安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>398号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------398号--2007.06.24------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「バナジウム・窒素ガス(Q&A)」
「牛ミンチ偽装事件」

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ブログ毎日?更新中
http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国産のものは何でも絶対に食べたくないです・・

 中国に住んでる富裕層の人たちは絶対に中国産のものは食べない
そうです。あまりのずさんさと適当でいい加減なやりかたには本当
に頭にきます!何とかして中国のものを輸入しなくていいようにな
ればいいのに!!!!

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうも中国の評判が悪いです。気持ちはわかりますが、冷静にお
願いしたいですね。

 「中国に住んでる富裕層」が中国産の食べ物を食べないというの
は不可能です。いくらお金を持っていても、無理なものは無理です。

 日本は食糧自給率が低いことで有名ですが、国産のものを食べず
に暮らすことはできないのは考えてみればわかると思います。

 もちろん、富裕層は自国の食品が怪しいことに危惧を感じてはい
るでしょう。この状況を改善するためには、国全体が変わらないと
いけないのですが、富裕層にその自覚がないことが最大の問題であ
ると思います。

 ただし、中国からの輸入をなくすことも不可能です。商社などで
は契約栽培によって安心できる食品を輸入しようとしているようで
す。中国産だからといって全部一緒にされたらかわいそうだと思い
ます。

 契約栽培や日本からの栽培指導などを否定するつもりはありませ
んが、やはり本筋の問題ではありません。かの国の国民自身が世界
中からの信頼を取り戻す努力をできるのかどうかということにかか
っています。

 共産党が支配する「人民」はいても、共に国家を経営していく
「国民」はいないのではないか?そんな疑いも持っていますが、中
国国民の今後に期待するしかないところです。

 次はパーム油について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ミルクやいろいろな食品になっているパーム油には、ゾウや他の
動物の命の犠牲があることを知りました。また低賃金の児童労働や
いろいろな苦の背景があるんだなと思い、人間はつくづく罪深い生
き物だなと思った。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私はこういう話を聞くたびに、やはり日本人は傲慢になっている
のではないかと感じます。

 自分たちの国の開発は忘れたふりをして、熱帯雨林を守れなどと
いっている傲慢な白人たちと同じではありませんか。

 問題点は確かにあります。しかし国の発展のためにがんばってい
る人たちを、問題点のみをとりあげて非難し、足をひっぱるのは許
されることなのでしょうか。

 パーム油を排斥し、価格を下げることは、より一層の乱開発と低
賃金にむすびつく恐れがあります。そうではなく、高値で買うこと
によって改善に手を貸すこともできるのだということも考えてほし
いです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.私の母が知り合いを通じてバナジウムを含んだ富士山の天然水
素水のミネラルウォーターを大量に購入してきました。インターネ
ットで調べると、血糖値やコレステロール値を下げたり、血液をサ
ラサラにする効果があると書いてますが本当なのでしょうか?

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A.バナジウムを含有していることをうたったペットボトル入りの
水はよくみかけますね。普通の自動販売機で売られていますが、一
部では高価なものもあるようです。

 それについては、こんな解説がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 バナジウムという成分を多く含むミネラルウオーターがインスリ
ンの効き目を改善させ糖尿病を防ぐことがわかった。血糖値が高め
の人に朗報だ。

 バナジウムは一部のミネラルウオーターに含まれる微量ミネラル
だ。この成分を含むミネラルウオーター(バナジウム水)を飲むと、
糖尿病が予防できる。こんな研究成果が発表され、話題になってい
る。

 研究を行ったのは、中村学園大学のグループ。健康な若い女性20
人に、動物性の脂肪が多い食事(高飽和脂肪酸食)を8日間食べて
もらった。高飽和脂肪酸は血糖値や血中インスリン値を増やし、血
液をドロドロにして糖尿病を招く“悪玉”の脂肪として知られてい
る。

(略)

 実はこのバナジウム、糖尿病を改善する効果は従来から注目され
ており、糖尿病を治療する薬としても期待されている。ただし治療
効果が確認できた投与量は、1日あたり数十mg。これに対し、予防
であれば、この数百分の1の量で効果を期待できる可能性があると
いうわけだ。

