安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>364号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------364号--2006.10.29------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「遺伝子組み換え作物」

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(連載)残留農薬/救急車/14才の母
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--〔話題〕--------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。長文ですが全文掲載します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 色々参考にさせていただいています。ビール会社に長年勤め、現
在第二の勤めを食品の品質関係について社内コンサルのような形で
やっております。 さて、いくつか気になる表現がありましたので
お知らせしておきます。

酵母の欄

(生イーストはバターのような塊で売っています。あれは糖蜜(サ
トウキビの汁から砂糖を採った残り)の中に酵母を閉じ込めてある
んだそうです。)

 パン酵母は糖蜜を栄養源として与えて、酵母を増殖させて作りま
す。その後、洗浄してろ過して固めたものです。---パン酵母(一部
地ビール用のビール酵母)を作っているメーカーさんに行ったこと
もありますので間違いは無いと思います。

ビールの欄

 (以前はビールの過剰な泡を抑えるためにシリコン樹脂を使用し
ていましたが、最近はたんぱく質の制御で泡を抑えることができる
ようになったという話を聞いたことがあります。 )

 ビールの泡が過剰になって困る話は聞いたことがありません。泡
をどうしたら長持ちさせるか苦労しています。泡で困るのは、発酵
初期に泡が過剰にできる事です。(高泡)発酵タンクからあふれて
しまうからです。でもこの対策にシリコン樹脂を使うのは聞いたこ
とがありません。

(モルト以外の原料としては、米、コーン、スターチなどが原材料
表示に書いています。この辺、日本のビール独特のスタイルではあ
ります。 )

 ビールに米・コーンなどを使用することは、日本以外でもごく普
通に行われています。おっしゃるとおり、オールモルト独特の重さ
を嫌って使われています。モルトより安い原料を使っているように
思われるかも知れませんが、必ずしもそうではありません。

(生ビールというのは、本来は醸造後のビールを殺菌せずに出荷し
たものです。これは全く保存性がなかったので、樽を開けたらその
日の内に飲まねばなりませんでした。 )

 酵母入りのビールの保存性が良くないのは事実ですが、数日間置
いておいてもそんなに問題にはなりません。生ビールの器具の良く
ない時代には、密閉が悪く、炭酸ガスが抜けてしまったり、微生物
管理ができなくて雑菌が茂ってしまったりすることで飲用に耐えな
いものになってしまってしまうのです。 

 現在、生ビールはどこでも飲めますが、本当にうまいビールをの
める店は実は少ないのです。管理の悪い店では雑菌が多くなってし
まって濁ったようなビールを出している店も結構あります。でも、
病気になるような菌は繁殖できませんのでご安心を。

地ビールについて

 地ビールの製造設備が同じメーカーの者が多いとの記述がありま
すが、そんなことはありません。地ビールは大手ビールメーカーの
醸造経験者が作っているところや、あまり経験のない素人同様の人
が作っているところもあり、玉石混交の状態だと思います。いずれ
にしても、すっきりしたビールは大手メーカーにとても太刀打ちで
きないので、いきおい重めの、こくのあるビールに偏ってしまって
います。また、上面発酵ビール(エールなど)の方が早くできるこ
ともあってこの傾向に拍車がかかっています。一般的にビールは少
量を造るほうが圧倒的に難しいので、地ビールは大変難しい経営を
強いられると思います。

 まだいくつかありますが、あまりに長くなるので、この辺にして
おきます。

 このHPは更新がよくされていて、内容も信頼でき、愛用しており
ます。 今後ともご活躍を期待しております。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 お酒のページにこのまま掲載した方がよさそうですね。どうもあ
りがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今週は休みます。

-〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「遺伝子組み換え作物」
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 毎日新聞にこんな記事が載っていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 遺伝子組み換え作物:生産10年の米国 大豆89%、トウモロ
コシ61%

 米国で遺伝子組み換え作物の生産量が着実に増えている。大豆の
約9割、トウモロコシの約6割が組み換えになった。なぜ、こうも
増えたのか。農薬使用量の減少や労力の削減といった生産へのメリ
ットがあるようだ。8月末、米国を訪れ、組み換え作物の最前線を
見てきた。その様子を報告する。【小島正美】

 ◇殺虫剤なしで収穫増

 米国中西部は豊かな穀倉地帯。その一つのオハイオ州で大豆(耕
作面積約300ヘクタール)やトウモロコシ(同約200ヘクター
ル)を栽培する大規模農家のフレッド・ヨーダーさん(52)は、
昨年も今年も、特定の除草剤をまいても枯れない遺伝子組み換え大
豆を栽培している。100%組み換えで、「おかげで除草剤の使用
が少なくて済み、収量も上がった。収入も1割増えた」と笑顔で話
す。

 畑のトウモロコシの実を示し、「このトウモロコシは除草剤でも
枯れないし、2種類の害虫にも強い」と三つの特質を組み込んだ最
新の「トリプル組み換え作物」だと自慢する。

 トウモロコシの根は害虫に食われやすいため、どの農家でも殺虫
剤を散布する。しかし、害虫を殺すたんぱく質をもつ組み換えトウ
モロコシだと殺虫剤の使用が少なくて済む。ヨーダーさんは「今年
は殺虫剤を使わずに収穫できそうだ。ウサギなど野生生物が以前に
比べて増えてきた」と組み換え作物が環境によい点を強調した。

