安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>491号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------491号--2009.04.05------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「食糧危機」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 前々から思っていましたが、食の安全を啓発する本では、渡辺さ
んのような正鵠を付く人の本はまったく話題にもならないのに、キ
ワモノの本は爆発的に売れますね(もっとも、忘れ去られるのも早
いのですが)。なぜこういうことが起こるのか、不思議で仕方があ
りません。ことばは悪いですが、銭儲けのためでしょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 メディアの本質というか、大衆の好みというか、まあそんなもの
ではないでしょうか。私はそれほど悪いことだとは思っていません。

 流行に弱いのは人の常ですし、私たちが信じていることも、どれ
くらい本当のことなのかは別に保証があるわけではありません。

 それより怖いのは、自分たちが正義であると思い込んでいる人た
ちです。

 さて、お役人というのは実に流行に乗るのがうまいなあ、と感心
しているのが、以下のようなニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品リサイクル認証制度相次ぐ 肥料、飼料対象に普及支援

 今年春から食品リサイクルに関する製品認証制度が次々とスター
トしている。食品廃棄物をリサイクルした肥料、その肥料で生産さ
れた農産物、その農産物の加工食品を認証する「食品リサイクル製
品−認証・普及制度」が、1日から運用を開始。食品廃棄物を再資
源化して製造した飼料を認証する「エコフィード認証制度」の申請
受付も3月23日から始まった。

 食品廃棄物は2007年度、一般家庭を除いた業務部門(製造業、
流通業、外食産業など)だけでも1134万3000トンにのぼり、
ここ数年は1130万トン強で推移している。微増傾向にあった排
出量が微減に転じたのは06年度から。01年5月に施行された食
品リサイクル法の効果で、リサイクル率も02年度の45%(食品
リサイクル法が定めた用途では35%)が07年度には60%(同
49%)に高まった。さらに07年12月の改正食品リサイクル法
の施行により、熱源としての再資源化も認められた。

 また再生利用される用途をみると、07年度で肥料37%、飼料
35%。肥料と飼料合わせてリサイクル量の7割以上を占める。こ
のため農林水産省は、肥料と飼料に認証制度を設けることで、安全
で高品質のリサイクル製品を普及させていく方針だ。

 肥料へのリサイクル制度は、農水省の補助事業として食品産業セ
ンターが制定し、日本土壌協会が第三者機関として認証する。食品
廃棄物が10%以上含まれ安全性と一定の品質を満たしていること
が認証基準となる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090402-00000044-fsi-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そもそも、こんなことをして何か意味があるとは思えないのです
が、流行に乗ってちゃっかり予算を獲得しているわけです。

 食べ物のリサイクルは危険ですし、それによって資源が節約でき
るわけでもありません。無意味なことに税金が使われるのは困った
ことですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.カレーにうっすらと(表面)白いカビが生えてしまいました。
その部分だけ取り除き、加熱すれば
食べられるものでしょうか・・・・・。

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A.これはもうあきらめてください。カビの生えたものは食べない
のが原則です。

 どんなカビであるとか、毒性があるかどうかなどということは、
気にしても仕方ないです。とにかく、カビが生えた時点で食べ物と
しては不適格であると考えるべきです。

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Q.冷蔵庫の野菜室に,フローリング用のウェットシートを入れて
いました.野菜に有害物質がうつることがあるのでしょうか?

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A.もし、これで有害であるなら、そんな危険なものを家庭に置い
ておくことがよくないです。家庭用として売っている限り、そんな
に危険なはずがありません。

 意識の上での区別と違って、物質の世界ではそんなにきれいに別
れるものではありませんから、家庭内に置いてある物質は、微量で
も体内に取り込んでいると考えてください。

 もしそれで身体に異常が出るなら、そんな危険なものを売ってい
る方が間違っています。

 結構危険なものとされる漂白剤なんかでも、使用時に吸い込む程
度なら害はないことが前提になっています。そのまま飲んではいけ
ませんけれどね。

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Q.冷蔵庫に入れたままにしていた汁入りのお漬け物にいっぱいカ
ビが生えていたました。処分するために水分を捨てようとそれらご
と排水溝に流したあと、ついその上から水を流してしまいました。
かびの胞子は空気中にまってしまったのでしょうか?まってしまっ
た場合どうしたらよいのでしょうか?生まれたばかりの赤ちゃんが
いるので心配です。

