安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>431号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------431号--2008.02.10------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「食品添加物(Q&A)」「生協の商品」

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ブログ毎日?更新中

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---〔話題〕-------------------------------------------------

 ギョーザの食中毒事件について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 はじめまして。ISO22000に関わる仕事をしている関係で、いつも
メルマガを拝見し、参考にさせていただいております。

 今回の餃子の件ですが、製品のロット管理が正確であるという前
提で、ニュースで報じられている10/1(月)と10/20(土)の2回に
わたって発生していることは、「偶発的」ではなく、「いつ起きて
もおかしくはなかった」という状況であったように思います。

 ちなみに、中国では、10/1は国慶節(建国記念日)で、この日を
はさんだ約1週間が大型連休になるそうです。10/19は重陽節(旧暦
9月9日)で祝日です。中国のカレンダーで見ると、10/1と10/20
の製造日ということが、何らかの傾向を示しているようにも思えま
す。

 最初に「パッケージの外側に薬剤が付着」していたものが見つか
り、その後、関東と関西で、中毒事故が続けて3件発生しています。
パッケージの内側と餃子の皮からは薬剤が検出されているものの、
中の具からは検出されていないものがあることから、よこピロー包
装機めがけて薬剤の水溶液を噴霧すればこの事故と同様の状態を再
現できそうな気がします。

 工場が休みの日にあわせて工場内で殺虫剤を噴霧して、休み明け
に設備・機器を十分に洗浄しないまま食品を製造すれば、朝一番の
数パック〜10数パックだけに高濃度の殺虫剤が混入するというスト
ーリーだとすれば、過去の国内の事故にも類似のものがありそうで
すね。

 メタミドホスは2007年で使用禁止になった農薬のため、製造当時
は使用されていたとしても、今年の1月からは工場には保管されて
いないハズなので、今になって調べても「今は使っていない」の一
点張りでおしまいでしょう。

 パッケージの「穴」を人為的なものだと騒いで、事故ではなく、
犯人不在のまま「事件」として片付けてしまえば、工場も販売会社
も早期に操業・販売を再開できるので、そういったねつ造事件とし
て幕引きされないことを祈るばかりです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なるほどの見解です。私も犯罪説を考えていましたが、食品工場
の問題として、こういう可能性も大いにあるのですね。それにして
も、マスコミでこういう話が出てこないのは不思議なものです。

 中国では犯人が逮捕されるというウワサもあります。犯人のでっ
ち上げくらいは簡単にやりそうなのですが、さてどうなることでし
ょうか。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.いつも楽しく拝見させて頂いております。質問です。私は、幼
稚園に勤務しておりますが、この幼稚園では、子ども達に、自然と
食べ物に興味を持ってもらいたいということで野菜を栽培したり、
毎週、クッキングをしたりしています。そういった活動の一環とし
て、子ども達に食品添加物について、どのように伝えるか、という
話題なのですが、昔ながらの頭の古い教師が、「食品添加物は石油
で出来ている」「とにかく身体に悪い」「身体に蓄積するとどんな
悪影響があるかわからない」というような、科学的無知ゆえの、子
ども達の恐怖心をあおる考え方しか出来ないようです。このような
科学的無知、前時代の伝説を信じきっている人に、どのように説明
したら正しい知識に興味を持ってもらえるでしょうか?とは言って
も、こんな質問は答えようがないですね(笑)

 一つだけ「食品添加物は石油から出来ている」という考えを覆す、
手短 な回答を教えて頂けると幸いです。

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A.食品添加物については、おっしゃるように頭から事実を見よう
としない人が確かに多いです。事実を見ようとしない人に事実を説
明しようというのは、むなしいものがあります。

 食品添加物とは何か、から話が始まらないといけないのですが、
そういう話を聞いてくれるとは思えません。

 幼稚園の子どもに食品添加物について教える必要があるとは思え
ないのですが、いかがなものでしょうか。食品添加物が使われてい
るのは加工食品に限られます。お菓子といってもまだ自分で買うも
のではないでしょう。

 授業でとりあげるのは中学生くらいになって、科学的な感覚を身
につけてからの方がよいと思います。

 さて、「食品添加物が石油からできている」という件ですが、食
品添加物全体を見渡しても、有機物であれば、石油から合成してい
るのは一部で、ほとんどが生物由来の物質です。無機物であれば、
原料が石油(有機物です)であるかどうかというのは無意味なこと
ですが。

 ただし、本当に石油由来の物質もありますので、このことを納得
してもらうのは難しいでしょうね。

 一般に、合成によってしか得られない物質以外は、石油からの合
成ではコスト的に苦しいのです。

 たとえば、「醸造用アルコール」というのがあります。「工業用
アルコール」とどこが違うのかというと、石油から作ったのが工業
用で、醸造して作ったのが食品に使うことのできるアルコールです。

