安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>478号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------478号--2009.01.04------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「ビタミンC・干し柿(Q&A)」
「リサイクル飼料」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 昨年の話題の続きで申し訳ないですが、こんなメールをいただき
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 回答ありがとうございます。事実をどのように消費者に伝えるか
が問題です。事実は基本的に共通ですから。

 渡辺さんが「日本の基準値が大きすぎる」との見解ですと、日本
の登録制度を理解していないと推測するしかありませんが、ところ
で(日本も含め基本的な)農薬登録制をご存知でしょうか?

 茶は日本で残留試験を実施して決めております。日本の散布方法
でどの程度農薬が残留するかを確認しております。

 反対に輸入されるホップはどうでしょうか?日本で使用が認めら
れていない農薬で高い残留基準値があります。日本はポジティブリ
スト移行時に海外(ポジティブリスト採用国)の残留基準値を無条
件に採用しているからです。

 日本から輸出するのは農薬残留基準値の違いで大変です(作物登
録有無は残留基準値の有無に直結)。日本が輸入する場合、特にポ
ジティブリスト採用国の基準値を無条件に採用したので、そのよう
な国からの農産物輸入はハードルは低くなります。

 中国から日本への輸出の場合、同じような事がメタミドホスにも
当てはまります。メタミドホスの慢性毒性程度はADIは調べてみな
いと判りませんが、日本で農作物に使用が認められていない物質
(アセフェートの代謝物として認識)ですので、当然ながら0.01
ppmです。

 厳しすぎるのではなく、試験例の無い化学物質(農薬)に対して
は0.01ppmは日本にとって当然なことです。紙面で議論すると膨大
な量になりますので止めます。

 尚、お茶の生産量は毎年少なくなってきていますが、小生が指摘
したのはアセタミプリドが茶栽培用農薬としての効果が低下したの
で、静岡県でのアセタミプリド販売量が減少している点と、鹿児島
県では来年度からアセタミプリド販売量が減少傾向になるでしょう
との見込みを述べております。アエラの記事の影響ではありません
と付け加えます。

 ところで、本年度も精力的な発信ありがとうございました。来年
度も客観的な記事を楽しみにしております。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「日本で農作物に使用が認められていない物質」なら自動的に暫
定値になるあたりが問題ではないか、という気がしています。

 「海外の残留基準値を無条件に採用」としていることと矛盾して
いるのですよね。

 「使用が認められていない物質」に基準値を儲けるのは変な話で
すが、このあたりはもっと国際的に調整する必要があるという意見
です。

 「アエラの記事の影響」ではないということはわかって書いたつ
もりなのですが…。どうもありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.ビタミンCのサプリメントを大量に飲んだ直後、油がギトギト
の魚の照り焼きを食べてしまいました。米ペンシルベニア大学の研
究グループは、試験管実験で、ビタミンCが脂肪と反応して活性酸
素を作りDNA(デオキシリボ核酸)を傷つける作用を持つことが
分かり、成果は米科学誌サイエンスに発表したといわれています。
http://gut.bmj.com/cgi/content/abstract/gut.2007.128587v1
がんの心配をしなければならないのでしょうか。

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A.こういう情報を入手できる人が、そんな心配をするのはどうか
していると思います。

 試験管試験の結果が報告された段階で、心配しても仕方ないです。

 脂肪なんかどこにでもありますので、特に脂肪の多い食べ物とい
っしょに食べたときにだけ問題になるということもないでしょうね。
ビタミンCもよいことばかりではないのかもしれないな、という感
想をもつくらいでよいのでは?

 一度食べたくらいで問題があるとは思わないのが常識と思います。

 世に心配のタネはつきないのですから、ここまで探して心配する
こともないのではないでしょうか。

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Q.先日、母から手作りの干し柿がたくさん送られてきました。翌
日の夜良くみたら、全部の干し柿に白いカビがところどころ発生し
てました。中には青っぽいカビも1、2個・・・。母に聞いたら、
濡れた布巾でカビをふき取って、オーブントースターにかければ消
毒になるから大丈夫よと言われ、実行して、今冷凍庫に保管してま
すが・・・。ネットで見ると、カビが一度発生したものは食べない
方が良いとか、ガンの原因になるとか、熱ではカビは死なないとか
載っていたので、心配です。しかも、今妊娠中なので余計に・・・。
ただ、母が一生懸命作ってくれたものなので、簡単に捨てるのも悪
いと思いどうしたら良いか、困っています。

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A.カビの生えたものはたべない、ということをおすすめします。

 食べても害がある可能性はそれほど高くないと思いますが、人に
相談する時点で自分の責任で食べるという判断はできていないわけ
ですから、やめておいた方が何かとよいと思います。

