安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>441号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------441号--2008.04.20------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「紅天(Q&A)」「重イオンビーム」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の着色料の話で、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにちは。いつも興味深い話題をありがとうございます。

 青色一号についてのコメントについて、少し考えさせられるもの
がありましたので、メールさせていただきます。

 普段から極力、添加物の入ったもの、特に自分がどんなものか想
像できないものは、避けて買い物をしています。

 「青色一号」も入っていたら、まず買いません。「意味のない心
配です」と結論づけられても、やはり買わないでしょう。(その裏
付けとなる論旨はよくわかりました)

 まず、しらすに「青色一号」は必要なのでしょうか?それほど、
頻繁に買うわけではありませんが、入っていないものもあると思い
ます。

 第2に、動物実験をしなければ、使用が認められないものを、人
間の立場からだけで、「安心」と言っていいものなのか?第3に、
添加物には蓄積という問題もあると思います。

 過度に、不安を煽る必要はないとは思いますが、このメルマガで
の「安心」が、それを食べる本人の、1世代のみの「安心」である
ような気がします。

 そうであっても構いませんが、その認識を超えて、「意味のない
心配です」と結論づけるのはいかがなものでしょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 安全性の問題と使用の是非とは全く別問題です。安全性について
聞かれましたので、心配することはない、と答えました。

 使ってもよいかどうかというと、私も否定的に考えています。こ
のことはこのメールマガジンでも再々書きました。

 ただ、ここから考えてほしいのですが、「着色料を否定するのに、
ありもしない危険性を訴えるやり方は間違っている」ということで
す。「不安を煽る」「ウソで脅す」のは詐欺師の手口ではあっても、
正しい解決策にはなりません。

 食べ物に着色はいらない、ということだけでよいのではないでし
ょうか。

 しかし、ものごとはそれほど簡単ではなく、着色したものを買う
人がいて、生産物に着色料を使う人もいます。私は感心しませんが、
だからといってそういう普通の人を見下げてものを言うのもおかし
いです。

 まず、自分はこう思うということがあり、それが社会全体に広が
っていくことがどうすればできるか、考えていってほしいと思いま
す。

 「不安を煽る」「ウソで脅す」以外に方法はあるはずだ、という
のが私の意見です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.増粘多糖類に紅天という名前で寒天ゼリーとかに使うものを
探しているのですが・・・。

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A.寒天のようで寒天でない、というもののようですね。あまり固
くならないが室温で固まるのだそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ゼラチンが心配なら、他の凝固剤を使うほうがいいと思います。
アガー系の凝固剤、ペクチン、紅天などいろいろあります。

 紅天は、海草抽出物が原材料で、凝固形態がゼラチン寄りから寒
天寄りまで数段階選べます。大手の製菓材料店で手にはいるはずで
す。

http://cheese.2ch.net/cook/kako/1007/10079/1007992302.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「紅天」で検索すると、ネット上で販売しているところもあるよ
うです。

 その辺で売っているものではありませんが、「大手の製菓材料店」
に行けば手に入るそうですので、探してみてはいかがでしょう。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「重イオンビーム」
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 職業柄、IT関係のニュースもよく見るのですが、そこでこんな
ニュースを見かけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 重イオンビームを使い、従来は10年近くかかっていたナデシコの
品種改良を3年に短縮することに、理化学研究所と北興化学工業の
共同研究グループが成功した。新手法による白いナデシコの新品種
を開発し、このほど一般販売が始まった。

 重イオンビームの照射で突然変異を誘発する手法は、ガンマ線や
X線を照射する手法に比べ、植物に障害を与えない条件での遺伝子
変異率が高い上、傷つく遺伝子が少ないため、変異の固定に必要な
期間が短い特徴があるという。これまでダリアやサクラなどの品種
改良に取り組み、市販品種の育成に成功してきた。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/17/news039.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 もう少し詳しく知りたいと思って調べたら、こんな解説がありま
した。「独立行政法人 理化学研究所」のサイトです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

重イオンビームを用いた植物の新しい育種法の開発

1.背景

 一般に、植物の変異を誘発する方法は、

1)トランスポゾンやT−DNAを用いる遺伝子操作

2)アルキル化剤および核酸塩基アナログなどによる化学物質処理

3)植物組織培養技術による体細胞変異

4)X線・ガンマー線・中性子線などのエネルギー線照射

の4つに分類されます。これら突然変異誘発技術は、植物の品種改
良のためだけではなく、昨年のシロイヌナズナの全ゲノム配列解読
に代表されるように、バイオテクノロジーの進歩に伴い、植物の遺
伝子機能解析のための実験材料を産出する有用な手段としてその重
要性が増しています。

 日本では、ガンマーフィールド(放射線育種場)を世界に先駆け
て開始するなど、エネルギー線を活用した植物の育種開発に積極的
に取り組んできました。特に近年では、エネルギー線で最も大きな
影響を与える「重イオンビーム(重粒子線)」が新たな変異誘発技
術として注目されています。その中でも理研のリングサイクロトロ
ン(RRC)は、高エネルギー重イオンビームを発生することので
きる、世界的に誇れるユニークな装置です。理研では、RRCを用
いて生物への重イオンビーム効果について検証を行っており、突然
変異誘発に関する数々の研究成果をあげてきました。


2.重イオンビームによる突然変異誘発方法

 原子から電子をはぎ取って作られたイオンのなかで、ヘリウムイ
オンより重いイオンを重イオンと呼びます。これを、加速器を用い
て高速に加速したものが重イオンビームです。重イオンビームには、

