安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>476号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------476号--2008.12.21------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「プラスチック(Q&A)」「タケノコ偽装」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 年も1年、メルマガの配信ご苦労様でした。そしてありがとうご
ざいました。さて、昨日↓の記事を発見いたしました。

http://www5f.biglobe.ne.jp/~hni/menu_1/menu_1-theory1.htm

牛乳の弊害、カルシウムパラドックス、の項目のところです。

 よく分からない団体です。単に利益を目的としているのではなく、
思想(自分たちは善意だと思っている)が優先しているように思いま
す。

 サイト内の最新栄養ニュースなどを見ると、BMJ(権威ある英国
医学雑誌)グループによる報告などが多数紹介されています。

 しかし↑の牛乳批判記事には、その批判の根拠となるべき実験や
大規模調査の論文の紹介・リンクがありません。こういう文章の書
き方自体がまずおかしい(非科学的)と思います。

 にもかかわらず自分たちは科学的であることを連発しています。

 この人たちの主張を頭から否定するものではありませんが(科学
は仮説の集合であり、時代とともにひっくり返ったり、戻ったりし
ていますから)、人に対して○○はいけない、危険だ、と断定する
ような意見を強力に述べるような場合は特に、その論の根拠となる
べき研究や論文を示すべきだと思います。

 もしも↑の記事で展開されている論が、BMJやランセット、サイ
エンス、などの世界で最も査読の厳しい世界的な論文誌に掲載され
たものであるのなら、耳を傾ける気にもなりますが、まずはその論
拠となるべきデータが、試験管レベルなのか、動物実験レベルなの
か、小規模なのか、大規模なのか、後ろ向き研究なのか、前向研究
なのか、といったことを示す義務があると思うのです。

 個人がある食べ物に対してどういった想いがあろうが、それは個
人の自由ですが、少なくとも他人に対してマイナス情報を伝えよう
とする場合、それが科学者を自認する者であるのならばなおさら、
他人への伝達の態度は誠実でなければならないと思います。

 私自身の牛乳に対する考え方は渡辺さんと同様です。飲んでも飲
まなくてもよい食品だと思います。でも危険ではないと思っていま
す。

 最後に乳糖の分解に対してですが、渡辺さんのサイトでは、大人
でも長く飲んでいれば慣れが生じ、対応酵素がまた出てくるように
なる、という見解がありましたが、この見解はどこから仕入れられ
たのでしょうか。教えていただければ幸いです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 トンデモ系サイトにまじめに反応しても仕方ないですよ。「科学
的」な雰囲気を作るくらい、わけなくできてしまいます。中身で見
分けるしかないのですが、こういう言説を望んでいる人も多いので、
ある程度のさばるのは仕方ないと思います。

 人はあらかじめ持っている考えに基づいて受け入れる考えを選ぶ
のだそうです。どういう人がこういう考えを求めているかという話
については、考えるところはあるのですが、今回は避けておきます。

 「乳糖不耐」については、人間は乳児のときには全員が乳糖不耐
ではなく、大人になると基本的には乳糖不耐の状態になると思って
います。

 遊牧・畜産系の文化で暮らしてきた民族では、乳糖不耐にならな
い人が多くなっているのだそうです。

 大人になると、乳糖を分解する酵素を生産することをやめてしま
うのが普通なのですが、乳糖をとりつづける環境だと、ある程度は
生産してくれるので、「慣れ」によって症状が改善されることは事
実としてあります。

 しかしこれも人によるので、全くダメという人も多いです。

 どこかで仕入れた知識というより、自分やまわりの人の体験で自
然とそう考えていましたが、何か反証はあるのでしょうか?

 慣れてもダメな人に「慣れろ」というのは無意味です。また、普
通に飲んで問題ない人に問題があるように言うことは一種の脅迫で
しょう。

 一般論としては今まで飲んでいなくて急に牛乳を飲んだときには
お腹がゆるくなっても、しばらくがまんして試してみる値打ちはあ
ると思っています。

 世の中には便通がよくなるとかいって「オリゴ糖」などをありが
たがる人もいますが、乳糖の方がよほどよいという考えもあるでし
ょう。乳糖を分解できないことと、「牛乳を飲んではいけない」と
いう意見(思想?)とは関係ないと思います

 という私は生協の仕事を離れてからほとんど飲んでいません。も
ともと好みから言うとあまり好きではなかったからなのでしょうね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.鍋の中で沸騰しているシチューをプラスチック製のスプーンで
数分かき混ぜてしまい、スプーンが多少曲がって変形していること
に、食べた後から気づきました。スープの中に、スプーンの原料等、
溶け出したりしてないか、心配です。体に影響はありませんでしょ
うか。

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A.プラスチック製のスプーンというのはどんなものなのでしょう
かね。変形しているということですが、耐熱ではないものだったの
だと思います。

 もう何度も書いていますが、プラスチックというものはどんなも
のかご存じでしょうか?

