安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>46号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------46号--2000.09.17------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「インターネットからのいろいろな情報」
     「鮮度保持剤」(Q&A)
     「牛乳」付録

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 インターネットで興味深い情報をみつけたので、今回はそれを紹
介します。まずは米の収量について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 以下に,米の反収(10アールあたりのkg収量)の年代別変化を示
した。引用した文献は,農林水産省農産園芸局農産課監修「日本の
稲作」,地球社(1984年)である。

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年代        反収(10アールあたりのkg収量)
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奈良時代         100
江戸時代から明治初期   200
明治中期         200
明治後期      200〜250
大正期       250〜300
昭和初期から終戦直後   300
昭和20年代     300〜350
昭和30年代     350〜400
昭和40年代     455〜480
昭和50年代        500
現在           600
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(●有機農業は自然を破壊する。
http://members.tripod.co.jp/gregarina/I1D.html より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 宮沢賢治が肥料の設計などをしていた時代には、 300キロ程度だ
ったわけです。よく「反当たり10俵」というような表現をしますが、
1反は約10アール、1俵は約60キロですから、現在では反当たり10
俵が平均的ということになります。

 この米の収量の増加には、いろいろな要素があるのでしょうが、
土壌の改良、品種の改良といった、基本的な努力の積み重ねが最も
大きなポイントであろうと思います。

 化学肥料をやるから、農薬をやるから、と簡単に語られることが
多いのですが、私はそんなに簡単に云うべきことではないと思って
います。

 ただ、現在では米の生産過剰が問題になっているのですから、こ
ういうことも素直に喜べないのがつらいところです。

 つぎは残留農薬の検査結果です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------
------------------------------------------------------------
農薬検出濃度 無農薬果物  慣行果物 無農薬野菜  慣行野菜
------------------------------------------------------------
 <0.01ppm    14%   12%   23%   16%
 <0.1ppm    45%   51%   65%   58%
 <1.0ppm    40%   32%   10%   24%
 <10ppm    −−−    2%   −−−    2%
------------------------------------------------------------

 この表は生協等も含めて25万点の分析を行った結果ですが、無
農薬栽培として市場で売られている物とそうでない物では農薬の検
出頻度はほとんど同じで、無農薬の方が若干低めの値が出る程度で
あることがわかっています。この程度であれば高価な無農薬野菜を
買う必要性はないと考えて差し支えないでしょう。

(無農薬野菜を食べる?
http://nouyaku.net/tishiki/tishiki.html より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ちょっと表の意味がわかりづらいのですが、10、1.0、0.1、0.01
の4種類の検出限界で検査して、それぞれで検出されたものの割合
を示しているようです。

  <10ppmで2%というのは、検出限界10ppmでは検出されなかった
が、<1.0ppmでは検出されたものが2%あった、という意味です。

 ということは、この2%のものは1.0〜9.99ppm程度、残留農薬が
あった、ということになります。 10ppmを越えるものは、全体で一
つもなかったということでもあります。

 「無農薬」というジャンルの物が、どんな栽培法で、どういうふ
うに入手したのかは、とりあえず不明ですので、参考程度というこ
とで理解した方が良いのでしょうが、まず実態としてはこんなもの
だろう、というイメージはできると思います。

 要するに、残留農薬は検出限界を下げれば必ず見つかる、という
ことです。ダイオキシンなんかでは、ppmの下のppbのさらに下のppt
などという単位で検査していますが、こんな単位では、恐らくあら
ゆるものから検出されることでしょう。

 でも、見つかるということと害がある、ということは別問題です。
ちょっと旧聞に属しますが、カップラーメンで問題になった、スチ
レンダイマー・トリマーの環境ホルモン問題にも、最終的な結論が
出たようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 このように、E-screen法については、結果の解釈が難しいなかで、
細胞死等が起こると考えられる直近の濃度でみられた細胞増殖がエ
ストロジェンレセプターの活性化に起因する可能性は棄却できない
が、極めて高濃度領域での現象であり、また、レセプターバインデ
ィング法では、少なくとも高い親和性でレセプターとの結合性があ
ると判定できる物質がなかった。さらに、これまでの文献調査で、
エストロジェン様作用については、エストロジェン受容体との結合
及び幼若雌ラットの子宮重量増加試験で否定的な報告しかなされて
いない。

