしまいます。

 こういうことから、素早く加熱し、すばやく冷やして、完全な殺
菌と食品へのダメージの防止を狙っているのだと解釈しましたが、
はたしてどうでしょうか。あまり自信はありません。

------------------------------------------------------------

Q.有機の表示に関してお教え下さい。原料の一部に有機原料を使
用し、野菜シチューを製造したときに原料表記で次のように表記で
きるのでしょうか?

有機トマト
有機キャベツ
白菜
人参

と言うように、表記は出来るのでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.個別の問題は私には答えられませんので、保健所などに問い合
わせてください。以下は一般論です。

 食品表示には「特色のある原材料」という表示方法が認められて
います。以下のようなものが相当するそうです。

(1)特定の原産地のもの
(2)有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
(3)非遺伝子組換えのもの
(4)特定の製造地のもの
(5)特別な栽培方法により生産された農産物
(6)品種名等
(7)銘柄名、ブランド名、商品名

 ご質問の件は(2)に該当しそうですね。その原材料が100%
表示に該当する場合は何も書かなくてよいですが、そうでないとき
は「(○○%)」という表記が必要です。

 世間で「産地偽装」などと呼ばれている事件は、この表示に違反
が多いということでもあります。

 有機認証に関しては実はかなり違反が多く、よく問題になってい
ます。はっきり言って信用はほとんどありません。

 本当に「有機農産物」の名に値するかどうかの確認も慎重にとる
べきと思います。納入業者がそう言っていたとしても、まず疑って
かかってください。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食肉の生食」
------------------------------------------------------------

 日経BPのメールマガジンの内容を、著者の方から送っていただ
きました。有料サイトですので、少し紹介してみます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品衛生レビュー●食肉の生食の事故は続く。食肉の生食は怖い、
出すな、食べるな

 食肉の生食の習慣があるのは、世界でも東南アジアの一部、北極
圏近くに住むエスキモー、それに日本人くらいです。日本人は、世
界でも数少ない魚類を生で食べる習慣を代々受け継できた国民であ
り、1965年以降、生の獣肉(牛肉、馬肉、時には豚肉)を食べる食
生活が難なく定着するようにまってきました。しかし、獣肉はカン
ピロバクター、腸管出血性大腸菌O157などの細菌、肝炎ウイルス、
寄生虫などに汚染されていることがあり、生食は大変大きな危険を
伴っていることを再認識する必要があります。今年に入って、「レ
バ刺し」による食中毒が相次ぎ発生しているのです。

http://pharma.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=3099
-----(以上が公開部分)------

 次に、09年の「レバ刺し」による食中毒事件の速報を示します。
詳細は不明ですが、「レバ刺し」以外の獣肉(鶏肉を除く)の生食
(牛刺し、ユッケ)でも発生しているようです。

・3月14日、山口県下関市、飲食店で発生、レバ刺し(推定)、カ
ンピロバクター、摂食者数不明、患者数9人

・3月29日、札幌市、飲食店で発生、牛レバ刺し(推定)、腸管出
血性大腸菌O157、摂食者数不明、患者数3人

・4月18日、宇都宮市、飲食店で発生、牛レバ刺し、カンピロバク
ター、摂食者数5人、患者数3人

・4月29日、宇都宮市、飲食店で発生、牛レバ刺し、カンピロバク
ター、接触者数7人、患者数4

 寄生虫による事故としては、06年10月に大阪府の焼肉店で起こり
ました。牛レバ刺しやユッケなどを食べた4人が、5〜7日後に腹痛
や水様性下痢などの症状を呈し、病因物質を調べたところ、原虫の
クリプトスポリジウムでした。

(略)

 テレビのグルメ番組で、「この店のレバーは新鮮だからレバ刺し
で食べられる」と説明しているのをよく見ますが、国の衛生基準に
適合した生食できる食肉(牛・豚肉)はほとんど流通していないの
が現状です。

(略)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ほぼ同じ内容のページが島根県にありました。驚くべきなのは、
「生食用」レバーを出荷できる処理場が以下のとおりしかないこと
です。しかもそのうち4つは馬レバーのみですから、その他のレバ
ーは2箇所のみです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

生食用食肉の取扱状況(平成19年度実績)

(1)生食用レバーの加工基準に適合していると畜場及び出荷実績

・新潟市:新潟市食肉センター
・長野県:佐久広域食肉流通センター
・福岡県:県南食肉センター※
・福岡県:うきは市と畜場 ※
・熊本県:千興ファーム食肉センター ※
・熊本市:熊本市食肉センター ※

(注)「生食用食肉等の安全性確保について」(98年9月11日付け
生衛発第1358号)に基づく生食用食肉の加工基準目標のうち、肝臓
の処理について適合していると畜場を指す。

(※)生食用レバーの出荷実績は馬レバーのみ

http://www.pref.shimane.lg.jp/life/syoku/anzen/eisei/kisotisiki/seishoku_niku.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これを見ると、都会で食べている生レバーの、ほとんどが生産基
準に適合したものでないことは容易に想像がつきます。

 以下は「教えて!goo」の質問と回答です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

生食用レバーは存在しないの?

