安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>374号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------374号--2007.01.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「国産小麦」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 小麦粉の「漂白」ということについて、メールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも興味深く読ませていただいています。私も、元生活協同組
合の仕入れ担当者でした。ところで安心!?食べ物情報 Food Review
373の小麦粉の漂白についての御解答について腑に落ちない点があ
りましたのでメールさせていただきます。

 小麦粉の漂白にはどのような物質がどのように使用され何がどの
ようにどの程度危険なのか、物質名と工程を特定して解説いただか
ないと不適切ではないかと考えます。

 『漂白=危険の単純な図式』はおかしいと、私も考えます。『現
在ではなくなったと認識』私もそう認識していました。ところが、
http://store.yahoo.co.jp/fieldwave/pancake.html
http://www.nisshin.com/study/history/bread/details/009.html
にありますように原材料名中、強化漂白小麦とある商品は市販され
ていますし、漂白小麦でつくるパンもあります。

 また、小麦粉の製造助剤(熟成・漂白効果)過酸化ベンゾイルも
日本では禁止添加物ではありません。輸入菓子(クラッカー)の原
料小麦粉にも使用されている場合があります。

 日本で製造される小麦粉はなくなったと認識するのは間違ってい
ないようです。日本の小麦粉メーカーがそのように言っていますし、
小麦粉は輸入自由化してないので、漂白された輸入小麦粉そのもの
は、日本で購入出来ません。ただし、小麦調整品と小麦加工品とし
て輸入されるものには漂白された小麦粉が使用されている場合があ
ります。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 漂白というと、過酸化ベンゾイルによる漂白が思い浮かびます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 過酸化ベンゾイルは小麦粉の熟成期間の短縮や漂白を目的に使用
し,日本では小麦粉にだけその使用が認められている.爆発性があ
り容易に分解するため,硫酸アルミニウムカリウムやリン酸のカル
シウム塩等の希釈剤と混合され,その使用基準は希釈過酸化ベンゾ
イルとして0.30g/kgである1).

 平成16年5月,厚生労働省は中国において“はるさめ”に対する
過酸化ベンゾイルの違反使用があったとの報道を受け,中国産はる
さめの輸入時検査を行い,その結果157検体中10検体から過酸化ベ
ンゾイルを検出した.

 過酸化ベンゾイルは通常小麦粉処理剤として小麦粉に使用されて
いる.また,はるさめは緑豆でんぷんを原材料としているが,ビー
フンなどでは少量の小麦粉を使用することがある.そこで,今回過
酸化ベンゾイルを検出したはるさめに小麦粉の使用が無いかの確認
をELISA法で行った.実験方法はキット添付の説明書に従った.い
ずれのはるさめからも小麦の含有は認められなかった.このことよ
り検出された過酸化ベンゾイルは漂白を目的にはるさめの製造工程
で添加されたことが示唆された.

http://www.fch.chuo.fukuoka.jp/h16shoho/158p.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは「はるさめ」についての記事ですが、ここでも中国産食品
が問題になっています。

 「小麦粉の熟成期間の短縮」というのが漂白の主な目的でした。
小麦粉は製粉直後では製パン性を悪くする物質が含まれていて、あ
る程度の熟成期間が必要です。この期間を短縮する、というのは過
酸化ベンゾイルの使用によって、製パン後すぐに出荷できるように
したわけです。

 現在では適正な熟成期間を設けることで解決しています。貧乏な
時代の産物ですが、今に至るまで悪口のネタになっているのですか
ら、馬鹿なことをしたものです。中国産食品も背景には似たような
ことがあり、手っとり早く稼ぐための手段が逆に自分たちの首をし
めているということに気付いてほしいものです。

 ということで、ご指摘ありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「小麦粉」
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 最初に紹介したメールに関連して、もう少し調べてみました。

 「無漂白小麦粉」というとき、過酸化ベンゾイルによる文字通り
の「漂白」とは違いますが、臭素酸カリウムの使用についても問題
になっています。

 臭素酸カリウムは小麦粉の改良剤で、かつては「イーストフード」
に含まれていて、広く使用されていました。その後ほとんど使用例
がなくなっていたのですが、意外なところから復活しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 臭素酸カリウムの安全性について厚生労働省からコメントが発表
されておりますのでご紹介します。これは内閣府食品安全委員会の
食品安全モニターからの質問に答えたもので、同委員会のホームペ
ージに掲載されました。

○パン生地改良剤としての臭素酸カリウムの使用再開について

 発がん性が確認されている臭素酸カリウムが、小麦粉改良剤とし
て表示条件つきで使用を再開されたことに対して不安に思っていま
す。(岡山県 女性 56歳 その他消費者一般)

