安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>489号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------489号--2009.03.22------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「大連だより」「イノシシ肉」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 今回もいただいたメールを紹介します。まずクローン技術につい
て。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

> さて、体細胞クローン技術への私の感想ですが、どうもあまり
>よく思っていません。
>こういうことをやる必要が本当にあるのか?と疑問に思っています。
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 クローン動物、興味深いですね・・

 畜産業の立場で考えると、病弱で生育が遅い家畜に対して抗生剤
やワクチンなどを与えることは不経済でしかありませんから、元気
でよく育つ家畜が欲しいのは言うまでもありません

 血統のいい豚牛の冷凍精子は高値で売り買いされているわけです
が、産まれる子には当たり外れがあります。近親交配の危険もあり
ます

 クローンが増えると外れは無い代わりにそう言う危険性も増える
のでしょうか・・

 かたや・・消費者の立場でクローン肉を考えると、薬付けの病弱
な個体を好んで食べたい人は居ないでしょう。この辺りは遺伝子組
み換え作物と同じジレンマがありますね

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 次は専門家の方から、前回のカニの質問についての回答をいただ
きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 Q.1430 生の蟹のポーションの後味と臭いについての回答です。

 私はカニ加工メーカーの品質管理室を担当している者です。

 商品の原材料名欄を御覧下さい。酸化防止剤(亜硫酸塩)、酸化防
止剤(ビタミンC)、酸化防止剤(エリソルビン酸Na)、のどれか、ま
たは組み合わせた記述があるはずです。エリソルビン酸Naは性質は
ビタミンCと同じ物とお考え下さい。

 亜硫酸塩(二酸化硫黄)は苦味、良くない後味があります。ビタミ
ンCは酸味があります。恐らくこの添加物の影響と推測します。

 生ガニは黒変防止のため、必ず酸化防止剤が使用されています。
酸化防止剤はカニを漬け込むのではなく、氷の膜(グレーズと言い
ます)に添加します。

 使用濃度は亜硫酸塩は1%以下ですが、ビタミンCは10%くらい
使用する様です。焼く場合も鍋で食べる場合でも氷の膜(グレーズ)
は完全に除去して食べて下さい。解凍も自然解凍すると酸化防止剤
がカニ肉に浸み込むし、黒変する可能性高いので流水で氷の膜を取
り除いてから使用するか、冷凍状態から一気に加熱して氷の膜が無
くなってから食べて下さい。生食は美味しくないです。でも生の感
触が残っている方が美味しいです。難しいですね。

 なお生食用の生鮮品(生ガニ)の加工には添加物は使用してはなら
ない事になっているのでお食べになったのは加熱用のはずです。

 生エビも使用してはならないのですが、ではあの寿司屋の甘エビ
は?と思われると思います。エビは原料の段階(殻付。頭はないか
も?)で酸化防止剤に漬け込んでいるそうです。カニの場合は原料
では浸み込まないので加工途中の氷の膜に添加して使用しています。

 以上、カニは高いので適切な調理で美味しくお食べ下さい。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 エビについては、原産地で、原料の段階で亜硫酸を使用するそう
です。その後、国内での加工でもう一度使うのが一般的です。もち
ろん、生食用のものではありませんが。

 どうもありがとうございました。

--〔大連だより〕--------------------------------------------

 大連暮らしも一週間たちました。金曜日で中国語教室の授業は終
り、土曜日には旅順へ行ってきました。いうまでもなく、日露戦争
の古戦場です。

 現在、旅順は相変わらず軍港で、外国人には203高地と水師営
のみが公開されています。

 203高地は思っていたよりも高い山で、山頂からは旅順の港が
一望できます。ロシア軍が守っていたこの山を占領して、ここから
港を攻撃したわけです。

 こんなところで日本とロシアが戦ったのは、ここがロシア領だっ
たからです。現地の案内には日本軍の帝国主義的進出ということし
か書かれていませんが、あの戦争がなかったら、今ごろはロシア領
ダーリニーだった可能性もあります。

 大連という街は、ロシア人がこの地を領有して、ロシア語でダー
リニーという名をつけたのが始まりです。

 現在の大連の街は、歩いているとゴミゴミした普通の中国の街で
すが、至る所にロシア時代や日本時代の古い建造物があり、それを
とりまくように高層ビルが立てられている、美しい街です。

 あちこちに広場があって、それを大きな道路がつないでいます。
公園もたくさんあり、5月になればとても美しいそうです。北国で
すので、現在は草も生えていない殺風景な状態ですが。

 海に囲まれた街ですので、「海鮮料理」が自慢なのですが、日本
人の目から見ると、大したものはありません。やはり中国料理とい
うと肉が中心になるようです。

 大連が豊かな街なのか、全体の経済発展の結果なのか、衛生レベ
ルもずいぶん上がっているように思いました。

 一人で行動していますので、高級なところは入りにくく、街の食
堂といったところで食べていますが、どこもまずまずの味と衛生状
態です。値段は相変わらず安くて、ときどき驚きます。

