安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>458号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------458号--2008.08.17------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ブログから」「人工霜降り肉・プロセスチーズ・リン酸塩(Q&
A)」「BSE疫学調査」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 以下は私のブログからの引用です。

 麻生さんの「ナチス」発言に続いて、太田農水大臣の「やかまし
い」発言がマスコミで取り上げられています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食の安全「国民がやかましいから徹底」 太田農水相発言

 太田農林水産相は10日、NHKの番組で、中国製の冷凍ギョー
ザ中毒事件を受けた国内の食の安全対策について、「日本は安全な
んだけども消費者、国民がやかましいから徹底していく」と発言し
た。

http://www.asahi.com/politics/update/0810/TKY200808100314.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この発言のどこが問題なのか、理解に苦しみます。

 この記事が発言を正しく伝えているとして、まず「日本は安全な
んだけども」というのは、とりあえず安全面で心配するような状態
ではない、という事実を伝えようとしているわけです。

 だからといってそれでおしまいというわけではなく、もっと「徹
底していく」と言っているわけです。その理由として、「国民がや
かましいから」だと言っています。

 本当は心配する必要のないレベルなんだが、より以上の安全(安
心?)を求める国民の声が強いから、もっとレベルを上げるように
努力する、という意味でしょう。これのどこが問題なのでしょうか?

 麻生氏の発言も、初めは大騒ぎしていましたが、ネット上では民
主党などから、ときの首相をヒトラー呼ばわりしている発言がたく
さん上げられて、逆に恥をかいてしまいました。政府を批判する側
はそういう例えを使ってもよいが、権力側が使うのはけしからん、
というのでは今の世の中では通用しません。

 しかも麻生氏は別に民主党をナチスのようだと言ったり、小沢氏
をヒトラーのようだと言っていません。揚げ足取りもいい加減にし
ろ!といいたいところです。

 かつての「産む機械」発言といい、こういうのを批判する(でき
る)人は、いったいどういう論理で動いているのだろう、と不思議
に思います。

 大臣の発言なら揚げ足を取ってもよい、ということなのでしょう
が、揚げ足取りにもなっていない、妄想・捏造のレベルなんですけ
れどね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.Q1380の続きです。人工霜降り肉というのを聞いたことがあり
ます。これは安全なものなのでしょうか?

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A.少し古い記事ですが、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 メニューに隠れる“真の姿” 白い筋が走る“霜降り肉”がある。
肉屋の店頭で見る高級肉と見まごうばかりの美しさだ。だが、この
美は人の手によって作り出された。

 赤身の肉を霜降り肉に変える“魔法”として、インジェクション
(挿入、注入)と呼ばれる技術がある。 食肉メーカーの協和食品
(東京)によると、主に利用されるのは豪州産のカウミート(搾乳
後の牛の肉)。これに100本を超える注射針を差し込み牛脂を注
入する。コンデンスミルク状になった脂身が赤身に溶け込むと、見
た目は、ご存じ霜降り肉にそっくりになる。こうして「インジェク
ション・サーロインステーキ」は、完成する。外見だけでなく、通
常の赤身肉にはない柔らかさも得られる。「値段は、高級霜降り肉
が1キロ8000円ぐらいなのと比べ、1700円程度です」(同
社営業部の山下博巳さん) 市場規模は拡大を続け、出荷量は年間
6000トン程度に達するとみられている。

http://kyounosinbun.cocolog-nifty.com/syasetu/2006/08/post_cf55.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 元の新聞記事はなくなっているので、引用したブログからの再引
用です。

 こうした小細工はあまり感心しないことですが、「安全」の問題
とは違います。元が牛肉と牛脂である限り、安全性については、普
通の牛肉と同じことです。

 また、こうした「人工霜降り肉」が精肉として市販されている例
はまずないと思います。生の状態では誰が見てもわかるからです。

 引用した記事でははっきり書いていませんが、これはレストラン
などで提供しているステーキなどで使われています。焼いてしまえ
ばわからないからなのでしょうね。

 よいことではありませんが、安全かどうかと聞かれれば、問題な
いというのが答になります。

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Q.いつも興味深く拝読しています。真実を見つめようとする本情
報は大変参考になります。

