安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>382号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------382号--2007.03.04------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「梱包材・酵母(Q&A)」「AIB」

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ブログ毎日?更新中
http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の記事で、私が知らなかった「数の子のニセモノ」について、
情報をいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも楽しく拝読させていただいております。

 今回配信いただいた「安心!?食べ物情報381号」において、まが
い物の「数の子」の記事がありましたが、私は実際に食べたことが
あります。

 もう十年以上前になると思いますが、ししゃも卵を固めて数の子
型にしたものでした。形と色は確かに似ていない事もないのですが、
食感があまりにも本物と異なり、お世辞にも美味いとは言いがたい
ものでした。「これは商品としては成功しないな」と思いましたが、
案の定その後見ることもなくなりました。

 かの石橋女史のコラムも、おそらくこのことを指しているのでは
ないかと思います。

 しかしまあ、イクラといい数の子といい、この方がいかに「食」
に関心がないか世間に公開しているような自爆記事だな、と思いま
す。情けないですね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そういうものがあったということはわかりました。でも、これは
ほとんど流通しなかったようですね。シシャモの卵で数の子を作る
のは少し無理があったということです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.1歳の子どもが誤飲してしまいました。梱包材に使われるもの
だと思いますが、1cm×4cmくらいの長細い形、白くて表面はザラ
ザラしたものです。水に濡れるとすぐにしぼみながら解ける性質の
ものです。これは発泡スチロールでしょうか?環境ホルモンになる
ものなのでしょうか?

 もう一つ。それに青いペンで色が塗ってありました。手に付いた
ものを水で洗うと落ちました。水性か油性かどちらか分かりません。

 口に入れていたので取り出してみると、口の中は青くなり、梱包
材は長さが半分くらいに溶けていました。口の中は濡らしたガーゼ
でふき取りました。

 以上の2つですが、どのようなものを食べてしまったのでしょう
か?心配です。よろしくお願いします。

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A.水に溶けるということですから、発泡スチロールではありませ
ん。プラスチックで水に溶けるものというのはありませんので、最
近出ている生分解性のものだと思います。

http://www.ej-p.co.jp/series/index.html

 このページにはいろんなものが出ているので、どれが該当するか
はわかりませんが、いずれにせよセルロースやでんぷんなどを利用
した、生分解性のものでしょう。

 プラスチックだったとしても、別に飲み込んで害があるわけでは
ありません。固まりのまま飲んでしまって喉をつめたりはしそうで
すが。

 これらの生分解性の梱包材も同じく害というほどのものはありま
せんし、水に溶けるのでしたら詰まる心配もないわけです。

 塗料は水で落ちるのでしたら水溶性でしょうね。また、塗料では
なく、梱包材が水に溶けたときにそういう色になるのかもしれませ
ん。

 飲んでしまった後に、特に異常がなければ、心配するだけ無駄と
いうものです。何か異常があれば医者に見せる、異常がなければそ
のままで大丈夫、こんなところでよいと思います。

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Q.お忙しいところ失礼します。Q&Aにて天然酵母とイーストにつ
いて読ませていただきました。おっしゃる意味はわかりましたが、
ただ、市販のドライイーストなどは化学物質などでつくられており、
天然酵母は乾燥してるという意味では天然ではないかもしれません
が、素材は天然のもので添加物も入ってません。そういう意味では、
天然酵母の方がドライイーストよりは体に良いのではないのでしょ
うか?

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A.そういう誤解をする人が多いので、「天然酵母」などという言
葉は使わないでいただきたい、ということです。

 「市販のドライイーストなどは化学物質でつくられて」という部
分が全くの事実誤認です。イーストというのは英語で酵母のことを
こういうので、「ドライイースト」は酵母を乾燥させたものそのも
のです。

 生イーストは糖蜜などの中に酵母を固めたもので、いずれも酵母
そのものを扱いやすくしているだけです。

 もし、人工の化学物質で酵母と同じ働きをするものを作り出せた
ら、それこそ世紀の大発明です。そんなことができるわけがないこ
とにご注意ください。

 「酵母」と「イースト」と同じものを別の名前で呼ぶことで、違
う種類のものと誤解させる、詐欺のテクニックの一つです。

 もちろん、酵母にもいろんな種類があります。パンを作る酵母も
お酒を作る酵母も、生物としては同一種ですが、それぞれ目的にあ
ったものを選抜しています。

 「天然酵母」の中には、野生酵母をそのまま使っていて性能の悪
いものもあれば、市販のパン用酵母と変わらない性能のものもある
ようです。後者の方がどちらかというとタチが悪いですね。中身は
ほとんど同じなのに、名前だけ変えるのはインチキというものでし
ょう。

 前者(野生酵母)は違うといえば違いますが、わざわざ能力の劣
る酵母を使う人の気が知れないというところです。

 自分で野生酵母を培養して使う、という話もあります。全くの趣
味の世界ですが、そういうのは悪くないと思います。ただし、衛生
面からはかなりのリスクを伴う行為ですので、少し覚悟はいります
ね。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「AIB」
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 ようやく不二家が生産を再開するというニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 大手菓子メーカー、不二家の桜井康文社長は1日会見し、チョコ
レートなどの一般菓子の製造を同日再開したと発表した。「ネクタ
ー」などの飲料も近く製造を再開し19日から委託先のサッポロ飲
料で販売を開始し、ケーキなどの洋菓子も23日から順次フランチ
ャイズ店で販売再開する。期限切れ原料の使用問題が発覚して約2
カ月で、ようやく事実上の「安全宣言」をした。だが、大手スーパ
ーなどは販売再開に慎重な姿勢を崩しておらず、販売が軌道に乗る
かは不透明だ。

