安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>436号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------436号--2008.03.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「黒檀・並塩(Q&A)」
「賞味期限と製造年月日表示」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも新鮮な話題をありがとうございます。今回は釣り餌用中国
産生カキの記事を読んで昔の経験と最近の経験を思い出しました。

 以前勤務していた大手乳製品会社であったことです。ヨーロッパ
のある国から輸入予定の脱脂粉乳を保税倉庫からサンプリングして
検査したところ、微生物汚染がひどい状態でした。これはアイスク
リームなど乳製品に使用される予定でした。

 食品衛生法では許容されているレベルだったのですが、通常輸入
しているものに比べてあまりにもひどいので関係部署から輸入商社
へ申し入れをしたところ、食用のものではなく飼料用のものであっ
たことが判明しました。

 これが事故なのか誰かの(儲け主義による)作為的なものかは判
明しませんでしたがこのようなことがあるのだという経験にはなり
ました。

 転職して今の会社で原料として卵を購入しています。ある時納入
された卵、中には腐敗臭があるものがあってどう考えても普通では
ありません。

 これを調査したところ、卵業界ではよくある話で、ある地域であ
まった卵を転売して納品業者が入手したものでした。

 最初に出荷した業者では茹で卵用として採卵日を書いた証明書を
つけていましたが、末端購入業者にはこれが届いておらず新鮮卵と
して扱われていました。

 ちなみに通常茹で卵にするにはわざと日数が経過したものを茹で
て殻剥がれをよくしています。これは新鮮卵に溶け込んでいる炭酸
ガスによるpH上昇が原因です。

 この時も結局は事故か誰かの作為的なものかはわからずじまいで
した。

 決して2chだけでなくどこの世界にも似たような話はあり今後
も続いていくのでしょう。

 食品関係者としてはこのような原料の混入防止に努力しているこ
とを消費者の方にも知ってもらいたいと思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 読者の中には食品関係の仕事をされている方も多いようですね。
いろいろと情報があると思いますので、ぜひお寄せいただきたいと
思います。

 次は小麦について、こんなメールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 国産小麦について調べています。色々と、参考になりました。

 先日、故郷の徳島に帰った際、100%香川産小麦使用のさぬき
うどんが売られていました。私の勝手な思い込みで、うどんは国産
小麦を使っているような気がしていたので、改めてそう書かれてい
るのをみると、100%国産小麦って当たり前じゃないのね、とち
ょっとがっかりしました。

 ただ、パンに比べて、もともと日本にあった食文化なのだから、
国産小麦を使用することが不可能な(美味しくできない)訳ではな
いと思うと、今後は、国産小麦へと回帰していくような気もします。

 仕事で秩父に行くことが多いのですが、秩父では地粉(秩父産の
小麦)が1kg400円で売られています。(農産物販売所のような
ところで)確かに高いのですが、地元の人もよく買っています。お
っきりこみ(うどん)やつみっこ(すいとん)を作るのにはかかせ
ません。

 スーパーで売られている小麦粉とは、味が全く違うので、高くて
も買ってしまいます。パンには向きませんが、お好み焼きは、びっ
くりするほど美味しく作れました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 さぬきうどんはオーストラリア小麦とともに育ってきた食べ物で
す。日本の小麦は俗に「うどん粉」と呼ばれ、おいしいうどんがで
きるのですが、「さぬきうどん」は少し違います。

 「国産小麦のさぬきうどん」というのは「かんすいを使わないラ
ーメン」のように少し違和感のあるものだと思っています。(大阪
のうどんとどこが違うねん…。)

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.去年中国に旅行しました。その時に、土産に奮発して、黒檀の
箸を買いました。ショップは、国営って言ってから信用してました。

 ところが最近食べてる先の色が薄くなって、でこぼこしてきたの
です。家内は、最近の中国見て、偽者だから危険(塗装もの どん
な成分の色使ってるか判らない)から捨てろと言うのですが、惜し
いしどうしたものか悩んでます。黒檀でも、使い続けると色は薄く
なるのでしょうか?使ってる期間は7ヶ月です

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A.中国のみやげ物はかなり怪しいですからね。「なんでも鑑定団」
でも、よく「100万円で買った中国の骨董品」などが出てきて、
単なるみやげ物だと言われています。

 黒檀は中国でとれるものではなく、スリランカ原産の熱帯の木で
す。だから中国にとっても、黒檀は輸入品のはずです。

 もう一つ、黒檀といっても黒漆を塗って商品化していることが多
いのだそうです。色が薄くなってきたとしたら、そのせいかも知れ
ません。

 本物かどうかなど私にはわかりませんが、状況から考えてニセモ
ノ説に一票です。

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Q.白菜、大根、胡瓜などキムチ作りに最適なお塩を探しているの
ですが、並塩についてただしい情報を教えてください。