厚生労働省からのコメント


 臭素酸カリウムは小麦粉や魚肉ねり製品の品質改良剤として、我
が国では、昭和28年に食品添加物に指定されております。昭和5
7年には、我が国において実施された試験において、発がん性が認
められたこと、パンの製造過程において分解することなどから、審
議会における審議を経てパン以外への使用を禁止し、パンについて
も最終製品に残存してはならないという使用基準を策定しました。

 その後、米国ではパンへの使用が認められているが、欧州では使
用を禁止している等の海外の規制状況を踏まえ、平成13年3月及
び平成14年7月に、現時点における安全性評価を薬事・食品衛生
審議会に依頼いたしました。その結果、高感度に改良した新たな分
析法によって監視等を行うことにより安全性を確保する上で支障は
ないとの結論を得ました。

 この結論に従い、厚生労働省は、平成15年3月、新しい食品中
の臭素酸カリウム分析法について、都道府県に通知し、その監視を
強化いたしました。

 なお、社団法人日本パン工業会からの説明によると、臭素酸カリ
ウムを使用するパンには、当該添加物を使用する旨の表示を行うと
しており、そういった観点から消費者への適切な情報提供がなされ
ていると考えております。

http://www.pankougyokai-subc.jp/q&a.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このQ&Aは実は山崎製パンの「国産小麦使用パン」に関連して
のものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------
平成16年6月15日発行第1649号より

 山崎製パンはかねてから小麦粉改良剤の臭素酸カリウム使用に関
して、研究、検討を重ねてきたが、パン中の臭素酸カリウムの挙動
に関して新しい知見も得られたとして、厚生省とも協議のうえ6月1
日より臭素酸カリウム溶液を使用したプルマン型(角型)食パンを
先行発売した。

 その見解は、「角型食パンにおいては臭素酸カリウムの残存は見
られない」「山型食パンには臭素酸カリウムの残存が確認されるが、
ビタミンCと硫酸第一鉄の使用により残存量を低減させる」「従来
粉末で使用されていた臭素酸カリウムを溶液化し使用することで、
山型食パンにおいては残存量が大きく軽減できる(特許出願中)」
というもの。臭素酸カリウム溶液を使用したパンには、厚生労働省
の指示により包装紙に使用した旨を明記し、消費者が選択できるよ
うにしている。

 同社が今回発売するのはプルマン型(角型)食パン「国産小麦食
パン」と「ヤマザキサンロイヤル ファインアローマ」(各170円)
の2種。「国産小麦食パン」はこれまで困難とされていた国産小麦
で、バイタルグルテン等の添加なしでも品質のよい食パンの製造が
可能になったとしている。臭素酸カリウムを使用することで食パン
の品質が向上することと同時に、国産小麦に使用することで食料自
給率の向上に貢献でき、食パンの消費量増加への期待もできるとし
ている。

http://www.panka-shinbun.co.jp/040615_01.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 2004年ですから、もう3年近く前の話ですが、現在でも販売され
ているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「国産小麦食パン特撰」は、北海道小麦から挽いた小麦粉を10
0%使用しています。

 これまで国産小麦はパンをつくるうえで重要な「グルテン」と呼
ばれるタンパク質の形成が弱いことから、パンづくりには向かない
とされていましたが、長年に渡る研究の成果により、国産小麦特有
の味と香りを生かしながらソフトな食パンに仕上げました。ぜひト
ーストしてお召し上がりください。香ばしくサクサクとした食感を
お楽しみください。

http://www.yamazakipan.co.jp/brand/01_05.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「国産小麦」というだけで売れるのかどうか、もう一つ疑問なの
ですが、要するに国産小麦でパンを作る技術を臭素酸カリウムを使
用することで実現した、というわけです。

 他のところでも国産小麦のパンは市販されていますので、少し変
な感じがしますが、それらはたいてい次のいずれかに該当します。

・国産小麦100%ではない。
・グルテンを添加している。
・重くて発酵具合がよくない。

 最後のものはまじめに国産小麦で作っているのですが、どうして
もふくらみの具合が足らず、重いパンになっています。味は悪くな
いというか、人によってはおいしいと評価してもらえると思うので
すが、食感としては食パンらしい軽さに欠けます。

 このような状況で国産小麦100%の食パンを開発したわけで、
技術陣にとっては大きな成果だと思います。しかしこういう技術が
必要なものであったかどうか、疑問に思います。臭素酸カリウムを
復活させるという無理をおかしてまで、国産小麦100%の食パン
を作る必要があったのか?と思うのです。

