安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>411号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------411号--2007.09.23------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「酵母エキス・ポジティブリスト(Q&A)」
「遺伝子組み換え食品を食べると死ぬ」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「リサイクル飼料」について、専門家の方からメールをいただき
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも興味深く拝見しております。今回初めてメールします。

 食品の飼料リサイクルについて、「豚体実験」の記載がありまし
た。

 私は以前飼料メーカーで配合設計の仕事をしており、食品残渣の
再利用についてはその頃からテーマの一つとなっておりました。家
畜も人と同様に1日あたりの栄養摂取量を基に、発育ステージごと
の配合を設計していきます。

 食品残渣を使用するのにポイントとなるのは、
(1)飼料の水分、栄養調整 
(2)残渣の素性 
(3)最終製品のコスト
(4)生肉の肉質
以上の4ん4点になります。

 液状飼料は日持ちしませんし、残渣に含まれる油脂が酸化してい
ると豚などは必ず下痢をします。またペレット飼料にするのであれ
ば熱乾燥しますので装置、コストなど課題が多く、頭を痛めたこと
を思い出します。

 かつて残飯を配合飼料と混ぜて使用していた養豚業者がいました
が、お世辞にも良好な肉質とはいえませんでした。栄養バランスが
良くなかったためです。

 畜産は計画通りに発育して、肉、卵、乳を生産しなければ成り立
たない産業です。このリサイクル飼料を全ての生産者が使いきれる
とも考えられず、処理方法や安全性、コストなどをもっと検証して
いかなければ、エコフィードの負の部分を農業生産者に押し付ける
だけのものになってしまうと思います。

 消費者の生肉を購入するポイントは肉質と価格のバランスである
と理解しています。今の飼料リサイクルで生産者、流通、消費者が
満足できるとは言えないと思います。

 リサイクル自体は反対しませんが、残渣の排出量軽減と消費者理
解が第一でその上にリサイクルを進めることが大切ではないかと考
えています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ごもっともです。私などは残飯で育てた豚の肉を食べたことがあ
る世代です。ああいうものが復活することは願い下げですね。

 次は食品添加物の専門の方からのメールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 安心!?食べ物情報410号において、添加物に対する誤解と思われ
る部分があったのですが、渡辺様はどのようにお考えかご意見お聞
かせ願えないでしょうか。

> 農水省に対しても、食品残渣に含まれる「添加物など(の、何か)」
>が、家畜の体を通して濃縮され、食肉等に移行し、人体に取り込ま
>れることを再度考えた上で、検討しなおしていただきたいと思って
>います。

 食品添加物は基本的には生体内に蓄積されない、代謝されてしま
うものではないでしょうか。現在許可されているもので蓄積されて
問題になるようなものがあるのかご存知でしたら教えてください。
(社内で詳しい人に聞くと、そんなものないだろうということでし
たが、私どもの取り扱っていないものにそういうものがあるのかも
しれないと思いお尋ねします)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「食品添加物など」というのは確かにあまりよくない表現だと思
います。ただ、この文の意図としては、食品添加物などに問題があ
ると思っているわけではなく、食品のリサイクルによって、生産の
現場に危険な物質が戻ってしまうことを危惧しているのだと思いま
す。

 私は端的に言って、この「危険な物質」は食品そのものだと思っ
ています。いったん人間用に加工された食品を、そのまま家畜に与
えてよいとは思えません。

 それとやはり「BSE問題の教訓」ですね。危険性が見えなくて
も、予防の方法として、危険因子が入り込むのを防ぐような工程を
考えなくてはいけません。食品の生産現場では、必ずモノは一方通
行で動くべきで、前の工程に戻ってはいけないことが強調されます。
食品のリサイクルはその原則を根本のところで破ってしまうのです。

 ということで、ご指摘ありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.以前「酵母のエキス」という果物の甘いエキスを含んだ健康飲
料(とろっとしたあめ色で薄めて飲む)を愛飲していた事がありま
した。値段が高いので今は止めております。 当時これはガン特に
術後にとても良いと聞きました。その頃はあまりガンに関心が無か
ったのですが最近(9月5日に)兄が膵臓がんの手術をし、現在順
調に快復しています。

 この「酵母エキス」の事を思い出し飲ませてみたいと考えている
ところです。一体「酵母エキス」はガンの術後にどんな作用をする
のでしょうか教えて頂ければ幸いです。

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A.まず、「酵母エキス」というのは食品であって、薬効なんかも
ともとないことをご理解ください。