(略)

 ボトルに表示されたバナジウム含有量を確認して商品を選ぼう。
コンビニやスーパーでは、1リットルあたり100〜200円で売られて
いる。ドラッグストアの店頭やネット通販では、「バナジウム水」
として、この数倍の価格の商品が売られているが、バナジウム量が
同程度なら期待できる効果に差はない。

http://www.nikkeibp.co.jp/archives/320/320777.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それで、この健康に対する効果なんですが、冷静な判断としては、
こんな評価になります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 バナジウム塩類はヒトの胃腸からの吸収は少なく、溶解性の極め
て高いオキシ酒石酸バナジン酸塩でも0.1一1%のみが吸収される
に過ぎず、この非常に低い胃腸吸収率は動物試験でも示されている。

(略)

胃腸器官における低レベルの吸収のため、摂取されたバナジウム
は吸収されずに、主として糞と共に排出される。吸収されたバナジ
ウムの主要な排泄経路は腎臓蔵経由である。

(略)

 バナジウムのコレステロール濃度への影響は、十分には説明され
ていない。1950年および1960年代の研究では、オキシ酒石酸バナジ
ン酸アンモニウムおよびバナジウム酒石酸アンモニウムを、1日当
り50−200mgを数週間投与された患者のコレステロール濃度の一時
的低下が主張された。実験動物の一部のデータでは、バナジウムは
コレステロール濃度を低減させたが、これはヒトにおいては納得の
いくようには説明されていない。

 五酸化二バナジウムのラットヘの影響の研究結呆は、毛髪中のシ
ステインの減少と、そのシステイン減少の裏に隠されたメカニズム
を説明し得る肝臓中の補酵素Aの減少をも示した。バナジウムの造
血への影響のデータは首尾一貫していないため、低濃度のバナジウ
ム暴露による鉄の代謝への影響を評価することはできない。バナジ
ウムは、ヒトの赤血球中においてNa(+)−K(+)アデノシントリホ
スファターゼ(酵素番号3.6.1.3)を阻害するのが示されている。

(略)

 バナジウムはヒトの必須元素である、との説得力のある証拠はな
い。バナジウムは多数の生化学的プロセスを阻害し、その生理学的
役割は慎重に評価されねばならない。

(略)

コレステロール、鉄の代謝、増血機能に対して報告されたバナジ
ウムの影響についてはさらに今後の研究が必要である。入手し得る
データでは、発がん作用のリスクを意味するものはないが、このデ
ータを決定的と見なすことはできない。バナジウム化含物には、ご
く弱い変異原性がある。細菌を用いた突然変異(訳者注:遣伝子内
の突然変異が非常に狭い範囲に限定されているもの)の試験結果は
矛盾しており、変異原性に関して明確な結論を下すには研究が余り
にも少ない。精子形成および生殖への毒性影響に関するわずかな証
拠については、さらに明確にする必要がある。現有のデータでは、
バナジウムの胎児毒性および生殖毒性が示唆されている。しかし、
催奇形作用の誘発を示す結呆についてはさらに確認を要する。

http://www.nihs.go.jp/DCBI/PUBLIST/ehchsg/ehctran/tran1/vanadium.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 要するにありがたがるような根拠はないということです。吸収率
が低いので、微量を含んでいる水を飲んでも、被害は(効果も)出
ないだろうということもわかります。

 前回話題になった「金銀パラジウム合金」に関して、「発ガン性
云々」のネタ元は「バナジウム化含物には、ごく弱い変異原性があ
る。」というあたりにあったわけです。

 同じ物質を、高価な治療をしたい歯科医は「発ガン性が疑われる」
といい、健康食品の業者は「血糖値やコレステロール値を下げる」
などと言っています。ご都合主義も極まっていますね。

 公平にみて、バナジウムはそれほど危険でも、効果があるわけで
はないということです。

 健康食品というものは、このようになるべく被害の出ないような、
毒にも薬にもならないものを選んで、そこはかとなくただよう健康
によさそうな雰囲気を楽しむためのものです。