 母上への気遣いはそれとは別の話です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「リサイクル飼料」
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 こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農林水産省は、コンビニエンスストアや食品工場から出る食品廃
棄物を利用した家畜用のリサイクル飼料「エコフィード」の認証制
度を来年3月までに導入する。エコフィードは飼料自給率向上と食
品ロス低減に貢献する飼料として注目されており、同省は認証制度
の導入でエコフィードの認知度を高め、一段の普及を図る。

 エコフィードは、パンくず、酒かすといった食品製造過程で発生
する副産物や売れ残りの弁当などを使った飼料で、豚、鶏、牛の餌
として活用されている。今年5月時点で飼料業者、食品製造業者、
養豚業者など全国188社が製造。穀物価格高騰の影響などで需要
が増え、事業者数は1年前に比べ40社程度増加した。

 日本の飼料自給率は07年度で25%と国際的に低い水準にある。
農水省は15年度に35%へ引き上げる目標を掲げており、今年度
からエコフィードの製造業者らでつくる協議会に生産費用を補助。
さらに、飼料自給率の一段の向上に向けてエコフィードを普及させ
るため、認証制度を新たに設けることにした。

 具体的には、国内で発生した食品廃棄物を重量ベースで20%以
上使うなど一定条件を満たした飼料を、第三者機関がエコフィード
として認証。認証マークを飼料の容器や袋に表示できるようにして、
畜産農家の利用を促進する。将来的にはエコフィードで育てた豚、
鶏、牛などの畜産製品の認証制度も導入する方向で検討する。

 飼料に主に使われているトウモロコシの9割以上は輸入に頼って
おり、今年前半にはトウモロコシ価格が高騰した影響で飼料も値上
がりし、畜産経営に大きな打撃を与えた。

 エコフィードは現在の配合飼料より安価で、飼料コストを抑えら
れるメリットもある。コンビニの弁当などが大量に廃棄される食品
ロスを低減することにも役立つことから、飼料自給率の向上と合わ
せた「一石三鳥」の飼料として期待されている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000042-mai-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 BSEという病気が発生したのは、「食品のリサイクル」という
ことへの最大限の警告であったと思っています。

 あれは牛を解体した後の残る成分を、リサイクル利用したことが
そもそもの発端だったわけです。

 当初の方法だと問題なかったのですが、その後技術革新があって、
より有効利用できる方法が開発されたとき、BSEの病原体が広ま
ってしまいました。

 このことの教訓は、食品のリサイクルには危険がともなう、とい
う言ってみれば当たり前のことでした。

 「リサイクル」というのは、食品の生産現場ではよく行われるこ
とです。

 畑の収穫物を、消費する部分以外は畑に戻したりすることはよく
行われています。

 リサイクルの輪が小さいというか、現場レベルで行われているう
ちはそれほど問題はないと思います。

 しかし、農水省がやろうとしていることは、全国的な規模でのリ
サイクルなのでしょう。

 そうすると、大量の食品が集められ、一括処理されることになり
ます。潜在的な危険はかなり大きくなると予想できます。

 BSEの悪夢が、こんどは人間で再現した…というようなことに
ならないという保証はありません。何度も書いていますが、私は食
品のリサイクルは慎重におこなうべきもので、現場レベルを超えた
リサイクルは危険を増幅させるだけだと考えています。

 以前、コンビニで余った弁当を食べた豚が病気になった、と報道
した新聞がありました。記事ではだからコンビニ弁当は危険だと言
いたかったのですが、コンビニ弁当自体が危険なのではなくて、人
間の食べるものを豚に与えた非常識が問題だったのです。

 すると今度は賢い人が出てきて、いろんな処理をして豚が食べて
も大丈夫なようにしようとしているわけです。そしてこういう賢い
人たちが必ず失敗するのは、農薬や食品添加物の世界で私たちが見
てきた歴史です。

 これらの失敗は、その問題が克服された後まで、不信感として残
っています。不信感ではなく、「よさそうな話も成功するとは限ら
ない」という教訓を残すべきなのに。

 食品の廃棄率は低い方がよいに決まっています。しかし、危険を
冒してまで低くしなければならない積極的な理由はあるのでしょう
か。

 生産から消費までのそれぞれの段階で、いろんな人が努力を積み
重ねた結果が今の廃棄率です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農水省は、食べ残しと食品廃棄量を対象にした食品ロス調査を0
0年度に初めて実施した。それによると、外食産業の食べ残し率は
5・1%。家庭は食べ残し2・9%、食材の廃棄4・8%、計7・
7%だった。外食の食品廃棄率は調査しなかったが、企業の廃棄率
はゼロに近く、全体では家庭が負けていると専門家はみている。

 食べ残しや調理くずなどの生ごみ利用も、量がまとまって出る企
業が有利だ。環境、農水省の同年度の試算では、食品販売業と外食
産業のリサイクル率は13%。家庭は1%未満だ。

http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu040309b.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 子どもの頃、茶碗にご飯の米つぶを残していると、叱られたもの
でした。そういう倫理観は日本人のよいところだと思います。実際、
今でも日本人のエネルギー消費量は欧米と比べて格段に少ないはず
です。一人あたりにするとゴミの発生量もドイツなどよりうんと少
ないのです。

