安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>425号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------425号--2007.12.30------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「アスパルテーム(Q&A)」
「血液サラサラ」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 以前にもちらりと話題に出てきましたがマクロビオティックとは
そもそもなんでしょう?どうもいくつかのHPを見てもわからんです。
ただの食の思想ですか?(思想というのは栄養学的な、科学的な根
拠のない健康思想、食生活思想ということです)

http://mainichi.jp/hokkaido/shizen/

 この記事を見て何なんだろうかと改めて思いました。ちなみにネ
ットでは無署名ですが、新聞では署名があります。そうです、あの
「牛乳の山田」記者です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「牛乳の山田」ではわかりにくいですが、毎日新聞に「牛乳有害
説」を大まじめに書いた記者がいたのですね。

 北海道のローカル記事のようですから、件の山田記者は北海道の
記者だったのでしょうか。

 あえて引用しませんが、まず頭が痛くなる記事です。

 さて、「マクロビオティック」というものについて、詳しいこと
を知っているわけではありませんが、よく言われる「玄米正食」の
グループですよね。これは単なる迷信の部類でしょう。

 淵源は陰陽五行などに近い、どちらかというと反近代化の反動思
想だったはずですが、いつのまにか違ったものになってきているよ
うです。

 私のいた生協などでも、こういう思想に親和的な人が多かったで
す。言っていることはよくこんなのを信じられるなと思う程度のこ
とですが、やはり「反近代」というか、「反合理主義」というか、
何がしかの「真・善・美」があるような雰囲気が戦後世代には受け
入れられやすいところがあったのだと思います。

 合理的というのは事実を事実として認める立場です。事実と解釈
は違いますから、まず事実の確認からスタートしなければなりませ
ん。

 解釈は多種多様なものが並立可能な世界です。そのうえで、論理
的に美しくて、説得力のある解釈できる論理が採用されるべきです。
ただし、これには判断が伴いますので、みんなが一致することはで
きません。一致できるのは事実の確認の部分のみです。

 これに対して、「反合理主義」的な考えでは、先に解釈があるの
ですね。事実を無視すればいくらでも美しい解釈が生まれてきます。
事実に合わない部分は「東洋医学の伝統」とか「長年の医者として
の観察」とかでごまかしておけばよいわけです。いわば「雰囲気思
想」です。最大の特徴は根底に道徳的な価値基準があり、すべてが
そこから敷衍されてくるということです。

 だからよく「疑似科学」と呼ばれます。いくらもっともらしいこ
とを言っても、事実を対象とする科学とは言えないのです。一般の
科学者は疑似科学には反論しようとしない傾向があるので、言った
もの勝ちで勝手なことを言っています。

 おまけにこれが(特にネット上では)金儲けと結びついて、非常
に困った状態になっています。それをマスコミが応援してどうする
のだ、というのがのこのメールの主旨だと思います。私も同感です
が、とりあえずは「困ったものだ」としか言いようがないです。 

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.アスパルテームについてご質問させて頂きます。現時点ではア
スパルテームは禁止使用されていますか。

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A.別に使用禁止ではありません。その程度のことはネットで調べ
ればすぐにわかると思います。

 ご質問の背景には、アスパルテームへの不信があるようですが、
それについての回答は以下のページをごらんください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 さて、「買ってはいけない」では、アスパルテームのもたらす巨
額の利益に目がくらんだサール社や味の素が研究者を買収し、FDA
(アメリカ食品医薬品局、日本の厚生省にあたる)に圧力をかけて
認可させ、販売にこぎつけたような記述がなされています。一企業
に籍をおく研究者から言わせてもらえば、「そんなアホなことがで
きるか!」です。

 どうもこの著者たちは、大企業というものは金の力にものを言わ
せてなんでもしたい放題と思いたがっているようですが、はっきり
言って映画かドラマの見過ぎでしょう。残念ながらFDAはそんな甘
っちょろい組織ではありません。国家権力がたかが一企業の圧力に
屈するはずもなく、厚生省も薬害エイズ事件以降極めて慎重になっ
ています。