 こちらで仲よくなって、日本語の弟子にした女の子の家で、手作
りのギョーザをごちそうになりました。自分たちで作ると自慢して
いましたが、結局はお母さんが出てきて、手際よく作っていました。

 手でちぎった生地を数回麺棒をあてると、丸くなるのは大したも
のです。つつむのも数回指で抑えるだけです。

 その前には「京劇」を見てきました。大連には京劇の劇場があっ
て、土曜日には公演しているそうです。前に北京で見たのは、観光
客用に「さわり」だけを見せる簡単なものでしたが、今回のは上演
時間が二時間にもなる、本格的なものです。

 「打金磚」という演目で、後漢の光武帝が主人公です。登場人物
も多彩で、なかなか面白かったです。

 この公演、もちろん有料なのですが、どういうツテをたどったの
か、主催者側に話を付けてあって、無料で入れてもらいました。

 日曜日は買物でもして、月曜日に帰ります。相変わらず自分が中
国大好きなんだと確認できた旅でした。昔の「大陸浪人」もこんな
のだったのかも知れない…などと思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「イノシシ肉」
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 こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 那珂川町は農作物を荒らすイノシシの肉を地元の特産として売り
出そうと、4月にイノシシ肉の加工処理施設をオープンする。県内
では初めての試みで、現在イノシシのシンボルマークやネーミング
を募集している。

 同町農林振興課によると、イノシシによる同町の農作物被害額は
07年度、約1900万円に上った。稲やカボチャ、ジャガイモな
どが狙われやすいという。同年度は122頭が捕獲されたが、イノ
シシ肉の処理には食品衛生法上の食肉処理業の許可が必要で、流通
させることはできなかった。

 そこで、町は「農作物の被害を減らし、厄介物のイノシシを観光
の目玉に」と考え、食肉処理業の許可を取得した施設を建設した。
総事業費は約3500万円。国の農山漁村活性化プロジェクト支援
交付金事業として1400万円の補助を受けた。4月以降は捕獲さ
れたイノシシを町が買い取り、施設で部位ごとに解体、町内の料理
店などに販売する。

 イノシシ肉の加工処理施設は千葉県大多喜町や群馬県中之条町な
どにある。同課は「『那珂川町に来ればイノシシ料理が食べられる』
とPRし、交流人口の増加につなげたい」と意気込んでいる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090314-00000093-mailo-l09
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 那珂川町というのは栃木県の町ですね。野生の動物の処理施設と
いっても、野生の動物を生きたまま施設に運ぶのは難しいのではな
いかと思いました。

 通常、食肉処理場には、必ず生きたままの動物を搬入しなければ
なりません。飼育しているときに病気などで死んだものは、食肉と
して販売してはいけないのです。

 もうずいぶん前になりますが、病死豚の肉が流通するという事件
がありました。

 そこで、調べてみましたら、こんなことのようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 野生動物の中でも、いのししや鹿などはその肉を食用として利用
しています。

 これらの動物は、牛や豚などの家畜の解体処理に適用される「と
畜場法」は適用されていません。したがって、と畜検査を受けるこ
とはできません。

 しかしながら、しし肉、鹿肉として販売される場合のみ「食品衛
生法」に衛生的な取り扱いが規定されています。

 日本では鹿刺しなどに代表される野生肉を生で食べる食文化があ
ります。しかし、このことは野生動物が持っている病原体をそのま
ま体に取り入れることになります。それが原因で食中毒になること
があります。

 食中毒を防ぐためには、捕獲から消費まで衛生的に取り扱うこと
と、生で食べることを避け十分に加熱して食べることがポイントに
なります。

狩猟をされる方へ

〈食肉として販売する場合〉

 捕獲後、すばやく放血し食品衛生法に基づく許可をとった施設へ
搬入してください。

〈自家消費する場合〉

 捕獲後、すばやく放血し清潔な場所で清潔なナイフを使って解体
してください。

 放血後は冷蔵庫(10度C以下)、冷凍庫(−15度C以下)に
保管してください。

 手洗い、器具の洗浄などこまめに実施してください。

野生動物の肉を生で食べることのリスク

 野生動物が人畜共通感染症や食中毒の原因となる病原微生物、寄
生虫類を保有している可能性は少なからずあります。過去にも野生
動物の肉を生食して食中毒、寄生虫症になった事例があります。こ
れらの病原体は加熱することにより死滅しますので、野生の肉を食
べる際には、十分に加熱することが重要です。

http://www.pref.mie.jp/mshoku/hp/tabekata/yasei/yasei.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「と畜場法」の適用はないが、「食品衛生法」が適用されるため、
食肉食肉処理場が必要だということなのですね。

