安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>433号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------433号--2008.02.24------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「おにぎり・カビ・ポリプロピレン(Q&A)」
「食品の検査」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 ブログの方に「有機農業」について書いたら、こんなメールをい
ただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 さて、有機農業ですが、私は「シュタイナー教育」から始まって
いるものと理解しておりました。シュタイナーの教育理念では「学
校、農場、圃場」を一つの生命体とみなし、(つまりorganicは有
機という意味ではなく生命体という意味)学校から出る残飯で家畜
を育て、排泄物で農作物を育て、農作物で子どもを育てる。

 そして、この生命体から物質の出入りを最小限にするのがいわゆ
る「有機農法」で、「無農薬」は後からついてきたことだと思いま
す。(農薬はよそからの持込になります)

 また、欧州起源ですからボルドー液(これ無しでぶどうの栽培が
可能なのでしょうか)等は例外的に認められています。

 日本で言う「有機農法」はむしろ「自然農法」ではないでしょう
か。

 「有機農法」がさらにオカルトになった「バイオダイナミック農
法」もありますね。閉鎖空間を地球規模に広げれば、すべての農業
が「有機農法」だと思うのですが。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 シュタイナーの本は若いころに読んだ記憶がありますが、何かオ
カルトのようなものでした。ヨーロッパでは未だに命脈を保ってい
るのでしょうか。

 「ボルドー液」が認められているあたり、都合のよいものです。
日本の基準は、あちらの都合で決められた基準を無節操にあてはめ
ているわけですから、はじめから無理があるのですよね。

 日本の有機農業も、もっと自分勝手に基準を決めてよいと思いま
す。

 日本の場合もオカルトな雰囲気と手が切れないところがあって、
そこが弱点になっていると思っています。

 どうもありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.おにぎりを食べているときに疑問に思ったので質問します。ラ
ップ(耐熱温度180℃、原材料名ポリメチルペンテンと表記)の上
にやきしおを振り、その上に熱々のご飯を置いておにぎりを作りま
した。お昼の時間になり、そのおにぎりをのりで包もうと見た時に
ラップの中のおにぎりのご飯の部分が所々薄い黄色に変色していた
のです。何度か同じようなことがありました。これは食べても害の
ない変化なのでしょうか?何が黄色に変色したのでしょうか?

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A.どうもよくわからない現象ですが、ヒントになりそうな記事が
ありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「瀬戸のほんじお 焼き塩」は、製造工程の中で焼いてサラサラに
しています。にがり塩を焼くと、粒の表面がアルカリ性になり、塩
をまぶした部分がご飯のでん粉と反応して黄緑色になります。お召
し上がりになっても問題ありません。

http://www.ajinomoto.co.jp/okyakusama/qa/qa_yakisio.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 たぶん、使っている「やきしお」のせいだと思います。普通の塩
に変えれば解決するのでは?

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Q.蜜柑の青カビ(緑カビ?)の胞子を吸い込んでしまいました。も
ともと気管支が弱いこともあり、ナニか身体に悪い影響がないかと
心配なのですが・・・。

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A.カビの中には毒をつくるものもありますが、胞子は別に毒では
ありません。空気中にはカビの胞子はたくさんあります。だから条
件がととのえばどこにでもカビは出てくるわけです。

 人間がカビの胞子を吸い込んでも、別に何事もおこりません。体
にカビが生えないような、免疫の仕組みがあるからです。

 免疫不全になっていたりすると、体のあちこちにカビが生えてき
たりするそうです。また、水虫のように人間の体に生える能力を持
った特殊なやつもいます。

 だから絶対ということはないのですが、別に心配するほどでもな
いと思います。ただし、何か気になる症状があるときは、医者に診
てもらってください。

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Q.現在妊娠5週6日です。タッパーウエアで冷凍保存したミート
ソースをレンジで加熱し食べたところ、タッパーウエアが溶けてい
たことに気づきました。胎児に影響が出るのではないかと不安です。
タッパーウエアの素材はポリプロピレンで1×2cmくらいの面積が薄
く溶けています。大丈夫でしょうか?

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A.ポリプロピレンはポリエチレンと並んで、食品の容器にはよく
使われます。レンジ用のものなら、レンジで加熱しても溶けないは
ずなのですが、加熱の具合が悪かったか、レンジ用ではなかったか
したのでしょうか。

 溶けたものがソースの中に入っている可能性はあるのでしょうが、
ポリプロピレンは非常に安全性の高いプラスチックで、まず何事も
おこりません。

 プラスチックというのは溶けたとしても巨大分子なので、消化吸
収されるものではありません。また、ポリプロピレンが安全性が高
いというのは、結合が取れた単体になっても、毒性はないからです。

 だから心配することはないです。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食品の検査」
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 また生協の食品から殺虫剤というニュースがありましたが、それ
についてこんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先週、ニッキーフーズの製造した商品から残留農薬が検出された
と報道がありました。

 アスパラの入ったとんかつに関しては、COOPの検査したデー
タと横浜市が22日に公表したデータで値がずいぶん異なっていて驚
きました。(COOPの残品で検査したものは値が1.3ppmでしたが。)
同じロットでここまで値が異なるのはどういうことが考えられるの
でしょうか?

