安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>482号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------482号--2009.02.01------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「鰹節」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 カビについて、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも読ませていただいています。

 今週の質問にもありますが、カビの生えたものを食べてしまった
という良くあるケースですが、昨年の事件もあり、一般にもアフラ
トキシンという毒素の名前、またこの毒素の生産菌はなぜか日本国
内には繁殖していないという事実も知られてきているようです。

 ただし、カビの作る毒素(一般にはマイコトキシンと言います)
はアフラトキシンばかりではありません。アフラトキシンはカビ毒
の中ではもっとも発ガン性が強いと言われていますが、そのほかに
も多種のマイコトキシンがあり、それらを産するカビは日本国内に
も多種存在しています。

 したがって、アフラトキシンがないと言っても決して安心できま
せんので、カビの生えたものは食べないという原則を強調したいと
思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も同感です。

 アフラトキシンという名が知られるようになったのはよいのです
が、どうもまた一つの不安のネタになっているのが気にかかります。

 輸入時にちゃんと検査したり、家庭でもカビが生えたものを食べ
ないようにしたりすることは大切なことです。

 しかし、このところの質問によくあるように、食べた後に心配す
るのは全くどうかしています。

 日本人で外国で傭兵として働いた人の本を読んだとき、最初は弾
が飛んでくるのに足がすくんで、一歩も歩けなかったといいます。

 しかし、そのうちに弾というのは滅多に当たるものではないと気
づき、戦場でも動けるようになったそうです。

 もちろん、戦場ですからこんなことを言っていてもやっぱり当っ
て死んでしまったりするのですが、ある程度の「見切り」は大切な
ことだと思いました。

 リスクを過剰に考え、脅えていたのでは楽しい人生を送れません。
なぜか次々と心配のタネを見つけてきて、心配することがよいこと
だと思っている人が多いのですが、やはりどうかしていると思いま
す。

 カビの百万や一億が怖くて呼吸ができるものか…。などと思うこ
とも大切なんですけれどね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.無着色辛子明太子で発色剤(亜硝酸Na)が入っていましたが
これは無着色ということで大丈夫なのでしょうか?

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A.言葉の意味からすると着色料を使っていないなら無着色と言っ
ても間違いとは言えませんが、インチキと言われても仕方ないです
ね。

 何故かというと、「無着色」と聞けば、色に関しては特別な加工
をしていないと理解するのが普通だからです。

 ただし、辛子明太子というものを考えると、ある程度理由は推測
できます。

 辛子明太子はタラコの風味漬けしたものです。原料のタラコは生
のものではなくて、塩漬けしたタラコです。生のタラコは普通その
ままでは保管せず、漁獲後すぐに加工してしまうからです。

 そして「発色剤」はこの塩タラコを製造する段階で使われます。

 「無着色辛子明太子」は、原料の塩タラコには発色剤が使われて
いるが、辛子明太子に加工する段階では着色していないということ
を言いたいのでしょう。

 そういう意味では理解できないことはないです。

 ただ、本当に「無着色辛子明太子」を作りたいのなら、やはり原
料から発色剤・着色料を使用していないものを確保すべきだと思い
ます。

 そうまでして作る意味があるのかどうかは疑問ですが、何となく
受けそうなきれいごとを言って売ろうというのは、気に入りません。

 個人の感覚を言っても仕方ないですが、無着色で辛子明太子を作
ることはもっと広がっていってほしいものです。それもうたい文句
のためにするのではなく、本当によいものを作るためであってほし
いものです。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「鰹節」
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 先週のニュースですが、鰹節で産地偽装なとということがありま
した。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1. 平成20年12月16日から平成21年1月20日までの間、関東農政局、
近畿農政局、中国四国農政局及び独立行政法人農林水産消費安全技
術センター並びに関係県が、削りぶしの製造業者及びかつおのふし
の製造業者に対し調査を行いました。

2. この結果、以下の事実が確認されました。

(1) マルトモ株式会社(愛媛県伊予市米湊1696)は、かつお削りぶ
しについて、「焼津産」が混入したかつおのふしを原料にしたにも
かかわらず、「枕崎産」又は「薩摩産」と表示して製造・販売した
こと

