安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>49号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------49号--2000.10.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「米の収穫量」
     「マーガリンの水素添加」(Q&A)
     「イーストフード」(Q&A)
     「豚肉」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今年の米の収穫が確定し、相場もほぼできてきているようです。
ネットでそんなデータをみかけましたので、紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

◆作況103、生産948万トン(9月15日現在)

 農水省は9月26日、12年産水稲の9月15日現在における作
況指数を全国平均103(正確には103.47)の「やや良」と
公表した。前回9月1日現在と変わらず。10a当たり収量は53
6kgと前年より21kg増を見込んでいる。

 一方、作付面積(青刈り含む)は176万8千ha、前年比1万
8,000ha減で、現段階の水稲予想収穫量は青刈り込みで約9
48万トンと見込まれる。青刈り分のマイナスと陸稲生産分のプラ
スが相殺されるため、トータルでは計画より30万トン程度のオー
バーが確定的。

(今日のニュース by 米穀データバンク
http://www.japan-rice.com/news.htm より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 現在の日本人の米の消費量は、65キロ/1人・1年くらいです。
1億2千万人分で、780万トンということになります。今年もま
た、200トン近くの米が余る計算になります。(実際は輸入米が
あるので、もっと余ります。)

 そこで、緊急対策が発表されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

◆減反5万ha増、稲経補てん基準13年産据置

 12年緊急総合米対策が決まった。

 13年産の生産調整面積は5万ha増の101万3千haとし、
さらに作況100を超えた場合5万haの需給調整水田(青刈り・
稲発酵粗飼料向け)に取り組む。

 減反拡大に伴う助成(10a当たり)は、青刈り=4万円、稲発
酵粗飼料、稲わら、ソバ=2万円、麦、大豆、タバコ、景観形成等
水田=1万円、特例作物(タバコ、野菜除く)、永年性作物、調整
水田5千円。拡大の県別配分は生産者団体の意向を踏まえ実施する
が、その実効性が今後の課題。

(略)

 政府在庫から援助用として75万トン隔離することにより、14
年10月末の在庫を125万トン程度に圧縮する計画。

(今日のニュース by 米穀データバンク
http://www.japan-rice.com/news.htm より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 援助用のうち、50万トンの北朝鮮行きが最近決まったことは、
大きく報道されました。

 北朝鮮に関しては、ややこしい関係もあって、いろいろいわれて
いますが、日本の側にも事情があって、もらってくれなければ困る、
という台所事情については、あまり報道されていないようです。

 担当者としては、200万トンくらいもらってほしいところでし
ょう。残り25万トンはインドネシアを中心に、引き受け手を探す
ことになります。

 現在、200万トン以上ある政府在庫を、75万トン援助用にま
わして、来年末には125万トンにする、というのですから、今年
の米は買い入れない、ということになります。

 政府在庫米はいったいいつとれた米なんだ?という疑問もわいて
きそうですが、それより深刻なのは200万トンも余分の米が出回
る米市場です。

 需要の2割以上もの供給があれば、価格は半分以下になるのが普
通です。実際は価格が半分になっても、米の需要はほとんど増えな
い、と予想されますので、それほどひどい価格にはならないでしょ
う。そのかわり、どうしても売れ残る米が輸入米の分も考えると、
200万トン以上は出ることになります。

 普通なら、来年の作付けは激減して、今年の半分以下にならない
といけません。ところが、この危機的状況にもかかわらず、「減反
政策反対」などという声ばかりが聞こえてきます。

 私も減反政策には反対ですが、それは減反くらいでは対処しきれ
ない事態だからです。日本中の農家が、自主的に作付け面積を今の
半分にする必要があるのです。

 これは今、世間で言われている、国家財政の赤字以上に深刻な事
態です。「米」は今や、国際的には価格競争力を持たず、国内では
多様な食品の中に埋もれて、かつての特権的な地位を失いつつあり
ます。

 これは必然的な時代の流れです。それにもかかわらず、需要と供
給の関係も見ずに、惰性で米を作り続けるというのは、日本農業の
自殺行為であると思います。

 自殺するのなら勝手にしてくれても良いのですが、余った米を不
法に国際市場に放出して、世界中の農民に迷惑をかけたりすること
があるのではないかと心配しています。

 北朝鮮に戦時賠償として、今後数十年、毎年米200万トンずつ
送る、という案はどうでしょうか?(冗談です。)

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.マーガリンなどの水素添加の脂肪は健康に良くないと聞きまし
た。本当でしょうか?

