安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>461号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------461号--2008.09.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「パーム油・梅干・たらこ・水羊羹(Q&A)
「事故米」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも科学的な視点から判断推測されており非常に感銘しており
ます。ただ、今回のコメントにある天洋食品事件と中国国内の諸々
の事件と同じ文脈で読むのが正しいとありますが、理解できません
ので同じ文脈について説明して頂けませんでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 わかりにくい表現をしてしまって恐縮です。

 前回、たくさんのニュースを紹介したのは、別に中国を馬鹿にす
るという意図ではなく、中国社会の一端を紹介することで、現在の
中国社会、中国人の生活を知ってもらおうと思ったからです。

 中国人は日本人には想像できないような、シビアな環境の中で生
きていると思います。もちろん、そんな環境を作ったのは中国人自
身ですので、他の誰が悪いのでもないのですが。

 「ワイルドかつデンジャラス」と表現しましたが、そういう社会
と、別に危険なこともないのに不安がる日本のような社会とが、ど
ういう接点でつきあっていくのか?ということが問題です。

 以下に紹介するのは、中西準子先生の記事です。毒ギョーザ事件
発生直後にこう書かれています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 犯罪防止の議論をしてもあまり意味がないので、今回の問題を契
機に中国から輸入される食品の安全として議論するなら、防疫対策
の議論しか意味がないと私は思っている。薬物の混入に皆の関心が
集まっているが、何故混入するかと言えば、悪い物を殺すために必
要だからだろう。その悪い物とは何かを考えなければダメだ。

 今回の事件の原因をつきとめることは大事だが、中国は非協力だ
し、工場長は居直っているし、とりあえず、今回の問題だけではな
く、中国食品の安全問題というように問題を敷衍するなら、それは、
防疫対策の間違いとして絞って議論をしていいと思う。犯罪だとは
っきりするまでは。まず、問題を絞ろう。頭を整理しよう。薬物の
問題ではなく、薬物を必要とする現実に目を向けることである。所
謂残留農薬問題ではないようだから、それ以後の問題と考えていい
だろう。

 いずれにしろ、中国の平均的な衛生状態は日本より悪く、有害物
質の管理という意味での安全度も、日本より低いのは当たり前であ
り(やがて、良くなると思うが)、労働力の賃金の低さを期待して
生産するのであれば、それはある程度やむを得ないことである。

 だから、中国の平均的なレベルではなく、ずっと高い安全度を日
本は求めているのである。そのためには、日本人が食べる分だけ、
より安全にする道を当面とらざるを得ない。差別化である(私の気
持ちの中では、租界化となる)。そのためには、何らかの消毒剤と
か、殺菌剤のような薬物を使わなければならない。異常に安い商品
を求めていながら、日本国内と同じ安全度が何もせずに手に入ると
考えるのは、自家撞着である。

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak421_425.html#zakkan422
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで先生は日本向けの食品を中国で作るのは、中国の中に「租
界」を作ることになる、と言っています。租界の中は日本向けの品
質基準が守られている世界です。ところが租界の外は「ワイルドか
つデンジャラス」な中国そのものです。

 この境界が武力や城壁によって守られているのではない以上、ど
うしても租界の中を日本と同じ状態に維持することはできません。

 事件のおこった工場は、たぶんほとんどの日本の工場より、設備
や管理の面では優れています。それでもなおかつ、こういう問題が
おこるのだ、ということなのです。

 今回の事件は犯罪説が有力ですが、事故であれ、犯罪であれ、租
界の外側の事情が内側にも入ってくることには違いありません。

 租界を作った以上、こういうリスクはついてくるし、それがイヤ
なら撤退するしかない、と私も思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.今回マレーシアから調理用パーム油を輸入しようと思ってます。
仕様書に(Specs: FFA 0.1%max, PV 3max, MNI 0.1max, IV 56min,
Cloud Point 10 deg C at time of shipment)
と書いてあります。この仕様のFFA ,PV,MNI,IVの意味を教えて下さ
い。

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A.こういうことを私に聞かれても困るのですが、興味を持ったの
で調べてみました。パーム油についてはこんな説明があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 パーム原油には遊離脂肪酸含量によって品質に多くの段階(3%
から45%)があり、またパーム油はカロチンを多量(0.05〜0.2%)
に含むためオレンジ色を呈する。また、特有の芳香がある。

 沃素価44〜60、鹸化価190〜209、比重d 0.898〜0.905、屈折率n
1.453〜1.459、不鹸化物1.0%以下、融点27〜50℃ の固体脂で、脂
肪酸組成は、ラウリン酸0〜1%、ミリスチン酸1〜2%、パルミチン
酸39〜46%、ステアリン酸3〜5%、オレイン酸38〜44%、リノール
酸8〜11%である。用途としては、我が国では95%が食用(マーガ
リン・ショートニング、フライ用・製菓用油等)であり、残りが工
業用(鉄鋼の圧延用、石鹸、ろうそくの製造)に用いられる。
http://www.abura-ya.com/oil/item/pamu.html