 工業用アルコールは99%以上エタノール(エチルアルコール)
ではあっても、それ以外に石油由来の不純物を含むため、食品に使
ってはいけません。

 要するに、石油から作ったものであっても、食品添加物として認
められるには、石油由来の不純物は完全に取り除く必要があるとい
うことです。このため、生物からとることができるものは、ほとん
どがそうしています。

 そして、石油由来であっても、生物由来であっても、化学式で表
して同じであれば、同じ物質です。このことが認められるかどうか
が、おそらく別れ道になります。

 何から作っても、同じ物質であり、機能や安全性が変わるわけで
はない、ということが理解できれば、あとは事実としてどんな食品
添加物があるか、調べていけばよいのです。

 そう考えない「頭の硬い」人にはおそらく何を言っても無駄です。
そういう人は一種宗教的な理由で、異端を排除したいので、理屈は
どうでもよいのです。

 そのあたりを見極め、無理と判断したら、食品添加物について教
えること自体をやめる方がよいと思います。

 しかし、中学校の先生でも、そういう人がいたりするのですよね。
どうにも困ったことです。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「生協の商品」
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 お約束の生協の話です。

 いくつか生協に関する基礎知識があるのですが、それは省略して、
いきなり商品開発の話をします。以下は私の経験したことですので、
一般的ではないかもしれません。

 生協で商品を扱うとき、自主開発商品とそうでない商品がありま
す。自主開発するときは、まず取引先を決めるところからスタート
します。

 大きな生協では、複数の取引先の比較をしたりするのでしょうが、
残念ながら私はそんな贅沢はしたことがなく、つきあってくれそう
なメーカーを探すところから始めたものです。

 ある程度の交渉ができると、メーカー側から「仕様書」というの
を提出してもらいます。原料や工程については、ここにすべて書い
てもらいます。

 この仕様書どおりに作られているかどうかを確認することもあり
ますが、実際には工場を見学して、分析結果を提出を求めるくらい
のことがほとんどです。

 あとは出来た商品を試食して、問題がなければ扱いを開始します。
簡単にいうと、生協の商品開発というのはこんなところで、一般の
流通業(スーパーなど)と特に変わるところはありません。

 それどころか、今やメーカー側では、スーパーのバイヤーの方が
衛生面でも厳しいという評価が定着しているようです。

 このことを強く意識しないといけないのですね。「生協だからと
いって、特別な商品を手配できるわけではない」ということを知ら
ないといけません。

 私のいた生協は当初日本生協連の商品は扱っていませんでしたの
で、一つ一つの商品に結構苦労したものです。ところが日本生協連
の商品ばかり扱っている生協の職員だと、その苦労は生協連の方で
やってくれますので、何か「生協は特別な商品を扱っている」とい
う思い込みがあるようでした。

 大切に育てられたお金持ちの子は、親の苦労を知らないというわ
けです。

 さて、生協連の方は全国の「子どもたち」に商品を届けなければ
いけません。したがって、全国的に展開可能な商品でないと開発し
ても意味がありません。

 このことは取引先も、大手メーカーや商社に限られてくるという
ことを意味します。某乳業会社と生協連の癒着などというウワサが
あったりしますが、「コープ商品」はほとんどが誰でも知っている
ようなメーカーの商品なのです。

 先日、ある講演会のあとで、東洋食品という会社の方と話をしま
した。生協のインスタントラーメンを作っている会社で、あれはよ
く売れた、と言っていました。東洋食品はややマイナーながらも、
全国のスーパーに東洋食品のインスタントラーメンは売っています。
生協でインスタントラーメンを買っている人はほとんどこのことは
知らないと思います。

 もちろん、市販のものと仕様は違います。だけど、もし工場でト
ラブルが発生したときは、生協の商品も同じ影響を受けるわけです。

 今回のギョーザの事件でも、JTフーズが市販しているギョーザ
と全く同じものが「コープ商品」として売られていたことがわかり
ました。

 生協で買っていた人はこのことを知って驚いたのではないでしょ
うか。

 別に隠していたわけではなく、生協に送られてくる日本生協連の
資料を読めばすぐにわかることです。でも一般の組合員がそのこと
を知る回路は全くないのが実情だと思います。

 そして組合員は事実を全くしらないまま、「生協の商品だから安
全なのだろう」と信じているわけです。

 これは「実態を隠して、生協のよいイメージで商売をしている」
ことに他ならないのではないか?という反省をすべての生協にして
もらいたいと考えています。

 その上で、「生協なのにこんな事件をおこした」という批判は間
違っているという話を新聞社の人にしたら、こんな記事になってし
まいました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

中国製ギョーザ中毒:生協、揺らぐ信頼 偽装ミンチに続き、配達
員おわび行脚

 「CO・OP」ブランドの信頼が揺らいでいる。消費者が被害に
遭った中国製冷凍ギョーザによる中毒事件3件のうち、2件は生協
の商品で、3日にも有機リン系殺虫剤メタミドホスが微量ながら検
出され対応に追われた。各生協の職員は宅配先に「おわび行脚」を
続ける。昨年の北海道・ミートホープ社の牛ミンチ偽装事件で自主
回収に苦しんだ教訓は生きなかったのか。