 ところで、市販のプロセスチーズの事で質問いたします。私は、
牛乳は飲めませんがチーズは食べられますので、おやつ代りにして
います。しかし、その塩味が濃すぎてどうしても気になります。こ
れほどに塩分を高くしないといけないのでしょうか。もともと発酵
品でもあり日持ちもすると思いますので、その塩分の濃さに合点が
いきません。お教えください。

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A.プロセスチーズはナチュラルチーズを加工したものです。原料
のナチュラルチーズを製造するとき、塩を使うのです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 チーズによっては塩味の強いものがありますが、塩分を控えるこ
とはできないのでしょうか。

* ナチュラルチーズの中で、例えばブルー系のチーズは、塩分が強
くなっています。これは、このチーズがうまく発酵、熟成するため
には、塩分がどうしても必要なのです。もし塩分を低くしてつくる
と、うまく発酵せず、ブルーチーズの特長を備えたチーズはできま
せん。塩はこのチーズにとって重要な役割を持っているのです。

* プロセスチーズをつくるとき塩は加えませんが、原料のナチュラ
ルチーズに由来する塩分相当量は2.8%です。

http://www2b.biglobe.ne.jp/~isida/ctizu4.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 チーズの塩分が気になるのですが?

A3 チーズは有害菌の繁殖をおさえ正常に発酵させるため、製造過
程で食塩を加えています。しかし1回に食べる量で考えると、プロ
セスチーズ1切れ(20g)0.6g、 パルメザンチーズ大さじ1杯(6g)
0.2gで、それほど多くはありません。

http://www.jdia.or.jp/information/cheese_faq.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どちらの記事からしても、約3%前後の塩分を含むようです。ナ
チュラルチーズの種類により、塩分も違うので、低塩分をうたった
プロセスチーズもありますが、本質的にはチーズは塩辛いものです。

 チーズが自然の醸造によって作られている限り、塩分なしで作る
ことはできないので、あきらめるしかないですね。漬物が塩辛いの
と同じことです。

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Q.ワインに含まれている添加物 リン酸塩は、人体に害はありま
せんか。リン酸塩に、味、臭いなどありますか。

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A.ワインにつきものの食品添加物というと、「亜硫酸塩」があり
ます。「リン酸塩」という表示があるワインもよく見かけますね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食品添加物の使用例として清酒・ワインなどの醸造分野では、酵
母の栄養源として使用されます。しかし、リン酸塩そのものは酵母
が消費しますから醸造製品には残りません。

http://www.rinka.co.jp/products/phosphate/index.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ワインには「醸造用剤」として使われています。似たような使い
方には、日本酒で「乳酸」を使うのもあります。いずれも、製品に
残るものではないので、表示している例は少ないです。

 ハム類によく使われる「重合リン酸塩」とは違い、単純な無機リ
ン酸です。リンは生物には必須の元素で、重要な働きをしています。
だから、毒性とかは別に問題ではありません。

 大量にリンをとると、ミネラルバランスが狂う、などという話も
あるのですが、摂取量を考えれば、無視できる程度です。

 味や臭いに影響するほど含まれることはありません。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「BSE疫学調査」
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 前回の記事のように、この8月から、国が行っていた「全頭検査」
への補助が打ち切られ、各自治体での自主的な検査に移行していま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 BSE(牛海綿状脳症)の全頭検査は、平成13年10月から国
の全額補助で始まったが、厚生労働省は、食品安全委員会の「感染
リスクは高くならない」という答申を受けて、17年8月から検査
対象を生後21カ月以上の国産牛に限定した。

 しかし、自治体からの猛反発を受け、今月末までの3年間は継続
して補助する措置が取られていた。いよいよ、生後20カ月以下の
牛の検査費補助が打ち切られるが、検査施設(全国77カ所)を運
営している44都道府県と政令市など33市が、独自予算で8月以
降も継続することになった。厚労省は「検査継続は税の無駄」と述
べているが、地方自治体は「食の安全重視」と「国産牛の産地間競
争に負けないため」に継続を主張している。

