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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------437号--2008.03.23------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「食糧自給率」「エキス(Q&A)」
「冷凍食品(加工食品)」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 ギョーザ事件に関連して、本来あまり関係のない、食品に関する
話題まで取り上げられることが多くなりました。

 一つは「自給率」の問題、一つは「冷凍食品」をはじめとした加
工食品の問題です。

 どちらも、一応の話題ではありますが、ギョーザ事件とは別に関
係ありません。テレビなんかではそういう関係ないことを持ち出し
て話をわざと混乱させている様子があります。

 中国産食品の輸入禁止を!という大合唱にならなかったのはよか
ったですが、それではアメリカ産牛肉のときはどうだったのよ?と
疑問に思うところもあります。

 要するに「反アメリカ」ならいくらやってもかまわないが、「反
中国」はちょっとまずい、という雰囲気がマスコミ業界にはあるよ
うですね。

 それはさておき、まず「自給率」の問題です。日本の食品自給率
が低いのは有名な話です。40%以下などとよく言われますが、こ
れは「カロリーベース」の話で、実際に私たちが食べている食品の
姿になったものでは、70%程度はあったはずです。

 カロリーベースというのは、畜産物については、その飼料の自給
率で判断する、ということで、国産の肉や卵や牛乳も、飼料が輸入
だということで、ほとんど国産の中にはカウントされません。

 日本の食品自給率が低いのは、高度経済成長と地域格差の拡大防
止という一種の離れ業をやった結果だと言えます。

 通常は都市部で工業的な大発展があると、農村部は取り残されて
貧富の差が拡大します。また人は貧しい農村から豊かな都市に移動
し、大都市周辺には大規模なスラムが形成されることになります。

 これが何かと話題の中国だけではなく、世界中の開発途上国で起
こっている現象です。

 ところが日本ではそうはならず、農村から都市への人口の移動は
ありましたが、農村に残った人たちの生活も都市と同様に向上して
いきました。都市に移動した人たちはスラムの住民ではなく、一般
市民として都市に入ったため、スラムの発達ということも起こりま
せんでした。

 農村を豊かにする手段が農業の振興であったなら、まことに見事
なものですが、残念ながらそうではなく、公務員、農協などの兼業
農家化と、米の価格維持政策によってもたらされた豊かさでした。

 これは農業そのものはある程度衰退しても仕方ないという政策で
あったかと思います。いろいろと批判もあるでしょうが、全体とし
ては世界でも類を見ない大成功を収めたと評価しています。

 しかし、その結果として、過剰に米の生産に集中し、米は余って
いるのに他の作物に展開することができず、自給率の低下を招いて
しまいました。

 自給率を考えるとき、高ければ高いほどよいというわけではあり
ません。世界の貿易が拡大していく方向が悪いという考えでなけれ
ば、ある程度は輸入することが世界中の人々の利益になるわけです
から。

 しかし、現状よりももう少し高くしたい、ということならわかり
ます。そのためにはいくつかの条件が必要です。

 問題は農業という産業の構造問題で、国民が国産品を買うように
努力する、とかいうのではダメなのです。

 産業としての農業をどう育成するか、という経済政策の問題であ
って、「食育」とか「地産地消」などという空虚な掛け声の問題で
はありません。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

(あまり言われないが地産地消には風土病リスクが高くなるという
欠点がある)

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20080318
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 昔の自給生活では、その土地の限られた食べ物しか食べられない
せいで、いろんな「風土病」と呼ばれる症状がありました。実際の
「地産地消」は上辺だけのことなので、そんな心配はないのですが、
世界中のおいしいものが食べられる世の中に、何が不満なのかと思
います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.成分表示の欄に、「酵母エキス」「カツオエキス」等の表示を
目にしますが、ある本によると、これらエキスといわれるものは、
化学的に作り出したものだということ。じゃあ、化学調味料じゃな
いのでしょうか?これらは、安全なのでしょうか?

