安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>381号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------381号--2007.02.25------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「酵素(Q&A)」「イクラ」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
------------------------------------------------------------
ブログ毎日?更新中
http://www.kenji.ne.jp/blog/
------------------------------------------------------------
---〔話題〕-------------------------------------------------

 今回は「天然酵母」について、メールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも興味深く拝見しております。ななかな企業の立場からは発
言し難いことや、誤解があることに対して中立的に、また客観的に
コメントされており、おかげで、いつも一週間をスッキリスタート
することができました。

 さて今回は、そんな渡辺様の、天然酵母に対する返答について、
訂正お願いしたく、メールさせていただきました。

 天然酵母=インチキと断定される根拠は何でしょうか?確かに、
質問者の使われている乾燥酵母が天然酵母と言えるのか、そもそも、
天然とはどういう意味かという問題はあると思います。

 しかし、それですべての天然酵母=インチキというのは、あまり
に軽率だと思います。

 天然酵母は(日本語としての)天然の酵母という意味ではなく、
市販のイーストメーカーにより加工、調整された圧搾又は乾燥酵母
以外の酵母を総称したもので、古くからパン業界で使用されてきた
”天然酵母”という固有名詞です。

 酵母に特徴があるかどうかは別として、元種から自家培養発酵種
を調整し、特長のあるパンを作っている、伝統や技術を継承するパ
ン屋もあります。

 ただし、ご指摘のように、出処がよくわからない、天然酵母と表
示しておけば差別化できるとだけ考えて作られたような天然酵母又
は天然酵母パンがあるのも事実です。

 すべてひと括りにするのではなく、中身にあった表示の必要性か
ら、現在、日本パン工業会が、適切な酵母の表示の仕方について見
解を発表しています。この中で、消費者に誤解を招く”天然酵母”
という表現を止めて、適切に表示するよう検討されているようです。
(パンニュース 第2393号 2007年2月5日 「天然酵母」表示問題
を巡って)

 判断基準としましては、天然酵母だから良いとか悪いとかではな
く、その酵母を使用したパンが特長があり、良いものだと判断でき
ればそれが一番良いのではないでしょうか。

 これからも、今までどおりフェアなご発言を楽しみにしておりま
す。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「消費者に誤解を招く”天然酵母”という表現を止めて、適切に
表示するよう検討されている」ということですから、私の言ってい
ることは間違っていないと思います。私はまさしくそのことを言っ
ているのですから。

 「天然酵母」と言ってもいろいろあることは承知しています。乾
燥して売っているものから、野生酵母を培養して使っているものま
でいろいろです。また、原料や作り方はさまざまですから、「天然
酵母パン」と言っても、ひとくくりでは語れないこともわかります。

 私は「天然酵母」という言い方や、「天然酵母パン」という名称
を使用することを批判しています。これはまさしく「消費者に誤解
を与えるもの」だからです。

 実際、世の中には市販のパンは酵母を使っていないと思い込んで
いる人までいます。「イースト」という添加物で作っている、など
という話はいくらでも聞くことができます。これはあんまりだと思
います。

 メーカーの方のようですので、自社の商品に「天然酵母」という
表示をなくすことをお薦めしたいです。もっとややこしいところと
一緒にされたくないのなら、そうすればよいのですから。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.最近、よく酵素の話を聞くようになりましたの。酵素は人の体
内で作られるものとの認識でしたが食物酵素の話題を目にするよう
になりました。食物酵素は例えば野菜の場合、どの程度まで(日数、
保存状態、枯れ具合等)有効に働くのでしょうか?そして人の体内
(消化器官)に入って腸内に至っても作用しつづけるのでしょうか?
又本によっては腸から吸収されて作用するような文を見ますが(コ
ラーゲンのごとくそのまま吸収されるとの宣伝に似た感がする)ア
ミノ酸に分解されて吸収されるなら分かりますが。2番目に、酵素
が産生主から離れて独自に腸内で活動するのでしょうか?3番目に、
酵素は熱に弱いと聞きますが、冷凍、乾燥、塩漬けなどの場合、酵
素の働きは持続されているのしょうか?