 国産小麦の現状は、以下の数字になっています。単位は万トンで、
総量に対してカッコ内が国産小麦です。 

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

小麦全体      627(86)
・食用        529
  パン用       159(1)
  日本麺用       68(42)
  その他麺用     128(4)
  菓子用        78(16)
  家庭用など      96(6)
・味噌、醤油、工業用 36(17)
・飼料用など     62

http://www.seifun.or.jp/topics/zigyou/index_j.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 製粉振興会のサイトから引用しています。このホームページは小
麦粉の情報がまとまって掲載されていますので、ぜひごらんくださ
い。
http://www.seifun.or.jp/

 国産小麦は半分がうどん用、パン用は1%にも満たない量です。
この1%未満の量のための技術なんですね。

 また、価格の面からも国産小麦は大きな問題を抱えています。下
の記事は2005年10月に開かれた「総合食料分科会食糧部会」という
ところの議事録です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ページをめくっていただきまして、14ページが麦の管理方式でご
ざいます。これは通称「コストプール方式」と申しているものでご
ざいまして、外国産麦から得た輸入差益を国内産麦の生産振興の財
源に充てるというものでございます。

 近年の状況を申しますと、安価な小麦粉調製品や小麦製品の輸入
増により、内外価格差縮小のための小麦の売渡価格の引き下げ圧力
が高まっていることを背景に売渡価格を引き上げてこなかったこと、
それから、近年、国内産麦が生産増になっておりまして、麦作経営
安定資金が急増したことから、麦会計につきまして大幅な赤字が継
続しております。これに対応して一般会計から多額な補てんをして
おりまして、農林水産予算を圧迫している状況でございます。

 具体的には、14ページの右の上の表に内外麦収支ということで一
番右に整理をさせていただいておりますが、直近でございますと300
億円ぐらいの赤字で、これを一般会計から補てんをしているという
状況でございます。

http://www.syokuryo.maff.go.jp/notice/data/gijiroku051007.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 国産小麦は政府が農家から買う価格を高く設定し、製粉業者には
輸入小麦と同等かそれ以下の価格で打っています。その差損は輸入
小麦の差益(安く買って高く売る)でまかなうことになっていたの
ですが、すでにそのシステムは破綻しているようです。

 現在のところ、年間数百億円の税金を投入することでなんとか維
持されています。もちろん、このままではいけませんので、対応策
は考えられているようです。以下は2006年10月の記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

輸入小麦、変動価格制に・パンやめんの小売価格に影響も

 農林水産省は輸入小麦で59年間続いた販売価格の固定制をやめ、
変動制に移行する。これまで年1回だった価格変更を2007年4月から
は相場に合わせて年2―3回に増やす。製粉会社が独自の価格で調達
できる新方式も始める。小麦は旧食糧管理制度時代に始まった統制
価格の発想が残っていたが、部分的に市場原理を導入することで、
コメに続いて「普通の商品」への道を踏み出す。

 日本は国内需要の9割に当たる年間約500万トンの小麦を輸入に頼
る。全量を政府が商社を通じて買い入れ、国産小麦よりやや高めの
価格で製粉各社に販売している。標準銘柄の売り渡し価格は現在1
トン4万5350円。買い付け価格の約2倍だ。差益は国内小麦農家への
助成金に充てている。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20061024AT1J2001924102006.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 とはいえ、まだ実際にはほとんど影響は出ていないようです。こ
の先、見通しがつかない状態に陥りつつあるということはできます。

 米と違って、需要の一割程度しか生産できない、という問題もあ
ります。この先、小麦の生産と輸入をどうコントロールしていくの
か、難しい問題です。

 先の国産小麦100%食パンは、そうした中では一つの方法であ
るといえるのかもしれません。しかし私にはこの方向に未来がある
とは思えないのです。

 どうすれば小麦生産者の生活を支え、国産小麦を維持拡大してい
くことができるのかを考え、政策として打ち出していく必要がある
ことはみんながわかっていると思います。現在のところ、そうした
政策が出てこないので、毎年数百億円の税金が「無駄に」使われて
います。税金を投入するのが悪いと言っているわけではありません。
その税金を、農業の未来に対する投資としてほしいものです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回はQ&Aへのメールがありませんでした。お正月休みなので
仕方ないところですね。

 今年の正月はどこへも行かず、家でゴロゴロしていました。おま
けにいきなり三連休ですので、ますますゆったりです。ヒマにまか
せて新しくブログを開設しました。
http://www.kenji.ne.jp/blog/

 現在、毎日更新中です。どこまで続くのか心配ですが、できるだ
け更新していこうと思っています。

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