某サイトの記述には

 ※ちなみに実は生食用のレバーって存在しません。

 「生食用レバー」を出荷できる基準を満たす食肉処理施設は20
06年全国202施設のうち6施設のみで、そこも生食用のレバー
は取り扱ってません。

 つまり普段みなさんが食べている生レバは全て加熱用のものって
ことです。鮮度がいいから問題ないと主張する人がいますが、生レ
バーっていうのは牛だろうが豚だろうが鳥だろうが細菌や寄生虫の
リスクが高いです。下手したら死にます。知識がある人(細菌学学
んだ人とか)は絶対に食べない、あんなもの食べれないといいます。
つまり何が言いたいかというと生レバ食うときはリスク覚悟で気合
いれて食えってことです。

とありました。

------------------------------------------------------------

 国の衛生管理基準を満たした、合法的な生食用レバーは流通して
いないって事だと思います。

 牛の腸管内(つまり糞便)には、かなりの確率で食中毒菌が存在
します。

 食肉の処理をする時、レバーだけを安全に取り出せる物なら良い
のですが、レバーが汚染される可能性はあります。

 一回だけならともかく、商業的に毎回毎回、汚染ゼロの生食用で
すよと100%の自信を持って処理して、流通させるのは難しいと思
います。

 99.9%安全だったとしても食中毒が1回発生すれば信用を失いま
す。知識がある人は、生食用として売らないが実情だと思います。

処理方法に関して
http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/niku/tuuti.htm

リスクに関しては下記を参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/campylo/index.html
http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/index.html

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3891054.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで紹介されているサイトでは、具体的な処理方法が書かれて
います。こんな具合です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

イ 肝臓の処理

(ア) 肝臓は、次の基準に適合する方法で処理すること。

(1) 食道結さつに当たっては、頸部食道断端部分は、合成樹脂製等
不浸透性の袋で被った後に結さつすること。ただし、解体処理工程
上、明らかに頸部食道断端が肝臓に触れる可能性がない場合は袋で
被う必要はない。

(2) 肝臓の取り出し前に胃又は腸を取り出す場合は、消化管破損の
ないよう取り出すこと。消化管破損があった場合は、その個体の肝
臓は生食用に供しないこと。

(3) 肝臓の取り出し直前に、手指を洗浄し、ナイフ等の器具を洗浄
消毒すること。また腹部正中線部分の表面については消毒又は汚染
部分の切除を行うこと。

(4) 肝臓の取り出しに当たっては、肝臓、手指又は器具が皮毛又は
作業員のエプロン等に触れないように取り出し、直接、清潔な容器
等に収め、取り出し後は速やかに冷却すること。

(イ) 肝臓は、病変、寄生虫、消化管内容物又は皮毛等が認められ
ないこと。

(ウ) 内臓取扱室では、他の内臓(生食用でない肝臓を含む。)の
取扱い場所と明確に区分し、洗浄、消毒に必要な専用の設備が設け
られていること。

(エ) 内臓取扱室で、生食用の肝臓を取扱う加工台、まな板及び包
丁等の器具は、専用のものを用いること。

 また、これらの器具は、清潔で衛生的な洗浄消毒が容易な不浸透
性の材質であること。

http://www.pref.osaka.jp/shokuhin/niku/tuuti.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これをきちんと守っている(守ることができる)処理場が、全国
に6箇所しかないのです。

 レバーでなくて、普通の部位の肉でも、事情はほとんど同じです。
つまり、「ユッケ」なんか食べてはいけないということです。

 こういうことを言うと、魚はどうなの?というツッコミが入りそ
うです。実は魚でも事情は同じなのですよね。

 安全性を考えれば、刺身もまた食べるべきではありません。

 でも、そういうわけにはいかないのが文化というものです。ただ、
魚と違って肉を生食する文化が日本にあったわけではないので、肉
の生食はやめておいた方が無難と思います。

 そして老人や子どもには、刺身も避けた方がよいです。刺身も体
力に自信がある人が「気合を入れて」食べるくらいにしておいた方
がよいのでしょうね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 食べ物の安全を語るとき、背景にある文化の問題は大きいです。
自国の文化にないものなら、「安全が確認されないからダメ」と言
ってしまえばおしまいなんですが。

 世界的に日本料理店が増えているそうです。中にはかなりいい加
減なところもあるようなので、大丈夫なのか心配になります。私な
ら外国に行ってまで日本料理を食べたいとは思いません。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-502号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数4109名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/