安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>50号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------50号--2000.10.23------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「エネルギーの栄養素別摂取構成比」
     「賞味期限」(Q&A)
     「炭水化物」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 ちょっと驚きのデータが新聞に載っていました。日本人の摂取栄
養量についてです。グラフの数字から拾ってみると、以下のような
数字になります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

エネルギーの栄養素別摂取構成比

       1978年  1988年  1998年

糖質       62.5 56.1 52.5
脂質 22.7 24.2 23.9
たんぱく質 14.8 14.6 14.6
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合計 100.0 94.7 91.0

(2000/10/21 毎日新聞大阪版・夕刊の記事より作表)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事は上記の新聞の「生病老死」というコラムです。高田明
和さんという医師が書いています。元のデータは厚生省の国民栄養
調査だそうです。

 数字は、1979年の摂取エネルギーを100として、その構成比を
出しています。以降の年度については、総エネルギーを1979年との
比率であらわしています。

 これを見て驚くのは、摂取エネルギー(要するに「カロリー」で
す。)がこの20年の間に、1割近くも減っていることです。

 三大栄養素で見ると、糖質(炭水化物)は減っていますが、脂質、
たんぱく質は横ばいといったところです。減った分のかなりは、米
のごはんなんでしょうね。

 そういえば、最近の若い女性のスリムなことはびっくりするくら
いです。また、いわゆる肥満も、子供から高齢の人まで、確かに減
っているような気がします。

 しかし、世界の常識として、「国民所得と摂取エネルギーは比例
関係にある。(金持ちになればたくさん食べる)」ということがあ
ります。

 また、エネルギーの内容も、糖質(炭水化物)中心からたんぱく
質・脂質中心へ変わっていくのが普通です。アメリカではその傾向
が行き着くところまでいって、ようやく1990年代に入って、脂肪の
過剰摂取に歯止めがかかった、という話を最近読んだところです。

 そういえば、肉の消費量の数字を見ると、単位を見間違えたので
はないか、と思うほどすごいものがあります。別にアメリカだけで
なく、ずいぶん前ですがポーランドで肉不足で騒いでいるとき、困
っているだろうな、と思って数字を見ると、その時点で、ポーラン
ド人の肉の消費量は日本人の10倍以上あったのです。

 そんなに食うなよ、などと思ったことを覚えています。とにかく、
肉類の食い過ぎは豊かな欧米社会にとっては、悩みの種でした。

 アメリカから日本へは常に一方通行で情報が流れてきます。こう
した背景で、肉の消費を控えるようにというキャンペーンの情報が
日本にも入ってきて、日本人が過剰に反応した、ということが考え
られます。

 「粗食のすすめ」などという無責任な本も出回っていて、老人ホ
ームでは肉が食べさせてもらえなくなった、などという話も聞きま
す。

 私は別に肉をもっと食べるべきだ、と主張するわけではありませ
んが、肉のことを悪くいう情報には、かなり行き過ぎたものが多い
と思います。

 日本人の寿命が伸びたのは、日本人の食事の欠点だった、たんぱ
く質不足が、肉を食べるようになって、解消したということが原因
の一つになっています。

 欧米では肉食過多によって、血管がつまるタイプの脳や心臓の疾
患が多いのですが、日本ではまだまだ血管の強度不足による脳卒中
が多いのです。(私の父の動脈瘤破裂もこのタイプだったと思いま
す。)

 思想としてのベジタリアンには敬意を表しますが、半端に「肉は
身体に良くない」などと、お年寄りに言ったりしないでほしいもの
です。

 それはともかく、日本人は史上はじめて、所得が増えたのに食事
量が減る、という今までの常識を覆すような体験をしたのです。い
わゆるダイエットブームだけでは語りきれない、不思議な現象では
あります。

 件の記事では、日本が世界の高所得国の中では、際立ってスポー
ツの成績が劣る、ということとの関連が示唆されていました。

 私は日本のスポーツが弱いのは、プロが育たない、という文化の
問題と思っていましたが、この意見にはちょっとびっくりしました。

 今のところ、私にはよくわかりません。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.質問ですが賞味期限とは、開封しない状況で、指定の保存方法
をとったときに大丈夫な期間と捕らえているのですが、開封しても
賞味期限まで大丈夫な食品とかは、あるのでしょうか???

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A.これはないですね。

 賞味期限というのは、メーカーが購買者に対して、品質を保証す
る期限です。本来は購入した時点でメーカーの責任はなくなりそう
なものですが、購入後も、開封するまでは一応保証期間とされてい
るようです。

 開封前でも、保存状態によって、品質には差がでてきます。冷凍
物を解凍してしまったり、冷蔵が必要なものを常温で放置したり、
乾物を日のあたる場所においたり、と失敗はいろいろあります。

 マヨネーズを開封前に冷蔵庫に入れておいて、冷やし過ぎでダメ
にしてしまう、というようなこともあります。

 これらは全て消費者=その時点での管理者の責任ですので、メー
カーに苦情を言う筋合いではないと思うのですが、実際にはそうい
う苦情も多いそうで、不要な保存料の添加などは、実はこうした圧
力がさせている、という面があります。

 スーパーなんかでも、特売の牛乳を冷蔵ショーケースの前に積ん
であったりする店もあります。こんな扱いをされたものの賞味期限
はもう信用できないですね。

 開封後は賞味期限のことはきれいに忘れてください。

 それでは開封後はどれだけもつのか?ということですが、これは
自分で判断するしかないです。

 メーカーの検査でも、「官能検査」という項目があります。これ
は見た目、匂い、味などで異常を感知するものです。人間の感覚は
結構あてになりますので、普通に使っていて、異常を感じなければ、
別に日にちを気にすることはありません。