 不二家は山崎製パンの支援で、各工場に米国の衛生管理手法「A
IB」を導入し、安全衛生管理を抜本的に見直した。秦野工場(神
奈川県秦野市)など一般菓子の3工場は28日までにAIBの監査
を完了したことなどから、有識者会議の「『外部から不二家を変え
る』改革委員会」(委員長・田中一昭拓殖大教授)が一般菓子の製
造再開や洋菓子の再開計画を了承した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070302-00000000-maip-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この中で、「AIB」という耳慣れない略語が出てきました。

 「American Institute of Baking(米国製パン研究所)」の略で、
以下のような内容だそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 AIBフードセーフティ(GMP)監査・指導システムは、安全な食品
を製造するためにとらなければならない行為のガイドラインである
GMP(適正製造規範)を重視した食品安全管理システムです。

 このシステムは、50年以上の活動実績があり、諸外国ではこのシ
ステムの有効性が認知され、食品工場のみならず、原料メーカー、
流通倉庫や包装資材製造施設などの幅広い業種で活用されておりま
す。

 このシステムはGMP(適正製造規範)を重点的に点検します。

 世界の様々な法規を基にして作成したAIB食品安全統合基準に
則って検査は進められます。

統合基準は5部(5カテゴリー)構成です。

1.食品安全衛生プログラムの妥当性(AP)

 食品安全衛生管理のための必要文書を現場の状態と照らし合わせ、
プログラムの妥当性を点検します。

→自主検査、清掃計画と手順書、回収手順書など

2.有害生物防除(PC)

 施設内の有害生物の活動のモニタリング、有害生物防除の効果、
有害生物駆除剤の適切な使用、および管理状況について点検します。

→会社方針の確立、モニタリング、薬剤管理など

3.従業員規範(OP)

 現場における食品を安全に取り扱うための作業環境、手順、およ
び従業員規範の遵守などについて点検します。

→受入手順、保管手順、出荷手順、従業員規範など

4.食品安全のためのメンテナンス(MS)

 有害生物、微生物、異物対策のための清掃活動に効果的な施設や
設備の構造、および保守管理の状況について点検します。

→サビ、塗装の剥がれ、潤滑剤、点検口など

5.清掃活動(CP)

 計画された清掃の頻度や清掃方法と現場の状況を照らし合わせ、
清掃状況を点検します。また、清掃に関わる薬品や道具の管理につ
いて点検します。

→清掃不備、遊休設備、清掃道具など

http://www.foodsafety.jp/1system/systop.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 食品の安全確保プログラムとしては、「HACCP」が有名です。
こちらはそれ以前の、「GMP」に関する基準のようです。

 GMP(Good Manufacturing Practice)は衛生管理の一般規則
として知られています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 適正製造規範は頭文字からGMP(ジーエムピー)と呼ばれるこ
とが多い。

 1960年代から米国で採用された規則で、安全性でよりよい品質や
健全性を有する医薬品・食品等を製造するための製造時の管理・遵
守事項が定められている。

 米国のGMPは法的強制力を持つ連邦規則であり、日本でも医薬
品に関しては薬事法に取り入れられたが、食品に関しては法律に基
づいたGMPの策定はされていない。

 その後米国では食品に由来する危害を防止するためには、まず原
料の安全性を確保し、次に汚染防止対策のためにGMPを遵守し、
さらに重要な危害をコントロールするためにHACCPを導入する
「農場から食卓まで」という政策に繋がり、世界各国でHACCP
導入の機運が高まった。

 飼育農場における一般的衛生管理はGAP(適正農業規範:Good
Agricultural Practice )、GHP (適正衛生規範:Good Hygiene
Practice )などと呼ばれる適正規範がある。

http://www.shokusan.or.jp/haccp/basis/1_4_5_gmp.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 AIBはパン業界における、GMPの運営・評価の基準である、
と考えてよさそうです。今回、不二家の再建に、山崎パンがこの基
準の適応でもって支援するという構図です。

 ニュースを見たときはHACCPに代る新しい基準なのかと思い
ましたが、そうではなくて、HACCPの下部構造である、GMP
に関する基準であるということです。

 HACCPは論理的には大変すばらしいものですが、ISOの品
質規格と同じように、文書による管理が中心で、運営が煩雑になり
がちだと云われています。

 そこで、現場の衛生管理などを実際的に評価する、AIBという
手法が登場してきたということなのでしょう。

 特にパンなどのように、最終工程で焼き上げる工程がある食品で
は、HACCPの微生物汚染のコントロールなどは実際的にはあま
り重要でないため、これで充分といえるのかも知れません。

 肉や牛乳といった、生またはそれに近い状態で流通するものにつ
いては、やはりHACCPのレベルが要求されます。HACCPを
運用していくにあたって、基礎レベルの点検をAIBによる、とい
う構図です。

 伝えられる、以前の不二家の生産現場の状況からすると大幅に改
善されることになります。こういった改善の内容を、もっと広く報
道していってほしいものです。

 現在の状況は、衛生管理にも相応の努力を払っている工場と、旧
態依然の工場とが混在しているという認識です。「自然」や「無添
加」などと言っているところでも、工場の方は旧態依然派であった
りするので、注意が必要です。

 衛生管理のところでは、徹底的に技術重視で最新の衛生管理手法
が広まっていってほしいと考えています。そのためには、再開した
不二家の商品も売れてほしいですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 不祥事をおこした企業がどう再建していくのか、ということには
興味を持っています。きちんとした対応をして、問題を解決した企
業については、それを認める方向で動いていってほしいものです。
そうでないと、やはり隠蔽するのが一番よい、という結論を出して
しまうところも多いと思いますので。

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