 食肉にする場合、「放血」が重要なのです。放血が不十分だと、
臭くて腐敗しやすい肉になります。

 イノシシ肉は豚肉と違って生臭いという印象を持たれていますが、
これも放血が不十分な肉が多いからで、イノシシは飼育して、豚肉
と同様にと畜すれば、生臭いことはないはずです。

 鉄砲で殺してしまってから放血したのではたぶんダメです。心臓
が動いていない状態ではどうしようもありません。

 生きているうちに動脈を切るということは、野生動物ではなかな
か難しいでしょうね。

 上記の記事の「リスク」の話は、具体的には以下のようなことで
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 シカ肉を生で食べたことによりE型肝炎を発症した事例(事例1
参照)、野生イノシシ肉を食べたことによりE型肝炎を発症した事
例(事例2参照)や、市販の豚レバーからE型肝炎ウイルスの遺伝
子が検出された事例(事例3参照)が報告されています。

 食肉を介するE型肝炎ウイルスの感染を防止するため、次のこと
に注意しましょう。

(1)シカやイノシシなど野生動物の肉等の生食は避けましょう。

 野生動物は、人畜共通感染症や食中毒の原因となる病原体等を保
有している可能性を常に念頭におく必要があります。

 特に妊婦や高齢者ではリスクが高いことから野生動物の肉等を生
で食べることは控えましょう。

(2)豚レバーなどの豚由来食品は、よく加熱して食べましょう。

 豚レバーなどに万一ウイルスが残っていたとしても、通常の加熱
によって死滅することが知られていますので、食べる際には加熱を
十分に行うことにより感染を避けることができます。

※ (2)については、我が国の食習慣においては、豚レバーなど
の豚由来食品は加熱して食べることが一般的ですが、念のため注意
喚起するものです。

 なお、ハム・ソーセージ等の加熱済み食品については、熱処理さ
れているため心配はありません。

事例1:
シカ肉の生食を原因とするE型肝炎ウイルス食中毒事例
(2003年8月)

(E型急性肝炎発症と特定の食品の摂食との直接的な関係が確認さ
れた最初の事例)

・特定のシカ肉を生で食べたところ、4名が6〜7週間後にE型肝
炎を発症。

・患者から検出されたHEVと一部保存されていたシカ肉から検出
されたHEVの遺伝子配列が一致した。

・シカ肉を全く食べていないか、又は極く少量しか食べなかった患
者家族はHEVに感染しなかった。 

事例2:
野生イノシシ肉を原因とするE型肝炎ウイルス食中毒事例
(2005年3月)

・福岡県で野生イノシシ肉を喫食した11名中1名が発症。

・イノシシ肉残品からHEVが検出され、患者血清から検出された
HEVの遺伝子配列と一致した。

事例3:
市販されていた豚レバーの一部からE型肝炎ウイルスの遺伝子が検
出された事例

・食料品店で市販されていた包装包みの豚生レバー363件中7件
からHEV遺伝子が検出された。

・加熱不十分な豚レバーから人への感染の可能性も示唆されている。

http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=375&of=1&ik=3&pnp=17&pnp=60&pnp=346&pnp=375&cd=1967
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 野生動物に限らず、肉を生で食べるというのはリスクが高いもの
です。

 日本人はあまり肉食をしないし、魚と違って生で食べる習慣もな
いと思っていましたが、野生動物では生で食べるということもあっ
たのですね。肉の調理方法を知らなかっただけのような気もします
が。

 野生動物の肉についての問題点は、以下の通りです。

(1)食品衛生法に従った、食肉処理施設が必要。

 自分で獲ってきたものを、自己責任で食べる以外の行為は違法に
なります。近所の人に配ったり、もらったりしてはいけません。

(2)生で食べてはいけない。

 普通は生で食べたりしませんが、そんな習慣がある場合は特に要
注意です。

(3)肉の来歴が不明である。

 食肉処理施設で解体された肉でも、元の野生動物がその施設まで
どのように搬入されたか、また捕獲からと殺、放血をどのようにし
たかを知ることはできません。

 イノシシ肉だったら、専門にイノシシを飼育している牧場もあり
ます。そのようなところで生産されたものを食べる方がよほどよい
ですね。 

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回は特別に「大連だより」を掲載しました。一週間も中国にい
ると、日本の仕事のことなどは忘れてしまいそうになります。

 でも、検索しても、なかなかサイトを表示してくれません。どう
いう理由でか、ブログ系のサイトはほとんど見ることができないよ
うです。これはインターネットが中国に入るところで遮断している
せいです。中国共産党には本当に困ったものです。

 私のサイトは無事見ることができましたので、中共から見ても無
害だということです。ときどき中国の悪口も書いていますが、この
程度は無問題なのでしょう。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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