 プラスチックは高分子といって、単位になる物質が非常にたくさ
ん結合してできた、巨大分子です。燃えるものなので、燃やせばよ
いのですが、いくつかの自治体では何故か「燃えないゴミ」にして
いて、埋め立てても普通のゴミと違って腐敗していかないので問題
になったりしました。

 東京でそういうところが多かったので、今でもプラスチック類は
「燃えないゴミ」と思っている人が多いのですが、これは根本的に
間違っています。

 という話は余談ですが、それほど分解しにくいものであるという
ことはわかると思います。人の体内で消化吸収されたりするもので
はありません。

 もし、高分子になっていない単体の分子があったとしても、ほと
んどのプラスチックを構成している分子は無害なものです。

 また、食品用のプラスチックでは、重金属や有害な物質が溶けだ
さないことが求められています。

 変形したくらいでは、高分子が分解したわけではなく、単に形が
変わっただけですから、食品用プラスチックの安全性が損なわれた
わけではありません。食器としてはもう使えないでしょうけれど。

 それでもまだ心配ですか?

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「タケノコ偽装」
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 毎度おなじみの産地偽装事件ですが、今度はタケノコで発覚して
います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国産のタケノコやフキなどの水煮を熊本県産などと偽装表示し
て販売したとして、農林水産省は16日、農産物加工卸「たけ乃子
屋」(愛知県一宮市)に対して、JAS(日本農林規格)法違反に
基づく改善を指示した。また、京都府など1府3県も、取引先で偽
装表示に協力した4業者・団体に改善指示をした。たけ乃子屋は、
協力した会社の社員をタケノコの国内生産者に仕立てるため、スナ
ップ写真と称して撮影し、袋に印刷していた。

 偽装に協力したのは、熊本罐詰(熊本市)▽甲木(かつき)フー
ズ産業(福岡県立花町)▽出石(いずいし)缶詰(京都府木津川市)
▽ぬながわ森林組合(新潟県糸魚川市)。

 農水省によると、たけ乃子屋は07年7月から今年10月、中国な
どからタケノコ水煮2600トンを輸入。うち約1100トンに鹿児
島産など国産14トンを混ぜて国産と偽装表示し、首都圏や東海地方
のスーパーなどで販売した。

 偽装表示の一部は4業者・団体に依頼。輸入した水煮527トンを
一度、4業者などに販売し、熊本県産などと表示した袋などに詰め替
えさせて販売額の1割増しで買い戻す「産地ロンダリング」をしてい
た。袋などはたけ乃子屋が用意した。

 さらに、自社で偽装表示した一部では熊本罐詰の社員のスナップ写
真を利用。「県竹林農家のみなさん」とタケノコの生産者であるかの
ように表示していた。

http://mainichi.jp/life/food/news/20081217k0000m040064000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 例によって記者会見も行われています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 愛知県一宮市の農産物加工卸「たけ乃子屋」による表示偽装問題
で、同社の森嘉仁社長(51)が18日、記者会見し、03年から
中国産タケノコを国産と偽る表示偽装を始めたことを明らかにした。

 森社長は冒頭で「消費者の信頼を裏切る行為で申し訳ありません」
と謝罪。偽装を始めた経緯について「国産の入手が困難で需要に応
えたかった」と釈明した。

(略)

 表示偽装は06年ごろ社内で公然化し、07年7月以降に出荷し
たタケノコ製品のうち99%は中国産だった。一部社員から「表示
を適正化しよう」との声も出たが、是正できなかったという。その
理由について森社長は「雇用を守りたかった。会社をつぶすわけに
はいかなかった」とうなだれた。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081219k0000m040139000c.html?inb=yt
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こちらは協力した業者です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

タケノコ産地偽装:ぬながわ森林組合に再発防止指示−−県/新潟

 県は16日、糸魚川市の「ぬながわ森林組合」(丸山明三代表理
事、組合員約5000人)が中国産のタケノコやゼンマイを国産と
偽って販売していたとして、日本農林規格(JAS)法に基づき再
発防止などを指示した。

 県食品・流通課によると、同組合は愛知県一宮市の食品加工業
「たけ乃子屋」とともに産地を偽装。今年4月から12月までの間、
同社から中国産のタケノコ水煮約2・7トンと、「熊本県産」「国
産」と表示された袋を購入、この袋に詰めたうえで同社に販売して
いた。また4〜11月の間に、独自に購入した中国産ゼンマイと国
産ゼンマイを混ぜた商品約7・3トンを「国産」と表示し、同社に
販売していた。