 日がたつと、だんだんと美味しくなくなってきます。この美味し
くなくなる過程が腐敗に至る過程と同じと考え、美味しくなくなっ
てきたら、食べないようにしたら良いと思います。

 最近は卵にも賞味期限を表示しています。この期限を過ぎても、
割って異常なければ食べられるのですが、生で食べてはいけません。
これは食中毒の原因となるサルモネラ菌が繁殖していると、見た目
には異常なくても、食中毒になることがあるからです。(この場合
でも、よく加熱すれば食べられます。)

 賞味期限を表示していない卵は、その時点で賞味期限を過ぎてい
ると判断してください。

 こうした個別の話は、またメールマガジンでもとりあげていきま
す。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「炭水化物」
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 たんぱく質、脂肪とならんで、三大栄養素の一つが炭水化物です。
C6H1206という「六炭糖」(ブドウ糖など)が構成単位ですので、
炭素(C6)+水(H1206)、ということになり、炭水化物という
名前も、ここからきているようです。

 炭水化物には、一番小さな単糖類から、それがたくさんつながっ
て巨大分子になったデンプンまで、いろいろな種類があります。

 デンプンはブドウ糖がたくさんつながってできています。ごはん
の主成分はデンプンです。ごはんをよく噛んでいると、甘く感じる
ようになりますが、唾液中の消化酵素によって、デンプンが分解さ
れ、麦芽糖(ブドウ糖が二つつながったもの)が出来てくるためで
す。

 紙の原料になるセルロースもデンプンと同じ、ブドウ糖がたくさ
んつながったものですが、つながり方が違うため、人間は消化でき
ません。

 哺乳類は一般にセルロースは消化できないのですが、草食動物で
は、体内でセルロースを分解する微生物の助けを借りて、栄養源に
できるものが多くあります。牛はこのために四つの胃を持っていま
すし、馬などでは巨大な盲腸がその働きをしています。

 こういうわけで、山羊さんは紙を平気で食べられるわけです。

 分解してブドウ糖にしてしまえば、砂糖でもデンプンでもセルロ
ースでも、栄養的にはいっしょです。特に脳細胞はブドウ糖しか利
用できませんので、血液中に一定以上のブドウ糖が存在することが
生存していくための絶対条件です。

 ブドウ糖は血液中に存在するもの以外は、筋肉や肝臓などにグリ
コーゲンという形で貯蔵されています。これもデンプンと同じく、
ブドウ糖の集まりです。運動中には、このグリコーゲンが主なエネ
ルギー源になります。

 息子が高校時代、サッカー部の食事指導で、運動前には炭水化物、
運動後にはたんぱく質を中心にとるように、というのがありました。

 これはなかなか理にかなっています。筋肉は負荷がかかると自己
増強しようとしますので、そのタイミングでたんぱく質を補給し、
運動前にはもっともエネルギー源となりやすい、炭水化物をとって
おくというわけです。

 炭水化物からエネルギーを取り出すには、いろいろと複雑な代謝
工程を経るのですが、炭水化物はもっとも利用しやすいエネルギー
源です。このとき、ビタミンB群が補酵素として必要ですので、炭
水化物に偏った食事はビタミンB群不足をおこします。(脚気とい
う病気です。)

 炭水化物の基本単位はブドウ糖ですが、果糖・乳糖という異性体
もあります。果糖はくだものに多く含まれる糖で、蜂蜜の主成分で
もあります。

 ブドウ糖と果糖が一分子ずつ結合したのが砂糖(蔗糖)です。デ
ンプンを分解してブドウ糖を作り、異性化酵素を使ってブドウ糖と
果糖の混合物にしたものが食品に多く使われています。

 この異性化酵素というのはおもしろいもので、ブドウ糖をつかま
えると果糖に変え、果糖をつかまえるとブドウ糖に変える、という
無節操なやつです。

 で最初はどんどんブドウ糖を果糖に変えますが、だんだんと落ち
着いてきてだいたい半分ずつになったところで平衡状態になる、と
いうわけです。こうして、ブドウ糖と果糖の混合物ができます。

 原料表示に「ブドウ糖果糖液糖」と書かれているのがそうです。
砂糖より甘味は少し劣りますが、クセのない味で、価格も安いため、
大変良く使われるようになりました。

 砂糖の国際価格が暴落した原因に、この異性化糖の普及がありま
す。異性化糖の原料は主にトウモロコシのデンプンです。したがっ
てこれを使っていると、厳密には「遺伝子組み換え作物不使用」と
は言えないのですが、まあこれは余計なお世話でしょう。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 早いもので、もう50号になりました。質問のメールも順調にいた
だいて、ここまでさほどの苦労はなく、続けて来ることができまし
た。読者の皆さんに改めて感謝します。

 我が家の買い物は私の仕事だったのですが、肩の怪我以来、食品
売り場からも遠ざかっています。料理も全然していないので、ちょ
っとカンがにぶっているかも知れません。

 今日は税務署に出す書類を作っていて、久し振りに会計処理のこ
とを思い出しましたが、このところ、コンピュータの前に座ったき
りの生活で、人間の言葉よりコンピュータの言葉の方が身近になっ
てしまいそうで、ちょっと不安です。

 というわけで、いつも言っていますが、お便り心からお待ちして
いますので、よろしくお願いします。(メールマガジンに引用して
はいけない場合は、「引用不可」と書いて置いてください。)

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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