 したがって、E-screen法でみられた高濃度領域の細胞増殖に関す
る原因の解明は、先にも指摘したようにE-screen法そのものの問題
点として、今後検討する必要がある。スチレン2量体・3量体を構
成する各々の化学物質については、包括的に現時点でリスクを算定
することは技術的にみて現実的でないとともにその必要性はないと
考えられる。

(環境庁のホームページ
http://www.eic.or.jp/eanet/end/1201-2.html より)
(http://www.eic.or.jp/eanet/end/から入ってください。)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なんだかわかりにくい文章ですが、要するにスチレンダイマー・
トリマー(2量体・3量体)には環境ホルモン作用はほとんどなく、
リスク評価をするまでもない、というのが結論です。

 この以前にカップラーメンの中にスチレンダイマー、トリマーが
溶出するかどうかの論争がありましたが、有機溶剤を使ったり、通
常の使用を越えた温度・時間をとらないと(普通に食べている限り)
溶出しない、というのが一般的な理解だと思います。

 まとめてみると、カップラーメンから、スチレンダイマー、トリ
マーはほとんど溶出しないし、溶出したとしても、その物質には環
境ホルモン作用はほとんどなく、環境ホルモン作用があったとして
も、その人体への害はほとんどない、ということです。

 何だかばかみたいな話ですが、何をあれだけ騒いだのでしょう。

 「環境ホルモン」ということは、野生動物への影響というレベル
では、基礎研究が必要な分野でしょうが、人体への影響というか、
健康被害というレベルでは、すでに問題はない、として過去の問題
になった、と考えています。

 環境庁の出した例のリストですが、どうも根拠もなく、海外の文
献からコピーしてきただけの代物だったようです。役人の予算獲得、
研究者の研究費獲得の道具にされた、ということなのでしょう。

(詳しくは中西準子先生のホームページ
http://www.kan.ynu.ac.jp/~nakanisi/index.html
をごらんください。)
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--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.スーパーで陳列されている鮮魚(切り身、刺身)は、見た目の
鮮度を保つために、鮮度保持剤のようなものを霧吹きで表面に散布
していると聞いたことがあります。これはデマなのでしょうか?そ
れとも、当たり前に行われていることなのでしょうか。もし事実で
あるとしたら、その薬品の安全性はいかがなものなのでしょうか。

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A.これはよく聞く話ではあるのですが、実態は私にはよくわかり
ません。

 図書館で見かけた本では、「鮮度保持剤」として、つぎのような
ものがあげられていましたが、実際に店などでつかっているのかど
うかは、よくわかりません。

炭酸水素ナトリウム
クエン酸ナトリウム
酢酸ナトリウム
リンゴ酸
ビタミンE
ビタミンC

(「シーフードの時代」成山堂掲載「水産加工への茶の効用」
大森正司著より)

 この論文はこれらの「鮮度保持剤」に加えて、茶からとったカテ
キンを魚の鮮度保持に利用できる、という報告です。

 文脈からは、上記の物質が魚の鮮度保持に利用されている、とい
うふうにとれますが、使用の実態については言及されていません。

 上記物質は主にPH調節と酸化防止の働きがあります。

 蓄肉では肉中のグリコーゲンが分解して、かなりの酸性に自分自
身でなりますので、保存性がわりと良いのですが、魚ではそれほど
酸性にならない、というのが魚の保存性の悪さにつながっているよ
うです。