 確かに、欧州でも検査対象は生後30カ月以上とする国がほとん
どで、月齢に関係なく全頭検査をしているのは、世界中で日本だけ
だ。ただ、以前にもこの欄で述べた通り「日本人は白人よりはるか
に感染しやすい遺伝子を持っている」という事実がある。しかも、
全頭検査をしていることで、国民に対し「国産牛への安心感」を与
えている。

 厚労省が今月18日に発表した国民意識調査でも、継続を望んで
いる消費者が58%で、「検査しなくていい」は7%だった。昨年
度の国産牛の解体数が約122万8000頭、うち生後20カ月以
下は12・5%の約15万3000頭で、検査費用は年2億200
0万円と推計される。

 77カ所で単純に平均すると、1カ所あたり年間約286万円で
ある。食の安心・安全を確保する費用としては、それほど高額とは
思えない。

 科学的な根拠はないが、例えば23年9月まで続けてはどうだろ
う。区切りの10年、それまで何の変化もなければ、消費者も満足
するかもしれない。

 一方、公正取引委員会は、食肉業者などが「検査済みで安全」を
PRすると、景品表示法違反(優良誤認)になるという。検査をし
ている事実をPRできないということは、おかしな話である。厚労
省から圧力がかかったのだろうか。行政の裁量でどのようにも判断
できる優良誤認を悪用しているとしか思えない。安全という言葉が
引っかかるのならば、「検査済みなので安心してください」なら問
題ないだろう。それを否定すれば、残留農薬や添加物の検査、DN
A鑑定などもPRできないことになる。

 消費者に不安を与えないこと、それが行政の役目であることを自
覚してほしい。

(食品問題評論家 垣田達哉)

http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/080725/sty0807250850003-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この引用あたりが一般的な反応なのだと思います。前回紹介した
NHKの解説では、もう一歩踏み込んで、全頭検査が無意味である
ことを国民に説明しろ、というような内容でした。

 現在の自治体が費用を負担するというやり方を、どこかでキリを
つける必要があり、それにはある期限をきって、一斉にやめるしか
ないのではないか、というのは現実的な意見です。(何か情けない
気もしますが。)

 政府はやめるべし、とはっきり舵を切ったわけですが、よりマス
コミの攻勢に弱い地方自治体が今度はいじめられる番です。当事者
はいったいどのように考えているのでしょうね。


 さて、BSEの発生状況は以下のような感じです。左の数字が昨
年(2007年)、右側が今までの累計です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

オーストリア 1 6
ベルギー 0 133
カナダ 3 15
チェコ共和国 2 28
デンマーク 0 15
フィンランド 0 1
フランス 984
ドイツ 4 415
ギリシア 0 1
アイルランド 25 1,626
イスラエル 0 1
イタリア 2 141
日本 3 34
リヒテンシュタイン 0 2
ルクセンブルグ 0 3
オランダ 2 84
ポーランド 3 61
ポルトガル 14 1,043
スロバキア 0 23
スロベニア 1 8
スペイン 36 717
スウェーデン 0 1
スイス 0 464
英国 67 184,561
米国 0 2

163 189,369

http://www.niah.affrc.go.jp/disease/bse/count.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 本家のイギリスでも、今年は10頭しか報告されておらず、終息間
近という雰囲気です。

 日本は「全頭検査」ということをやっているので、上記の数字は
外国に比べ、実際の感染の広がりからすると、かなり大きな数字に
なっています。

 このことは疫学的な調査には有益で、「BSE の感染源および感染
経路に関する疫学研究報告書」という報告にまとめられています。

http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/eisei/prion/05/pdf/data5-1.pdf

 以下はそこから少し抜粋したものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 わが国のBSE の発生パターンは英国のような高度汚染国とは異な
り、またアイルランド、フランス、スイスなどの中等度汚染国のBS
E 汚染規模に比べて極めて低い。他方、ヨーロッパの低汚染国では、
わが国のような規模の疫学調査は行われておらず、モデルとして不
十分な情報しか得られていない。これまで得られたわが国のBSE 検
査データから推定される発生パターンから、日本におけるBSE の発
生の特性は以下のように考えられる。

