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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------39号--2000.07.30------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「アトピービジネス」
     「着色料」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回は「アトピービジネス」についてです。
(ネタ本は「アトピービジネス」竹原和彦著 文春文庫です。)

 著者は現場の医者で、アトピービジネスの被害者への医療に取り
組んでいる、皮膚科の専門家です。

 アトピービジネスというのは、「アトピー性皮膚炎」に悩んでい
る人(多くはこの症状のある子供の親)を食い物にしているさまざ
まな悪徳ビジネスの総称です。この本では、以下のように列挙して
います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

【健康食品】アトピー性皮膚炎をターゲットとする健康食品にもさ
まざまな形態のものがある。

(1)食品の形態をとる健康食品……最近の流行でいうと、霊芝、
種々のお茶、ロイヤルゼリーやプルーン、有機野菜など。

(2)錠剤、エキスの形態をとり、薬と錯覚させるような販売をし
ている健康食品……アメリカより輸入されているビタミン剤、乳酸
菌、プロポリスなど。

(3)医療機関での治療と健康食品がセットになって行われている
もの……四国のN病院とR茶、東京都のS漢方医と健康食品ポロ×
ポロ×など。

【化粧品及び石鹸など】化粧品に分類されるものにもさまざまな形
態のものが存在する。

(1)通常の化粧品だが、アトピー性皮膚炎を含めて「肌の弱い人
でも大丈夫」として宣伝されているもの。

(2)通常の化粧品であり、なおかつ「アトピー性皮膚炎が改善す
る」という効果を口コミ、チラシの体験談などで謳っているもの。

(3)化粧とは無縁の外用薬だが、薬としては認可されないため、
表向きは化粧品として販売されているもの。……C社の多糖類含有
化粧品、O社のステロイドを抜くと称するジェルなど。

さらに、石鹸・シャンプーもいくつかに分類される。

(1)低刺激を謳い、従来の治療の補助療法として位置づけられる
もの。

(2)添加された成分がアトピー性皮膚炎に対して効果があること
が何らかの形で宣伝され、積極的にアトピー性皮膚炎が改善するか
のように錯覚させるもの。

【温泉療法】古来わが国では,温泉は皮膚病に効果があるとされて
きた。アトピービジネス化した温泉療法にもさまざまな形態が存在
する。

(1)自宅に温泉の水にを宅配し、「湯治」を勧める全国的な温泉
療法。

(2)特定の温泉地を、アトピー性皮膚炎に有効として、その「温
泉地」を宣伝するもの。

(3)医療機関と特定の温泉地がタイアップしてアトピー性皮膚炎
の治療を展開するもの。

【入浴剤】入浴剤にもさまざまなパターンがある。

(1)入浴剤単独で宣伝、販売されているもの……ニンニクエキス
の入浴剤など。

(2)入浴剤とお茶がセットになったもの……1997年にブームにな
なったシジュウム茶。

(3)入浴剤とお茶以外の健康食品がセットとなったもの……まこ
も製品(食用、クリーム,入浴剤のセット)。

【水療法】水療法とは特別な水を販売するもので、さまざまなパタ
ーンがある。

(1)超酸性水外用……医療機関自体が超酸性水外用を謳う例が増
加しており、超酸性水にも、機械のメーカーによりさまざまな銘柄
が存在する。

(2)アルカリイオン水引用……(1)の超酸性水とセットになっ
ていることが多い。

(3)浄水器……水道水中の塩素を抜くと称しているが、アトピー
性皮膚炎患者家庭に対しては、特に高額なものが勧められることが
多い。

(4)その他の水治療……「波動○○水」なる自然水も販売されて
いるが、その本態については私には理解不能である。

【防ダニグッズ】通常はダニ感作例に対する生活指導、補助療法の
一部として施行されるが、期待される効果の割には高額すぎるもの
はアトピービジネスとして分類されよう。防ダニ寝具、掃除機程度
は,場合によっては許容範囲であるが、防ダニ用の建築、家屋の改
装までになると、費用対効果の点で大きな疑問が残る。