------------------------------------------------------------

A.まず酵素はタンパク質です。酵素=タンパク質というわけでは
ありませんが、酵素は必ずタンパク質であることには違いありませ
ん。

 したがって、食品に含まれる酵素も、タンパク質として栄養源に
なります。酵素のまま(=タンパク質のまま)吸収されるというこ
とはありません。

 食物に含まれる消化酵素が消化器官内で酵素として有効に働くと
いうことはありそうです。ダイコンやパインアップルなどが酵素を
多く含む食品として有名です。

 酵素がその働きをするには、タンパク質としての立体構造がカギ
になり、立体構造が崩れてしまうと働かなくなります。酵素が働く
とよくない場合は酸や加熱によって、タンパク質を変性(立体構造
を破壊する)させ、酵素としては失活させます。

 たとえばお茶の葉は大量の酵素を含んでいて、収穫後すぐに自分
で発酵していきます。発酵したものは紅茶になりますので、緑茶と
して飲むときはすぐに蒸したり煎ったりして酵素の働きを止める必
要があります。

 野菜が冷蔵庫に入れておいても溶けてきたりするのは、自己消化
酵素が働くからです。酵素というのはそういう意味でやっかいなも
のです。

 加工や長期保存されたときは、酵素はもう失活していると考えて
よいと思います。また、基本的に食品に酵素の働き(この場合は消
化酵素)を期待するのはお門違いというものです。食品に含まれる
酵素は食品の品質維持のためにはむしろ邪魔になるものだという認
識の方がよいのではないでしょうか。


-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「イクラ」
------------------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ホームページはいつも楽しく読ませていただいています。

 私も今の食品はおおむね安心できるものと考えておりますが、本
日2月22日付けのフジサンケイビジネスiというビジネス紙の一
面に石橋眞知子氏によるコラムが掲載されました。

コピーを添付します。

 『食品添加物で固められた「まがい数の子」や「いくらコピー」
を平気で「数の子」「イクラ」として売っている現状』とあります
が、今の日本の食品行政で、このようなことがまかり通っていると
は到底思えません。

 私はただの飲兵衛、食いしん坊に過ぎませんが、こんな都市伝説
を新聞の一面で紹介されてはたまったものではありません。渡辺さ
んはいかがお考えでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 まず、いきなり画像ファイルを添付するのはやめてください。厳
しい人だとそれだけでメールそのものを受け取り拒否されてしまい
ます。

 記事の一部を引用しますと、以下のようなものでした。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

まず国内の“まがいもの”追放 石橋眞知子

(略)

 江戸前寿司が大好物の私ではあるが、異国で多彩なパリエーシa
ン寿司に遭遇するほうが楽しくて、別段目くじらを立てるものでも
ないと思っている。

 それより、日本で幅を利かせている食の嘘を追放するほうか急務
じゃないかしら,

 たとえば、食品添加物で固められた「まがい数の子」や「イクラ
コピー」を平気で「数の子」「イクラ」として売っている現状、政
府は、消費者をだます悪辣な風潮を取り締まるのに主力を挙けてほ
しい。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 全体の趣旨は、最近話題になっている、「日本食の認定」制度に
ついてです。そういう制度は必要ないから、国内の「食の嘘」を取
り締まれ、と言っているわけです。

 前半の論議は私もそう思います。「日本食」ブームに乗っかって、
怪しげな「日本食」レストランが世界各地で増えているのは事実だ
そうです。これを何とかしたい、というのは心情的にはわかります
が、政府が乗り出すようなことではないでしょう。

 ここでも何とか仕事を増やそうとする役人の本能が働いているの
だと思います。こういう制度を作っても、怪しいレストランを一掃
することなどできませんから、金と時間のムダというものです。

