安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>383号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------383号--2007.03.11------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「国産小麦(Q&A)」「BSE」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
------------------------------------------------------------
ブログ毎日?更新中
http://www.kenji.ne.jp/blog/
------------------------------------------------------------
---〔話題〕-------------------------------------------------

 イーストネタでメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ドライイーストに化学物質が使われているというのは、インスタ
ントドライイーストのことです。これは、家庭用のパン焼き機で使
われています。ドライイーストは、ぬるま湯で一度戻しますが、イ
ンスタントドライイーストは、粉に直接混ぜて使用できます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 インスタントタイプというのが普及しているようですね。原料は

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

乾燥酵母、ソルビタン脂肪酸エステル、ビタミンC
(ソルビタン脂肪酸エステルはイーストを溶かす目的で使用され、
最終製品に与える影響はないとの判断により、最終製品への添加物
表示は免除されるものとみなされます。)

http://www.rakuten.co.jp/nk/451807/494913/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

というところのようです。添加物が使われていることは間違いない
ですが、私が言った意味としては変わりないと思います。(乾燥酵
母には違いないですから)

 次は「天然酵母パン」を扱っている方からのメールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 初めまして、いつも興味深く拝見させていただいています。

 私は食料品店をやっている者ですが、天然酵母のお話についての
やりとりを拝読したところ、少々乱暴すぎる物言いかな、という印
象がいたしましたのでメールしてみました。

 イーストと酵母が英語と日本語の違いなのに、別物みたいに扱わ
れているのは、確かに消費者を惑わせると思います。

 ただ、日本の中ではイーストは工場で培養され、乳化剤をなどを
添加して使いやすくしたもの、天然酵母はドライであれ、エキスで
あれ、中種であれ、酵母100%のもの、という棲み分けが、なんと
なくあるのではないでしょうか。

 確かに、天然酵母という名前だけを利用して、いかにも体に良さ
そうにパンを売る業者が増えました。

 原材料を見ると、イーストを天然酵母に変えただけで、他の内容
は全く変わらなかったりします。

 でもそんな天然酵母パンを買うかどうかは消費者がきちんと見極
める責任もあるかと思います。

 野生酵母を培養して使うことをわざわざ能力の劣る、とおっしゃ
るのも少々違和感があります。例えば当店で扱う「天然酵母」のパ
ンは、ひとつのパン屋さんではレーズンを酵母の種に、もう一方で
は小麦、米を元種に酵母を培養させて使っています。どちらも中種
を作る手間をかけた後、ゆっくり発酵させるので、非常にウマ味が
あり、それぞれの酵母によってできあがるパンの味も変わります。

 レーズンでできた酵母は少し生地に酸味があり、米などでできた
酵母は少しお酒の風味がする時があります。時間が経つと、パンの
風味も酵母の熟成で変わってきます。

 大量生産はできませんが、工房内に飛んでいる菌にも気を使い、
品質、品数と共に安定供給してくれていますので、決して趣味の世
界などではなく、プロの職人技です。

 大量生産のパンと比べれば、質、味などの点で、あきらかに違い
ます。こうして手間かけて消費者の手に渡るパンに、適当ないい呼
び名があればいいのですが、今のところない以上、私は堂々とお客
さんに「天然酵母パン」だと説明しています。

 「市販のパン用酵母」と言われたのをインスタントドライイース
トの事ととらえるなら、「中身はほとんど同じなのに、名前だけ変
えるのはインチキ」と書かれていることにも疑問です。

 インスタントドライイーストの場合、パンが安定してうまく膨ら
みやすいよう、工場で改良を重ねて選ばれた酵母に加え、パンの生
地に馴染みやすいように、乳化剤が含まれており、予備発酵が必要
ない代わりにたたきつけるようにパンをこね、短時間で発酵させま
す。

 ドライイースト(ドライの天然酵母と呼ばれているもの)ですが、
予備発酵が必要ですが、パン自体の発酵はインスタントイーストと
同じぐらいの発酵時間で済みます。ただ、この予備発酵や微妙な温
度の違いでパンの出来上がりが結構変わります。野生酵母の力を借
りて作った酵母は、安定しずらい代わりに、だからこそ職人の経験
や知識が必要で、熟練した方の酵母のパンは、すばらしくおいしい
ものになります。

 くどいですが、使う、あるいは育てた酵母の違いで、味は大きく
変わります。

 長々と書いて申し訳ありませんが、酵母から手間ひまかけて作っ
ているパン職人のことを思うと、つい書かずにはいられませんでし
た。一度機会がありましたら、酵母から育てて、パンを作ってみら
れると、素人ながらもおいしいパンの出来上がりにびっくりすると
思います。(もし作ったことがあるのでしたら余計なお世話です、
すみません)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 すでに完成された洗練された方法があるのに、昔ながらの方法に
こだわる、というのは悪いことではありませんが、やはり職人の趣
味の世界のことだと思います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

