安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>373号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------373号--2006.12.31------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「魚醤油・アルコール・小麦粉(Q&A)」
「カキ」

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(連載)天安門事件/身辺整理
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--〔話題〕--------------------------------------------------

 「うなぎ」について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも、なるほど、と思いながら読ませていただいております。
今までにも、このような内容が何度か取り上げられており、バック
ナンバーも読んだのですが、質問させてください。

 我が家には現在、頂き物の中国産のうなぎが大量にあります。一
枚食べましたが、皮も柔らかく、美味しく食べられました。しかし、
普段は、残留農薬の問題があってから、椎茸、ねぎ、しょうが等、
中国産の食品は避けるようにしています。

 ポジティブリスト制が始まってから、うなぎなども違反の対象と
してあがっているようです。中国産の食品は、やはり安全性に問題
があるのでしょうか?

 また時々Q&Aで、”こんなものを食べてしまったが大丈夫か?”
という質問に対し、”今、なんともないのなら大丈夫”と言ってお
られます。

 私も基本的にそう思うのですが、残留農薬があるかもしれない食
品は、時々ならば大丈夫なのでしょうか?継続的にそれを食べるこ
とに問題があるのでしょうか?それとも、心配なものは食べないほ
うが良いのでしょうか?

 牛肉の問題にせよ、残留農薬の問題にせよ、消費者はどのような
考えを持って、選択をするのがよいのでしょうか?

 頂き物のうなぎは、頂いた先の方が共同購入で、安く入手したそ
うです。家族の中でお母さんだけが、うなぎを好まないため、それ
を私にくれたようですが、あと5枚もあります。だれかにあげるに
しても、中国産!!と自信を持ってあげることができません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 中国産の食品の評判は現在のところ最低ですね。気持ちとしては
肩を持ちたいのですが、報道されている内容からすると、今の状態
で信用しろという方が無理です。

 ただし、製品として輸入されてきたものは現在ほとんど輸入時の
検査を受けていると思います。だから国内で堂々と「中国産」とい
う表示をしているものはかえって心配ないといえるのかもしれませ
ん。また、ものによっては日本側での管理もあり、すべての中国産
食品が危険というわけではないのです。

 食品から受ける健康被害というのは、実はそれほど大きくありま
せん。一度食べただけで深刻な健康被害が発生するという事例とし
ては、フグや貝毒などの自然毒、微生物による食中毒が主なもので
す。

 その他の化学物質で事件となったものでは、森永ヒ素ミルク事件
とか、ライスオイルのPCB中毒事件などがあります。これらは一
つの事件としては規模が大きく、深刻な被害が出ていますが、偶発
的な事故というのが適当で、日常的にいつでも発生してきたわけで
はありません。

 また、こうした事例でも、被害にあったのは「使い続けた」人で
す。こちらは公害問題ですが、水俣病事件でも被害を受けた人とそ
うでない人を分けたのは、地元の魚を食べる頻度でした。こう考え
ると、いろんなものを次々と食べていく方がより安全な食生活だと
いうことがわかります。

 何かを食べて心配されている場合でも、一度きりなら、心配なの
は急性の中毒だけであって、その症状が出ていない場合は心配する
必要はありません。(というか心配しても仕方ないので)

 残留農薬などではもっと心配は少ない構造になっています。残留
基準をオーバーしてはいけないことになっていて、基準をオーバー
していると事件として報道されます。しかしこの基準はADIとい
ってこれくらいなら、「毎日食べ続けても」被害が出ない量をもと
に決められています。実際は安全係数がかかっているのですが、そ
れを無視しても、基準値オーバーの食べ物を「毎日食べ続けて」初
めて被害の心配が出てくるのです。

 もちろん、オーバーの度合いにもよりますが、一度食べて危険な
量が残留しているというのはまずあり得ません。これはあらゆる検
査の結果で証明されていますし、常識的に考えても、被害が出る量
の農薬というのはもはや「残留農薬」ではなくて、農薬そのものを
食べている感じになります。

 で、あまり心配しても仕方ないというのが結論なのですが、件の
うなぎは私なら平気で食べますね。もちろん、買ってくるときは私
も中国産だと警戒しているのです。でもあるものを食べないのはも
ったいないではありませんか。

 私は「もったいない」という気持ちはやはり大切であると思って
います。でも、その精神を発揮するためには、少し気持ちが悪いと
か、信用度が低いとかいうことを(時々は)無視するくらいの大胆
さも必要です。

 人間、少々のことではくたばりはしないと思うからこそ、食べ残
しを捨てずに、また後で食べたりすることができるわけです。もっ
たいないと思う心と、ある種の潔癖さは両立が難しいですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.「魚醤油」は「食品衛生法」に基づいて製造されているのでし
ょうか?