(2) ヤマキ株式会社(愛媛県伊予市米湊1698-6)は、かつおかれぶ
しに該当しない原料を使用していたにもかかわらず、名称に「かつ
おかれぶし削りぶし」等と、原材料名に「かつおのかれぶし」等と
表示するとともに、原材料のふしの原産地を表示せず販売したこと
また、削りぶしのJAS規格に定める「かれぶし」に該当しない原料
を使用していたにもかかわらず、「かつおかれぶし削りぶし」等と
して格付しJASマークを付して販売したこと

(3) 静岡県のA社及びB社は、かつおのふしについて、「焼津産」又
は「御前崎産」のふしを「枕崎産」と表示して製造・販売したこと

(4) 愛媛県のC社は、かつおのふしについて、かつおかれぶしに該
当しないにもかかわらず、「かつおかれぶし」と表示して出荷した
こと

3. マルトモ株式会社、ヤマキ株式会社、静岡県のA社及びB社、愛
媛県のC社が行った不適正表示は、加工食品品質表示基準及び削り
ぶし品質表示基準に違反し、ヤマキ株式会社が行った格付及び格付
の表示はJAS法第14条第1項の規定に則していない不適正なものです。

4. このため、本日、

[1]マルトモ株式会社に対し、JAS法第19条の14第1項の規定に基
づく指示

[2]ヤマキ株式会社に対し、JAS法第19条の14第1項の規定に基づ
く指示及び同法第19条の2の規定に基づく業務の改善及び格付の表
示の除去又は抹消を命じるため行政手続法第13条第1項第2号に定め
る弁明の機会を付与する手続

を実施しました。

また、静岡県域業者のA社及びB社に対しては、県知事がJAS法に基
づく指示を早急に行う予定です。なお、愛媛県域業者のC社につい
ては、愛媛県に対して、調査結果を回付し、厳正な措置をとるよう
要請しました。

http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/090123.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なぜヤマキとマルトモだけが公表されていて、他の3社が公表さ
れないのかはよくわかりません。お役人のやることはどうもよくわ
からないことが多いです。

 ここでは「産地偽装」ということと、「枯れ節」ではないものを
使ったということの二つがあげられています。

 まず、産地偽装の方ですが、不思議なのは「枕崎産」と言って焼
津産を使っていたことです。枕崎産の方がブランドとして上だとい
うことがあるのでしょうか?

 鰹節の産地は、鹿児島県の枕崎と指宿、静岡県の焼津が3大産地
です。この3箇所で全国の生産量のほとんどを占めています。産地
間の差はあまりなくて、三等分しているような感じです。
http://www.satsuma-katsuobushi.com/sabu5.html

 焼津産が別に安物だとういうのではないと思います。だからわざ
と偽装したというより、産地にはこだわりがないので適当に原料を
手配していたと言う方が実態に近いようです。

 ならば製品に「枕崎産」と書かなければよいだけの話ですよね。
ここに製造と販売の二つの立場の差が出ています。

 販売サイドは流行に棹さして、産地表示をした方がイメージがよ
いと考えてそう表示したのでしょうが、うまく手配できるとは限り
ません。今回は枕崎産が生産量の都合で手配しにくくなった事情も
あるようです。

 でも、代わりに焼津産を手配したのが犯罪同然に言われるような
ことなのでしょうか?

 というのは、後に出てきますが、鰹節は産地の差というより、製
法の差が大きいのです。また自然の産物でもありますから、規格品
というわけにはいきません。

 だから同程度のものが確保できればそれでよいと考えて不思議は
ないのです。

 このときに表示を変えなかった、会社としての感度の鈍さはあり
ますが、事件とするほどのことではないのではないか、というのが
率直な感想です。

 産地偽装といえば、健康被害は出なくても、不当に高いものを買
わされる経済的な被害はあるものです。しかしこの場合は枕崎産で
も焼津産でも同じような価格ですから、実質的に被害はありません。