天然酵母

 普通パンを作るのに純粋培養されたイースト(酵母)が使用され
るのに対し、空気中や材料に付着している野生酵母や乳酸菌を培養
してパン作りを行なう伝統的な方法があります。

 この自然界に存在する雑多な酵母や乳酸菌培養して作った種を天
然酵母と称されておりますが、いづれの種の培養も人間がコントロ
ールするのですから天然とはいかにも言いがたく(法的も天然と表
示出来ません)パン業界では自然種とか伝統的種作りとか表現する
ように自主規制しているようです。ただ私のHPは別に利潤を求め
ている訳ではありませんのであえて天然酵母と記述しております(^_^;)

天然酵母の種類
(以下日清製粉 パンの原点-発酵と種-より抜粋)

 サワー種は北イタリアのパネトーネ種、サンフランシコのサンフ
ランシスコサワー、ライ麦パン製造の際のライサワーなど乳酸菌と
酵母を有効に使っている種をいう。

 ホップス種は昭和初期まで酒種と並んで使われていた。これはホ
ップの強力な抗菌作用を利用してホップの煮汁とじゃがいも、小麦
粉、りんごなど加え種継ぎを行なって製パンに適した酵母を得る方


 ビール種はホップス種の改良で入手しずらいホップのかわりにビ
ール中のホップを利用したもので、基本的にはホップス種と同じ。

 酒種とは麹、米、飯、水を原料として清酒製造の工程を応用して
つくられたパン種をいう。

 果実種は果実の皮に付着している酵母菌などの有用菌を利用した
ものでヨーロッパの伝統的なパン工場では今も使用されている。一
般にはぶどう果実種、リンゴ果実種などが良く利用されるが、これ
ら果実種は伝統的に代々受け継がれ秘伝とされるが通常は以下のよ
うな方法がとられる。

 完熟した果実をすりつぶし少量の水と混合し30℃前後で20数
時間静置する空気中や果実に付着してきた微生物により小さな気泡
を生じ発酵して来るこれを分離ろ過したロ液に小麦粉、じゃがいも、
とうもろこし粉などの穀物を加え数回掛け継ぎ発酵させて元種をつ
くる。元種はpH低下により雑菌が抑制され、有用菌である乳酸菌
と酵母が主体の種が出来る。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/e-pan/kiso/kiso40.htm#tennen
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「酒種」(サカダネ)とか読むのですよね。サカダネで作ったお
菓子はほのかな酒粕の香がしたりします。それっていわゆる酒饅頭
ですが。

 こういう方法を私は否定したいわけではありません。私の主張は
以下のようなものです。

(1)「天然酵母」を市販しているのはあきらかにおかしい。不当
表示であろう。

(2)パンに「天然酵母」という表示をするのは誤解のもとだから
好ましくない。(業界では自主規制をしようとしているようです)

(3)「イースト」と「酵母」が違うものだと思っている人は、誤
解しています。(端的に言えばだまされています。)

 純粋なパン用酵母ではなく、いろんな自家製酵母を使ってみるの
は結構なことですが、「天然酵母」などという怪しげなキャッチフ
レーズではなく、味で勝負してほしいものです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.小麦の漂白について、今の国産小麦については残念ながら漂白
しなければ白い粉にはなりません。あなたは製粉業界の方ですか?

------------------------------------------------------------

A.国産小麦は漂白しないと白くならない。⇒ したがって市販の
国産小麦は漂白されている。 ⇒ 最近の小麦粉は漂白していない
ものがほとんどということを言っているのは、製粉業界の回し者だ
から。という論理展開を縮めるとこういうご意見になるのでしょう。

 何だか誰かに騙されているような気もしますが、これについては
今回は回答をパスして、読者のみなさんのツッコミに待ちたいと思
います。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「BSE」
------------------------------------------------------------

 久しぶりにBSEネタなんですが、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 米農務省は9日、家畜の安全基準を定めている国際獣疫事務局
(OIE)の科学委員会が、米国のBSE(牛海綿状脳症)安全度
を、3段階のうち2番目に安全なレベルにあると認めたと発表した。

 5月のOIE総会で正式決定する。米農務省は「米国の対策が有
効なことを証明するもので、あらゆる月齢の牛肉の貿易が可能にな
る」としており、米国産牛肉の輸入を「生後20か月以下」の牛に
制限している日本に対し、米国が輸入基準の緩和を強く迫ってくる
のは必至だ。