 ちょっと失礼ながらCOOPさんの検査体制を疑ってしまいました。
自社検査のデータは検査される方のレベルが一定ではないこともあ
るので(しっかり教育されているところもあるとは思いますが)、
大きな判断を行う際の決め手としてどこまで信頼性があるのでしょ
うか?

 今回のように、自社検査では値が出ていたが、検査機関などで改
めて検査して不検出のデータを得ることはままあると思います。10
回検査を行ったうち、簡易な検査で値が出ており、かつお客様から
体調不良などの問い合わせが1度もないような場合、どう判断する
ことが品質管理には求められるのでしょうか?

 体調不良の問い合わせがあるような場合は、迅速に回収する判断
が求められるとは思いますが、今回の場合、横浜市のプレスリリー
スの出し方は早すぎたのではないかと思ったりしています。

 こんなときだからこそ、冷静に不安を助長させないような対応を
行政も食品企業も行うべきではないかと思いましてメールしました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ちょっと事実関係がわからないのですが、ユーコープの検査結果
は以下のように報告されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ユーコープ事業連合の商品検査センターで実施した残留農薬の自主
検査の結果は以下の通りです。
商品名:「レンジDEロールソースかつ(アスパラ入り) 200g8個入
り」
賞味期限:2008年11月21日

輸入者:株式会社 ニッキートレーディング

販売者:株式会社 ニッキーフーズ(製造工場:中国山東仁木食品)

検査結果:残留農薬他成分検査により、ホレート1.2ppmを検出
(参考:食品衛生法上の基準値、アスパラガスにおいて0.3ppm)

 メタミドホス、ジクロルボスを含む上記以外の残留農薬の検出は
なし

http://www.ucoop.or.jp/news/008shohin_news/s080221.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これには続報があって、食品環境検査協会というところで再検査
しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 自主回収は、ユーコープ商品検査センターによる自主検査で有機
リン系殺虫剤(ホレート)検出より行ったものですが、同日、回収
した商品を外部検査機関「財団法人 食品環境検査協会 横浜事業所」
に再検査を依頼、その結果が判明いたしましたのでご報告します。

 調査の結果、 2月20日のユーコープ商品検査センターの調査時に
検出した同一検体のみから、1.3ppm有機リン系殺虫剤(ホレート)
が検出されました。なお、他の検体からは、「レンジDEロールソー
スかつ(アスパラ入り)200g 8個入り」の同一ロット商品も含め
すべて、検出されませんでした。

http://www.ucoop.or.jp/news/008shohin_news/s080222.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それに対して、横浜市の報告は以下のとおりです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ホレート、メタミドホス、ジクロルボス、パラチオン、パラチオン
メチル等すべて不検出です

http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/syoku_anzen/26/katsu3.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは一個の検体からのみ、ホレートが検出されたということで
すね。横浜市(衛生研究所)で調べたのは同日の製造の同じ製品で
すが、ユーコープで検査したものとは違います。ユーコープで検査
したものは他のところでも同様の検査結果になっていますので、検
査の間違いではないでしょう。

 残留農薬であれば、同じロットには同じ程度検出されそうなもの
です。一つだけ高い数値で、他の袋からは検出されないというのは
不自然です。何か違う原因ではないかと思います。

 先のギョーザのときもそうですが、毒物が入っている数が製造数
に比べて少ないのです。故意の投入または何か特定の混入原因があ
るのだと思います。

 また、横浜市が通報を受けてそのまま情報を流したのは仕方ない
と思います。すでに流通している商品ですから、再検査の結果を待
つ余裕はこの場合ないはずです。

 さて、食品の検査について、もう一つメールをいただいています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ある政治blogからここにたどり着きました。
http://blogs.yahoo.co.jp/matibitott2004/21195116.html
 この人は10%の検査=実際に輸入した物の10%を分析、廃棄
と勘違いしているようだけどいくらなんでも違いますよね?