 こんなことまで問題にしなければならないほど、天下太平という
わけではないでしょう。

 次に製法の方ですが、「枯れ節」などという言葉にはなじみがな
い人も多いと思います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 カツオを煮て燻し乾燥させたものを荒節と言い、これは別名鬼節
とも呼ばれます。

 荒節の表面を削って見栄えいい形にしたものが裸節で、それにカ
ビ付けをしたものが枯れ節です。

http://www.satsuma-katsuobushi.com/sabu7.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 枯れ節は叩くと金属音がするような、非常に硬いものです。削る
のも大変です。私の知っている「だし」屋さんに、これを毎晩手で
削っている人がいて、ここまでやると趣味の世界だね、と言って笑
ったことがあります。

 カビをつけるのは、カビの菌糸が中まで入っていって、水分をす
いあげることによって乾燥させるというのが一番大きな目的です。

 上の方でカビの生えたものは食べないといいましたが、拡大解釈
すると鰹節をはじめ、味噌や醤油、お酒なども食べられないことに
なります。

 有害なカビが発生しないという保証はないのですが、そんなこと
を心配するより、おいしくできたものをありがたくいただこうとい
うのが普通の考えです。

 さて、枯れ節を作る段階では、「カビ付けと天日干しを3〜4回
繰り返す」といいます。
http://www.satsuma-katsuobushi.com/sabu3.html

 よいものだと、6回つけるという話を聞いたこともあります。

 今回のヤマキの話では、カビつけを一度しかしていないものを枯
れ節として売っていたということが問題になっています。

 ただ、これも単なる手抜きとか、ウソをついていたというのとは
違うようです。

 ヤマキではこれは自社開発の独自製法であるとして、次のように
説明しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

※JAS規格上の製法と当社独自かび付け節の製法の違い

○JAS規格(2番かび以上)
:伝統的な方式として、かび付けの間に乾燥工程を入れたかび付け
をする方式

○独自かび付け節
:純粋培養した優良菌種を用いて温度湿度をコントロールした条件
下で、連続して2段階でかび付けをする方式

http://www.yamaki.co.jp/Press_20090123A.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 結果として枯れ節と同等の風味を保証できるなら、それでよいの
ではないでしょうか。

 この場合も問題は、漫然と「枯れ節」の名を使い続けた販売政策
の方にあります。

 「○○製法」とかいうキャッチフレーズはあちこちの業界でよく
聞きます。たいていは新開発の技術で、伝統的なものとは違った技
術で製造したものです。

 ヤマキもこういう宣伝をしておけばよかったということです。

 新しい技術が登場するとき、お役人はどうしても保守的な立場で
判断します。日本酒の新製法なんかも伝統的な立場からするとかな
り違ってしまっていますが、あまり問題にされないのは、メーカー
が隠していないことや、お得意の根回しがきいているからなのでし
ょう。

 今回の件は被害が出たからではなく、また告発などがあったから
でもありません。

 全国一斉に鰹節の調査に入って、その結果であげられたものです。

 この時期に、なぜ鰹節?という疑問が湧きませんか?

 はっきり言って、成果があがることがあらかじめ予想できたから
だと思います。(理由はすでに書いたとおりです。)

 もっとはっきり言えば、お役人の成績向上と権限拡大のための、
犠牲になってしまったのだとも言えると思います。

 食品業界けしからん!の世論を形成して、マスコミに尻を叩いて
もらって、メーカーをお役人の前にひれ伏させる…。私はお役人た
ちの中に、そんなことを考えて行動している人たちがいるのだと疑
っています。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 鰹節の「産地偽装」ニュースでは、私も最初、またかよ、などと
思いました。でも、冷静に考えると、何か変だと思ってきました。
このあたりの考え方について、ご意見をお願いします。

 話は変わりますが、3月に中国へ一週間行くことになりました。
中国語の勉強と称して、大連の学校に行きます。

 今行っている中国語の教室で、入会特典として授業料と宿泊費が
無料になるのです。
http://www.hao-dalian.com/tsugaku/index.htm

 一週間毎日勉強ですが、宿泊するところはインターネットの接続
もできるそうです。一回は中国から配信することになりそうです。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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