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A.「これらエキスといわれるものは、化学的に作り出したものだ
ということ」というのは根も葉もないデマです。

 ただし、厳密に言うと、「エキス」と称して販売されているもの
の中に、化学調味料などをあらかじめ含んでいるものもあります。
この場合は表示が必要なんですが、ちょっとややこしい境界領域が
あるのも事実です。

 本来の「エキス」は、原料が天然物で、成分の特定ができないも
のです。したがって、これらは「食品添加物」ではなく、原材料の
扱いになります。

 成分が特定できないと、食品添加物としては許可になりません。
一方、食品というのは元々成分が特定されているわけではないので、
これで問題ないわけです。

 安全性についても、基本的に問題ありません。誰も「鰹節は安全
だろうか?」などと考えないでしょう?食べ物とはそういうもので
す。

 古典的なエキスとしては、「オイスターソース」があります。お
いしい調味料ですが、最近作られたものなら、「牡蠣エキス」とか
いうのが適当でしょうね。たまたま昔から作られていたので、「エ
キス」ではなく「ソース」になっています。

 「酵母エキス」というのはビールを醸造するときに繁殖した酵母
から作るのが普通です。「かつおエキス」は鰹というより鰹節のエ
キスです。

 工業的には粉になった鰹節を使ったりするので、イメージは必ず
しもよいとはいえませんが、食品添加物に指定されているものより
高価な材料であるのは間違いありません。

 こういうものを使って味を作る努力はなかなかたいへんなもので
す。しかし、もっと上等なものになると、エキスではなく本当の風
味原料(昆布・かつおぶし…)を使って直接作ります。ここまでく
ると「手作り」の名にふさわしいのですが、量産にむかない、味が
安定しない、といろいろと欠点もあり、職人芸になってしまうのが
残念です。

 ともあれ、自分で作るのではなく、工業的に作られたものを買う
わけですから、エキス類程度は許容範囲にしないと食べるものがな
くなってしまいます。

 こういうウソを言いながら、食品を売っていることが多いのです
が、たいていはインチキだと思います。人の悪口を言って自分の商
品を売るという手口です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「冷凍食品(加工食品)」
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 先日、テレビで「冷凍食品はあまり使わない」という家庭の食卓
を写真にとってもらったら、冷凍食品がたくさん使われていた、と
いうようなことを紹介していました。

 調理して食卓にならんでいるものを見て、冷凍食品かどうかを識
別できるのか、ちょっと疑問に思いましたが、大筋としては大いに
ありそうな話です。

 主婦の「冷凍食品はあまり使わない」は、農家の「農薬はあまり
使わない」と同じで、話半分というか、願望のようなものだと思い
ます。

 ただ、主婦をして「冷凍食品は…」と言わしめる原因がたいへん
気になります。やはり何か罪悪感のようなものを感じているのでは
ないでしょうか。

 生協時代も、こうした反応はよく経験しました。「手作り」など
ということを真っ向から主張することは大きな声で言ってもよいけ
れど、「そうは言っても便利な食品もほしい…」というようなこと
は小さな声で言わなければならなかったのです。

 「手作り」などにあまりにこだわることは、「女は家庭に」とい
う主張と同じではないか?と私はよく言っていました。そういう主
義の人なら文句を言う気はないが、家庭に閉じこもっていずに、生
協の活動をしているあなた方がそう主張するのは矛盾していません
か?と思ったのです。

 私は女も家庭に縛られず、自由にしたいことをすべきであり、そ
のために家事労働の低減が必要である、と考えています。

 そのために加工食品、冷凍食品の類を使うことのどこが問題なの
か、作ることの手間も考えずに気楽に批判している男たちに聞いて
みたいものです。

 男がこういう主張をするとき、根底に「女は家庭に」ということ
があるのは間違いありません。それでは女がそう主張するときはど
う考えているのか?これはよくわかりません。

 私が生協にいた20数年間は、全体としては加工食品を使うこと
が増えてきた時代であったことは間違いありません。昔は「そうめ
んつゆ」を扱うというと猛反対があったのです。「つゆ」くらい自
分で作れる、というのですね。

 「自分で作れる」ということと、「できたものも使う」というこ
とは矛盾しないでしょう?私も自分で作れますが、毎度作るのは面
倒だから、買ってきて使ってもよいではないですか!

