安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>466号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------466号--2008.10.12------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「こんにゃくゼリーの事故」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の「食糧自給率」の件について、こんなメールをいただきま
した。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 本日配信されたVol.465の中の「食糧自給率」の記事の後記に、
「週刊誌あたりがしり馬に乗ってくると面白いのですけれどね。」

と書かれていますが、今月2日発売の週刊新潮の最新号(10月9日
号)のp48に、明治学院大学の神門喜久教授の「自給率を上げよ」は
まやかし、という記事があります。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/newest/


 この記事と農業経営者の記事をあわせて読めば、如何にマスコミ
が農水省の尻馬に乗って(というか煽動記事がお得意の最近のメデ
ィアの傾向からすれば、自ら煽っているのかもしれません。地球温
暖化・二酸化炭素主犯説と同様の煽り方です)、国民に出間情報を
バラまき、役所の利権の維持ないし拡大に結果的に力を貸している
か、よくわかります。

 食糧自給率という言葉に弱いのは、「国産農作物信仰」と裏腹で
すし、その帰結として産地偽装も起こっているのだと言えるでしょ
う。

 蒟蒻ゼリーの事故の問題にしてもそうですが、多くの国民は目の
前のことに感情的に反応するばかりで、それをメディアや政治家や
消費者代表という名の消費者を代表していないプロ市民団体の人達
が煽れば、ヒステリックな反応に火がついて、農業や食糧に関して
の冷静な判断や長期的なビジョン構築・政策決定などできようはず
もありません。

 マスコミという名の「レガシーメディア」の罪は重いと思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 蒟蒻ゼリーの話は下に書きます。もう一つ、同じ件でのメールで
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつもたべもの情報をたのしく読んでます。

 食料自給率の話題ですが、実家の父が、金を出せば食糧を買える
という時代は終わった、食糧の自由貿易は幻想、いざというとき外
国はあてにならない、と心配していました。

どうも 

1自由化 
2農業壊滅 
3供給停止 
4日本餓死 

というシナリオが、あるようです。

 私は安くておいしものを世界中から買える世の中を維持するほう
が建設的だろうと思っているのですが、平行線でした。その場の結
論としては、カロリーの低い作物の生産保護はしない、というへん
なものになってしまいました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「食糧安保」などとよく言いますよね。実際には食糧が入ってこ
なくなった時点で石油も入ってきませんので、国内の農業もアウト
になります。

 そうなったらトラックも動きませんので、昔に戻って自給自足を
やるしかありません。最悪の事態です。

 したがって、私たちは平和で自由な貿易を維持するために最大限
の努力をしなければなりません。その努力の一端には、積極的な農
産物の輸入ということも当然含まれます。

 自分さえよければよい、というのは間違った考えであり、食糧自
給率の向上というのはその間違った考えの現れではないか?と思い
ます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「こんにゃくゼリーの事故」
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 少し古いニュースですが、蒟蒻ゼリーで事故がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

またひとり こんにゃく入りゼリーで死亡
−子どもや高齢者に絶対に与えない!−

 2008年7月29日、凍らせたこんにゃく入りゼリーを、祖母が1歳9
ヶ月の男児に与えたところ、喉に詰まらせた。病院に救急搬送され
たが、9月20日亡くなった。

http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080930_1.html

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 蒟蒻ゼリーの危険性については、こんなレポートがあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにゃくゼリーの危険性について国民生活センターは、

(1)口で吸いだして直接食べる

(2)物質的な特徴として硬く、弾力性が強い

(3)こんにゃくを含んでいない柔らかいゼリーと外観的に区別し
にくい、

 などの特徴を挙げている。喉に詰まるとその弾力性もあって気道
を「ぴったりとふたをした状態」にしてしまい窒息しやすいという。

 今回のゼリーは冷凍したもの。フルーツやジュースを凍らせたと
きのシャリシャリとした感じを予想してしまうところが「盲点」だ。
実際は粘度が増して硬くなり「より危険度が高まると考えたほうが
いい」(同センター)とのこと。また、氷と違い時間が口の中で溶け
てはくれない。そのままのぷよぷよした状態で残ってしまうのだ。

http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/10/01/konnyaku/

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 メーカー側も、形状や固さを変更したりして対応しているようで
すが、残念ながら事故は起こってしまいました。

 蒟蒻ゼリーによる死亡事故は1995年からの13年間に17件発生して
いるそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