 しかし、その倫理観を政治的な場面にまで発揮してしまうのが、
日本人の悪いところです。「食品の廃棄率を下げる」と言われると、
反対できなくなってしまうのですね。

 私は現在の日本の食品廃棄率が高すぎるとは思いません。この程
度は仕方ないと考えて、何か不都合があるでしょうか。

 世界中には飢えている子もいるのに…といっても、日本の食品廃
棄率とは何の関係もない話です。「飢え」は災害や戦争や暴政によ
って齎されているのであって、他の国の食事の内容とは関係があり
ません。

 肥満大国の王座を争っているアメリカ人やオーストラリア人に対
してそんなお説教を言うのは気持ちがわかります。でも日本人に言
っても仕方ないです。

 日本人は所得の向上とは逆に、カロリー消費量が減ってきたとい
う、非常に特殊な人たちです。これはおそらく世界史上で例を見な
い話です。

 つつましく、倫理観強く生きているまじめな日本人が、怪しげな
説教の犠牲になっている…、私は「リサイクル」という話を聞くた
びにそう感じています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 狸はわざと顔を洗わなかったのだ。丁度蜘蛛が林の入口の楢の木
に、二銭銅貨位の巣をかけた時、じぶんのうちのお寺へ帰っていた
けれども、やっぱりすっかりお腹が空いて一本の松の木によりかか
って目をつぶっていました。すると兎がやって参りました。

「狸さま。こうひもじくては全く仕方ございません。もう死ぬだけ
でございます。」

 狸がきもののえりを掻き合せて云いました。

「そうじゃ。みんな往生じゃ。山猫大明神さまのおぼしめしどおり
じゃ。な。なまねこ。なまねこ。」

 兎も一諸に念猫をとなえはじめました。

「なまねこ、なまねこ、なまねこ、なまねこ。」

 狸は兎の手をとってもっと自分の方へ引きよせました。

「なまねこ、なまねこ、みんな山猫さまのおぼしめしどおりになる
のじゃ。なまねこ。なまねこ。」と云いながら兎の耳をかじりまし
た。兎はびっくりして叫びました。

「あ痛っ。狸さん。ひどいじゃありませんか。」

 狸はむにゃむにゃ兎の耳をかみながら、

「なまねこ、なまねこ、世の中のことはな、みんな山猫さまのおぼ
しめしのとおりじゃ。おまえの耳があんまり大きいのでそれをわし
に噛って直せというのは何というありがたいことじゃ。なまねこ。」
と云いながら、とうとう兎の両方の耳をたべてしまいました。

 兎もそうきいていると、たいへんうれしくてボロボロ涙をこぼし
て云いました。

「なまねこ、なまねこ。ああありがたい、山猫さま。私のようなつ
まらないものを耳のことまでご心配くださいますとはありがたいこ
とでございます。助かりますなら耳の二つやそこらなんでもござい
ませぬ。なまねこ。」

 狸もそら涙をボロボロこぼして

「なまねこ、なまねこ、こんどは兎の脚をかじれとはあんまりはね
るためでございましょうか。はいはい、かじりますかじりますなま
ねこなまねこ。」と云いながら兎のあとあしをむにゃむにゃ食べま
した。

 兎はますますよろこんで、
「ああありがたや、山猫さま。おかげでわたくしは脚がなくなって
もう歩かなくてもよくなりました。ああありがたいなまねこなまね
こ。」

 狸はもうなみだで身体もふやけそうに泣いたふりをしました。
「なまねこ、なまねこ。みんなおぼしめしのとおりでございます。
わたしのようなあさましいものでも、命をつないでお役にたてと仰
られますか。はい、はい、これも仕方はございませぬ、なまねこな
まねこ。おぼしめしのとおりにいたしまする。むにゃむにゃ。」

 兎はすっかりなくなってしまいました。

 そして狸のおなかの中で云いました。

「すっかりだまされた。お前の腹の中はまっくろだ。ああくやしい。」

 狸は怒って云いました。

「やかましい。はやく溶けてしまえ。」

 兎はまた叫びました。

「みんな狸にだまされるなよ。」

 狸は眼をぎろぎろして外へ聞えないようにしばらくの間口をしっ
かり閉じてそれから手で鼻をふさいでいました。

http://why.kenji.ne.jp/douwa/22horaku.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 日本人が「すっかりだまされた。」という日が来なければよいの
ですが。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 引用した童話は宮沢賢治の「寓話 洞熊学校を卒業した三人」と
いうもので、私が運営しているもう一つのサイト「宮沢賢治作品館」
からのものです。宮沢賢治の全作品がオンラインで読めるようにな
っていますので、ぜひごらんください。メールマガジンも発行して
います。
http://why.kenji.ne.jp/

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