1)元素の選択が自由である

2) 照射の位置や深度が精密にコントロールできる

3)非常に大きな影響を極微小範囲に与えることできる

などの特徴があります。特に、理研リングサイクロトロン(RRC)
から照射される重イオンビームは高エネルギーであるため、イオン
が停止するまでの距離「飛程」が長く、空気中で容易に生体に照射
することが可能です。また十分な強度を持つので、短時間(数秒か
ら数分)の照射処理で変異効果を得ることができます。

 今まで、重イオンビームはその軌跡に沿って物質に与えるエネル
ギー(LET)が他のエネルギー線に比べて非常に大きいことから、
より多くのDNA2本鎖切断を生じ、それらが修復されにくいこと
が分かっていました。また、ビーム飛程が終わりに近くなると、大
部分のエネルギーを放出し粒子が静止することが知られています。
そこで、植物変異誘発方法では、重イオンビームを低線量で照射し、
生体内に停止することなく通過させることによってDNA損傷を局
所的に抑え、生体への致命的な影響を低減しました。このような条
件で、重イオンビームを植物の種子、茎頂、側芽、花粉、培養細胞
(カルスなど)に照射して突然変異を誘発し、それらを栽培したも
のの中から変異体を選抜しました。その結果、変異体の生存率が高
く、様々な突然変異を高率で引き起こすことができました。


3.重イオンビームによる今までの成果

 植物の細胞は分裂に伴い、染色体の分子状態が不安定になります。
その期間、重イオンビーム照射の効果が特に顕著であることを本研
究室では解明しました。特に、栽培タバコでは受粉後36時間〜7
2時間にあたる卵細胞分裂期に最も重イオン照射の影響を受けやす
いため、花(子房)に重イオンビームを照射することで様々なタバ
コ変異体の作製に成功しています。

1)アルビノタバコ

 葉緑素を合成せず、葉緑体が未発達な白い植物で、葉緑体分化研
究の材料となります。

2)斑入りタバコ

 緑色の葉に部分的に白い部分がある植物で、観賞用としての価値
があります。

3)耐塩性タバコ

1.5%の食塩を含む培地では正常タバコはほとんど発芽しませんが、
耐塩性タバコでは約8割の個体が発芽します。耐塩性植物の多くは
乾燥耐性を持つので、乾燥地の緑化に役立ちます。

4)除草剤耐性タバコ

 また、植物は全能性を持つため、茎頂などの培養体や側芽を含む
枝に重イオンビームを照射することで、下記のような花色や花弁に
多様な変異を持つ株も作成できました。

5)ダリア花色や花弁変異株(広島市農林業振興センターとの共同
研究)

6)バラ花色や花弁変異株 (神奈川県農業総合研究所との共同研
究)

http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2001/011004/index.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「重イオン」というのは普通に言う「イオン」とはかなり違うも
ののようです。

 原子は原子核とそのまわりの電子でできています。「原子から電
子をはぎ取って作られたイオン」と言っていますので、これは原子
核そのものなのでしょう。

 一番軽い水素の原子核は陽子そのものです。二番目に軽いヘリウ
ムの原子核は原子2個と中性子2個からできています。これは放射
線の一種であるα線の実体です。

 これより重い元素の原子核を「重イオン」と呼ぶようです。原子
核中の陽子と電子で電気的につりあっているため、原子核だけだと
プラスに帯電しています。これをサイクロトンで加速して、対象に
ぶつけるわけです。

 ものすごいエネルギーの粒子が、数少なく飛んできます。遺伝子
に傷をつけて突然変異をおこす方法としては、放射線によって突然
変異をおこす方法より、管理がしやすく、効果が大きく、成果を固
定しやすいということですから、なかなか有望な方法なのでしょう。

 こういう手法をよいとか悪いとか言っても仕方ないのですが、こ
んなことまでしてよいのかな、という気もしますね。ここで引用し
た文の中で、こういうことを書いていたのに注目してください。

1)トランスポゾンやT−DNAを用いる遺伝子操作

2)アルキル化剤および核酸塩基アナログなどによる化学物質処理

3)植物組織培養技術による体細胞変異

4)X線・ガンマー線・中性子線などのエネルギー線照射

 これが現在の新種開発技術なんですね。「重イオンビーム」はこ
のうちの(4)の一種というか新技術です。

 俗に「遺伝子組み換え技術」と呼ばれるのはまさしくこのうちの
(1)です。

 こうして見ると、(1)〜(4)のうち、(1)だけを特別のも
ののように考えるのはおかしいと思います。(2)〜(4)にして
も素人には充分怖そうな技術ですからね。

 はっきり言って私はこういう技術全部にあまりよい感情を持てま
せん。

 しかし、既に世の中がこういう技術を基礎にして動いていること
は確かです。今さら「飛行機はきらいだ!」と言ってみても、個人
の行動はともかく、世界中で飛んでいる飛行機をどうすることもで
きないのと同じです。

 やめろと言ってもとまらないのなら、認めるしかないのかな、な
どと思います。あとはそれに伴うリスクをどう評価するかというこ
とでしょう。

 それにつけても、新開発の技術で世界の農業を支配しようと企み、
世の中の進歩を憎む人たちに格好の攻撃材料を与えてしまった「遺
伝子組み換え技術」の開発者たち(モンサント社のこと)の馬鹿!!

--〔後記〕--------------------------------------------------

 私くらいの歳になると、やはり新しいものにはなじめなくなって
きます。コンピュータ関係の仕事をしているのに、携帯のメールが
使えない、などということがおこります。

 若い人の出てくるドラマなんかも敬遠していたのですが、それで
はいけないと、「篤姫」や「ごくせん」なんかを見ています。単に
ミーハーなだけ、とも言いますが。

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