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A.すべての市販されている食品は食品衛生法に基づいていなけれ
ばなりません。だから質問の答えはイエスです。

 ただ、食品衛生法に食品の製造方法まで決められているわけでは
ありませんので、製法に関してのことなら答えはノーということに
なります。

 人間が何を食べるか、また国民の食文化というようなレベルのこ
とになると、法律は何も決めていません。法律以前の問題なのです
ね。

 とにかく、何を食べても自由です。販売するのも自由ですが、あ
まりに問題のある食べ物が流通するのを防ぐために、守るべき衛生
基準を決めたのが食品衛生法だと思います。

 昔はメチルアルコール入りの酒などが売られていて、被害が多発
しました。こういうのを自由と言われてもこまりますから、やはり
規制は必要なわけです。

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Q.食品そのものの物性もあると思いますが、例えば、めんつゆな
どの液体製品に「アルコール」を添加して微生物の増殖を防ぐ場合、
どの程度(%)添加すれば効果があるのでしょうか?

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A.たとえば醤油の場合はこんな濃度のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 しかし、実際のしょうゆ製造では、発酵熟成後「火入れ」などの
工程があり、ここでアルコールの揮散が起きることがあります。ま
たアルコールの量は香味にも影響しますから、常に一定に保つこと
も必要です。こうしたことから、しょうゆでは、一般に防かびの目
的でアルコールが添加されることが多いのです。

 ちなみに当センターで行ったJAS品の市販品検査で、こいくち
しょうゆ・本醸造・特級の例では、そのアルコール濃度は、2〜3
%の範囲にありました。これは、しょうゆのかび防止に効果がある
とされる、研究報告の濃度と一致しています。

http://www.cfqlcs.go.jp/administrative_information/
public_relations_magazine/kouhousi/question_and_answer_of_food/qa15.htm

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 醤油はもともと保存性のよいものですが、長期間保存するために
は、この程度のアルコールを含んでいる必要があります。そうでな
いとカビ(産膜酵母)が発生してきます。

 このアルコールは加熱すると蒸発してしまいます。加熱せずに使
うときも使用量が少ないので、味が変わったり酔っぱらったりする
心配はありません。

 めんつゆなどでは同じような効果を期待するのは難しいかもしれ
ません。だからほとんどの商品が開封後要冷蔵の扱いになっている
と思います。この場合、アルコール添加の必要はあまりないと思い
ますが、いかがでしょうか。

 醤油にアルコール添加が必要なのは、一般に開封後も冷蔵されな
いという前提ですので。

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Q.小麦粉の製法についてもう少し詳しく知りたいです。本当に、
漂白してないんですか?ふすまのこととか。

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A.質問の仕方はもう少し整理していただきたいところです。小麦
粉の製法などはメーカーのサイトに行くと、いろいろと解説されて
います。まずそういうところを訪問されることをおすすめします。

 漂白については、小麦粉に漂白剤を使用している例は現在ではな
くなったと認識しています。過去にはもちろん使用されていたこと
があるのですが、このあたりは技術の進歩の問題です。

 問題を大きくとりあげたいときに、過去の事例だけを出して、そ
の後の進歩を無視するのはよくあるデマ宣伝の方法です。今でもそ
ういう表現をしているサイトもありますが、そういうのは基本的に
信用できないと考えてよいと思います。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「カキ」
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 このところ「ノロウィルス」のニュースが非常にたくさんありま
す。私も先日やられたので、気にしていますが、関連ニュースにこ
ういうものがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ノロウイルスの流行でカキの売り上げが減っているとして、全国
漁業協同組合連合会(全漁連)が厚生労働省に風評被害を訴えた問
題で、厚労省は26日、ホームページ(HP)の「ノロウイルスQ
&A」を改訂した。カキの写真を削除したほか、「十分に加熱した
カキを食べても問題ありません」との表現を加えた。

 厚労省は、「85度以上で1分以上加熱すれば感染性がなくなる
と伝えるのに、カキの写真を例示する必要はない」と判断し、削除
した。原因食品のくだりは「生や加熱が不十分なカキ等の二枚貝」
と改めた。

 HPでは、各地の漁連が衛生管理のために取り組んでいる自主検
査の情報も見ることができる。

 厚労省によると、カキが原因とされたノロウイルスによる食中毒
は、昨年は42件(505人)だったが、今年はこれまでに1件。
厚労省は改訂について「必要な情報を加えるなど、被害の発生状況
に即した内容に近づけた」と説明している。

http://www.asahi.com/special/061215/TKY200612270224.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事で紹介されている厚労省のページには、以下のように書
かれています。これは記事の伝える訂正の後のものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

Q12 どのような食品がノロウイルス食中毒の原因となっている
のですか?