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ご質問のうち、以下については簡単にわかりました。

FFA(free fatty acid)遊離脂肪酸
PV(Peroxide Value) 過酸化物価
IV(Iodine Value)  よう素価

 上の説明からすると、遊離脂肪酸0.1%以下というのはかなり
の精製油ですね。

 ところが、「MNI」というのがわかりません。数値からすると
「不鹸化物(Unsaponifiables)」あたりと思うのですが、どうも
文字が一致しません。いったい何の略語なんでしょうね。

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Q.減塩(5%)の梅干(南高梅)を自家製で造っていますが、今年は初
めて白い黴が発生してしまいました。3Kg入るビンの中へ(毎年)入
れて、必要に応じて食べていますが、梅干が20個位、白い黴に包ま
れて固まっています。この黴は天日に干して食べられますか? また
は捨てた方が良いのでしょうか? 同じビンの他の梅は?

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A.これはもうあきらめてください。発酵途中でカビが出たような
ものは食べてはいけません。全部捨てましょう。

 ところで、「梅干」に対して大きな誤解があるようです。梅干の
塩分は20%くらい必要です。最低でも10%くらいでしょうか。5%
の「減塩」梅干なんかは作ってはいけません。

 今まで、出来ていたということですが、出来た方が不思議です。
また、出来ていたと思っても、ちゃんとした梅干にはなっていない
ように思います。

 ところが、市販では5%から10%程度の「低塩」梅干が主流です。
というより、そういうのしか売っていないのが普通です。

 これはいったんできた梅干を、「塩抜き」しているのです。塩
抜きすると味も悪くなります。(栄養分も減ってしまいます。)
そこで、その後に味をつけています。

 蜂蜜を使ったりして、できるだけ食べやすいように工夫していま
す。今ではほとんどの市販の「梅干」がこのようなものになってい
ます。でも、これは厳密に言うと「梅干を原料とした加工食品」で
あって、梅干そのものではありません。

 私としてはちゃんと塩を使って、本物の梅干を作ることをおすす
めします。梅干くらい塩辛くてもよいではありませんか。

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Q.いただきもののたらこ、松前づけ、たこのわさび漬けをうっか
り常温(25度前後)で放置してしまいました。気づいたときには
6・7時間たっていました。(夜間です)以前の書き込みの中に、
微生物が繁殖しやすい温度があってその温度帯で放置しないほうが
よい旨、書かれていたのですが。。。食べても問題ないでしょうか?

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A.これは失敗でしたね。たらこ以外は「漬物」ですので、それほ
ど腐敗しやすいものではないでしょうが、やはり心配です。

 こういう場合、解決策は二つあります。一つは心配だから食べな
いというものです。ややもったいないですが、これも一つの判断だ
と思います。

 もう一つは、様子を見て大丈夫そうだったら食べる。というもの
です。これは昔からおこなわれてきた対応で、こちらが基本でしょ
う。

 何を見て判断するかというと、まず見た目、臭い、味の順に、少
しずつ見ていきます。何だと思うかもしれませんが、これは立派な
「官能検査」です。

 そしておいしく食べられるようなら、まず大丈夫です。少しでも
おかしいと感じたら、やっぱり食べないようにしましょう。

 こういう判断はあくまで自分の責任でおこなってください。また、
もし食中毒菌があった場合、官能的には問題なくても、食中毒にな
る可能性はあります。

 普通に製造・出荷された加工食品なら、まず食中毒菌の心配はな
いものですが、やはりリスク要因としては考えておくべきです。

 それでやっぱり心配なようでしたら、最初に戻ってあきらめるの
が正解です。

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Q.プラスティックに入っている水羊羹を開封したら、ネバネバと
糸を引いたのですが、食べて大丈夫でしょうか?臭いはありません
でした。

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A.こういうことを人に聞くものではありません。それを目の前に
しているあなたが、自分で判断すべきものです。食べるにせよ、食
べないにせよ、見て、臭いをかいで、自分で判断しましょう。

 判断がつかないようなら、食べないというのが常識です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「事故米」
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 こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 コメ加工販売会社「三笠フーズ」(本社・大阪市、工場・福岡県
筑前町)が、基準値を超える農薬やカビが検出され非食用とされた
「事故米穀(べいこく)」を食用として販売していたことが5日、
農林水産省の調べで分かった。基準値の5倍の有機リン系殺虫剤メ
タミドホスが検出された中国米など299トンを販売していた疑い
が強い。農水省は同日、三笠フーズに回収を要請し、同社も応じる
姿勢を示した。農水省は近く食品衛生法違反罪で刑事告発する方針。

 農水省によると、同社は政府から平成15〜20年度に、「事故
米穀」とされた精米や玄米1779トンを工業用の糊(のり)用と
して購入。そのうち、基準値の5倍に当たる0・05PPMのメタ
ミドホスが検出された中国産もち精米295トンを、せんべいなど
米菓の材料として佐賀県の仲介業者に転売した疑いがある。

