安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>475号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------475号--2008.12.13------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから体」「トキソプラズマ(Q&A)」「回収事故」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回紹介した受水槽に遺体が入っていた事件ですが、その後続報
が全くないですね。どうも疑問だらけなんですが、追求しようとす
るメディアがいないのはさびしいことです。

 中日新聞にこんな釈明記事が載っていたそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「この事実を報道すべきかどうか…新聞社は毎日、その選択に迫ら
れながら仕事をしています。記者が記者であるがゆえに知り得た事
実は報道すべきである。これが基本です。しかし、現実にはためら
い逡巡するケースが多々あります。最近の県内のあるショッピング
センターで起きた事例もそうでした。

 店の屋外にある受水槽の中から一ヶ月も経過した遺体が見つかり
ました。自殺でした。店内の飲食店などにはこの受水槽から排水さ
れています。店はすぐに水道の供給を止め、保健所にも通報して水
質検査を行う一方、受水槽内の水を排出して消毒しました。

 担当支局は遺体の見つかった翌日にはこの事案をキャッチしまし
たが、水質の安全が確保されたのだから、報道することは客の不安
をあおることになる、と記事にはしませんでした。

 しかし、これが裏目に出たのです。買い物客の間には、口づてな
どで不安がいっそう広がり、他の新聞社が報道し、本紙もあらため
て取材し直して記事にしたという経過です。

 読者からは「店の不祥事に配慮して書かなかったのか」とか「広
告に影響するからか」といった批判が寄せられました。そう指摘さ
れても致し方ないのですが、そんな事情では全くありません。

 事実を確かめた段階できちんと報道していれば、無用な不安も広
がらなかった。われわれは報道の基本姿勢に欠けていたと反省しき
りです。

 今回の件で報道することの意義や新聞社への期待をあらためて考
えさせられました。教訓は日々の報道にいかさねばなりません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 反省の言葉としては立派なものです。ふだんから、他の企業の不
祥事に際して、隠蔽や判断ミスを指摘し続けているマスコミですが、
自分のこととなると、やはり判断ミスをしてしまうものなのです。

 だからこそ、「影響への配慮」などはしてはいけない、事実を事
実として伝えることにだけ、意味があると考えなければいけません。

 今回の事件では、店舗側に明らかに情報隠蔽の意志があったと思
います。そこのところはどうなっていくのでしょうか。

 さて、もう一つメディアが敬遠している話題に、健康食品による
被害があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 やせる目的で米国から個人輸入した健康食品「ソロスリム」を飲
んで気分が悪くなったと、国民生活センターに苦情が寄せられた。
同センターで商品を調べたところ、国内未承認の医薬品成分シブト
ラミンと同様の作用がある成分が検出された。米国などではインタ
ーネットなどで売買される別の健康食品からも検出されており、セ
ンターは安易に買わないよう呼びかけている。

 シブトラミンは米国などで医薬品として承認され、肥満治療に使
われる。血圧上昇や頭痛などの副作用があり、50人以上の死亡例
もあるという。一方、日本では承認されておらず、厚生労働省は健
康被害の恐れがあるとして注意情報を出している。

 苦情があったのは今年8月。滋賀県の50歳代の女性が、海外の
代理店を通じてソロスリムを買った。カプセルを1錠ずつ4日続け
て飲んだところ、動悸(どうき)や発汗が激しくなり、気分が悪く
なったという。

 センターは、苦情のあった商品とインターネットで買った同型品、
さらに参考のため中国からの輸入健康食品「御秀堂第3代養顔痩身
カプセル」「唯美OB蛋白痩身素第3代」についてテストした。そ
の結果、3種類の商品すべてから、シブトラミンか同様の作用のあ
る医薬品成分が検出された。

 国民生活センターは「国内未承認の医薬品成分による副作用で健
康被害が起きても、国内には救済制度がない。個人輸入はリスクが
大きいことを知ってほしい」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081211-00000012-maiall-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 上の記事に出ている「健康食品」は次の3つです。

