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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------388号--2007.04.15------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「朝日新聞の取材」「日本酒」

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ブログ毎日?更新中
http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 今回は紹介するお便りがありませんでした。そこで、先日朝日新
聞の記者と話した内容を少し書いてみます。

 記者はすでに食品添加物業界なども取材されてきたようで、私か
ら事実関係などを話す必要はありませんでした。相手の方がよく知
っていそうなインタビューというのも初めてのことです。

 今まで、新聞記者というと、生協の取材にきて「生協って何です
か?」とかいう手合いばかり見てきましたが、さすがに本社のデス
クまでやったというベテランは違うものだなあ、と感じました。以
前に毎日新聞の記者で賢そうな人と話したことがありますが、印象
はまた違いました。

 私からは、食品添加物については、食品業界、流通業界、消費者
の三者にそれぞれ反省すべき点がある、という意見を中心に話しま
した。

 まず、食品業界は過去の行状を反省し、改めるべきである、とい
うことです。現在ではほとんどの企業が、問題のないレベルになっ
ていると思いますが、かつてはそうではなかったわけですし、現在
でもタチの悪い業者がいないことはないのは事実です。

 食品添加物=悪、という風潮ができてしまった背景として、やは
り歴史的な食品業界自身の責任はあると考えています。

 ただし、現在はほとんどが実際は問題ないわけですし、タメにす
る批判に対しては堂々と反論すべきです。

 ところが、メーカーの方から迎合して、「○○無添加」などとや
っています。消費者のニーズに答え、自社商品の差別化を計るとい
うことなのでしょうが、こういう姿勢には問題もあります。

 もちろん、食品添加物の使用を減らす努力については歓迎です。
しかし問題はその宣伝方法です。食品添加物を減らしたという宣伝
が、「食品添加物=悪」という宣伝になっているのでは、自分の首
を締めているようなものです。

 衛生面、流通面の改善により、保存料を使わずに製造できるよう
になったことはよいことです。しかし、だからといって「保存料無
添加」とあまり宣伝しすぎると、かえってよくないのでは?と思い
ます。

 「保存料無添加」といっても、一切の食品添加物を使わずに作っ
ているわけはありません。保存料を使わずにすませるための食品添
加物や、保存してもおいしく食べられる食品添加物はたくさんあり
ます。こういうことまで批判されたら、かえって困るのではないか
ということです。

 流通業界についても同様です。生協や自然食関係の売り物だった
「無添加」などという宣伝文句を安易に使う風潮は困ったものです。

 流通業界の努力なしに、現在の食品のレベルは実現しなかったと
思います。だけどやはり「差別化」に走りすぎるのは逆効果だと思
います。

 最後に消費者については、「事実」をしっかりとつかんでいこう、
と提案したいです。

 生協をはじめとする消費者運動の抱えている大きな問題は、事実
より思想を優先する考え方です。

 自分たちの思想に合っていれば、事実かどうかの追求はどうでも
よい、最近はこんな態度が目立ちます。もともと、政治勢力と市民
の願望が結合したところから始まった運動ですが、そのイデオロギ
ー性が露骨になってきているように思います。

 思想より事実を優先することが大切です。「遺伝子組み換え作物
を使った実験」を宣伝する前に、その実験結果をまじめに検証する
必要があるのではないか?ということを考えてほしいのです。

 事実を見ていけば、現在食品添加物で健康被害が予想されるよう
な実態ではないということがわかるはずです。

 様々なメーカーで、品質向上のために努力が積み重ねられてきた
事実にも目をむけてほしいです。

 そうした事実に基づいて、もっとよくしていくための選択をすべ
きだと考えています。

 イデオロギーにしたがって事実を無視していると、やがて狂信的
になってしまいます。それだけならいいんですが、こうした人はた
いてい詐欺師に騙されるのですよね。

 とまあこんな話をしました。どんな記事になるかはお楽しみです。
案外ボツになっていたりして…。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今週は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「日本酒」
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 しばらく前ですが、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