 「気味が悪いから持ってってよ」。埼玉県川口市。玄関先で、生
協「さいたまコープ」の配達員、坂本健次さん(33)は、組合員
女性(60)から未開封の冷凍食品1袋を押しつけられた。数日前
に配達した回収対象ではない商品だ。「申し訳ありません」。頭を
下げ、おわびの文書を渡す。

 「最近の生協はおかしいわ」。この女性は嘆く。食品添加物の追
放を訴える姿勢に共感し、30年前に組合員となった。「今回の事
件も去年のミートホープの偽装事件も、昔ならあり得なかった」

 昨年6月、偽装牛ミンチの使用が発覚、冷凍コロッケなどを自主
回収した。「あの一件を反省し、残留農薬検査を厳しくし、原材料
の産地まで調べるようにしていたのだが……」。日本生活協同組合
連合会(東京都渋谷区、499団体加盟)の飯村彰常務は苦渋の表
情を浮かべる。

 扱う中国産や中国の具材を使った商品は267品目に上り、全体
の4%。天洋食品の製品は、関東の1都7県の生協で組織する「コ
ープネット事業連合」(さいたま市)など、全国で販売されている。
残留農薬を厳密に調べるため、製品でなく原材料を日本に取り寄せ
て調べてきたが、事件は防げなかった。

 日本生活協同組合連合会の相談窓口に、1月30日から3日まで
に1万1500件超の苦情電話があった。対応できなかった分も含
めると20万件を超える。【桐野耕一、吉井理記】

 ◇「食の安全・心配御無用!」の著者で、生協の仕入れを長く務
めた渡辺宏さんの話

 日本生協連は巨大商社。製造委託したものにコープマークをつけ
て売っていると言っていい。質も値段もスーパーで売られているも
のと一緒と考えるべきだ。

毎日新聞 2008年2月4日 東京夕刊
http://mainichi.jp/life/food/news/20080204dde001040058000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 半時間くらいしゃべったのに、私の話は思い切り簡単になってい
ます。私の言いたかったことはわかっていただけるでしょうか?

 「今回の事件も去年のミートホープの偽装事件も、昔ならあり得
なかった」という組合員は、残念ながら騙されていたのです。単に
昔は報道されなかっただけです。

 昔も今も、こういう事件は発生する可能性があります。生協だか
らといって、その可能性から逃れられる理由はありません。騙しや
事件に巻き込まれないと思っていることこそが根拠不明の妄想なの
です。

 記者の側でも、生協の姿勢が最近変ってきたので、こういう事件
がおこるのではないか、と考えているようでした。

 しかし、放送局や新聞社の社員が続々と不祥事を起しているのは、
最近会社の姿勢が変わったからなのでしょうか?そもそもそういう
発想はおかしいのです。

 さらに、最近姿勢が変わった生協なんかありません。いい加減だ
ったところは昔からいい加減だったのです。

 「生協だから安全」というのは根拠のない思い込みです。生協に
だけ安全な商品を確保してくれる神様がついているとでも思ってい
るのでしょうか。

 「生協は安全な食品を供給するために努力してきた」ということ
なら正しいと思います。ただ、こういう努力はどの会社もしている
ことです。また、生協には建前主義というか、事実の追求を妨げる
思い込みの風土があると私は思っています。その意味では一般の会
社よりも事実追求には劣っているところがあります。

 これは「生協だから安全」という誤解を解こうとしなかったこと
と大いに関係しています。誤解の上に成り立った愛は見かけは美し
くても壊れやすいものです。生協側も、組合員も、事実そのものを
見ていくようにしなければいけないと思います。

 まとめです。

◆生協の商品も一般の商品も、本質的に変わるところは何もない。
「生協だから安全」というのは単なる思い込み、誤解である。

◆生協は組合員の参加を原則として、安全な食品の供給に努めてき
た。事実はそれ以上でも、それ以下でもない。

◆メーカー側での騙しや事件が起こったとき、生協も当然巻き込ま
れる。そのことには責任があるとしても、「生協なのに…」という
非難は上記の誤解にもとづく過剰な反応である。

◆誤解の上に成り立った組織というのはむなしいものである。そろ
そろ誤解ではなく、相互理解によった組織に生協は変っていってほ
しい。(そんなことをしたら潰れるというのなら、潰れるべき)

◆このごろは逆に、一般スーパー・コンビニでも、生協の病気(過
剰に安全性を宣伝する)が蔓延している。これもやめた方が身のた
めと思う。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 私が生協をやめて、今年で10年になります。だから、少し昔の
話と思っておいてください。基本的なことは変っていないと思いま
す。

 私のいた生協も、このごろでは共同購入から介護施設の運用など
に軸足を変えてきています。世の中の移り変わりですね。

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