ソロスリム
秀堂第3代養顔痩身カプセル
唯美OB蛋白痩身素第3代

 すべてから「シブトラミン」が検出されています。「参考のため」
ということで他の2製品もテストしていますが、どうも中身が同じ
であることを知っていたようです。

 「第3代」というのは、手を変え名を変えての3回目ということ
なのでしょうね。何度も騙される人がいるのでしょうか。

 健康食品で、何か効用をうたっている場合、本当に効くのか、効
果がないのか、二つに一つです。

 効果がある場合はほぼ間違いなく医薬品の成分が入っています。
つまりうっかり飲めば危険だということです。

 効果がない場合はたぶん害もありません。こちらは正しい健康食
品のあり方です。健康食品は無害であることが大切で、効果はなく
てよいと考えた方がよいですね。

 それから、いくら消費者に甘い日本の制度とはいえ、個人輸入し
た無認可の健康食品で被害を受けても、救済はありません。

 こういうものの個人輸入はやめておいた方が身のためです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.妊娠中期の妊婦なのですが、この前、冷蔵で輸入されたのイタ
リア産の生ハム(真空パック詰め)を食べました。後から、海外で
はトキソプラズマ陰性の妊婦は生ハムを食べてはいけないと知りま
した。(ちなみに私は妊娠初期は陰性でした)感染すると胎児に影
響があるというので、再検査を考えているんですが真空パックでト
キソプラズマの原虫は死滅しないのでしょうか?教えてください。

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A.真空パックといっても、包装の中の空気を抜いていて、酸化な
どの変質をおさえることはできますが、微生物の繁殖を抑えたり、
殺菌できたりするものではありません。

 トキソプラズマに限らず、真空パックで死滅する微生物はいない
と思ってください。

 心配なら検査すればわかると思いますので、医者に診てもらって
ください。一般論としては、一度食べたくらいで感染するという確
率はかなり低いとは思いますが、心配になるというのはそれとは違
うことですからね。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「アイルランドの豚肉」
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 こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 厚生労働省は8日、アイルランド産の豚肉から基準値を超えるダ
イオキシンが検出されたとして、9月1日以降に食肉処理されて輸
入された同国産の豚肉の販売中止と回収を輸入した6業者に通知し
た。

 アイルランドからの通報によると、豚肉からは欧州委員会の基準
値(1グラム当たり1.5ピコグラム)の約100倍のダイオキシ
ンが検出された。一時的な摂取なら健康への影響はないという。該
当する豚肉は計108.7トン。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081208-00000134-mai-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 豚肉というとデンマーク産が有名です。日本にもデンマーク産は
かなり輸入されていますが、アイルランド産というのは初めて聞き
ました。わずかですが輸入もあるようです。

 ヨーロッパの基準が1兆分の1グラム程度で、その10倍ですか
ら、1兆分の10グラム程度の汚染です。一時的どころか、食べ続
けても何ともなさそうですが、まあ避けることができるのなら避け
ておいた方が賢いというわけです。

 いつも思うのですが、1兆分の1などという量をどうやって計る
のでしょうか。計測の前に濃縮するということは聞きましたが、ど
の程度の信頼性があるのか、不思議に思っています。私なんかだと
100万分の1くらいでも計測できそうにないですので。

 さて、この事件は日本側で見つけたわけではなくて、アイルラン
ド政府が発表して、世界的に回収になっているものです。

 一番詳しく紹介しているのは、畝山さんの「食品安全情報blog」
です。個人のブログの方がマスコミの情報より詳しいというのが日
本の現状なのがよくわかります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

06 December 2008

http://www.fsai.ie/news/press/pr_08/pr20081206.asp

 政府はFSAIが本日の午後に採取した豚肉の脂肪からダイオキシン
が検出されたことを確認したと発表した。

 そのためFSAIは食品業者に対してアイルランドで屠殺された豚か
ら作った製品の回収を要請している。このリコールは小売業者や接
客業部門にも及ぶ。予備的根拠からは汚染問題は2008年9月から始
まっているようだ。

 FSAIは消費者に対し、予防的措置として、アイルランド産の豚肉
やベーコン製品を食べないように助言する。農業漁業食糧省(DAFF)
とFSAIは汚染の規模や汚染された製品の調査を継続している。情報
は入手でき次第提供する。

Dioxins in pork and bacon products
CONSUMER INFORMATION
FAQ

■何故アイルランド産の豚肉やベーコン製品がリコールされたのか?

 最近ダイオキシンが検出されたから。全てのアイルランドの豚は
同じ加工施設で屠殺・加工されているため、ダイオキシンが検出さ
れたものとそうでないものを区別するのが不可能である。そこで消
費者の安全のために全ての製品がリコールされている

■私はダイオキシンに暴露されたのか?

 消費者は車の排気ガスや喫煙や炎などから毎日微量のダイオキシ
ンに暴露されている。これまでの調査であ一般的なアイルランド人
の暴露量は低く、EFSAの設定した最大摂取量より十分低い。消費者
保護のために最大摂取量にはおおきな安全性マージンが含まれてお
り、一時的にダイオキシン暴露が増えたとしても健康影響があるこ
とはほとんど無い。

■私は心配すべきか?