 これらの物質は毒性のあるものではないので、別に安全性を問題
にする必要はないと思います。

 とにかく、使っているとも、使っていない、とも私にはよくわか
らないので、ご存じの方がいらっしゃったら、教えてください。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「牛乳」付録
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 以前に「文藝春秋」にのった牛乳についての記事の悪口を書いた
ので、ホームページの掲示板にご批判の書き込みをいただきました。

 どうも悪口という書き方になってしまって、申し訳ありませんで
した。そこで、少しはちゃんとした批判を、ということで、図書館
でコピーを入手してきました。

 件の記事は、文藝春秋9月号に載った、「日本の牛乳は生鮮食品
ではない」という記事です。(平澤正夫著)

 加熱殺菌した牛乳は、「生鮮食品のように扱うべき食品」ですが、
本来の意味の生鮮食品ではありません。まあそのことはおいておい
て、簡単にコメントをつけてみます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 日本では、大手メーカーを始めとしてほとんどの牛乳は120度
〜130度で2秒という超高温殺菌を行う。ところが世界の牛乳は
大部分が63度で30分、または72度で15秒という低温殺菌で
処理する。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

◆こういうのを見てきたような嘘といいます。世界での殺菌温度の
分布について、本当にそうなら数字で示してほしいものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 超高温をかけるとカルシウムの吸収が悪くなる。再加熱すれば更
に悪くなる。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

◆これも実験データに基づかない、「憶測」です。もっともらしい
話ですが、データに基づいたものではないでしょう。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 パス乳は乳酸菌が生き残っているのでチーズの原料になるが、超
高温滅菌乳(UHT乳ともいう)はチーズにできない。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

◆パス乳(低温殺菌牛乳)に乳酸菌が生き残っているということを
言う根拠がわかりません。低温殺菌では、ある程度の菌数が残りま
すが、乳酸菌だけを選択して残すことなどはできません。

 また、チーズにできるということと、乳酸菌云々の関係も意味不
明です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 つまり、皮肉なことに超高温滅菌した無菌状態の牛乳のパックで
は、侵入した最近が猛烈に繁殖するのである。逆に、低温殺菌のパ
ス乳の場合、病原菌は死滅していても、乳酸菌その他の細菌がある
程度残っていて、侵入してきた細菌と闘う。それで細菌の増殖のテ
ンポのろくなる。結局、乳酸菌等が残っている低温殺菌乳のほうが、
無菌の超高温滅菌乳よりも腐敗しにくい、という逆説的な結果にな
るのである。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

◆これは前に「賞味期限」のところで言ったとおりです。こんなこ
とは残念ながら、著者の観念の中の世界でしかおこりません。

 「侵入してきた細菌と闘う」などという見てきたような書き方で
すが、細菌同士が闘う、というのはどういうことなのでしょうか。

 微生物同士が影響しあう関係としては、「資源の奪い合い」と
「相互作用」が考えられます。

 資源というのは、水や栄養物や繁殖可能な場所などですが、人間
の腸の中のように、すでに微生物が満杯になっているところでは、
確かに外部から侵入してきて定着するのは難しいのです。

 相互作用というのは、抗生物質に代表されるように、直接他の細
菌の増殖を防ぐものもありますし、乳酸菌が繁殖して、乳酸が増え
ると、酸に弱いものから順に死んでいく、とか、酵母のアルコール
発酵によって、他の微生物が繁殖できなくなる、とかいうこともあ
ります。

 で、殺菌したての牛乳の場合、数億から数百億というオーダーの
微生物が生存可能な環境で、いくら乳酸菌が残っていても、侵入し
てきた細菌が繁殖するのに何の不都合もありません。

 もし、侵入してきた細菌が繁殖できないほど、乳酸菌が存在して
いたとしたら、それは乳酸菌によって腐敗している(または発酵し
ている)と表現します。

 どのような実験をしたら、低温殺菌牛乳よりもUHT牛乳が早く
腐敗する、というデータをとれるのか、教えてほしいものです。
(もちろん、ちゃんとした実験で、そんなことがおこることはあり
ません。)