 調べに対し、同組合は「中国産と認識していたが、(たけ乃子屋
との)その後の契約に悪影響があると思い、指摘できなかった」と
説明しているという。

 JAS法は今年4月の改正で、業者間取引での不正表示も禁止さ
れたが、同組合は少なくとも昨年7月から同様の産地偽装を行って
いたとみられる。たけ乃子屋も16日、農林水産省から同法に基づ
く指示を受けた。

http://mainichi.jp/area/niigata/news/20081217ddlk15040059000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ゼンマイも同様だったわけです。次に紹介するのは、取材した記
者の感想です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国産タケノコ水煮を「山城産」と偽って販売し、国から是正指
示を受けた加工業者を取材しました。産地の減少で本物の供給が追
いつかず、年間を通じた安定供給のため中国産で水増しした、とい
うのが社長の釈明でした▼「不当な利益を得るためではなく、つい
罪を犯した」と言いつつも、釈明はエスカレート。いわく「問屋も
スーパーも事情は分かっている」「中国産でも、タケノコは農薬の
心配がない」うんぬん▼業界の事情はあれど、消費者を欺いてまで
商売するのは言語道断。半面、元々あった食べ物の旬を忘れ、一年
中口にできるのを当たり前に思う消費者側の感覚にもおごりはない
か、と自戒もしました。

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20081129ddlk26070471000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 反省はいいんですけれど、論点がずれています。タケノコという
のは生鮮食品ではなく、「タケノコ水煮」のことです。加工食品な
のですよね。したがって「旬うんぬん」はナンセンスです。

 問題はもちろん、「国産信仰」にあります。今年になって、中国
産食品の人気が急降下すると、スーパーで売られているタケノコ水
煮は「国産」ばかりになりました。

 この時点で私はほぼすべてが偽装であると考えていました。理由
は簡単で、全国のスーパーで売れるほど国産のタケノコ水煮がある
わけはないからです。

 また値段もそれほど高くなっていないのも、「頭隠して尻隠さず」
です。本当に数少ない国産品を争奪したのなら、一個千円以上の値
がついても不思議ではありません。

 「問屋もスーパーも事情は分かっている」というのはまさにその
とおりです。消費者にだって事情は分かるのですから。

 生協時代に、地元でタケノコ水煮を作っている人と会ったことが
あります。残念ながら私のいた小さな生協でも扱いが難しいほど生
産量は少しでした。販路もだいたい決まっていて、生協が割り込む
わけにはいきませんでした。

 販路というのは大切なもので、生協はよく好条件をエサに業者の
販路を奪って、その後切り捨てて業者をつぶしたりするのです。

 生協につぶされた業者はたくさんありますので、そうなる可能性
があるかどうかは大切な判断材料です。それで結局あきらめました。

 今、国産品に人気があるからといって、買いに来たバイヤーに、
そんなに簡単に売れるものではないのです。だからバイヤーはウソ
としりつつも「国産品」と名乗ってくれる業者の誘いに乗ったのだ、
と、あくまで想像ですが私はそう考えています。バイヤーから無形
の圧力(ウソをつかせる)があった可能性もあるでしょう。

 全国には国産品を求めて探し歩いたというバイヤーも何人かはい
るでしょうが、たいていのところは摘発されるまで知らない顔で、
「偽装事件」の「被害者」でいるわけです。

 中国にはいろんな事情があって、信用できない部分があるのは事
実です。しかしだからといって、中国産は全部ダメ、国産なら何で
も安全というのはあまりにも短絡的な考えです。

 国産品が安全だなどと、誰が保証してくれているわけではありま
せん。そんな雰囲気があるだけです。

 中国産の食品にはそれなりの注意は必要ですが、そのうえで必要
なものは割り切って食べるべきです。

 消費者の側に変な建前があって、知らなければその建前を守れる
ということで、「国産」と書いてあればそれでよいということにな
っているのでしょう。

 これは消費者の側が「騙してほしい」と言っているように私には
思えます。昔から生協や自然食品業界ではよくある現象ですが、社
会全般に広まってきたというのが印象ですね。

 業者の側もそれに乗じて儲けようとしたのか、はたまたバイヤー
の圧力に負けて騙す役を演じさせられたのか、たぶんその両方なの
でしょうが、馬鹿なことをしたものです。

 私はやはり「くたばれ国産信仰!」と思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 いよいよ今年もあと一回でおしまいです。マスコミの大好きな表
現である「不況」という言葉がおおっぴらに飛び交うようになりま
した。来年はマスコミ自身がその不況に悩まされるというのが私の
予想です。

 食べ物については、「偽装」のタネはつきないでしょうね。単な
る金儲けの犯罪というだけではなく、本当の原因が他にあることに
気付いてほしいと思っています。

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