 近くで大豆(同約500ヘクタール)やトウモロコシ(同約30
0ヘクタール)を栽培するブラッド・デービスさん(46)を訪ね
ると、やはり「大豆は100%組み換えだ」と言う。トウモロコシ
も「トリプル」だった。日本向けに組み換えでない大豆を作れば、
割増金を受け取れるが、デービスさんは「組み換え作物による農薬
使用量の減少や収量増加の魅力の方が大きい」と話し、日本の消費
者がもっと高い割増金を払わない限り、非組み換え作物には魅力が
ないと強調した。

 ◇綿83%

 米国農務省の今年のデータによると、生産される大豆の89%、
トウモロコシの61%、綿の83%が組み換え作物だ。96年に米
国で組み換え作物の栽培が始まってちょうど10年たつが、組み換
え作物の生産量は着実に伸び続けている。

 同省で安全規制などを担当するジョン・ターナー政策調整局課長
は「ここまで伸びてきたのは、たいしたリスクもなく、生産者にメ
リットがあったからだ」と説明する。

 ◇干ばつ害虫に強く窒素吸収能力高いマルチ品種、6〜7年後に
登場か

 遺伝子組み換え作物の研究開発は日進月歩で、世界をリードする
モンサント社(ミズーリ州)の研究所を訪れると、魚の油として知
られるオメガ3系油が豊富に含まれる組み換え大豆や干ばつに強い
組み換えトウモロコシが誕生していた。

 穀倉地帯の中西部では地下水位が下がり、かんがい用水が枯渇す
る恐れが出ており、同社研究開発担当のジョン・ヘドリックさんは
「そういう危機に備え、雨や水が少ない土地でも育つ組み換えトウ
モロコシを開発中だ」と話し、数年で市場に出るようになるという。

 一つの種子に6〜7の特質を組み込んだ作物も開発中だ。6〜7
年後には干ばつにも害虫にも強く、窒素吸収能力も高いマルチ能力
の組み換え作物が登場すると予想される。組み換え作物の試験研究
さえ思うようにできない日本との技術格差は広がる一方だ。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/news/20061027ddm013100182000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 良くも悪くもこれが現実なのでしょうね。遺伝子組み換えによる
新しい作物の作出は知らないうちに全く違う段階に来てしまってい
ると考えた方がよさそうです。

 すでに日常的なものになってしまっているので、原理的に批判し
ても意味がなくなってしまっているのです。元々批判的だった人が
この事態に対応するのはなかなか難しいです。

 こういう技術がなかった時代に戻せ、という主張が、本人の自己
満足以外の利益を生むことができるのかというと、悲観的にならざ
るを得ません。

 そういうところは原子力発電によく似ています。今でも嫌われ者
的なところがなくならない原子力発電ですが、知らないうちに原子
力発電所を止めることなど現実的にはできないようになってきてい
ます。

 電気が不足してもよい、という立場ならすっきりと反対と言えま
すが、気持ちとしては反対でも、それならどうすればよいかという
答えはなかなか出すことができないのです。

 電力会社の方も「絶対安全です。」などというウソをついてきた
過去を清算する必要があると思います。結局のところ、絶対に安全
な原子力発電所などあり得ないわけですから、安全性の確保への努
力をおこない、期待される安全性がその便益に対して十分納得でき
るレベルにあるかどうかの判断をしていくことしかできないのです。

 歴史的に見れば、今が原子力発電のピークなんだと思います。こ
れからは新しい、「再生可能な」エネルギー源が登場してくる方向
に進んでいくと思います。しかしまだまだその道すじは見えないの
です。あと数十年は「石油+原子力」の時代が続くはずです。その
ことを認めた上で、よりよい原子力発電のあり方を論議すべきだと
考えています。

 同じことが「遺伝子組み換え」についても言えます。この技術が
もたらす成果と、潜在的に感じられている不安とを、両方見据えた
上で、よりよい農業技術の開発という観点で考えていきたいと思い
ます。

 反動的な原理主義ではなく、よりよい未来をめざす立場に立つな
ら、ほっておくと暴走しかねないマッドサイエンティストたちや、
資本の論理を抑えていくためにも、もっと前向きの議論をしていく
べきなのではないでしょうか。

 毎日新聞の小島記者も、たぶんそう考えてこの記事を書いたのだ
と思います。それにしても、こういう記事のためにアメリカに出張
できるというのはうらやましいですね。

 経営的には苦しいと言われている毎日新聞ですが、痩せても枯れ
ても大マスコミだということを感じました。ネットの時代になって、
誰でも情報を発信できるようにはなりましたが、価値のある情報の
ためには、どこかにお金を集めて、このような取材活動ができるよ
うにしておくことも必要なようです。

 ということで、こういう記事は遠慮なく利用させていただくのが
私のいつものやり方です。マスコミの特権などとセコいことは言い
ませんので、これからもがんばってほしいと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 皆さんからのメールを楽しみにしていますが、今週はほとんどあ
りませんでした。Q&Aに質問がなかったのは本当に久しぶりです。

 しかしよく考えると、300回以上も続けていて、その間絶えること
なく質問のメールをいただき続けてきたというのはすごいことなん
ですね。それも平均して週に3通はあります。

 ということで、メールをお待ちしていますので、よろしくお願い
します。

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