 まあこんな議論をして、何とか認めてもらいました。正直に言う
と、生協の経営のために、商品を拡大したいので協力してくれ、と
いうことでもありました。

 反対していたご本人が買ってくれていたときは、ご協力ありがと
うございます。と思ったものです。

 アジア諸国に行くと、外食の多いことにびっくりします。朝から
屋台は当たり前ですし、夕食も外食することがたいへん多いのです。

 観光客としては面白くて結構なんですが、こういう国の経済がも
う一つ発展しないのはやはり理由はあると考えています。

 日本は結局、武士と農民の国で、基本的に外食の文化ではなく、
家庭料理の文化です。それは認めるとしても、いろんなプレッシャ
ーが家庭の主婦にはあるものだと改めて感じます。専業主婦ならま
だしも、職業を持っている人まで、女だというだけで主婦の役割を
強制するのは全く理不尽なものです。

 冷凍食品を使って何が悪い!とここらで開き直ってほしいものだ
と思います。

 加工食品ばかりというのも何ですが、栄養面からみても、安全面
からみても、別に悪いものではありません。要は使い方なのです。

 ところで、例のギョーザ事件の影響で、JTと日清食品の冷凍食
品での提携がとりやめになったというニュースがありました。

 JTの子会社になった加ト吉と3社で資本提携して、冷凍食品の
生産を集中しようという計画でしたが、JTと日清食品の考え方の
違いが表面化したということです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今回の事業統合計画の撤回の引き金となったのは、5日午後に開
かれた3社の社長会談だった。この席上、日清食品の安藤宏基社長
は、加ト吉への出資比率引き上げを提案した。しかし、JTはこの
申し出を拒否、統合を白紙撤回することとなった。

 日清食品の安藤社長は会見で「加ト吉への出資比率を引き上げる
ことも含め、安全性に対する提案をJTに断られたことが理由」と
説明した。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-30183320080206
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 何がおこったのか、だいたい想像がつきますね。役人根性の抜け
ないJTとたたき上げの民間企業である日清食品とで、考え方が違
うのは当然でしょう。

 問題は食中毒事件を起したのがJTの側であり、JTの商品開発
の取り組みそのものに疑問がある、ということです。日清食品側は
出資を過半数として、自分たちの主導で管理していくしかない、と
判断したのでしょう。

 加ト吉もミートホープ事件では、被害者とはいえ、管理の甘さが
表面化してしまいました。

 本当に真面目に商品を作っていることろが生き残るようになって
ほしいものです。そのためには、変な罪悪感にとらわれるのではな
く、真面目な消費者として真剣に商品を選択していってほしいと思
います。

 元生協職員としては、生協が全体として落ちこぼれ組になりそう
なのがつらいところです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

A君:生協は、どうやら3層構造になっていて、今回、問題のギョ
ーザを売っていたのは、日本生活共同組合連合会で最も下に位置す
る。

B君:最上位の生協である、「生活クラブ生協」への移行者が、今
回の事件をきっかけにして増えたとのこと。

http://www.yasuienv.net/PriceFoodSafety.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どういう誤解で生活クラブ生協が最上位なんでしょうね。この先
生、世間知らずで定評がありますが、あの事件で生活クラブ生協へ
の移行があったというのはもう一つ信じられません。

 生協なんてこんなもの、と言われないように、努力していっても
らいたいものですが、事実を事実としてとらえる気風が育っていな
いことが気がかりです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回はいつもいただいたメールでお茶を濁しているのが、掲載で
きるものがなくて困りました。いろんなコメントをお願いします。

 今、日曜日の午前4時ごろです。今日はこのまま起きていて、飛
行機で花巻まで行きます。宮沢賢治学会の理事会があるのです。先
週も行ったのに、物好きなものですね。おかげで休日の買物と食事
つくりは私の担当なのに、何もできずに妻には迷惑をかけています。

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