 そういうふうに考えれば決して悪いものではありません。しかし
それに大枚をはたくのはどうかしていますので、市販のペットボト
ル入りの水でも同じようなものだというふうに考えるのがよいと思
います。

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Q.牡蠣を窒素ガスで凍結するのは安全でしょうか。

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A. カキを冷凍するのに液体窒素を使うのは、ちょっと贅沢です
が、品質をよくするためにやっているのだと思います。もちろん、
安全に関しては問題ありません。

 窒素は大気の主成分です。もし窒素そのものに毒性があるのなら、
たいへんですね。したがって、窒素は無害なものであると考えるの
が妥当です。

 窒素は−196度で液体になります。そういえば「−196」と
いう缶チューハイがありますが、あれは果汁を液体窒素で凍結して
いることをアピールしているわけです。

 このような低温ですので、液体窒素の中に入れると、食品はほぼ
瞬間的に凍結します。

 食品が凍結するといいますが、実は凍結しているのは食品中の水
です。水が氷になるとき、結晶を作ります。なま物をゆっくり凍結
していくと、この結晶が大きく育ってきて、細胞壁を損傷します。

 冷凍した肉を解凍すると、肉汁が出てきたりしますが、凍結した
ことによってそういう影響を受けるわけです。対策として、できる
だけ早く凍結すればよいことがわかっています。

 瞬間的に凍結すると、氷の結晶が育つ時間がないので、ほぼ現状
のまま凍結します。金魚を液体窒素に入れて凍結させ、水の中に入
れると解凍して普通に泳ぎだす、つまり生きているという実験を見
たことがある人は多いと思います。

 ということで、食品を凍結させる手段として液体窒素を使うのは、
コストはかかるが品質的には最もよいとされています。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「牛ミンチ偽装事件」
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 すでに大きく報道されている「牛ミンチ偽装事件」ですが、生協
の商品だったことはあまり報道されていないですね。

 この事件に関しては、生協は被害者のようなものですから、「ミ
ートホープ」や「加ト吉」はとりあげても、生協はとりあげられる
ことは少ないです。

 日本生協連はこういう報告をしています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

2007年6月20日

CO・OP牛肉コロッケの原料偽装について(第2報)

日本生活協同組合連合会

1.6月20日朝日新聞朝刊の記事内容について

6月19日午後、朝日新聞社からCO・OP牛肉コロッケの取材を受
け、「CO・OP牛肉コロッケの原料牛肉に豚肉が使用されていた
こと」、「当該商品を実際に検査機関で検査した結果、豚肉が使用
されていることが確認されたこと」を初めて知りました。

 日本生活協同組合連合会(以下、日本生協連)は、提供された情
報から原料偽装があったものと判断し、ただちに日本生協連内に対
策本部を立ち上げました。

2.CO・OP牛肉コロッケについて

 2003年3月の発売以来、約500万個を販売しています。2006年度
(2006年3月21日〜2007年3月20日)は、58万7千個を、34会員生
協に対して販売しました。

 CO・OP牛肉コロッケの牛肉原料は、精肉卸会社であるミート
ホープ株式会社から、製造委託工場の株式会社北海道加ト吉に納品
されています。日本生協連は、製造された商品を、株式会社加ト吉
を経由して仕入れています。

3.現在の日本生協連の対応と調査内容について

 6月19日に商品の供給停止と店頭商品の撤去を決定、6月20日に
商品自主回収を決定し、会員生協に連絡、要請いたしました。

 2002年に商品開発を企画以降、牛肉原料で3回、試作品および供
給中商品で7回、微生物、動物医薬品、農薬、添加物、栄養分析等
の検査を実施しており、その範囲では、いずれも問題はありません
でした。

 CO・OP牛肉コロッケ商品開発時から(株)北海道加ト吉の工
場点検を4回実施の上、工場環境や製造管理状況について改善要請
をしています。牛肉原料仕入先であるミートホープ(株)への立ち
入り点検はしていません。

 また、年次で仕様書通りの原料、包資材、製造方法等で商品が製
造されているかどうかについて仕様書、および工場現場の自主監査
をお取引先(本件の場合、株式会社加ト吉)に要請し、その報告内
容を日本生協連で点検、確認しております。