 輸入食品の検査の実際とはどんなものなのでしょうか?また、紙
さんの言うように検査率を50%にしても安全度が高まるって事は
ありませんよね?(例えるなら時速41キロで運転するより40キ
ロの方が安全と言えるかもしれないが現実に意味はないと言った感
じ?)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このリンク先の話はブログに書きましたので、ごらんください。

 結論部分は以下のように書きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 だからといって、五割も輸入時に検査するのがよいかどうかは別
問題です。現行の制度は、こんな感じで運営されています。

・実績があって信用できそうなものはほぼフリーパス。
・全体の一割程度は輸入時検査にかかるようにする。
・怪しいもの、過去の経緯から必要とされるものは全部検査を受け
る。

 これで充分合理的と思います。輸入検査も国費で運営されている
わけですから、コスト意識も必要ですからね。

http://www.kenji.ne.jp/blog/index.php?itemid=318
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 さて、輸入時の検査で、検査をしないものがあるということにつ
いては上記のような理解ですが、検査するといっても、少量のサン
プルであるということをどう考えるかです。

 サンプルによる検査はかなり限界のある方法で、ある程度の信頼
性を持たせるためには、かなり大量のサンプル数が必要であること
はよく知られています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

例題1

 不良率3%のロットを検査して見逃し率を5%にするためには、

n=log{1−(100−5)/100}/log{(100−3)/100}
=log(0.05)/log(0.97)=98.3

となるので1ロットから99個抜き取ります。

例題2

不良率1%のロットを検査して発見率99%にするためには、

n=log{1−99/100}/log{(100−1)/100}
=log(0.01)/log(0.99)=458.2

となるので1ロットから459個抜き取ります。

例題3

例題2のロットの大きさがN=2000の場合、459/2000=0.23 > 1/10
のため補正したサンプル数を計算すると、

n*=459/{1+(459−1)/2000}=459/1.229=373.47

となり、1ロットから374個抜き取ります。

http://www.nfri.affrc.go.jp/yakudachi/sampling/find-miss-probability.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 少量のサンプルでは、信頼性はかなり低いということがわかると
思います。

 実際にNASAの宇宙食に対する品質基準が厳しすぎて、抜き取
り検査では対応できなかったという話があります。基準を達成しよ
うとすると全数検査するしかないが、それでは食べるものが残らな
いという馬鹿げた話です。

 この話はHACCPの由来を語るときには定番になっています。
本当かどうかは私は知りませんが。

 そうすると、わずかなサンプル数しかとらない、輸入時の検査は
無意味なのかというと、そうでもないのです。

 上記の検査で調べているのは「不良品の検出」です。ところが、
輸入時の検査は不良品を調べているわけではなくて、その食品の一
般的なバックグラウンドを見ているのです。

 たとえば、残留農薬や違反食品添加物、微生物などの問題が食品
にあったとき、一部の食品だけにあるのではなく、そのロットのほ
ぼ全部の食品がそれに該当していると考えられます。

 薬品を使ったり、保存が悪くて変質したり、ということはロット
の全部に影響するはずだからです。少量の検査でもそういうものな
らほとんど間違いなくチェックできます。

 ところが、ロットの中にごく一部の不良品が混じっていたとき、
これを検査で見つけることはできません。不良品も検査にひっかか
ることなく流通していきます。

 中国産ギョーザの食中毒事件はこうしたことの例なのです。結果
として毒物が入っていたものは非常に少数でした。大量に生産され
た、ほとんどのギョーザからは検出されなかったのです。

 したがって、国やメーカー、生協やスーパーに「検査していない」
とか、「検査が不十分」だというような文句をつけるのは、単なる
言いがかりです。「不良率」はおそらく一万分の一以下ですから、
こんなものは検査では絶対に見つけられません。

 上の引用で、「不良率1%のロットを検査して発見率99%」にする
ためには、459個のサンプルがいると書いてありました。0.001%の
不良品を99.9%の確率で発見するためにどれくらいのサンプルがい
るか、計算してみてください。(私はできませんが)

 マスコミの人は、検査すれば絶対に見つけられると思い込んでい
るようですが、お釈迦様でもあるまいし、不可能なものはいくら真
剣に取り組んでも不可能に決まっています。

 結論としては、以下のように考えています。

(1)食品の事故は中国産だけではなく、どんなものについてもお
こり得ます。リスクゼロには絶対になりません。

(2)中国産はあの国の現在の状態からして、リスクが高いと考え
るべきだと思います。まだまだとんでもないことがおこりそうなの
で、避ける方がよいでしょうね。

(3)リスクゼロにはなりませんが、業界は最善の努力をするべき
です。それでも事故がおこってしまったときは、事後処理しかない
です。

(4)事後処理とは、被害の拡大防止、原因の究明と再発防止、被
害者への保障です。犯罪がらみならその捜査も当然入ります。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 横浜のカツの件といい、毒物の検出状況が変です。加工品の原料
(小麦粉とか)の保管に問題がある、という意見が出ていますが、
確かにその可能性はあると思います。

 私自身は中国産食品を避ける気は全くなくて、中国への旅行者が
減っていると聞いて、今のうちに行ってこようかと考えているくら
いです。中国産食品が怖くて中国旅行なんかできるか、というとこ
ろです。でも、妻が絶対イヤと言っているので実現する可能性は低
いです。(T_T)

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