(1) ヨーロッパに比べて汚染規模が比較的小さい。

(2) 地理的偏りがあること(北海道を中心に汚染が進んだ:国内増
幅の可能性)。

(3) ヨーロッパと同様、乳用牛を中心に汚染が進んだ。

(4) 地域的、経時的にみて、不連続に散発的発生という形をとった
ことが示唆される。これまでのデータから、北海道以外では国内増
幅は起こらなかった可能性が強い。

(5) 1996年後半生まれから1998年生まれまで汚染がないことを考慮
すると、この間、海外からのリスク因子の侵入はなかった可能性が
考えられる。


プレA群仮説1:長崎県壱岐市の生まれの黒毛和種(非定型例)

 プレA群の候補は1992年壱岐市生まれの黒毛和種雌であり、わが
国で発見された和牛の例はこの1例のみである。

 孤発性の可能性が高いが、確定するには今後の研究の発展を待つ
必要がある。ここでは孤発性という可能性を重視する。いずれにせ
よ、九州の本症例(第24例)と北海道、関東のA群との関連性は考え
にくい。


A群(北海道と関東)

 A群の汚染の原因を考える場合、1.1995年後半から1996年前半
に突然、高濃度汚染が導入された(輸入動物性油脂、肉骨粉、サプ
リメントなど)。したがって北海道と関東は同じ汚染物質により引
き起こされた可能性がある。

 A群の特徴は陽性個体の生年月日が集中していることである。そ
の点では後述する北海道C群とは異なっている。A群の陽性例を地
理的、時系列的に整理すると、1995年12月生まれは神奈川県の1例、
1996年2月は北海道の2例、3月は関東の2例と北海道の4例、4月は北
海道の3例、8月が北海道の1例の合計13例である。


B群(熊本ホルスタイン種雌)

 現在まで、B群に含まれるBSE 陽性個体は品種、時間的、地理的
特性から見て熊本の1例(12 例目:1999年7月生まれ、2004年9月確
認、62ヶ月齢)のみである。

 これらを合わせると、1999年輸入されたイタリアからの肉骨粉が
汚染しており、豚用飼料工場で交差汚染した可能性が考えやすい。


C群(北海道ホルスタイン種雌)

 C群はいずれも北海道生まれのホルスタイン種雌である。1999年
8月生まれが1頭、11月生まれが2頭、2000年2、4、6、7月生まれが
各1頭、8月生まれが3 頭、9月生まれが2頭、10月生まれが1頭、
2001年6、8月生まれが各1頭である。

 A群が道東に偏り、生年月日が1996年第1四半期に集中していた
のに対し、C群の分布は道央、道南を含め散在しており、また生年
月日もばらついている。現在2000年、2001年生まれの牛が感染の有
無を確認され得る年齢に達しているので、今後この群の陽性数は増
加すると考えられる。

 北海道の化製場、飼料工場の系列を見ると、A群がA 工場を基点
とする道東を中心に汚染が進んだ傾向があるのに対し、C群はA 工
場(道東)、B 工場(道央)の両方を巻き込んだ可能性が考えられ
る。

 1996年の通知がまったく遵守されなかった場合には、道東での汚
染を中心に拡大するはずなので、C群の地域拡大は、地場産業とし
てのレンダリング製品が、交差汚染あるいは流通経路の交差により、
道央を巻き込んだと考えられる。

 なお、北海道における鶏、豚の濃密な飼養地域とC群の発生地域
との直接的相関はみられない。このことは、農家における肉骨粉を
含む鶏、豚用飼料の交差使用による汚染よりも、工場におけるライ
ン分離以前の交差汚染の可能性を示唆するものであろう。

 1996年の汚染群の平均潜伏期を5年とすれば2001年からと畜場、
農場で陽性牛が発見されていることは理解できる。他方C群の生ま
れ年は1999年後半から2001年前半にわたっており、A群のと畜年齢
からすれば、3歳半から5歳齢でレンダリングに入った可能性が考え
られる。

 乳用牛の年齢別と畜割合を見ると、3歳から5歳のと畜割合は全体
の約25%を占めている。したがって、この年齢に含まれるBSE 汚染
牛がレンダリングを介して、肉骨粉あるいは代用乳を介して、北海
道で汚染を増幅した可能性は考えられる。