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A.並塩は専売のころからあった商品で、原料はメキシコあたりか
ら輸入した天日塩です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 並塩は、天日塩を精製した精製塩で、塩化ナトリウム95%以上、
水分約1.4%の最も一般的な湿った塩です。並塩は、苦汁分が多く、
通常0.7%位含まれまています。

 並塩は、主に業務用に多く使われ、味噌、漬け物、水産物、麺類
などの食品加工に使われます。湿った塩として並塩は、最も汎用性
が高く、乾燥塩より価格が安いので広く使われています。

http://spice.kh23.com/flavor/archives/2005/10/post_45.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「自然塩」として売られているものも、だいたいは同じ天日塩を
原料にしています。こちらは高級品ですので、天日塩そのままでは
なく、国内で一度水に溶かして精製しています。そのときにニガリ
成分が失われるので、別に添加するわけですが、精製しない波塩と
成分はほとんど変わりません。

 味噌や漬物などで工業的に作られているものはほとんど波塩を使
っていると思います。

 価格が安いといっても、塩の値段はたいしたものではありません。
大量に使うのなら波塩がちょうどよいですが、家庭で少し使う程度
なら、いわゆる「自然塩」が買いやすいし扱いやすいのではないで
しょうか。

 成分は波塩も「自然塩」もほぼ同じと思ってよいと思います。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「賞味期限と製造年月日表示」
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 こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 政府は14日、食品偽装問題や中国製冷凍ギョーザによる中毒事
件を受けた食品表示の見直しについて、「製造年月日」の併記の義
務付けを見送る方針を決めた。製造年月日は国際的な基準になって
いないことから、輸入食品に対して実効性が担保できないと判断し
た。今後は、劣化しやすい食品に関する「消費期限」と日持ちする
食品の「賞味期限」を、より安全性の高い消費期限に統一する方向
で検討する。

 首相の諮問機関である国民生活審議会は、2月の報告書案で「消
費期限を中心としつつ、製造年月日も併記することを検討」と提言
していた。

 しかし、製造年月日の義務付けは「対日市場参入の障壁になる」
という米国の圧力を受けて95年4月に廃止された経緯があるうえ、
「国際食品規格」(CODEX)などの基準にも採用されていない。
このため政府は、義務付けの復活に諸外国の理解を得るのは難しい
と結論付けた。

 現在もメーカーによっては自主的に製造年月日を表示しているが、
昨年問題になった「赤福」の事例では、商品を解凍・再包装した日
を製造年月日としていた。製造年月日は定義があいまいで、必ずし
も消費者に有益な情報になっていないことも、義務付けを見送る一
因になった。【石川貴教】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080315-00000010-mai-pol
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「国民生活審議会」というところが変な「提言」をしていたので
すね。危ないところでした。

 私は賞味期限表示に一本化されたときからずっと、製造年月日表
示には反対で、賞味期限に統一すべきだと言っています。

 製造年月日なんか無意味だという根拠は以下のとおりです。

◆「製造年月日」の特定が案外難しい。

 何をもって製造年月日にするかということですが、普通は市販さ
れる包装をしたときということになります。

 昔、製造年月日表示だけだった頃、スリランカから輸入した紅茶
の製造年月日が古い、というクレームを受けたことがあります。

 市販の紅茶は一カ月ほど前の日付なのに、生協のは半年も前だ、
というのです。それに対して、「市販の紅茶が本当に一カ月前に作
られたと思っています?」と答えました。

 当たり前の話ですが、紅茶が毎日工場でできてくるのではなく、
お茶の葉を摘んで紅茶に加工して、日本に運ばれてきて、包装され
て売られています。

 製造年月日はそのうちの「包装された」日のことで、中身の紅茶
は何年前のものでも関係ないわけです。

 トマトジュースの日付が一年前だ、とか言われました。答は一年
に一回しか作っていないから当たり前ではないか!というものです。

 みかんジュースなんかだと、搾ってから冷凍保存し、少しずつ瓶
詰めされます。だから製造日がいちいち違うのですが、トマトジュ
ースはいきなり缶詰になるので、みんな同じ製造日になります。

 何年前に輸入された魚やエビでも、今日、小分けして袋詰すれば、
今日が製造日です。

 赤福の事件のときも言いましたが、半製品で冷凍保存しておいて、
出荷するということはごく普通にあります。出荷日=製造日になる
のなら、普通に消費者が思っている製造日とは違うことはご理解い
ただけると思います。

◆国際流通になじまない。

 スリランカの紅茶の話を書きましたが、製造年月日を偏重するこ
とは結果として国内業者に有利に働きます。

 インドネシアの工場で、エビの冷凍品を作っていたとき、工場で
いきなり小袋に詰める工程でしたので、やはり製造年月日が古くな
るという問題がありました。

 水揚げから1日もかからずに冷凍してしまうので、品質は非常に
よいのです。それに対して、製造年月日の新しいものは、ブロック
などの状態で冷凍したものを輸入し、倉庫に保管します。それを小
袋に入れるためにはいったん解凍しないといけません。