 アスパルテームをめぐる攻防戦はFDA史上最大と言われ、いまだ
に語り草になるほどのものです。FDAはやっきになって有害性を実
証しようとしたにも関わらず、結局問題点は見いだせず、認可せざ
るを得なかったというのが本当のところです。

http://www.org-chem.org/yuuki/aspartame/aspartame.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここに書かれていることが最終回答です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「血液サラサラ」
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 もう下火になったと思っていた「血液サラサラ」というやつです
が、まだまだ詐欺師のネタとしては現役のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 血液がサラサラになる、と健康効果があるように偽ってブレスレ
ットを売りつけたとして、千葉県警生活経済課と鎌ヶ谷署は6日、
東京都豊島区の健康器具販売会社「サンキョーコーポレーション」
社長の同区池袋2、梶本稔容疑者(60)と同社幹部ら計7人を詐
欺の疑いで逮捕した。

 “健康ブレスレット”を巡る苦情や相談はここ数年、国民生活セ
ンターに多数寄せられているが、詐欺容疑での立件は全国初。県警
は1都2府36県の8200人に販売し、24億5000万円の売
り上げがあったとみて裏付けを急いでいる。

 調べによると、梶本容疑者らは2006年2月から10月までの
間、お年寄りの女性ら愛知県などの計18人に、健康効果があるよ
うに偽って1本約2万円で仕入れた「ゲルマニウムブレスレット」
を25万〜30万円程度で販売し、計約680万円をだまし取った
疑い。

 梶本容疑者らは、健康食品や健康器具を特設会場で即売する内容
のチラシを、住宅のポストに投函(とうかん)するなどして客を集
めていた。特設会場は、空き店舗を借りるなどして短期間で移動を
繰り返し、販売場所を転々としていた。

 客に自分の指先を針で突かせ、ブレスレットを使用する前後の血
液を採取。それぞれの顕微鏡画像をパソコン画面に映し出し、使用
前は「赤血球が数珠つなぎになっている」などと説明。使用後はカ
バーガラスをかけて赤血球間のすき間をあけ、「どろどろだった血
液が改善された」などとだましていたという。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071106-OYT8T00158.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 元々はNHKの番組でやった、「血液サラサラ」の映像が話題に
なっこところからスタートしたネタです。この映像を作った機械を
発明した公務員がカネを不正に受け取っていて処分されたとかいう
オマケもついていました。

 この映像については誤解が多いのですが、最終的にはこんなとこ
ろが正解のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 人工の毛細血管に流れる血液を観察する「MC-FAN(エムシー・フ
ァン)」という観測機器を使って、毛細血管モデルに流れる血液を
ミクロン単位で見ることができる。

 毛細血管モデルを円滑に流れる血液を「サラサラ血液」、円滑に
流れない血液を「ドロドロ血液」と呼んだ。

「ドロドロ血液」では血液の成分に、以下の3つの変化が起こって
いるという。

赤血球の変形能の低下
 赤血球は、毛細血管モデルを変形して通っていくため。

血小板の凝集能の高まり
 血小板が集まってかたまりになると毛細血管モデルをふさいでし
まう。

白血球の粘着能の高まり
 白血球がくっつきやすくなっていると毛細血管モデルを通過しに
くい。

 これら3つの変化が必ずしも同時に起こるわけではなく、別々に
起きることが多いという。

 この観測では、実際には毛細血管モデルを流れていく血液の成分
の「赤血球が形を変える能力(変形能)」、「白血球の粘着能」、
「血小板の凝集能」を観察する。

 血液を検査するためには採血して体外に血液を出す必要がある。
体外に出た血液は赤血球が凝集しかたまるが、菊池はこの凝集はド
ロドロ血液には関係がないと述べている。

 菊池佑二は、理学博士で、毛細血管モデルによる血液の流れを観
測する機器「MC-FAN」の開発者である。1997年には、「マイクロチ
ャネルアレイの開発と応用に関する研究」で科学技術庁長官賞を受
賞している。2004年9月、「血液サラサラ博士」との肩書きにてメ
ディアに頻繁に登場し、TV番組等のために血液検査などを行ってい
た。しかし、その際の経費上の不正行為により懲戒処分を受け、さ
らに依願退職の結果となった。菊池は、自ら開発した毛細血管モデ
ル装置を活用して、血液の流れと健康・疾患との関係に関する基礎
研究を続けていた。

 菊池は、一般的なイメージである、血液に油が溶けて血液がベタ
ベタになっているイメージは間違いだという。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E3%82%B5%E3%83%
A9%E3%82%B5%E3%83%A9

