安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>40号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------40号--2000.08.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     牛乳の話(メールより)
     粗糖(Q&A)
     発色剤

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 例の雪印の一件以来、牛乳についての報道が目につくようになり
ました。先日もテレビで、1日400リットルの製造量だという、
低温殺菌牛乳の工場がでていました。それについて、私はある方の
メールに、以下のように返事したことがあります。

 いただいたメールから、引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 富山県の人口は112万人。4000頭で年間24000t生産されているよ
うです。雪印の問題が起こるまでは、そのうち6000tが県外に出て
いたようです。

 富山県は35の市町村がありますが、村は別として、市や町には、
地元の小さな業者が多いようです。地元の学校給食に採用されてい
ます。

 文部省が学校給食用にはHACCP対応の牛乳、と言う方針を決
定したようで、県内では22を4箇所に集約しようと県は調整してい
るようです。

 私は、混ぜるという意味では特徴がなくなるので、どちらかとい
えば反対です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このたよりに対しての、私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 実にたくさん牛乳工場があるのですね。平均すると1工場あたり
200頭くらいですか。とすると、1日1工場あたり4〜6トンの
牛乳を処理することになります。

 これは集乳車1台くらいですから、牛乳工場としてはいかにも小
さいです。なかには大きな工場があるのでしょうから、小さいとこ
ろでは、ちょっと限界を下回った処理量になっていると思います。

 私もたくさんの牛乳を混ぜるのは良くない、とは思いますが、4
箇所くらいという計画は適正なものではないでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということで、私の意見は上記のように、衛生面を重視するなら、
小さい工場で手作業で、牛乳の殺菌などをすることには、かなりの
リスクが伴う、というものです。

 最初に書いた工場は、低温殺菌牛乳を直接、消費者の元に届ける、
共同購入組織のものですが、その消費者がみんな、このリスクを承
知しているとは私には思えませんでした。

 というより、経営者というか、組織の中心の人たち自身、リスク
の高い方法をあえてとっている、などとは思っていない様子です。

 リスクがある、ということと、いけない、ということとは違いま
すので、消費者がそのリスクを承知して選んでいる場合は、何の問
題もありません。問題がおこったとき、「だまされていた」などと
いうことにならなければ、それで良いのです。

 ついでに、牛の話題をもう一つ。これも同じ人からのメールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ただ、2カ月ほど前のNNNスペシャル?という深夜のまじめな番組
では、濃厚飼料により、乳の量が倍になる。 (つまり経済効率性が
倍)

 乳の量を無理やり増やすことで、肝臓に負担がかかり、寿命が5
〜6年になるというレポートでした。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これに対する私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 寿命というより、5〜6産というのが普通ではないかと思います。
(乳牛になるまで2〜3年かかりますので、5歳で死んでいてはた
いへんです。)

 これは実は以前からで、10産というのはほぼ不可能で、7〜8
産とれれば、きわめて優秀な乳牛といわれています。

 また、牛は経済動物ですので、寿命ではなく、採算で判断されて
います。

 5産しかとれない、というのは、そこで寿命が来るのではなく、
だんだんと乳量が落ちてきて、採算がとれなくなってくるため、処
分されてしまうのです。

 残念ながら、牛には人間と違って、繁殖年齢をすぎても余生を送
る、ということはありません。したがって、「乳牛の寿命」という
概念自体成り立ちません。

 確かに、よい牛乳をたくさん取る、ということと、何産まで耐え
られるか、ということはバーターの関係にあります。酪農家の課題
は、この限界をいかにして高くしていけるか、ということです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 いろいろと問題を含む領域になってきています。皆さんのご意見
はいかがですか?

 メールをお待ちしています。

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--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.よく自然食品やさんに売っている、粗糖みたいな白くないお砂
糖は化学処理をしていないらしいですが、その中で、表示には書い
てありませんが石灰を使っていると聞きました。

その石灰は、添加物にはならないのですか?

ちなみに無添加と、かいてありました。石灰は何からできているの
ですか?

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A.「化学処理をしていない」ということからして、問題の多い表
現です。

 砂糖は普通、サトウキビの汁から作ります。その中に含まれてい
る砂糖(蔗糖)を結晶させたものが砂糖です。で、この砂糖の結晶
というのは、白いものなのです。「化学処理」で白くした(漂白し
た)などという人がいますが、あれはウソです。

 白くない砂糖には大きくわけて、2通りあります。

 一つは精製の段階を省略して、不純物を多く含んだままの状態で
製品化したもの。

 もう一つは、精製の段階で、主に熱のために変色した成分を含む
ものです。

 黒砂糖は前者ですし、三温糖は後者です。

 ご質問の砂糖は、黒砂糖ほどではありませんが、砂糖だけではな
く、不純物を多く含んだまま、いったん固形にしたものを粉砕して
いる、いわゆる「粗糖」と呼ばれるものです。

 これは本来はもう一度溶かして、精製糖にする原料だったのです
が、このごろはそのままでも売られています。純度の高い砂糖より
高価なのは本来変なのですが、流通の関係でそうなっていると理解
しています。(原料が国産のものだと、もっと高くなります。)