 一度冷凍してそのままのものと、いったん解凍して最冷凍したも
ののどちらがよいか、誰でもわかると思いますが、それを「製造年
月日表示」が足をひっぱるわけです。

◆メーカーの責任が明確でない。

 今回の話は「製造年月日を併記」ということで、賞味期限が大切
だということにはなっているようです。

 昔、賞味期限ではなく、製造年月日だけが表示されていたときは、
一応の賞味期限は書いてありましたが、実質的には消費者まかせだ
ったと思います。

 実際、実験してみるとわかりますが、食品の品質保持期限という
のは、保存状態によって大きく変わります。

 「低温殺菌牛乳」を導入しようとしたとき、実験するとどうして
もUHT殺菌のものより、数日短くなります。一週間に一回の配達
で届けている生協としては、一週間持たない牛乳を配るのはつらい
ものがあります。

 だから低温殺菌牛乳は見送る方がよい、というのが私の意見だっ
こたのですが、一部の人がいうには「冷蔵庫の温度を5度以下(実
際は零度に近く)設定すれば、一週間もつ、などと言って強行して
しまいました。

 そんなことをすれば賞味期限一週間のものだったら一カ月くらい
持つぞ、などと言ったものです。家庭の冷蔵庫でそんな温度管理が
できるはずもないのに、どうにも困ったことです。

 夏場になると、やっぱり事故がときどきおこるのですね。そのう
ち菌数の多い牛乳が届いても変に思わなくなったりしてきます。

 牛乳の品質保持というと、「一ミリリットルに五万個以下」とい
う法令が基準になります。この数値を超えるまで何日かかるかを見
るのです。

 ところが、「五万個」というのは実はそれほど大きな数ではなく、
その百倍くらいあってもたいていの人は普通に飲めます。

 このあたりの事情はややこしいのですが、賞味期限というのはそ
ういう葛藤もあり、メーカーは神経を使って設定しています。製造
年月日を表示しておけばよかった昔はよかった、と思っているメー
カーの人は多いのではないでしょうか。

 消費者にも、昔は同じようによかったと思っている人はいると思
いますが、これは単なる誤解です。製造年月日表示がなくなって、
消費者としてはよかったのです。

 とはいえ、賞味期限表示にも、こんな問題もあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 東海道新幹線や特急列車内、駅で消費期限を偽装した弁当などが
販売されていた問題で、製造元のJR東海子会社「ジェイアール東
海パッセンジャーズ」(東京都中央区)は11日、偽装が05年4
月以降に常態化し偽装商品は推計約1500万個に達すると発表し
た。健康被害の報告はないが、同社の全国4工場に2月下旬、地元
保健所が立ち入り検査に入っている。

 発表によると、新鮮さを消費者にアピールするため05年4月、
消費期限の自主基準を改訂し、駅弁では従来の19時間を14時間
に短縮した。同時に、愛知万博の影響で時間帯によっては工場の製
造能力を超える需要が発生。このため、製造ラインに余裕がある時
間に作り置きし、偽装した消費期限のラベルを張るようになった。

 工場長経験者8人が偽装を認めており、05年4月以前にさかの
ぼる可能性もある。

 11日に会見した建守(たてがみ)猛社長は「本社が現場の事情
を分かっていなかった。大きな反省点」と謝罪した。自身を含めた
社内処分を検討するとしながらも「(偽装に)法的問題はないと思
う」と強調した。【高橋昌紀】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080311-00000119-mai-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「法的には問題ない」というのは食品衛生法ではそうでしょうが、
どうみても虚偽広告です。

 せっかくの賞味期限表示(この場合は消費期限)を、目先の利益
にしようとするから、こんな目にあいます。

 当初の19時間で何の問題もなかったのに、14時間に短縮しよ
うとした動機がそもそもいけません。

 何でも新鮮なものがよい、というのは消費者の思い込みですが、
これは製造や流通の過程に想像力が及ばないことが原因です。

 メーカー側はそこを考えて、より消費者に理解してもらえるよう
に努力すべきなのに、逆に消費者の誤解を利用して利益を得ようと
したのでしょう。

 このごろ、コンビニ業界あたりでさかんにそういう動きがあり、
困ったことだと考えています。一時の「ええ格好」が自分の首を締
めることに、想像力が及ばないのだろうな、と思います。

 そういう意味ではメーカーも消費者も、実は同じ日本人で、同じ
ように考え、行動しているだけなんでしょうが。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 なぜ弁当が19時間も持つのか、という技術の問題をメーカー自
身が語るべきときだと思います。いろんな技術開発をしても、それ
を隠してしまうのでは不信感をもたれるだけです。

 全部公開して技術力を誇るべきなのです。そのためには技術を開
発するところから、リスク評価もしていくべきだ、という話を読み
ました。

ナノテクのリスク評価に取り組む
http://www8.cao.go.jp/cstp/nanoweb/nakanishi.html

 この新しい技術のリスク評価はこうなっている、というところま
で言えるのなら、隠す必要はないわけですから。

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