 薬として効くということは何らかの生理的な活性があるわけで、
そんなものが食品にたくさん使われていれば、それこそ危険です。

 酵母エキスは醸造業などで大量に生産される、酵母の菌体を原料
にしています。主に調味料として使われますが、栄養価からみると
なかなかよい面があります。

 ただし、それだけのことです。高価な「健康食品」として食べる
のは自由ですが、ガンの術後によいとかいうのは根拠はないと思い
ますよ。

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Q.毎日新聞の16日の記事で、『<落花生>残留農薬で中国産輸
入が途絶』 というものがありました。ポジティブリスト制施行後
の暫定基準に引っかかった農薬が出ているようで、厚生労働省の違
反事例を調べましたところ、BHCとアセトクロールの2種の農薬
が主に検出されており、どちらも0.02ppm検出が多いようで
す。(殻があるのに、内部の可食部分に農薬が蓄積するとはちょっ
と意外ですが、それはさておき) 

 気になるのは、両農薬は、例えば大豆では、それぞれ、0.2p
pm、0.1ppmと、大豆の方がよく口にするにも関わらず、相
対的に緩い設定になっております。大豆で問題なければ、当然落花
生でも問題無かろうと思うのですが、先生はいかがお考えでしょう
か?

 ポジティブリスト制度の「暫定基準」という表現にもなにか釈然
としないものがあり、上記のような、ダブルスタンダードというか
輸出国からみて不透明感のある制度は如何なものかと思います。

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A.ポジティブリスト制の基準値はなかなか矛盾をはらんだもので
す。ご指摘の「よく食べるものの方が基準値が高い」というのはそ
の矛盾の最たるものですね。

 よく使われ、食べる量も多い野菜の方が基準値が高くなるという
のは明らかに矛盾しています。

 いずれは改善されていかねばならない問題ですが、完全な基準が
決まるまで待ってもいられないので、ある程度暫定措置が残るのは
仕方ないところです。

 問題は暫定値が変に低いことです。基準を決める根拠がないのに
暫定的に決めること、しかも一律で同じ値をあてはめるということ
で、厳しすぎる基準になっています。

 本来、この暫定基準は出回っている野菜を調べて、どの程度の基
準値オーバーがあったかを報告する、調査のための基準だと思いま
す。そうであれば納得できるのですが、それを輸入検査にあてはめ
るのはすこし目的が違います。

 ただ、国内の野菜も同じ基準値で出荷差し止めになったりしてい
ますので、輸入食品だけに厳しいというわけでもないと思います。

 国内の農家が、この基準の矛盾をついて、改善するように働きけ
ていくのが本当の姿だと思います。現実には諸般の事情や目的があ
って、難しいようですが。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「遺伝子組み換え食品を食べると死ぬ」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 以下の記事を読み 驚きました。

 引用致します。

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遺伝子組み換え食品を食べると死ぬ

 遺伝子組み換え食品に関しては、既に、組み換えられた食品の遺
伝子が人間の腸内細菌に転移するケースが報告されている。

 害虫に抵抗出来るように、小麦自体が殺虫剤成分=毒物を分泌す
るように設計された遺伝子組み換え小麦を食べると、人間の腸内細
菌が人間の生きている間、継続的に腸内で猛毒の殺虫剤成分を生産
し続け、人間を病気、死に至らせる可能性がある。

 この遺伝子転移が腸内細菌全てに対して連鎖して起これば、必ず
人間は死ぬ。

 単位面積あたり大量の実を結ぶトマトの品種と甘いトマトの遺伝
子を組み合わせ、甘いトマトが大量に生産出来る遺伝子組み換えト
マトを作ると、甘いトマトの甘さを出す遺伝子と同時に、赤い色の
遺伝子が転移する事があり、このトマトを食べた人間の腸内細菌は
糖質を自己生産し、人間に糖分の過剰摂取を起こし、さらに赤色遺
伝子が人間の遺伝子に転移すれば、トマト色の肌の人間が生まれる
可能性がある。