 すでに述べたように、A 群北海道の汚染規模が約20頭とすれば10
頭は2001年以後に確認されている。また、と畜された25%に含まれ
る感染牛は5頭となり、これを含めて5〜10頭の感染牛のSRMが検査
以前にレンダリングに入った可能性が考えられる。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 感染例のほとんどが「A群」と「C群」です。なお、ほとんどの
感染牛は「雌」ですが、これは雄はごく一部の種雄を除いて、去勢
されて若年のうちにと畜されるためで、雌が感染しやすいというこ
とではありません。

 A群に先行する「プレA群」については「孤発性」の可能性を指
摘しています。ヒトの同様の症状である、ヤコブ病は孤発性のもの
がほとんどです。ウシでも孤発性の症例があることは予想されてい
たようです。

 A群とC群の間に「B群」があり、これは九州で他とは関係なく
汚染飼料が入ったものと考えられています。(1例のみ)

 A群はイギリスからの汚染飼料が原因なのでしょうが、具体的な
経路はまだ確定できないようです。ここは謎の多いところです。

 とにかく、1996年後半からは、外国から汚染飼料が入ったという
ことはない、というのが結論です。おそらく今後もそうですので、
新たな発生は考えにくくなっています。

 問題はC群で、これは輸入飼料ではなく、国内(北海道)で二次
感染が2000年前後に起こったものです。A群で感染した牛が、北海
道で牛の飼料に入ってしまったのですね。これはローカルな事件で、
結果として、2000年以降に生まれた牛では、北海道のものだけで感
染がありました。

 この群の牛はまだ生きているものも多いので、今後、感染例が出
てくる可能性は大いにあります。ただし、北海道産のもの以外では
まず出てこないはずです。

 つまり、一回の失敗が、それにとどまらず、二度目の失敗も呼ん
でしまったわけです。輸入の肉骨粉は禁止しても、まだ北海道で国
産の肉骨粉を作っていたとは!

 どうして「すべての」肉骨粉を禁止しなかったのか不思議ですが、
これは畜産の歴史には大きな反省点として残る問題です。

 今後、BSE全頭検査を継続したとき、「孤発性の症例」と「C
群の感染例」が発見されていくことになります。C群はあと数年で
ほぼと畜時期を過ぎますので、それ以降は数年に一度くらい、孤発
性の症例が出てくるだけになりそうです。

 もちろん、これは三次感染がおこらなかったとしての話です。非
常に考えにくいですが、C群よりも後の生まれの牛で、広域の感染
が発見される可能性は全くないわけではありません。

 しかし、世界の趨勢を考えると、日本でだけ新たな感染が拡大す
る可能性は限りなく低いです。日本だけでなく、世界中でBSEの
流行は終息期を迎えていると判断してよいと思います。

 こういう報告を見ると、「全頭検査」が全く無意味であるという
ことではないのがわかります。しかし、意味があるのは疫学調査の
ためのデータとしてであり、牛肉の安全性とは関係ないのです。

 牛肉の安全性は、特定危険部位の除去によって確保できる、とい
うのが今や世界の常識です。ここに弱点があって、日本の牛肉はア
メリカなどより低い評価しか受けられないという現実については、
前にも書きました。

 「全頭検査をしているから安全性が確保できていない」というパ
ラドクスがあるのです。それにもかかわらず、「安全性を確保する
ため」と偽って税金を投入し、そのデータを疫学調査に活用すると
いうのは、よくないやり方です。それを政府は改善しようとしてい
るのですが先程も書いたように、よりマスコミに弱く、自分だけが
不利益を被ることを恐れる地方自治体は、動けない状態です。

 何とかならないものか、と改めて思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 本当は無意味と思っていても、「やめた」と言ってマスコミの集
中砲火を浴びる勇気はない、というのが本当のところだと思います。
そういう意味では現場の方たちには同情します。

 この土曜日から月曜日まで、ソウルにいます。出発前に予約で配
信しています。ソウルの話は帰って来てのお楽しみに。

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