三増酒:10月から清酒として販売できず 酒税法改正で

 酒にアルコールを加えて量を3倍程度まで増やす「三倍増醸酒」
(三増酒)が10月から「清酒」として販売出来なくなる。昨年5
月の酒税法改正で、コメから造った酒を上回る量のアルコールを加
えると、清酒として認められなくなったためだ。惜しむ声もあるが、
日本酒の消費量が20年で半減する中、歴史的な役割を終えようと
している。

 三増酒は戦後のコメ不足の中、国が酒税を確保するため、安価な
アルコールを加えた酒を清酒と認めたのが始まり。コメ不足解消後
も「アルコールを添加した方が品質が安定しやすい」などの理由で
清酒扱いが続き、ラベルの表示にも区別はなかった。

 ただ「アルコール添加が悪酔いの原因。日本酒の評価を落として
いる」との批判があり、日本酒造組合中央会なども「コメで造った
アルコールが半分以下のものを日本酒と認めるのはおかしい」と見
直しを求めていた。

 10月以降は「リキュール」扱いとなり、アルコール度数15度
で1.8リットルあたり216円だった税額が270円に上がる。
「三増酒の味を好む人も多い」(酒類卸大手)と製造を続けるメー
カーもあるが、大半は添加アルコールを減らす方向。山田聡昭・酒
文化研究所第1研究室長は「三増酒を否定する必要はないが、低い
税率は必要なくなった。『日本酒はコメを醸造したもの』という本
来の姿に戻るだろう」と話している。【古田信二】

毎日新聞 2007年3月31日 21時42分
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/news/
20070401k0000m020096000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「三倍増醸酒」の問題を指摘してきましたが、ようやく日本酒と
しては認められなくなったようです。法改正の具体的な内容は以下
のとおりです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 財務省は2月3日、平成18年度税制改正大綱に基づく酒税法改
正案を今国会に提出した。今回の酒税法の一部を改正する酒税法改
正法律案の要綱の中で、清酒関係の定義が今年5月1日以降は次の
とおりになるのが注目される。

【清酒の定義の改正案】
 次に掲げる酒類でアルコール度が22度未満のものをいう。
(1)米、米麹および水を原料として発酵させてこしたもの。
(2)米、米麹、水および清酒粕その他政令で定める物品を原料と
して発酵させてこしたもの(その原料中、当該政令で定める物品の
重量の合計が米<麹米を含む>の重量の100分の50を超えない
ものに限る)。
(3)清酒に清酒粕を加えてこしたもの。

 この改正案により清酒の増醸酒(三増酒)は、清酒の範ちゅうか
ら除外されることになるが、酒税法改正案の付則65条(清酒に係
る経過措置)により、今年5月1日以降の清酒の新しい定義に基づ
く清酒と増醸酒を混和する場合の取り扱いは、アルコール度が22
度未満で、副原料の重量が米の重量の50%を超えない酒類は、平
成19年9月30日までの1年5カ月間は「改正酒税法に規定する
清酒」とみなすこととされた。

http://www.jyokai.com/archives/2006/02/post_571.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事の(2)の部分が、以前は米の重量と同じまで認められ
ていたのが、半分までしか認められなくなったということで、「三
倍増醸酒」が日本酒ではなくなったということです。

 法律上はすでに昨年、改正されていますが、経過措置として今年
9月いっぱいは他の日本酒と混ぜて、「副原料の重量が米の重量の
50%を超えない」ようにすれば日本酒として販売してもよいとい
うことです。

 したがって、すでに現在でも、「三倍増醸酒」はそのままでは日
本酒としては販売できないわけです。

 法律上、日本酒ではなくなるものについては、以下のような区分
になります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

発泡酒

改正前のロ号又はハ号清酒で、麦を原料としたアルコール分20度未
満の発泡性のあるもの

その他の醸造酒

改正前のロ号清酒で、次に該当するアルコール分20度未満、エキス
分2度以上のもの(新酒税法施行令第8条に該当するものを除く。)
・副原料の重量が米の重量の100 分の50 超のもの
・米こうじを原料としないもの
・原料から除外された麦等を原料としたもの