 このウイルスによる食中毒の原因食品として生や加熱が不十分な
カキ等の二枚貝あるいは、これらを使用した食品や献立にこれらを
含む食事があります。

 また、カキや二枚貝を含まない食品を原因とする食中毒も発生し
ていますが、食品からウイルスを検出することが難しいことなどか
ら、原因食品を特定できなかった事例(その他:食事特定及び原因
食品不明)が過半数を占めています。これらの多くは、ウイルスに
感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因と推定さ
れてます。

 カキなどの二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどの
エサを体内に残し、出水管から排水していますが、海水中のウイル
スも同様のメカニズムで取り込まれ体内で濃縮されます。いろいろ
な二枚貝でこのようなウイルスの濃縮が起こっていると思われます
が、われわれが二枚貝を生で食べるのは、主に冬場のカキに限られ
ます。このため、冬季にこのウイルスによるカキの食中毒の発生が
多いと考えられます。なお、カキによる食中毒は生や加熱不足のも
ので発生しており、十分に加熱したカキを食べても問題ありません

 カキ以外の二枚貝では、ウチムラサキ貝(大アサリ)、シジミ、
ハマグリ等が食中毒の原因食品となっています。

(参考)養殖カキについては、生産段階でノロウイルスの自主検査
を実施する等衛生管理を行っています。詳しくは水産庁のホームペ
ージをご覧下さい。
http://www.maff.go.jp/soshiki/suisan/norovirus/index.html


Q13 カキを調理する際、どのようなことに注意すればよいです
か?

 このウイルスは、主にカキの内臓、特に中腸腺と呼ばれる黒褐色
をした部分に存在しているので、表面を洗うだけではウイルスの多
くは除去できません。

 また、カキを殻から出す時あるいは洗う時には、まな板等の調理
器具を汚染することがあるので、専用の調理器具を用意するか、カ
キの処理に使用したまな板等は、よく水洗あるいは熱湯消毒等を行
った後、他の食材の調理に使用することなどにより、他の食材への
二次汚染を防止することが重要です。

 さらに、カキを調理したあとは手指もよく洗浄、消毒してくださ
い。

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この中で紹介されている水産庁のサイトを見ましたが、たいした
ことは書かれていません。生産の現場ではいろいろと努力している
ようですが、決定的な決め手はないというところです。

 さて、このカキの消費減少が「風評被害」であるのかというと、
私は疑問に思っています。カキがノロウィルスの感染源であり得る
のは事実だからです。

 上記の記事にもありますように、ノロウィルスはカキの内蔵の中
に保持されています。このとき、カキの体内で増殖しているわけで
はないそうです。

 そうすると、出荷時の殺菌処理などでは、ノロウィルスを退治す
ることはできません。出荷時の検査でノロウィルスを検出したとき
は出荷をやめる、という生産者がありますが、出荷時の検査で完全
にノロウィルスの感染を検出することはできません。

 このことは鶏卵のサルモネラ対策でいろいろと考えたことです。
ある確率で病原体を含むものがある場合、抜き取り検査で検知する
ことはたいへん難しいのです。千個に一個くらいの割合でノロウィ
ルスを含んでいたとき、数個から数十個の検査では、まず検出でき
ないと考えられます。

 したがって、カキは一定の割合で、ノロウィルスを持っていると
考えるべきなのです。そしてノロウィルスを含むカキを生で食べた
とき、かなりの確率で発症します。

 そうすると、一番確実な対策は「カキを生で食べない」ことです。

 鶏卵の場合も、「生で食べる」ことができるかどうかが問題にな
りました。幸い生産者の努力もあって、現在のところは生卵は大き
な問題にはなっていませんが、やはりリスクとしては存在します。

 カキの生食については、リスクが大きすぎるので、やめた方がよ
い、というのが私の意見です。カキ生産者が生き残る道は、カキか
ら完全にノロウィルスのリスクをなくすか、カキは生で食べないと
いうキャンペーンをするか、どちらかだと思います。

 人の生活排水が全く流入してこない海域で育てると、ノロウィル
スの危険のないカキを生産することは可能です。日本ではなかなか
難しいので、人工環境による生産も可能性としては考えられると思
います。

 しかし、現状から言うとあまり現実的ではありませんので、やは
りカキは生で食べないように徹底していく、というのが正しいので
はないかと思います。「生食用」表示をやめるとか、料理店に生で
出すメニューをやめてもらうとか、いろいろと手段をとることで、
消費の回復を計ることができるというわけです。

 惜しむらくはこのような騒ぎになってしまう前に、手を打ってお
くべきでした。そうすればカキは生で食べさえしなければ大丈夫、
と言えたのです。このあたりを考えると、生産者が「風評被害」だ
と言って被害者のような顔をするのはやはり違うのではないかと思
います。ノロウィルスのことは知らなかったわけではないのですか
ら、事業者の責任範囲ではないでしょうか。(カキの生食はやめよ
う、と以前からこのメールマガジンでは何度も書いています。)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今年の最後は大晦日の配信になりました。今年も一年、ご講読あ
りがとうございました。

 正月休みの間に、ホームページのリニューアルなどを考えていま
す。こんどの目玉は「ブログ」の導入です。今までのはブログもど
きだったのですが、今度はブログツールを仕込んでみようと思って
います。はたしてどうなりますでしょうか。

 それでは、よいお年をお迎えください。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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