【エステ】最近ではアトピー性皮膚炎をターゲットにしたエステも
増加しており、一括前払いで数百万円というコースも設定され、そ
こで生じた健康被害をめぐる訴訟も起こっている。

【医療機関による特殊療法】保険外診療や保険外の治療法を売りも
のにする医療機関が増加している。それらの中には、皮膚科医・小
児科医以外が突然アトピー性皮膚炎の専門医に転身したものも少な
くない。特殊な治療法を宣伝するための本を出版している医療機関
の多くは、アトピービジネスに分類していいだろう。その他にも特
殊な宗教、ヨガ、気功などさまざまなものがあげられる。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ながながと引用しましたが、実にたくさんのアトピービジネスが
あるものです。これらのすべてが、良くてインチキ、悪いものは立
派な詐欺です。こころ当たりはありませんか?

 実名をはっきり書いていないのは、私の配慮ではなく、原著がそ
うなっています。この辺はちょっと根性なし。「R茶」がルイボス
ティーのことなのは、私はちょっとひっかかりがあったので、わか
りますが、その他はよくわりません。

 ルイボスティーについては、この本に書かれているように、四国
の業者から、取引の申し込みがあり、私もハーブティーの一種と思
っていたので、取り扱ってもいいな、と思っていたのですが、あま
りに高価なのと、業者の態度が悪いので、扱いをしなかった、とい
うことがありました。

 この本を読んで、やっぱりそうだったか、という感じです。商品
の選定の際には、資料やサンプルだけでなく、営業の担当者の人品
を見ることも大切なことです。

 詐欺商法に関わっている人というのは、独特の臭いがあって、私
はだいたい見当がつきます。始末に悪いのは、善意でやっている人
で、あまりいい人なので、こちらもつい乗り気になってしまうので
すが、商品は最低、価格は最高、ということもよくあります。

 やっぱり、普通の商売人とつきあうのが一番だ、というのが、仕
入れ担当者としての結論でした。

 世に詐欺師のタネは尽きないのに、どうしてこうもアトピー性皮
膚炎が詐欺商法の対象になるのか、というと、アトピー性皮膚炎と
いう「病気」が次のような特徴を備えているからです。

(1)死に至る病ではない。いくらなんでも、治療法を間違えたら
即死するような病気では、詐欺師の方も根性がいるでしょう。

(2)原因の究明ができていない。また、医者で治療をしても、す
ぐに完治した、ということはない慢性の病気である。これは残念な
がら、今のところ、如何ともしがたい事実です。私の二人の子供も
アトピー性皮膚炎だったので、よくわかります。

(3)小さい子供に発症するので、親が過敏な反応をすることが多
い。まさに詐欺師たちにとっては恰好のカモ、ということになりま
す。夜にかゆくて寝られない、なんていうのは、ほんとうにかわい
そうです。でも、ちゃんとした医者に診てもらいましょう。

(4)標準の治療法であるステロイド剤に対する恐怖心をバラまく
のに成功した。じつはすべての詐欺商法はここからスタートしてい
ます。これについては、次のような指摘があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 1992年7月に放映されたテレビ朝日「ニュースステーション」の
特集で、キャスターの久米宏氏は一週間放映されたステロイド叩き
の特集の最後に、「これでステロイド外用剤は最後の最後、ギリギ
リになるまで使ってはいけない薬だということがよくお分かりにな
ったと思います。」と発言した。番組を見て、今後の診療は大変な
ことになるだろうなという不安を抱いたのを私は覚えている。

 事態はそのとおりになった。久米氏の発言を境に、外来患者から、
「先生、まさかその薬はステロイドではないでしょうね」と不安そ
うに質問し、「ステロイドだけは絶対に使わないでください。」と
懇願するステロイド恐怖症の患者の急増をみたのである。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここでも久米宏か、という感じです。ダイオキシンの発言では、
反響が大きすぎてウソがばれてしまったのですが、他にも似たよう
なことをやっていた、というわけです。