 6月20日、日本生協連冷凍食品部担当が株式会社北海道加ト吉工
場長他と同行の上、ミートホープ(株)工場を立ち入り点検してい
ます。その際、ミートホープ(株)工場長から、(1)2006年7月頃か
ら牛肉原料が不足した際に豚肉を混ぜて使用したこと、(2)そのこ
とを工場長が記録していたこと、を聞き取りました。

 6月19日、過去製造商品を、横浜の検査機関であるジェネティッ
クIDに検査依頼のため発送手配しました。6月22日に結果が判明
する予定です。

 牛肉コロッケの過去のご苦情、ご意見のなかで、「肉の味が気に
なる」というお申し出が2件ありました。都度、官能検査を実施し
た上で、問題は無いとお答えしておりました。

http://jccu.coop/info/announcement/2007/06/480g2.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以前、鶏肉や豚肉でブランドに違反した肉を生協で扱っていたと
いう事件がありました。あのときは生協の担当者も薄々知っていた
のではないかと疑っていましたが、今回は生協が知っていた可能性
はないと思います。

 このあたりは生鮮食品である食肉と、加工食品である冷凍コロッ
ケなどの違いで、虚偽の申告があっても、とりあえずは信じるしか
ないというのが流通側の立場です。

 そのために食品の表示制度があり、表示違反は実際の健康被害や
金額などとは関係なく、厳しく摘発されるべき性質のものです。

 肉の味というのは意外とわからないものです。以前テレビで、豚
肉の赤身に牛脂を混ぜたもの、牛肉の赤身に豚脂を混ぜたものをカ
ツにして食べる実験をしていたのを見たことがあります。

 これは見事に脂の方で判断していました。「味」といいますが、
香で感じている部分が大きいのです。

 牛ミンチも同様で、豚肉の赤身に牛脂をたっぷり入れられたら、
なかなか味ではわからないと思います。牛肉も赤身は高いですが、
牛脂は安いですから。

 DNAを調べて、ほとんど豚肉である(牛肉を検出しない)とい
う報道もありましたが、たぶん牛由来の原料は牛脂だけだったので
はないかと思います。これで結構牛ミンチとしてとおるわけです。

 ミンチ肉は業者にとって悩みのタネであると同時に、うま味のあ
る商品でもあります。

 ミンチで処分できないと困ってしまう部位とか、売れ行きの不均
衡で余ってしまった安い部位とかが使われるのです。今回の事件で
明らかになったように、少々インチキしてもバレないということも
あります。

 今回の事件と同様のことが他にもあるかどうかですが、事件とし
て広がることは予想しにくいです。市販のミンチ肉をすべてDNA
鑑定にかければ、ひっかかるものもあるでしょうが、たぶんそこま
ではやれないと思います。

 事件つづきで、とかく信用度が低い食肉業界です。今回の事件も
やはり食肉は信用できないという結論になってしまう可能性があり
ます。食肉業界には大いに自浄力を期待したいですが、今までの体
質を変えることができるかどうかが問題だと思います。

 とにかく、日本の食肉業界は大きな問題を抱えています。まじめ
に努力している会社が多数派なんですが、そうでない人たちもまだ
混じっているということです。

 これでも「アメリカ産牛肉は心配だから安全な国産牛肉を」とい
う主張が出てくるのが不思議ですが、こういう応援団がなくならな
いうちに何とかしてほしいですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 あと2号で400号到達です。このメールマガジンも7年半経過
しました。ご講読ありがとうございます。

 10年以上行っていなかった健康診断というのに行ってきました。
健康診断を専門にやっている診療所で、流れ作業でやってくれまし
た。最初血圧が高いと言われて、測りなおしたら正常でした。美人
を前にして緊張したのかも。

 胃のレントゲン(バリウムを飲むやつ)はやりたくないなあ、な
どとつぶやいていたら、なしにしてくれたのは会社には内緒です。

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-398号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
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 購読者数4789名です。ご購読ありがとうございます。
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私あてのメールのあて先は、
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私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
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