参考文献:マーガレット・メロン「遺伝子組み換え作物と環境への
危機」合同出版

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 以上 引用しました。

 荒唐無稽な感じを受けましたが、科学的・合理的に反証できる知
識が無いのでもしよろしければ、渡辺様のご意見・ご感想をお聞か
せ下さい。

 私のふだん食べております食品には 遺伝子組替えのものが 少
なからずありますので気になってしまいました。

 どうか よろしくお願い致します。

 なお、記事は

http://alternativereport1.seesaa.net/

にて公開されております。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ご紹介のサイトは一言でいうとトンデモ系ですが,遺伝子のこと
について考えてみたいと思います。もちろん、私もあまり知識があ
りませんので、補足や説明をいただけると助かります。

 まず、「遺伝子」というとき、物質としてはDNAを指します。
DNAは核酸とも呼ばれ、生命を司る基本的な物質です。生物をつ
くっているのはタンパク質です。タンパク質はアミノ酸が長くくな
がってできています。どのアミノ酸が、どんな順序で並ぶのかを、
DNAが指定しているわけです。

 遺伝子はまた染色体とも呼ばれます。実体はDNAという物質で
すが、外見はいくつかの染色体とよばれるグループになっています。

 また、細胞の中には染色体以外にもDNAが存在します。生殖時
はこの細胞内のDNAは両親からではなく、母親の側の卵子からだ
けもたらされます。生殖というのは「卵子+精子の染色体」なので
す。

 このため子供への影響は母親の方が大きいなどという話もありま
すが、それは別の話です。染色体以外のDNAとしてはミトコンド
リアという部分にあるものが有名です。ミトコンドリアのDNAは
母系からきますので、この変異を調べて人類の起源を追求した有名
な研究があります。

 その他に細胞内に存在するDNAはプラスミドと呼ばれたりする
ようです。DNAの研究はまだまだはじまったばかりで、わからな
いことの方が多いと思っておいたほうがよく、その意味では遺伝子
組み換え技術も慎重に使うべきだと思います。

 しかしここまで無茶な批判というか悪口を書かれるのはあんまり
です。

 ここで言われている「既に、組み換えられた食品の遺伝子が人間
の腸内細菌に転移するケースが報告されている。」という事実があ
るのかどうかということが疑問です。少なくとも私は聞いたことが
ないです。

 事実のレベルでウソだと思いますが、常識的に考えてもあまりあ
りそうもないことです。

 細菌どうしの間で「遺伝子」が転移する現象はあります。抗生物
質が存在する環境では、ある細菌が持っている抗生物質に対抗でき
る遺伝子(プラスミド)が、他の細菌にも転移していくのだそうで
す。

 ただし、これは子孫を残すいわゆる「遺伝子」ではなく、細胞の
中に別個に存在する遺伝子です。それに対して、遺伝子組み換え技
術で導入された遺伝子は当然、染色体を構成するDNAです。細菌
の間でやりとりされるようなものではありません。

 そもそも食品の細胞は単細胞生物ではありません。しかも生きて
いるわけではありませんから、どうして転移できるのでしょうか?
上記の話はあくまで「生きている細菌」どうしの話です。

 モノが移動するためにはエネルギーが必要で、誰が、どんな形で
その移動のエネルギーを負担するのか?といのが重要なポイントに
なります。二つのモノがそろったら、すぐに化合や移動がおこるか
のように言うのはだいたいインチキで、妄想の世界と現実の世界を
ごっちゃにしています。

 それから、虫に対する抵抗性では、虫を殺すことのできるタンパ
ク質をつくる遺伝子が導入されています。このタンパク質は農薬と
して使われたりもするようですが、人間には全く無害なものです。

 生物としてヒトと昆虫ではかなり違いがあります。昆虫には毒だ
けれどヒトには無害なものはそう珍しくありません。虫を殺す→人
も死ぬだろうというのは単なる連想で、事実ではありません。

 トマトは別に遺伝子組み換えしていなくても赤いですよね。どう
してトマトを食べるとヒトも赤くならないのでしょうか?この文章
の作者はやはりメンデルの法則あたりから勉強した方がよいと思い
ます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 花巻のホテルから配信しています。こちらで「白金豚」というブ
ランドで豚を生産している生産者と話をしました。リサイクル飼料
について聞いてみましたが、やはり訳のわからないものは怖いとい
うご意見でした。

 いつもは懇親会のあと、飲みにいったりするのですが、体調不良
ということとこのメールマガジンがまだできていないので、早くに
帰って寝ました。7時に寝てしまって、3時前に目が覚めてそれか
ら書いています。このメールマガジンが早朝配信なのはだたいそう
いう事情です。

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