 アトピービジネスは、このステロイド恐怖症を最大のよりどころ
にしています。

 その治療法が全然効かず、かえって症状が悪化しても、「ステロ
イドをやめたためのリバウンドである」などと言い訳できるわけで
す。

 また、もっともひどい例では、ステロイド外用薬を使わない、と
称する治療法で、ステロイド剤を筋肉注射している、という例もあ
るそうです。それは効くでしょうね。

 また、さる学会で、ステロイド抜きの治療法を発表した例では、
ステロイドよりはるかに強力な免疫抑制剤を使用していたのがバレ
て、発表者があやまった、という話もあるそうです。

 でもその医者は、あいかわらずアトピービジネスにいそしんでい
るそうで、まあ詐欺師に反省を求めても無駄だということではあり
ます。

 食べ物に関するアトピービジネスでは、○○がアトピーに効く、
というのはすぐにウソがバレますので、あまり被害は出ない性質の
ものだと思いますが、問題は「アレルギー原因物質除去食」と称す
る非常識な食事制限です。

 大阪近辺に実際にある病院なのですが、何でもアレルギーだとし
て、玄米食をすすめたり、絶食療法などというものもあるようです。

 で、食事制限をしても、当然効果がないわけですが、そこはそれ、
「改善される前の時期は一時悪化したように見える」とか、「もっ
と厳しくする必要がある」とか云って言い逃れているようです。

 こんなことをしていると、子供のことですので、すぐに本格的な
栄養失調になってしまいます。幸い、今の日本では、そこまで行く
と普通の病院にかつぎこまれて、こと無きを得るようですが、そん
なになっても、その病院が責任を問われた、という話は聞きません。

 これなんかも、立派なアトピービジネスです。医者が医療行為と
称してしていると、批判しにくいのですが、医者にもとんでもない
人はたくさんいる、ということは確認しておいてください。

 食事制限はアトピー性皮膚炎の子供を持った親がいちばん入りや
すい道です。しかし、食事制限をしていて、症状が軽くなった、と
いう人はいますが、まったく症状がなくなった、という話は私は一
度も聞いたことはありません。

 どんな治療法でも、効きさえすれば文句をいう筋あいではありま
せん。反対に、効かなかったらやめる、という当たり前のことがな
かなか出来ないのが、マインドコントロールを含めたアトピービジ
ネスの実に巧妙なところです。

 結論として、アトピー性皮膚炎に食事制限は効果がありません。
アトピー性皮膚炎の子供にも、ちゃんとした治療をうけさせながら、
美味しい食事を食べさせてあげてください。このことは私から、ぜ
ひお願いしたいことです。

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--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回はおやすみです。メールお待ちしています。
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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「着色料」
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 食品添加物の中でも、着色料は何しろ色に関係しますので、よく
目立つものです。

 色をつけるものですから、食品にとっては別になくてもかまわな
いものです。真っ赤に着色したタラコなんか、あんな気持ちの悪い
ものをわざわざ買う人がいるなんて、信じられないのですが、まだ
まだ色付きでないと売れない、という現実はあるようです。

 これこそ見ればわかるはずですので、真っ赤なものが好きな人に
文句をいっても仕方ありません。そういう意味で、使用しているの
がよくわからない、他の添加物とは意味が違います。

 とはいえ、着色料をなくすのに躊躇するような食品があるのも事
実です。

 たとえばマーガリンですが、着色料を使用しないマーガリンは真
っ白で、加工用としてはその方が都合が良いのですが、パンに塗っ
たりするのには、ちっとも美味しそうでない、という問題がありま
す。

 マーガリンに「無添加」といっても仕方ないのですが、真っ白で
ないマーガリンには必ず着色料が使われています。黄色の着色料を
使うのですが、黄色には合成着色料の良いのがないのと、天然着色
料が豊富なので、それほど心配なものではないのですが。

 リボフラビンというのはビタミンB2で、アリナミンが黄色いの
はこのビタミンを含むからですが、これも着色料として使われてい
ます。成分表示にこういうのがのっていたら、実は着色料として使
われている、ということです。

 こういうのはやっぱり合成着色料だと思うのですが、普通には合
成着色料といえば、タール色素と呼ばれる一群のものを指していま
す。

 一番目立つのはやっぱり真っ赤なものなので、赤色102号など
というものが良く使われます。天然のものでは、紅花色素、紅麹色
素、コチニール色素などがあります。どれも赤色の発色はもう一つ
ですが、最初に云いましたように、色素全体が不要なものですので、
好みの問題といっておきましょう。