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A.残念ながら、カビの胞子などは空気中にいくらでもいます。だ
からどこにでもカビは生えてくるのです。

 カビに限らず、空気中には大量の微生物が存在しています。人間
はそうした環境で生きていくことができるように生まれてきます。

 いわゆる免疫というのは、別に特別の病気に対して働くのではな
くて、そういう微生物と共存していくために、体内に入ってくるの
を防ぐことができるようになっています。

 最近、急激にアレルギー症状が増えているのは、衛生的になりす
ぎて、そういう防衛機構が暴走するのだ、というのが一番有力な説
になっているくらいです。

 あまりに衛生的すぎる環境はかえって身体によくないという説も
あるくらいです。微生物が普通に存在している環境を、気にする必
要はないと思います。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食糧危機」
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 ブログにも書いたのですが、最近『「食糧危機」をあおってはい
けない』という本を読みました。

 著者の川島博之氏は現在は大学の先生をしていますが、かつては
官庁に勤めていたこともあり、食糧問題を専門にしている人です。

 食糧危機だとか、自給率を向上しよう、とかいろいろ言われてい
ますが、それが実は全部ウソであるという内容です。

 とにかく、具体的な事実のレベルで「驚愕の真実」を書いていま
すので、紹介してみたいと思います。

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(1)人口は今後爆発的に増えるわけではない。

 すでに先進国では人口は増加どころか減少する段階になってきて
います。アジアでも出生率は低下していて、すでに韓国、台湾、シ
ンガポールなどでは日本よりも低い出生率になっています。

 中国やインドでも、出生率は下がっていて、今世紀の後半には世
界の人口は減少に転じる見込みです。

 実は20世紀後半の人口増加が史上最大のもので、その過程で食
料危機が起らなかったことは幸いでした。すでに山場は乗り越えて
いるのです。

 したがって、今後も「人口爆発」による食糧危機は起こりません。

(2)食糧生産にはまだまだ余力がある。

 世界的にみて、土地の生産力を限界近くまで使っているのは、西
ヨーロッパ、北アメリカ、日本の三つの地域だけです。需要さえあ
れば、まだまだ生産量をあげることは可能です。

 中国やインドが経済発展にともなって、食糧を輸入するようにな
り、世界的に食糧が不足するという考えもありましたが、現在に至
るまで、そのようなことは起こっていません。

 経済が発展し、収入が増えれば、誰もがアメリカ人のように食べ
るようになると考えるのがそもそもの間違いなのです。これは世界
で最も豊かな国の一つである日本人の食生活を考えればわかります。
アメリカ人にとって普通のサイズのステーキを食べられる日本人は
ほとんどいないですからね。

 もう一つ、食糧の需要が増えれば、まず国内での農業の生産が上
がります。経済発展にともなって、農村から都市への人口の移動は
起こりますが、農業人口の少ない国ほど、農業の生産力が高いとい
うのが事実なのです。

(3)農地も不足しない。

 まだまだ広大な耕作可能地が残されています。また、よく言われ
るアメリカで地下水で灌漑している農地で地下水の枯渇によって農
業ができなくなるということも、実際には起こりません。

 地下水で灌漑している土地はアメリカの農地の5%くらいで、元
々生産力が低くて、補助金で農業をしているようなところです。も
し耕作を放棄しても、その数十倍もある休耕地がありますので、全
体の生産量が減る心配はありません。

 しかも、州政府が中心になって、地下水の枯渇を防ぐプログラム
が実践されていて、実際には枯渇そのものが当分起らない見通しで
す。
 
(4)バイオ燃料も食糧危機の原因とならない。

 アメリカやヨーロッパで、バイオ燃料がもてはやされたのは、エ
ネルギー問題というより農業の需要確保のためでした。しかし現状
ではコスト的にトウモロコシから燃料を作る事業は維持困難になっ
ています。

 これは元々、トウモロコシではコストが合わないことがわかって
いたものを無理をして作っていたのです。すでにアメリカでは続々
とバイオ燃料生産企業がつぶれていて、夢の終りを告げています。

 今後、コスト的に引き合うブラジルでのサトウキビからのバイオ
燃料生産は続く可能性はありますが、食糧危機を招くものではあり
ません。

 昨年の穀物の高騰は、バイオ燃料のせいではなく、石油などと同
じく金融面のバブル現象でした。すでに昨年後半に暴落しています
が、この結果が需給バランスによる暴騰ではなかったことを物語っ
ています。