 怪しいレストランの多くが中国人や韓国人の経営だ、というあた
りにひっかかりを感じています。彼らがいつまでもこんなことを続
けていくのなら、やはりそういったまがい物の人たちだと世界中か
ら認識されるだけの話ですので、やはり放置しておくのがよいです。
いつまでもインチキなものにだまされることはないです。

 また、本物とは言い難くても、現地の人に受け入れられるものを
作り上げたのなら、それは高く評価すべきでしょう。いずれにせよ、
放置しておいてもやがては生き残るべきものだけが生き残ると思い
ます。

 さて、後段の「食の嘘」ですが、やはり世間に意見を発表するに
は情けないレベルの認識であることは見てとれます。

 「数の子の偽物」というのは私は寡聞にして知りませんでした。
こういうものが存在するとは思えないので、「都市伝説」という評
価もそうかも知れないと思います。

 「人造イクラ」というのは有名です。「人造イクラの見分け方」
というページなら、インターネットにたくさんあります。代表的な
ものを以下に引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

A.贈答品として送られたイクラは化粧箱入りで、内装プラスチッ
ク容器のものです。製造年月日、賞味期間、製造者等が書かれてな
く、申し出者が不安になり、大阪センターに相談として持ち込まれ
ました。

回答
1.相談のあったイクラについて次の事項について試験・分析を実
施しました。

 イクラを水中に入れ水の白濁を観察した結果、牛乳のように白濁
しました。(本物は、イクラからグロブリンたん白が溶出するため
に、水が白濁します。

 イクラを20%過酸化水素水に入れたところ、泡立ちが観測されま
した。(動物性の無加熱食品の中には、カタラーゼという酵素が活
性を持っており、この働きにより、過酸化水素が水と酸素に分解し、
酸素の気泡が発生します。人造イクラは植物性であるため酸素が発
生しません。)

 たん白質含有量を測定したところ20.6%であり、この値は本物の
イクラとほぼ一致します。ステロール組成はコレステロール100%で
あり、植物油脂由来のものは検出されませんでした。

 これらのことにより、相談のあったイクラについては本物である
と思われます。

2.皮が固くなったことについて

 本来、イクラはサケの成熟卵を使用するのがよいとされています
が、完熟した卵を使用した場合、皮が硬くなり、食べた時皮が口の
中に残り違和感を生じることがあります。

 また、合成保存料については、安息香酸とソルビン酸について調
べましたが検出されませんでした。イクラは、食塩含有量も高く、
冷蔵庫に保管すれば1週間程度ではほとんど品質は劣化しません。

3.家庭で出来る人造イクラの簡単な見分け方

 水に入れると水が白濁します。(人造の場合、白くなりません。)

 オキシフル(過酸化水素が3%程度含まれています。)に入れる
と泡立ちが観察されます。

4.人造イクラの構造

 外側の皮膜:アルギン酸ナトリウム(海藻抽出物)をカルシウム
イオンで凝固させたもの。

 中身の溶液:増粘多糖類の一種カラギーナン、アラビアガム等を
含んだもの。

 中身の目玉:サラダオイルにβーカロチン等で着色したもの。

http://www.cfqlcs.go.jp/administrative_information/
public_relations_magazine/kouhousi/question_and_answer_of_food/qa19.htm

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 人造イクラの説明としては、以上で充分だと思います。

 しかし、この手の話で、結果が人造イクラだったというのは聞い
たことがないのです。上記の作り方で作れるのは間違いないですが、
現在それを作って売っているところがあるのかどうか、よくわかり
ません。

 おそらく、市販されているものはほとんどないと思うのですが、
いかがでしょうか。

 少なくとも「食の嘘」として、まかり通っているという状態では
ないと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 本文にも書きましたが、添付ファイルは原則として使用しないで
ください。また、HTMLメールもあまりうれしくないです。某メール
ソフトで、何も設定しないと勝手にHTMLでメールを送るのがよくな
いのですが、メール作成時、「テキストメール」を選ぶようにして
ほしいです。私はHTML部分は無視してテキストのみを読んでいます。

 2月もおしまい、いよいよ春本番ですね。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-381号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数4747名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/