 ただ日本は、輸入条件の緩和には食品安全委員会の判断が必要な
うえ、「消費者の理解が得られることが大事」(松岡農相)との立
場で、条件緩和への早期の協議入りには否定的だ。

 OIEのBSE安全基準は、安全度の高い順に「無視できるほど
のリスク」「管理されたリスク」「リスクがはっきりしない」の3
段階あり、米国は昨秋、認定を求めて申請していた。

(2007年3月10日12時23分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070310i104.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この話には前段階があって、OIEでは牛肉は月齢制限なしに自
由に貿易してもよい、というのが原則になっています。ただし、各
国の状況により、危険性があると考えられるときは制限してもよい
という例外を、日本はアメリカに対して適用していたわけです。

 そのアメリカの状況を「管理されたリスク」であるとOIEが認
めたというニュースです。これは月齢制限が必要ないということを
意味します。WTOの精神から言うと、今後日本の輸入規制が不当
なものとされる可能性が極めて高いということです。

 この間の日本政府の対応から考えると、「消費者の理解」を理由
に、輸入規制を続けると思います。どうも国際派よりも消費者派の
方が官僚の中で優勢のようなんですよね。

 結構なことと言えば言えるのですが、国際関係から言えばここで
(外国から見れば)理由もなく輸入制限を続けることが国益にかな
うかどうかは大いに疑問です。

 ダイオキシンといっしょで、最初のインパクトが大きかったせい
で、実は大したリスクがなかったということがなかなか広まりませ
ん。大半はマスコミの不勉強のせいですが、消費者側も勉強が足り
ないと思っています。

 そうは言っても何となく怖いという人にぴったりのページを見つ
けました。納 光弘(鹿児島大学医学部付属病院長・内科学第三講
座教授)という人の講演記録です。

ヒトのプリオン病について 牛肉はなぜ安全なのか
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/kouenn-koukaikouza/bse-osame/bse-osame.htm

 私も不思議に思っていた、イギリスでBSEが原因とされるCJ
Dが予想を大幅に下回った患者しか出なかったということに、明快
な理由が述べられています。

 イギリスでの変異型CJDの発病はこんな数字です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1995  3
1996  10
1997  10
1998  18
1999  15
2000  28
2001  20
2002  17
2003  18
2004   9
2005   5
2006   5

合計 158

http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/bse/cjd_uk2.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 予想を裏切って、どうも最大でも200人以下というところに落
ち着きそうです。最新の研究では、どうも発症のメカニズム自身に
その少ない理由があるというようなことを述べられています。

 新しく登場したリスクに対して、警戒するのは大切なことです。
最初に安全だと言ったイギリス政府の言い分を批判するのはもっと
もだと思います。

 しかし、その後そのリスクが数字としてどれくらいのものかがわ
かり、研究が進むにつれて、態度も変ってくるのが当然です。現に
OIEでは牛肉は普通に流通してかまわないとすでに言っているわ
けです。

 科学的な根拠をあげて、この見解を批判するのはまず難しいと思
います。それであるなら、私たちも見解を変えるべきなのでは?と
いうことです。これ以上、確たる根拠もなしに、アメリカ産牛肉が
怖いという思い込み(あるいは宣伝)を続けても仕方ないと思いま
す。

 国際的には同レベルの自国産の牛肉は、制限なしに流通させてい
るわけですから、アンフェアな貿易であると言われても仕方ないの
ですから。

 ちなみに国産牛肉は安価なホルスタイン種のものはほとんどが月
齢30カ月以下ですが、高価な和牛はほとんどがそれを越えて飼育
されています。全頭検査というおまじないを通っているのが違うと
いえば違うのですが。

 BSEもダイオキシンも環境ホルモンも、泰山鳴動して鼠一匹で
あったということで、もう過去のものになっていってほしいもので
す。

 私は「泰山鳴動」した、つまり最初に情報に接したときに騒ぎに
なったことは正しいと考えています。しかし、状況が明らかになっ
てきているのに、いつまでやっているのか?と思うのです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 7日あたりに私のメールサーバーがトラブルをおこしまして、一
時メールを受信できなくなっていました。その間にメールを送って
いただいた方は、申し訳ありませんが、もう一度送ってください。
よろしくお願いします。

 昔の話ですが、生協に「天然酵母かりんとう」というのが持ち込
まれてきたことがあります。無農薬バナナなんかを輸入している団
体の関係で、扱うことが前提の話だったのですが、私は断固拒否し
ました。実態は「酒種」を使っているだけだったのですが、「天然
酵母」というネーミングをする根性が気に入らなかったのです。名
前さえ変えればいつでも扱うとは言っておきました。「酒種かりん
とう」で何故いけないのか!といってケンカしたものです。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-383号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数4732名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/