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 細かい数字は省略して、概要を書きましたが、これは私の意見で
はなくて、この本で主張されていることです。

 世界中の研究者で、食糧危機が近い将来に起ると考えている人は
一人もいないそうです。

 一つの国の中では農業政策というのは大切ですので、農業への補
助や輸出にはみんな熱心ですが、「食糧安保」などと考えている国
はないのですね。

 唯一?日本だけが「食糧安保」だの「自給率向上」などとうるさ
く言っています。その意図がどの辺にあるかというと、農林官僚の
予算獲得が目的だと思います。

 起るはずもない食糧危機で国民を脅しているのですね。この本で
はその辺のことについても書かれています。

 世界的に、上流社会、指導層、知識人などと言われている人たち
で、本当に飢えた経験を持っているのは日本人だけだというのです。

 言われてみれば確かに、敗戦直後は日本人はみんな平等に食べる
ものがありませんでした。日本人は当然と思っていますが、実は日
本以外では、そんなときでも上流階級の人は食べ物を確保できるの
が当たり前です。

 自由競争になれば、カネがあれば買えるわけですから。そうしな
かった日本人は偉いと思います。でも、そのことが今に至るまで、
「食糧危機」で脅されると弱い、トラウマになっているのだという
のが著者の分析です。

 なるほど、そんなところもあるのかも知れません。

■ 現実の問題として、「食糧危機」は起らない。

■ 「食糧危機」を叫ぶ人たちは、そのことで別のところで利益を
得ているので、真に受けてはいけない。

 こういうあたりが結論です。え?と思う方はぜひこの本を読んで
みてください。安っぽい作りの本で、価格も安いです。権威付けし
ようとしていないのがよいですね。

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『「食糧危機」をあおってはいけない』
川島博之 著 文藝春秋 刊
1095円+税(1150円)
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BRICsの経済成長、人口爆発、生産量の限界、「買い負け」、バイオ
燃料、食糧自給率…… 食糧危機の俗説を一網打尽!

食糧問題をシステム工学で分析した
「食糧は、本当は余っている!」

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「目からウロコの真の啓蒙書」

 ぼくはすでに40年以上生きてきて、これが何度も繰り返されて
いるのを見ている。そして一度たりとも、危機論者のあおるような
危機が起きていないのも知っている。それは危機論者たちは根本的
に間違っているからだ。もうこの手の煽動にまどわされないように
しようじゃないか。そのための絶好の一冊がこの本だ。(山形浩生)
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 安っぽい本に、こんな「アオリ」書いています。これに反論する
人が出て、論争になれば面白いですが、反論の余地はたぶんないで
す。

 最後に、版元のサイトの紹介文です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■内容紹介■

 東大准教授が三菱総研とともに徹底的な調査とデータ分析によっ
て、巷の「食糧資源危機説」の嘘をわかりやすく解き明かす科学の
書。

 最近、“食糧危機本”が巷にあふれています。ここ数年原油など
の鉱物資源とともに食糧価格も高騰、また穀物からエタノールをつ
くるバイオ燃料の促進によって、人間の食糧が奪われ、「自給率4
割」の日本は危ないという恐れから、これらの本はおおいにもては
やされました。

 しかし、実際はどうでしょうか。本書の著者は、東大のシステム
分析の専門家で、農業と食糧問題を調べてきました。

 その結果あきらかになったことは、信じられている危機説とはま
ったく逆の事実でした。本書ではその成果をわかりやすく解説して
います。1次データから浮かび上がる冷静な事実は、明日の食糧問
題を憂える日本人必読です。

http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/71/24/9784163712406.shtml
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔後記〕--------------------------------------------------

 食料危機が起らないということと、農業が大切だということは別
の問題です。本当の問題は、食料危機を叫ぶような政府の方針が根
本的に間違った方向に向いていることです。

 1991年刊行ですので、もう古い本ですが、「都市と権力―飢餓と
飽食の歴史社会学」(藤田弘夫 著 創文社 刊)という本があり
ます。この本を読めば、農業の抱えている本質的な問題がわかると
思いますので、合わせておすすめします。図書館にはあると思いま
す。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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