事故発生年月 被害者の性別 事故時の被害者年齢
1995年7月    男児     1歳6ヶ月
1995年8月    男児     6歳
1995年12月    女性     82歳
1996年3月    男性     87歳
1996年3月    男性     68歳
1996年3月    男児     1歳10ヶ月
1996年6月    男児     2歳1ヶ月
1996年6月    男児     6歳
1999年4月    女性     41歳
1999年12月    男児     2歳
2002年7月    女性     80歳
2005年8月    女性     87歳
2006年5月    男児     4歳
2006年6月    男性     79歳
2007年3月    男児     7歳
2007年4月    男児     7歳
2008年7月    男児     1歳9ヶ月

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 41歳という例もありますが、乳幼児と老人に偏っていることがわ
かります。

 今回の「1歳9ヶ月」は最も低い年齢に属します。自分で勝手に
食べることもできるでしょうが、この場合は祖母が凍らせたものを
与えたと報道されています。

 今回のニュースの扱いを見ると、「蒟蒻ゼリーを乳幼児に食べさ
せてはいけない」という情報を知らない人がまだまだ多いことがう
かがえます。

 ニュースの扱いも、昨年に2件、続けて事故があったときより、
今回の方が大きく扱っているのが目につきます。

 メーカーには気の毒ながら、「食品事故つながり」のニュースは
現在のところニュース価値が大きくなっているのです。

 大臣が「販売禁止」や「自主回収」を要請したりして、話がどん
どんややこしくなりました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせた兵庫県の男児が死亡し
た事故を受け、野田聖子消費者行政担当相は2日、男児が食べたゼ
リーを製造した業界最大手、マンナンライフ(群馬県富岡市)の鶴
田征男会長ら幹部3人を内閣府に呼び、警告表示の見直しなど今後
の対応について説明を受けた。子供や高齢者が食べないよう警告す
る表示が小さい現商品の自主回収について、同社側は「検討させて
ほしい」とした。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/081002/dst0810022243010-n1.htm

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 また、それに反発するように、喉に詰まらせる事故は蒟蒻ゼリー
だけではない、という意見も強くあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 祖母が冷凍した蒟蒻ゼリーを小さな孫に食べさせたところ喉を詰
まらせて死亡すると言う痛ましい事故がありました。それを受けて
野田聖子消費者行政担当相は上の様に考えてるそうです。でもこれ
ってどうなんですかね。

 前にも記事にしたんですけどヨーロッパでは販売禁止だって声は
日本には意味を成さないと思うのですよ。ヨーロッパでは添加物だ
から禁止出来ますけど日本では蒟蒻って食べ物自体があるのですか
らね。更に蒟蒻での事故死ってそれこそお正月には必ず起こる餅や
煙草の誤飲なんかよりもずっと少ないのです。例えば2002年に
蒟蒻で死んだ人は1人居るのですけど同じ年の食物窒息死は418
7人です。その後の2003年から2005年までは毎年4000
人以上の食物窒息死が起こっていますがその3年間では蒟蒻で死ん
だ人は居ません。こう言う事まで野田聖子大臣は調べてから物を言
って欲しいですよ。

 蒟蒻ゼリーを販売している業界は結構涙ぐましい努力をしていま
すよ。吸い込めない様に大きくしたり、弾力を減らしたり、パッケ
ージには老人や小さなお子さんに食べさせないで下さいとしっかり
表示しています。餅で同じことしてますか? 1袋200円程度の
もので5000万も損害賠償させられたりしてるんですからそりゃ
警戒しますよ。今の状態で窒息事故死しても最早それは家族の管理
不足としか良い様が無いですよ。えっパッケージの表示が小さすぎ
る? それこそレンジで猫を乾かさないでくださいレベルの馬鹿を
相手にするのは無理ってものです。あれよりでかでかと表示させた
らそれこそ商品の売り上げに響くでしょうね。充分イメージダウン
してますし、これ以上何を望むというのかって感じです。

http://blogs.yahoo.co.jp/rimurer/34624972.html

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 窒息事故については、以下のような調査結果が厚生労働省から発
表されています。

食品による窒息事故に関する研究結果等について
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/chissoku/index.html


 ここでは消防本部と救急センターの二つについて調査した結果を
まとめています。合計すると以下のような数字になります。

穀類       401     
 もち         168
 米飯(おにぎりを含む) 94
 パン          90
 粥           22

菓子類      106
 あめ          28
 だんご         23
 ゼリー          4
 カップ入りゼリー    11

魚介類       62
果実類       60
肉類        60
いも及びでんぷん  35
 しらたき         4
 こんにゃく       10