(この辺のことについては、以前に質問があったときにかきました。
http://www.kenji.ne.jp/food/qanda/qa3.html
 をごらんください。)

 案外難しいのは、緑色です。「生わさび」という商品があります
が、あれの着色料をなくすのに、最後まで苦労しました。生わさび
100%で作っても、あまり良い色にはなりませんし、わさび大根
を普通は使うのですが、これは色はほとんどありません。

 粉わさびというのがあって、あれを水で溶くと黄色っぽい色にな
ります。これでがまんしてくれればいいのですが、チューブ入りの
生わさびが黄色では、カラシやしょうがと区別がつかない、という
ことになってしまいます。

 緑色の色素というのはないので、青と黄色を混ぜる、というのが
普通にされていました。もちろん、例のタール色素です。天然系の
ものでは、なかなかいい色にならないのです。

 いろいろとメーカーにあたってみたのですが、なかなか色良い返
事をもらうことができませんでした。(日本生協連などの商品でも、
合成着色料を使用していました。)

 ところが、近年、大手メーカーの生わさびから、タール色素は追
放されています。天然系のものだけで、発色させる技術が登場した
ようですが、詳しいことは知りません。

 私が聞いた人はみんな、そんなことはできない、と云っていたの
ですが、さすがにこんなことも可能にする技術が出てきたようです。

 たぶん、PHの調整かなんかがポイントではないか、とにらんで
いるのですが、ご存じの方がいたら、教えてください。
 
 おまけとして、主な天然着色料を紹介しておきます。

【クチナシ色素】クチナシの実の色素です。正月のお節料理に欠か
せない「栗きんとん」を作るとき、クチナシの実を使ったものです
が、この色素はなかなかきれいな黄色です。

【ウコン色素】ターメリックというもので、カレー粉の黄色の成分
です。きれいな黄色ですが、カレー粉では着色料ではなく、スパイ
スの一種という扱いになります。(辛くはありません。)

【紅花色素】文字どおり紅花の色素です。黄色から赤まで守備範囲
は広いのですが、あまりきれいな色ではないです。

【紅麹色素】モナスカラー。カビが生えたときに、赤くなることが
ありますが、あれが紅麹です。要するに赤いカビの色素。上品なと
いうか薄めの赤色の色素です。

【コチニール色素】ラックカイガラムシという赤い虫の色素です。
すこしくどいような、あまりきれいでない赤色になります。原料が
虫だということで、いやがる人がいますが、これは「虫差別」の一
種です。

【紅キャベツ色素】これはこのごろよく見かけます。文字どおりの
ものなのでしょうが、詳しい事は知りません。

 こうして思いつくままに書いてみると、やっぱり黄色・赤色が多
いですね。まさに「思いつくまま」で調べたりしていませんので、
間違いもあると思います。気がついたときは、どんどん指摘してく
ださい。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 アトピービジネスについては、いろいろと思うことが前からあっ
たので、ちょっと過激な書き方になっています。当然、反論もある
と思いますので、ご意見をお待ちしています。

 自分の考えを押しつけよう、という意図ではありません。反論の
ご意見も紹介していきたいと思っていますので、よろしくお願いし
ます。

 本からの引用にあった「波動○○水」というのは、まず究極のド
ンデモグッズで、説明を聞いてもまさか本当に信じさせようとして
いるとは思えないものです。

 波動を計る、という道具の中を開けたら、電子回路ではなくて、
紙に回路図を書いたものが出てきた、というのですから、開いた口
がふさがりませんが、波動とはそんなものなんだそうです。

 南太平洋で核実験があった日は、その影響で水がまずくなった、
という話を聞いたことがあります。これも本人は「波動」というも
ののためだ、といいたいらしいのですが、さすがに普通の人には理
解不可能な世界ではあります。

 まあ、宗教の世界では、こういうことは別に珍しい話ではありま
せんので、商売のネタにさえしなかったら、私などが文句を云うこ
とはないのでしょうが。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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