 また、カビの一種である発がん性物質アフラトキシンB1が検出
されたベトナム産うるち精米など約4トンを焼酎の材料などとして、
鹿児島の焼酎メーカーなど5社に販売した疑いも浮上しているとい
う。

 こうしたコメは、鹿児島や福岡、京都など計20業者が扱った記
録が確認されており、西日本一帯で流通した可能性がある。

 また、ほかにも中国米など510トンから同程度のメタミドホス
やアフラトキシンB1が検出されているが、一般には流通せず在庫
として保存されている。残る950トン以上については、販売先や
用途は不明。

 同社は一部の不正販売を認め「自社で残留農薬を分析し、基準値
以内だから販売してもいいと思った」と説明しているという。

 不正転売された中国米は、国際社会で輸入が義務づけられている
ミニマムアクセス米。輸入食品についてメタミドホスの規制が始ま
る以前の平成15年度に輸入されたコメだった。

 三笠フーズの冬木三男社長は農水省の調査に「違反に当たること
は認識していた」と話しているという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080906-00000095-san-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「事故米」などというものがあることははじめて知りました。米
の流通はかなりいい加減ですので、こういうものが出て、処分せざ
るを得ないということもあるのですね。

 そしてこれを引き取った業者が、食用に転売したというのですか
ら、安全性がどうとかいう以前の犯罪です。

 食用にしないことを前提に、安く引き取ったのです。どれくらい
安いかというと、以下のような値段です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 カビ毒や残留農薬が検出された工業用の事故米を食用に転売して
いた米粉加工業者の三笠フーズ(大阪市)が、2004年にアフラトキ
シンが検出されたベトナム産うるち米(約3.3トン)を農林水産省
から1万円で購入していたことが6日、分かった。同省は安く仕入れ
たコメを焼酎メーカーなどに転売して大きな利益を上げようとした
とみている。

 農水省は04年、ベトナムから輸入し、京都農政事務所で保管して
いたうるち精米に発がん性の強いカビ毒であるアフラトキシンが含
まれていることを確認した。同省はこのコメを食用としては使えな
い事故米と認定。同年4月27日、三笠フーズに1万円の安値で売却し
た。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080906AT1G0600M06092008.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 アフラトキシンが検出されれば普通は輸入できません。その場で
破棄処分になるか、輸出国に戻されます。

 ところが米の輸入ではそうではなかったのですね。輸入元が国だ
と検査もせずに入ってくるということなのでしょうか。

 こうしたことからは、見つからずに食用になってしまうものも多
いのではないかと思います。

 また、見つかった場合、民間なら破棄処分させられますが、国の
場合は叩き売っておしまいというのもおかしな話です。

 抗菌剤の見つかったうなぎを破棄処分せずに保管していたという
ことも先日ありました。私は破棄処分を免れて、こっそり売るつも
りだったと思っていますが、国のやっていることは(値段こそ安い
ですが)同じことです。

 値段がいくら安くても、破棄する費用は浮きますし、たぶん管理
責任もそれで問われないのでしょう。

 ところが、安く売れば売るほど、転売する利益は大きくなります
ので、犯罪のリスクは増えるというしかけです。

 転売先にいくらで売ったのか興味があります。マスコミ諸氏には
ぜひここを調べていただきたいです。

 私の想像では、通常価格よりかなり安く買っているのではないの
でしょうか。要するに買った方もわかっていたのではないかという
疑惑を持っています。

 「ミニマムアクセス米」は一定量輸入されていますが、ほとんど
みかけることはありません。米を原料にする食品業界で引き取るも
のが多いのです。

 米を原料にするというと日本酒ですが、日本酒業界は保守的です
ので、使うことはないと思っていました。でも焼酎の原料に使って
いるということですから、日本酒でもあり得るのかもしれません。

 味噌なんかでは多いのですけれどね。

 輸入米が悪いわけではありません。この事件は非常に悪質な犯罪
ですが、その背景には以下のことがあると思います。

(1)国の輸入・管理がきちんと機能していない。(国産の米につ
いても同様です。)

(2)安ければ盗品でも事故米でも買ってしまう業界の体質。

 モラルの点で肉業界と最低を争うのは米業界だ、という話がやは
り本当だったかという事件です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 事故米の不正転売事件で、輸入米が悪く言われるのではないかと
心配です。ふだんは反日的なマスコミ諸氏も、こういう時だけは国
粋主義に変身してしまいます。唐突に「輸入米が悪いわけではあり
ません。」と書いてしまった私の気持ちはご理解いただきたいと思
います。

 中国に「租界」を作る話でも、私はそれを悪いこととは思いませ
ん。単にある程度のリスクを覚悟すべきだという話です。

 食べ物にまつわる国粋主義は、結局国内の悪徳業者が活躍する場
所を提供しているだけだ、というのがこのところのニュースから得
られる教訓だと思います。

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