 食品中のダイオキシンの存在は違法ではあるが消費者への健康影
響リスクは極めて低い。

■家庭にある食品にダイオキシンは含まれる?

 全ての生の豚肉及びベーコン製品に汚染の可能性がある。

 豚肉やベーコン、ハム、ポークソーセージ、豚の内臓(腎臓・レ
バー・心臓)、豚足、サラミ、ポークパテ、成分としてアイルラン
ド産豚肉や加工肉を含む調理済み食品などが含まれる。

 含まれないものは、ポークゼラチン及びポークゼラチンを使った
お菓子など、スナック、ソースなどである。

 家庭に問題の製品がある場合は廃棄又は購入した店に持って行く
こと。

■もし汚染された製品を食べていたら健康に悪影響があるか?

 直ちに有害影響はない。食べてしまったとしても最小限のリスク
しかない。しかしさらに食べるのは避けた方が賢明であろう。長期
間にわたって高濃度暴露が続くと問題がある。

■私は妊娠中だが、赤ちゃんに影響あるか?

 短期間の暴露にはリスクはあったとしても最小限に留まるため母
子の健康に心配はない。

■母乳は与え続けるべきか?

 母乳は与え続けるべきである。

■オーガニック豚肉についてはどうか?

 このリコールはオーガニックを含む全ての製品に対するものであ
る。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20081208
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なかなか明解な説明をしています。日本でこんなことが起きたら、
こういう資料を作成してマスコミに配布すればよいのにと思うので
すが、実際にはすでにやっているのに、ちゃんと読める記者がいな
いということなのでしょうか。

 原因などについても、だいたいわかっているようです。同じペー
ジに紹介されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

07 December 2008

http://www.fsai.ie/news/press/pr_08/pr20081207.asp

 汚染源は豚の飼料に汚染成分が加えられたこと。汚染飼料はアイ
ルランドの10カ所の農場に供給され、これらの農場はアイルランド
の豚肉供給量の10%を占める。汚染ダイオキシンの組成は電子機器
の変圧器に使われている油と類似している。小売業者は製品の回
収や廃棄に協力するよう要請されている。

■背景

 今週初め、フードチェーンの汚染物質ルーチン検査において豚肉
のPCB濃度が高いことがわかった。これらのPCB濃度の上昇はダイオ
キシン濃度の上昇の指標となるため、さらにダイオキシンを検査し
た。分析の結果、豚肉からダイオキシンが検出された。ダイオキシ
ンが確認されてすぐにFSAIは予防的措置としてアイルランドで屠殺
された豚から作った製品のリコールを要請した。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 飼料に機械油のようなものが混じってしまったということのよう
です。その中にPCBがあり、同時にダイオキシンもあったわけで
す。

 PCBとダイオキシンの関係は、PCBの一部がダイオキシンの
仲間であるという関係です。PCBだけであっても、ダイオキシン
として評価されますし、同時にPCB以外のダイオキシン類が存在
する可能性も高いのです。

 ダイオキシン(Dioxins…Diという接頭辞は、本当は「ダイ」で
はなく、「ジ」ですので、「ジオキシン」と呼ぶべきなのですが、
「ダイ」という言葉が入っているのが流行の一因になっているとい
う話もあります。)にはいろんな種類があり、PCBにもいろんな
種類があり、なかなかややこしいですが、だいたい同類ということ
です。

 アイルランドに豚肉の処理場が一つしかないというのも驚きです
が、集約と近代化の結果なのでしょう。とりあえず全量をストップ
するという判断は、影響の拡大を未然に防いだとして評価できると
思います。

 情報の出し方も鮮やかですし、危機管理のお手本ですね。


 このメールマガジンの冒頭の、中日新聞の反省と比べて、「影響
への配慮」を顧みずに行動したことがわかります。日本で同様のこ
とができるかというと、ちょっと悲観的ですね。担当者はそう動い
ても、全体としての行動はたぶん違うものになると思います。何よ
りもマスコミの馬鹿騒ぎという問題がありますので。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 夜中に書いていて、少し寝ていたらいつもの6時を過ぎてしまい
ました。時間厳守にはこだわりがあるのに、ちょっと失敗です。ま
さか6時に待っている人もいないのですが。

 ということでまだ書き足りないような気がするのですが、取り急
ぎ配信します。ツッコミなど、よろしくお願いします。

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