 ご質問のように、黒砂糖などを作るときには、石灰を投入します。
サトウキビの絞り汁はどろどろした液体なのですが、石灰の力を借
りて固める、というふうに考えてください。

 石灰はもちろん、石灰岩を粉砕したものが原料でしょう。

 よく黒砂糖はミネラルが豊富、などといいますが、あのミネラル
というのは、実はこのように投入されたカルシウムのことです。

 こんにゃくも同様にカルシウムで固めますが、別にミネラルが豊
富、などとは云いません。

 これはこうして投入されたカルシウムは吸収しにくく、栄養的な
価値は低いからです。粗糖などのミネラルも同様です。

 ご質問の「粗糖」ですが、粗糖といっても、単なる原料糖であっ
たもの、黒砂糖に近い製法のもの、耕地白糖といって、サトウキビ
の原産国で製造されているもの、とさまざまです。

 石灰の使用はしていることが多いと思いますが、はっきりとはわ
かりません。(していたからといって、別に問題はないと思います。
ありがたがることもありませんが。)

 それでは粗糖の良いところというのは、といいますと、不純物が
多いことから、独特の風味を持つ、ということです。

 コーヒーに入れたり、お菓子を作ったりすることにはこのアクの
強い味のせいでまったく向きませんが、田舎風の料理などには、ア
クセントがつきます。

 また、少しくどい味ですので、砂糖の使用量を減らす効果もある
かも知れません。(これは人によるでしょう。)

 ということで、ほどほどの値段で買われているのなら、用途を考
えて、有効に利用してください。もし、うんと高価なものでしたら、
はっきりいってだまされていますので、やめた方がいいと思います。

だます手口は以下のようです。

「砂糖はエンプティカロリーといって、身体を蝕む悪魔の食品です。
しかも市販の砂糖は漂白して真っ白にしているので、特に身体に
悪いのです。この○○は無添加で、自然のままの成分を残していま
すので、砂糖を使うのなら、こういう砂糖しか使ってはいけません。」

 石灰を投入した砂糖を無添加というのも変ですし、ほぼ純度100%
の砂糖(グラニュー糖など)を添加物入りのようにいうのは、はっ
きりとウソです。

 砂糖は純粋な炭水化物ですので、取り過ぎは感心しませんが、食
べて毒になるようなものではありません。子供が小さなうちは、貴
重なエネルギー源と考えていいと思います。

 ただ、虫歯の原因になりますので、おやつに甘いものを食べるの
は控えた方がいいでしょう。それ以外に食べて害になるようなこと
はありません。

 私は普通のスーパーで売っている、「耕地白糖」と呼ばれている
種類の、少し色のついた砂糖を、200円/750グラムくらいで買って
います。

 我が家ではコーヒーに砂糖を入れたりしないので、純粋に料理用
です。少し高いのですが、煮物などには向いているような気がして
います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「発色剤」
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 「発色」と「着色」とは、どう違うのでしょうか?「着色」とい
うのは、外部から色素を添加して、色をつけるわけですが、「発色」
という場合は、その食べ物が本来持っている色素が、よい色になっ
たり、変色しない、というような効果を持つものを添加します。

 肉の色というのは、基本的には、「ミオグロビン」という色素で
できています。これは名前からも想像がつきますが、血液中の赤血
球の中にあって、全身に酸素を運ぶ役割をもっている、「ヘモグロ
ビン」の親類のようなものです。

 血液の色は、動脈血は鮮やかな赤色をしていますが、静脈では黒
ずんでいます。また、ケガをして、血が出ると、出た瞬間は黒い血
が、見る間に赤くなってくるのを、ご存じと思います。

 これは、ヘモグロビンが酸素と結びついた状態のとき、鮮やかな
赤色になるためです。(酸素を放すと、黒ずんだ色になります。)

 ミオグロビンも基本的に一緒です。塊のままの肉を、切って見る
と、内部は酸素が欠乏した状態になっていますので、全体に黒っぽ
い感じです。しかし、そのままにしておくと、だんだんときれいな
肉の色になってきます。

 ミオグロビンが空気中の酸素と結合して、色が変わったのです。

 肉の工場で、スライスした肉片を、一枚ずつひろげて、きれいに
発色させています。見ていると、何という無駄な作業なんだ、と思
うのですが、こうしないとスライス肉どうしがかさなったままの所
では、肉が空気に触れないため、黒っぽいままになります。

 このまま出荷すると、消費者から、肉が変色している、というク
レームが寄せられるのです。

 また、肉の色は、だんだんと古くなるにつれて、鮮やかな赤色か
ら、黒ぶんできます。これは水分とも関係がなるのですが、ミオグ
ロビンの状態が変わってくるためです。

 調理(加熱)したときも、肉の色は変わります。この調理した色
と、古くなって変色した色とは、似ていますが、簡単に区別はつき
ます。

 このように、「最初の黒ずんだ状態」「空気に触れて発色した状
態」「加熱によって変色した状態」「古くなって変色した状態」と
いうように肉の色は変化していきます。「赤色」というのは牛肉の
色のことを云っていますが、その他の肉でも、色調は違いますが、
変化の内容は似たようなものです。