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ちなみに厚生省の定めた乳等省令では、原乳1ccあたり400万
以下であればよく、常温保温するLL(ロングライフ)牛乳の原料
乳で30万以下であればよしとしている。ところが、群馬県新田町
の東毛酪農のパス乳の原乳は、1ccあたりの細菌数が1万以下、と
きには千を切ることもあるという。参考までに言うと、乳等省令で
は、加熱後の牛乳で5万以下と規定している。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

◆原料乳の中の細菌数は顕微鏡で数えています。このときには、生
きている細菌と死んだ細菌とは区別がつかないので、すべてをカウ
ントします。

 したがって、搾ってから時間のたった牛乳では、既に死んだ細菌
の死骸も多くなりますので、どうしても数値が上がってきます。酪
農農協などの生産地に近接した施設で検査すると、この数字は低く
なります。別に東毛酪農だけでなく、各地方のまじめにやっている
酪農農協では、似たような数字が出ているはずです。

 参考までに、といっている加熱後の規格は、こんどは「生菌数」
といって、培養検査をして、生きている細菌の数をカウントします。

 つまり、まったく根拠の違う数を、並べているのです。

 参考までに言いますと、この5万以下、という数字は、普通賞味
期限を定めるときの根拠になります。10度程度で保管して、生菌
数が5万を越える時点を賞味期限とするのが普通です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 コックスによれば、パス乳の寿命は3週間だという。3週間!そ
うすると、超高温で滅菌し、品質保持期限1週間の、味も香りも劣
る日本のJ−UHT牛乳は、いったい何なんだろうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

◆コックスという人がいった3週間という数字はどのような根拠が
あるのでしょうか。著者はここでも確かめようとはせず、何年も前
からあちこちでこのようなことを言っています。

 5度で保管すれば1週間以上は必ずもちますし、2度くらいにす
れば3週間以上も上記の生菌数5万以下の状態を保てます。

 また、生菌数5万というのは、実際には飲むのに影響が出るレベ
ルよりはるかに下ですので、見た目や飲んでみて大丈夫、というこ
とでしたら、生菌数5万を越えていても、まったく平気です。

 家庭で封をあけた牛乳を冷蔵庫にいれておいた場合、じつはすぐ
にこのような状態になっているのですが、飲んで差し支えあるもの
ではありません。

 UHT牛乳に関しては正規の賞味期限を適用し、低温殺菌牛乳に
対しては飲んで大丈夫という風聞に属する日数を適用しているので
すから、比較の方法が間違っています。

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 以上、簡単ではありますが、私のコメントを付けてみました。も
ちろん、私の意見ですから、そうではない考えの人もいると思いま
す。異論反論は歓迎しますので、ぜひコメントをお寄せください。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回はちょっと変則的な内容になってしまいました。

 これで掲示板の書き込みに対する回答になっていますでしょうか?
>自然派さん。

 いろいろと牛乳に関して書きましたが、誤解のないように言って
おくと、私は低温殺菌牛乳推進派です。ただ、目的のためには嘘を
言っても良い、というこういう業界の人は許せないだけです。

 私が低温殺菌牛乳を推奨する理由は簡単で、良質な原乳からしか
低温殺菌牛乳はできないからです。低温殺菌牛乳が事故なく供給さ
れている限り、原乳・製造過程ともに健全な状態にあると判断でき
ます。

 UHT殺菌は殺菌効率が良すぎるため、今回の雪印の事件で明ら
かになったように、本当に異常な事態が発生するまでは、少々の原
乳や製造過程での汚染を隠してしまう効果があります。

 食べ物としてのリスクは低温殺菌牛乳の方が高いのですが、食べ
物に少々のリスクはつきものです。あえてリスクの高い方を選んで、
もっと率は低くても危害のレベルの高いリスクを避ける、というの
が、正しい選択だと思っています。

 ただ、店に適当な低温殺菌牛乳が売っていない場合は、できるだ
け産地の明らかな普通の牛乳を買うようにしています。 

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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