 この数字は2006年の一年間のものです。また、消防本部は全
国で12箇所、人口ベースで全体の22%にあたるところの数字で
す。救急救命センターは204箇所のうち75箇所ですから、全体
の3〜4割ですが、人口ベースではどの程度になるか不明です。

 したがって、全国では上記の数字の4倍程度の数字になります。
ただしこれは「窒息事故」です。上記のうち、死亡例は443例、
593例は助かっています。

 蒟蒻ゼリーの死亡事故としてはこの年には2例です。上の分類で
は「カップ入りゼリー」に含まれていますが、この2例が調査対象
になっていたかどうかは不明です。

 そうすると、蒟蒻ゼリーは事故の例はそこそこあるものの、案外
致命的な事故は少ないようです。つまらせやすいものだが、助かる
ことも多いということでしょう。

 さて、以上をふまえて、「蒟蒻ゼリーは禁止すべき食品か」とい
うことを考えてみたいと思います。


■禁止した方がよいという理由

(1)老人、子供にはリスクの大きい食品なである。

(2)諸外国では危険であるとして輸入が禁止されているところが
多い。

(3)伝統的な食品ではなく、禁止しても食生活に影響を与えない。


■禁止しなくてもよいという理由

(4)窒息事故はたくさんあり、蒟蒻ゼリーが原因なのはごく一部
しかない。

(5)食品にゼロリスクを期待するのは間違っている。

(6)警告を表示しているのに無視したのは消費者の側の責任であ
る。

 考え方をまとめてみると,以上のようなところでしょうか。私も
正直いうと迷っています。

 蒟蒻ゼリーという商品のみを考えれば、(3)を考慮して製造中
止にしてよいのだと思います。

 菓子としては代わりはいくらでもありますし、カロリー制限の用
途でも,違う形態の食品を提供することは容易でしょう。

 ただ、窒息事故の実態からみて、蒟蒻ゼリーを悪者にすることは
大きな誤解を生むことになりそうに思います。

 今回はメーカー側の対応としては、当面の製造中止ということに
なったようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにゃく加工品メーカー「マンナンライフ」(本社・群馬県)
は7日、兵庫県の1歳男児が今年7月に食べ窒息死したミニカップ
入りこんにゃくゼリー「蒟蒻(こんにゃく)畑」の製造中止を決め、
卸売会社に通知した。マ社品質保証室は「警告マークを大きくする
など行政に要請された改善策に応じられないため」と説明している。

 マ社によると、製造中止となるのは、蒟蒻畑(25グラム12個
入り)の8種類▽蒟蒻畑ライト(24グラム8個入り)の6種類▽
蒟蒻畑コンビニ専用商品(25グラム6個入り)の3種類。8日の
出荷で販売をいったん終了する。製造再開のめどは未定という。

 今回の事故を受け農林水産省は、子供や高齢者が食べないよう警
告する外袋のマークの拡大やミニカップ容器にも警告を表示するな
どの再発防止策を要請。業界団体は取り組みを表明していたが、マ
社は「時間的、物理的に対応が困難で流通に混乱を招く恐れがある」
と判断したという。既に流通している商品は「商品が危険だから製
造中止にするわけではない」として自主回収せず、テレビCMなど
で子供や高齢者は絶対に食べないよう注意を呼びかける予定だ。

 国民生活センターの統計では、こんにゃくゼリーによる窒息死1
7件中3件がマ社の商品で起きている。全日本菓子協会によると、
こんにゃくゼリーの売り上げは07年度約100億円で、うち約3
分の2がマ社。マ社の売り上げの約9割は「蒟蒻畑」が占める。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081008k0000m040170000c.html

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このメーカーのシェアの大きさから考えて、17件中3件という
割合はかなり少ないと思います。それなりの努力をしてきた結果で
しょう。

 ということは、類似の商品(蒟蒻ゼリー)を作っている他のメー
カーの方が危険性が高いということです。

 ニュースになったところは槍玉にあげても、他は放置するという
例のクセがまた出ているようです。

 今まで食べていた商品が売っていないから、他のメーカーの(危
険な)ものに代える…これは悪夢ですね。

 野田さんのような場当たり的な考え方は結局総体としてのリスク
を増やしてしまいます。

 ということで、禁止にしてもよいのだけれど、場当たり的な措置
には反対で、メーカーや消費者の良識ある行動にまかせた方がよい
というのが結論です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 この週末はお出かけなので、前日に配信しています。

 昨年は2件あっても騒がなかったマスコミが今年は1件で大騒ぎ
なのはいったいどうしてなのでしょうか?単に食品のニュースが続
いているからだけなのでしょうか、よくわからないですね。

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