 そして、これらの変化は、生きている状態でない以上、不可逆的
なものです。

 発色剤というのは、この「空気に触れて発色した状態」の代りに、
酸素の代りにミオグロビンと結合して、安定した状態になるような
添加物のことをいいます。酸素との結合は良い色にはなりますが、
上記のように不安定なので、このような添加物があるわけです。

 ハムなどの添加物として有名な、「亜硝酸塩」というのは、代表
的な発色剤です。亜硝酸とミオグロビンが安定した結合状態になる
ことを利用しています。

 亜硝酸自体は、硝酸還元菌などの働きで、自然界でも作られる物
質ですが、食品添加物の中でも、特に毒性の強いものとして知られ
ています。

 もちろん、添加物としては、すぐに害になるような量を使用して
いるわけではありません。ただ、アミノ酸の分解物と化合して、発
癌性をもった物質(ニトロソアミン)になる可能性があって、問題
としてよく指摘されています。

 ニトロソアミンの発癌性は確かにあるようですが、亜硝酸塩が発
癌性のある物質である、ということとは違います。「発癌性のある
物質が体内でできる可能性がある」ということです。

 この可能性については、詳しいことはわかりませんが、まだ実証
された、というわけではないようです。

 亜硝酸は細菌にも毒性を発揮しますので、「ボツリヌス菌食中毒
を防ぐため、亜硝酸塩は必要だ」という人もいますが、確実にボツ
リヌス菌の繁殖を抑える量の亜硝酸塩を添加すれば、その毒性は人
間にも強すぎますので、現実的な論ではありません。

 要するに、亜硝酸塩の使用を非難する側も、弁護する側も、量的
ないしは実証的な面を無視して、印象論、抽象論だけで語られてい
る、という評価を私はしています。

 発癌性はさておき、亜硝酸塩自体、毒性の強いものですので、で
きれば避けた方が賢明と思います。

 亜硝酸塩を使用しない時の問題点は、当然の話ですが、「色」で
す。食べ物に色なんか関係ない、というのは没文化的な態度でして、
現実には、色の冴えない、無添加(発色剤不使用)のハム類は、店
頭での販売においては、常に苦戦しています。

 これは一つには価格が高い、ということもあるのでしょうが、色
が良くない、ということも、一つの原因と思います。

 完全に無添加でハムを作るのは、それなりにコストがかかります
ので、現状の無添加ハムの価格については、ある程度理解できます。

 発色剤不使用だけなら、それほどコストは違わないと思いますの
で、どこかのメーカーが、通常のハムから、発色剤のみを使わない、
というものを商品化してくれないかなあ、と思います。

 ところが、ハム類の定義には、発色剤を使用して塩漬けする、と
いう一項がありますので、発色剤無添加のハムは、正式にはハムで
はない、ということになっています。実に変な定義ですが、もとも
と外国の食べ物のため、原産国での製造の習慣に合わせているため
らしいです。

 フランス人が亜硫酸の入っていないワインなんて、と思っている
ように、ドイツ人は亜硝酸の入っていないハムなんて、ハムじゃな
い、と思っているということです。

 歴史の古い食べ物については、いろいろと難しいことがあるもの
です。

 それから、厳密には発色剤ではないのですが、前述の肉の色に関
して、色を良くするための添加物(ニコチン酸など)が市販されて
います。これを使用した肉は、生肉のくせに、古くなっても変色し
にくいので、すでに細菌が繁殖していて、食用には適さないように
なった古い肉でも、きれいに見えてしまいます。

 このような添加物は、それ自身の毒性とは関係なく、使用しない
ようにしていかなければなりません。現実には、使用の実態は不明
なのですが、一定の範囲では使われていると思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 木・金曜日と、出雲まで旅行に行ってきました。早朝に和歌山を
出て、高速で米子まで行き、出雲大社の横のそば屋で出雲そばを食
べました。

 出雲そばは、伝統的に、そばの外側の黒い部分(現地のパンフレ
ットでは、「甘皮」と表示していました。)を引き込んだ、かなり
黒いそばで、固めにゆでてあって、香りも強いものです。

 割子そば、といって、木製の小さなお椀(平たいもの)に少しず
つそばと薬味が入っていて、そこに直接、タレをかけていただきま
す。岩手県のわんこそばと、どういう関係があるのかなあ、などと
思いながら食べましたが、なかなか美味しかったです。

 松江あたりから、そば屋を探していたのですが、国道沿いにはな
かなかなくて、出雲大社まで行って、やっとありつきました。国道
9号線沿いでは、何と「どさんこラーメン」がのさばっていまして、
島根県の人もラーメン好きなんだなあ、ということがわかりました。

 やっぱり、今どきはそばよりラーメン、なのでしょうかね。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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