スピリッツ

1 改正前の清酒で、アルコール分22度以上、エキス分2度未満の
もの
2 改正前のロ号清酒で、「副原料割合50%超等」に該当するエキ
ス分2度未満のもの

リキュール

1 改正前のロ号清酒で、
・ アルコール分22 度以上、エキス分2度以上のもの(アルコール
等を添加後、発酵がないもの)
・「副原料割合50%超等」に該当するアルコール分22度未満、エキ
ス分2度以上のもの(アルコール等を添加後、発酵がないもの)

2 改正前のハ号清酒で、アルコール分22度以上、エキス分2度以
上のもの

雑酒
1 改正前のイ号清酒で、アルコール分22度以上、エキス分2度以
上のもの
2 改正前のロ号清酒で、
・アルコール分22度以上、エキス分2度以上のもの
・「副原料割合50%超等」に該当するアルコール分22度未満、エキ
ス分2度以上のもの(アルコール分20度未満のものは、新酒税法施
行令第8条に該当するものに限る。)

http://www.nta.go.jp/category/sake/02/h18/04/manufacture.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このうち、ほとんどの「三倍増醸酒」はリキュールの2つめの区
分「「副原料割合50%超等」に該当するアルコール分22度未満、エ
キス分2度以上のもの」にあたるようです。

 税率なんですが、以下のようになっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

清酒 12万円
合成清酒 10万円
甘味果実酒及びリキュール 12万円(アルコール分が13度以上のも
のにあつては、12万円にアルコール分が12度を超える1度ごとに1
万円を加えた金額)

http://www.houko.com/00/01/S28/006.HTM
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 日本酒のアルコール度は14%前後ですから、「清酒」から「リキ
ュール」に変わると微妙に税金が高くなります。でも13%を越えな
いようにすれば同じ金額になりますから、まさに微妙なさじ加減を
やっています。

 「三倍増醸酒」というのは、戦争の前後で米が不足した時代に、
米の消費量を抑えるために開発されたものです。簡単に言えば、米
で作った酒に、他の穀物などから作った「醸造用アルコール」と水
を追加したものです。これだけでは味も薄まってしまいますから、
調味料なども添加します。

 当時としては仕方なかった面が強いのですが、時代が変って米が
余って困るようになったのに、相変わらず「米の消費の抑制」をや
っていたわけです。これでは金儲けのため、と言われても仕方ない
です。

 国の方も、米の過剰在庫で困っているわけですから、日本酒には
米以外の原料を認めない、などの圧力をかけるべきでした。法律の
改正で簡単にできることなのに、今まで実現しなかったのはやはり
酒造業界の政治力の強さなのでしょう。

 1993年の米不足のときも、酒造業界にだけは充分な米が出回りま
した。あのとき苦労した私としては恨みに思っているところです。

 しかし、こうした時代の流れに背を向け、業界の利益保護に走っ
た結果が、日本酒の消費量半減だったのですから、皮肉なものです。

 要するに安物を中心に売ってきたから、消費者に見放されてしま
ったのです。昔と違い、お酒といってもいろんなものが自由に選べ
るようになったのに、味で勝負しなかった報いです。

 この流れは当分、変えることはできそうにありません。民族の貴
重な文化である日本酒をダメにしてしまったのは酒造業界自身であ
る、と思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 先週あんなにたくさんいただいたメールですが、今週はさっぱり
来ません。困ってしまいました。仕方ないので、日曜日の午前2時
から4時までかかって、自力で全部書きました。メールをいただい
て、コピーするというのは本当にラクなんですよね。

 日本酒のことで検索していたら、こんなページを見つけました。

「お酒のはなし」
http://www.nrib.go.jp/sake/pdf/SakeNo10.pdf

 酒類研究所というところのパンフレットのPDFファイルですが、
日本酒の話の特集です。きれいにまとまっていて情報としての価値
も高いですから、ぜひごらんください。

 土曜日は東京で会議があり、日帰りで出張してきました。話の成
り行きで、月に一度くらいは東京に行くことになりそうです。朝日
新聞の記者にはわざわざ新幹線で大阪まで来てもらったのですが、
これからは東京で会えたりできるかもしれません。

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