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A.水素添加というのは、脂肪酸の不飽和結合に水素を与えて、飽
和結合に変えることをいいます。(いわゆる食品添加物とは違いま
す。)

 植物性の脂肪は不飽和結合が多く、常温で液体であるのが普通で
す。マーガリンのように常温で固体にするためには、水素添加をし
て、不飽和結合を減らす必要があります。

 脂肪酸の不飽和結合の部分では、となりあった炭素原子同士が
「二重結合」しています。この二重結合部分では、結合の仕方が不
自由ですので、脂肪酸の骨格になっている炭素の鎖がここで折れ曲
がってしまいます。

 普通の脂肪酸では、二重結合の両側が同じ方向に曲がる、「シス
型」になっていますが、水素添加した後では、両側が違う方向に曲
がる、「トランス型」の結合が一定の割合でできることが知られて
います。

 このトランス型の脂肪酸は、栄養的に無価値なうえ、リノール酸
などの必須脂肪酸の代謝を阻害する、ということで、心配されてい
るわけです。

 トランス型脂肪酸は自然物にも一定の率で含まれていますし、実
験の結果では、リノール酸などの摂取量が充分であれば、別に問題
はない、ということですので、健康に害がある、というのは上記の
情報を拡大解釈した、あやまった見解です。

 したがって、マーガリンなどを避ける必要はありません。ただ、
事実無根というわけではないので、バターよりマーガリンの方が身
体に良い、というより広くひろまっている情報も、決して正しくな
い、と言えると思います。

 マーガリンはあくまでバターの代用品ですので、料理に使うのは
やっぱりバターが美味しいです。パンに直接塗る場合は、ソフトタ
イプのマーガリンが塗りやすくて良いので、やっぱり場合によって
使い分ける、というのが常識的ですが、正しいやり方だと私は思っ
ています。

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Q.以前、「臭素酸カリウムが主役でしたが、今ではビタミンC」
がほとんどと言われていましたが、我々がパンを自分で焼く時に購
入しているイーストフードはビタミンCオンリーではないと思いま
すが、その点はどうなんでしょうか?

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A.イーストフードというのは、その名のとおり、イースト(酵母)
のエサ、ということが本来の目的です。パン生地の中は、酵母にと
って必要な栄養素がたっぷりある、というわけではありませんので、
各種の栄養塩などを添加するのです。

 家庭でつくる場合は、酵母もたっぷり使いますし、発酵のぐあい
を確認しながら作りますので、あまり必要ないのですが、大量生産
している工場では、まず使われていると思います。(自分で焼くと
きはイーストフードなし、ということも可能と思います。)

 しかし、現実としては、イーストフードは、小麦粉の品質改良剤
という側面が強いのです。詳しいメカニズムは私にはわかりません
が、臭素酸カリウムはこうした目的で添加されています。

 最近、その変わりにビタミンCが使用されるようになってきてい
ます。効果も悪くないので、今ではほとんどのパンがビタミンC使
用になっているようです。

 こういう意味で、「臭素酸カリウムがビタミンCに代わった」と
いいましたが、その他の成分は同様に使われていると思います。そ
の他の部分で問題になるようなものは、なかったと思います。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「豚肉」その1
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--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

俄かにカッと明るくなった。外では雪に日は照って豚はまぶしさに
眼を細くし、やっぱりぐたぐた歩いて行った。

 全体どこへ行くのやら、向うに一本の杉がある、ちらっと頭をあ
げたとき、俄かに豚はピカッという、はげしい白光のようなものが
花火のように眼の前でちらばるのを見た。そいつから億百千の赤い
火が水のように横に流れ出した。天上の方ではキーンという鋭い音
が鳴っている。横の方ではごうごう水が湧いている。さあそれから
あとのことならば、もう私は知らないのだ。とにかく豚のすぐよこ
にあの畜産の、教師が、大きな鉄槌を持ち、息をはあはあ吐きなが
ら、少し青ざめて立っている。又豚はその足もとで、たしかにクン
クンと二つだけ、鼻を鳴らしてじっとうごかなくなっていた。

 生徒らはもう大活動、豚の身体を洗った桶に、も一度新らしく湯
がくまれ、生徒らはみな上着の袖を、高くまくって待っていた。

 助手が大きな小刀で豚の咽喉をザクッと刺しました。

 一体この物語は、あんまり哀れ過ぎるのだ。もうこのあとはやめ
にしよう。とにかく豚はすぐあとで、からだを八つに分解されて、
廏舎のうしろに積みあげられた。雪の中に一晩漬けられた。

 さて大学生諸君その晩空はよく晴れて金牛宮もきらめき出し二十
四日の銀の角、つめたく光る弦月が、青じろい水銀のひかりを、そ
こらの雲にそそぎかけ、そのつめたい白い雪の中、戦場の墓地のよ
うに積みあげられた雪の底に豚はきれいに洗われて八きれになって
埋まった。月はだまって過ぎて行く。夜はいよいよ冴えたのだ。

(フランドン農学校の豚
http://why.kenji.ne.jp/douwa/54furand.html より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 宮沢賢治の童話?「フランドン農学校の豚」の結末、農学校の豚
が殺される場面です。この話自体はいろいろな問題を含んだ、複雑
なものですが、今回は「豚肉」の話題の前フリということで・・。

 「八きれ」になったというのは、正確な表現です。さすがは盛岡
高等農林(現岩手大農学部)を優秀な成績で卒業した賢治です。
(というほどでもありませんが)