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 さて、このネタでは当たりをとったNHKの「ためしてガッテン」
でも、さすがにまずいと思ったのか、こんな記事を書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 9年前、ガッテンが火付け役となって以来ブームとなった「血液
サラサラ」。しかし今やその言葉が一人歩きしています。血液サラ
サラ検査を利用して高額の品物を売りつける商法まで現れているの
です。

 番組では、その気になればサラサラ検査の結果を操作できること、
さらに、気になる食べ物の効果や、最新研究で分かったサラサラ特
効薬の入手法などについても徹底特集します。

 視聴者からの問い合わせメールをきっかけに、とあるバーゲン会
場で行われている血液サラサラ検査の実態を取材しました。

 そこでは採取した血液を顕微鏡で観察する検査を行っていました
が、スタッフが受けた1回目の検査では、赤血球が数珠状にくっつ
いた状態でした。しかし、3分後に再検査すると、赤血球が一つ一
つに離れた状態になっていました。

 2回の検査で結果が異なった理由を知るために、まずは赤血球の
性質について詳しく見ていきます。

 赤血球を顕微鏡で徹底観察しました。最大の特徴はその柔らかさ。
極細のスポイトで吸い込む実験をしたところ、赤血球の大きさは8
ミクロンなのに、太さ3ミクロンのスポイトまで通ることができま
した。赤血球が柔らかいのは、細い毛細血管を自在に流れるために
重要な性質です。

 しかし実験中に不思議な現象を発見。バラバラだった赤血球が放
っておくだけで勝手に集まり、数珠状に固まってしまったのです。
これは、赤血球が弱い磁石のような性質をもっているからです。

 ガッテンの実験では、赤血球がくっつくまでに3分かかりました。
しかしバーゲン会場の検査では、採取した血液を3分待たずにすぐ
に見せていました。つまり「採った血液を見せるまでの時間によっ
て、数珠状に見せたりバラバラに見せたりしている」わけではあり
ません。しかし実は、大きな手がかりをカメラが捉えていました。

 バーゲン会場で血液サラサラ検査を受けた際、1回目の検査と2
回目の検査で見せられた、スタッフの血液サンプルをカメラが捉え
ていました。1回目数珠状の時のサンプルは血液が多く、2回目バ
ラバラの時のサンプルは、血液が少ないことが一目瞭然です。

 ガッテンが再現実験をしたところ、血液の量によって、赤血球が
数珠状にくっついた状態に見せたり、逆にバラバラの状態に見せる
ことができることを確認しました。

 サンプルの血液量が多いと、赤血球が何層にも重なるため、3分
待たずに、即座に数珠状になります。しかし、これは赤血球が「見
かけ上」互いに接している状態にすぎません。これだけで「血液が
ドロドロだ」と判定することはできないのです。

 本当の血液ドロドロとは、血糖などが多い状態の時、赤血球が柔
らかさ失い、接着剤のようにくっつきやすくなることで起こるので
す。

 いずれにしても、サンプルの血液量だけで結果が大きく変わって
しまうことからも、サラサラドロドロを判別するには、詳しい血液
成分検査などが必要で、1回の顕微鏡検査だけでは断定できないの
です。

http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2006q3/20060830.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここまで読むと、素朴に「あの騒ぎは何だったのか」と思います
ね。NHKもマッチポンプのポンプの出番になっているようです。

 でも、この記事で取材したのは今回詐欺で起訴されている人では
ないかと思います。この取材は2006年のことですから、ここまで取
材して報道していながら、詐欺被害を防げなかったということに道
義的責任は感じているのでしょうか。

 自分たちのやった実験は正しかったというつもりなのでしょうが、
はっきり言ってあれから怪しかった(血液をサラサラに見せたり、
ドロドロに見せたりするやり方はいくらでもある)と思います。

 糖尿病などの臨床検査には役立つということですが、これを一般
人に見せて、重要な健康指標であるかのように煽った責任をNHK
はとるべきです。詐欺の被害者から訴訟をおこされたら、アメリカ
なら間違いなく敗訴ですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今年も最後の配信となりました。ご愛読ありがとうございました。
1999年の年末からはじめていますので、ちょうど8年たちました。
あと2年、10年は続けたいものだと思っています。

 来年の食品関係の話題といえば、偽装表示の件はもうそろそろ落
ち着いてくれないと困ります。残るはやはり「中国ネタ」です。北
京オリンピックもあることですし、どんな新展開があるか、楽しみ
のような、怖いような…。

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