 豚肉は、屠殺後、皮、内蔵、頭、蹄を取って、背骨の部分から、
電動鋸で左右に分けられます。これを「枝肉」といいます。1頭の
豚から2本の枝肉がとれることになります。(牛肉も同様です。)

 枝肉は次に、前・中・後と3つに分けます。前は人間でいえば、
肩の部分で、ウデとも呼ばれています。ここは一番安い部位でもあ
ります。後は腰と太股ということで、モモと呼ばれます。たっぷり
と肉があって、ブロック肉などで売られることも多い部分です。

 中は要するに胴体ですが、ここはさらに背と腹の二つに分けられ
ます。背の方はロースです。これは背骨の左右についている、背筋
の部分です。腹はバラといい、脂肪の層と赤みの層が交互になって
いて、俗に三枚肉などともいいます。ベーコンになったり、お好み
焼きには欠かせない部分です。

 ということで、豚の部位としてはロース・モモ・バラ・ウデの4
つに分けられ、1頭ではそれぞれ2個ずつになりますので、豚1頭
が8つに分けられるということになります。

 ヘレというのはロースの内側に着いている肉で、店で売っている
ような細長い肉が、枝肉に1つだけとれます。わずかしかとれない
肉ですが、関西ではヘレの人気が高く、沖縄あたりから入ってきて
いました。最近では輸入がほとんどです。脂肪がうんと少なく、淡
白な味が特徴です。

 豚はと畜場で獣医師の検査をうけます。合格した豚の枝肉には、
スタンプが押されています。紫色をしたインキで、食用色素が使わ
れているそうですが、ちょっと不気味です。

 以前は枝肉での流通が主で、大きい肉屋では、奥に枝肉が吊って
あったりしましたが、最近ではそういうことはなくなりました。

 枝肉を運ぶトラックは昔はただの平荷台トラックで、ハエなんか
がたかって実に不衛生なものでした。今は肉の処理工場で解体して、
前記の部分肉にしたものを、ケースに入れて流通しています。もち
ろん、運ぶのも冷蔵車になりました。

 一番進んだところでは、と畜場に隣接して処理工場を建設します。
枝肉をぶらさげるレールがあるのですが、そのレールが両方の工場
でつながっていて、外に出ないで枝肉を移動させることができます。

 工場の中もクリーンルームになっていて、そこでよく冷やした枝
肉を解体して、部分肉にしてから出荷するのです。

 クリーンルームというのは、内部の空気を濾過して浮遊物や微生
物を取り除き、清浄を保つような構造になっている部屋です。出入
りも厳しく管理され,空気圧も高めに保ち、外部からの侵入を防ぐ
ようになっています。

 もちろん、こんなところはまだまだ少数派で、職人がくわえ煙草
で仕事をしている、旧態依然のところも少なくありません。

 豚肉の話で、まず豚肉の部位の話を書きました。スーパーなどの
店頭でも、パック肉に部位の表示をしていることが多くなりました。

 ブロック肉では、ヘレ・ロース・モモ・バラ、スライス肉では、
ロース・モモ・バラ・ウデ、その他では、テキ・カツ用にロース・
肩ロース、一口カツ用にモモなどが普通に売られています。

 肩ロースというのは、ロースの続きがウデの上まで続いていると
ころで、ロースと違って、脂肪の部分が網の目のようになっている
ので、区別がつきます。

 バラ肉はときどき、「お好み焼き用」として売られていますが、
中身は普通のバラ肉です。用途の名前を表示するのは、古いやり方
なのですが、メニュー提案は案外訴求力があって、不思議なことに
よく売れるのです。

 豚肉の色ですが、牛肉と違って、あまり赤くなりません。これは
ミオグロビンという色素の関係らしいのですが、色の変化はあまり
気にならないと思います。

 昔は脂肪の色が白いものを選べ、と言われたものです。これは豚
のエサに、残飯をやっているものは、どうしても脂肪が厚くて、黄
色っぽくなるからです。

 残飯で豚を育てる、というのはまさしくリサイクルですが、品質
としては最低の豚肉になります。さすがに最近はこのようなものは
あまり見かけませんが、脂肪が黄色くなっているものは、避けたほ
うが良いと思います。

 肉の表面が乾いていなくて、汗をかいたような状態に見える豚肉
もあります。こうしたものは内部まで水分が多く、美味しくないも
のです。これは豚そのものに問題があるので、枝肉全部がそんな肉
なんだそうです。これも避けるようにしましょう。

 豚の飼育については、次の機会に書きます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 前回お知らせした、雑誌「ウルトラONE」というのを書店で見
かけたので、立ち読みしてきました。インターネット情報が中心の
本でした。

 私としては、家庭向け、というか料理の話なんかが載っているよ
うなところで紹介して欲しかったのですが、文句をいっても仕方な
いですね。

 私は現在、片手が使えないので、料理なんかも全くできません。
今までは私が家にいる時は、だいたい私が料理当番でしたが、今は
「食べる人」になっています。買い物にもいけないので、スーパー
なんかにもご無沙汰しています。

 怪我をしてみて、ひとりものでなくて良かった、などと感じてい
るこのごろです。

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--49号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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