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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------354号--2006.08.20------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「中国農民調査」「冷凍・ケチャップ・ジャム(Q&A)」
「ニンニク」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 『中国農民調査』(陳桂棣・春桃著 文藝春秋刊)という本を読
みました。中国で2004年に発売されて、数カ月後に発禁処分になっ
たことは知っていましたが、今年の5月に日本語訳が出ていたよう
です。

 中国の農民問題を扱った本ですが、読んでみるといろんな意味で
先入観が覆されます。

 まず、題名からして、社会学的な統計調査の本だと思っていまし
た。ところが内容は限りなく文学作品に近い書き方になっていて、
具体的な数字をあげているわけではありません。また網羅的な調査
でも、個別の村落の徹底的な調査でもなく、事件と改革にあたる人
たちを実名でとりあげたルポルタージュ風の作品です。

 また、中国で発禁処分を受けたということから、農民の貧困を告
発する、反体制的な本だと思い込んでいました。ところがこの本の
スタンスは腐敗幹部は糾弾しているものの、中国共産党中央は健全
であり、改革に懸命にとりくんでいて、改革の未来は明るいという
ところにあります。

 もちろん、すべての出版物が権力の検閲下にある中国ですから、
こういう内容でなければ最初から出版できていないわけです。しか
しこれだけ朱鎔基前首相や温家宝現首相をもちあげているのに、そ
れでも発禁処分となったのは意外な感じです。

第一章:事件
第二章:何が問題なのか
第三章:改革の長い道のり

 実名で腐敗幹部を告発していて、刺激的なのは一章だけで、後半
は数人の実在の幹部による農民税制改革の取り組みを追っています。

 中国では農民はいろんな意味で人間扱いされていません。家畜同
然というのは言い過ぎでしょうが、戸籍からして都市と農村に分け
られています。国に税を納めるが福祉を受けられるのは都市住民だ
け。農民は税金の他に村のさまざまな費用を一方的に徴収される、
被搾取階級として存在しています。

 第一章の「事件」は腐敗幹部が農民から金を搾り取って私腹を肥
やしていることを告発した農民を、腐敗幹部がゴロツキを使ったり
して殺害した事件です。

 税制改革はこうした過重な負担を廃止して、「農業税」を一本化
して、負担を下げるという内容です。現実にはすでに農業税も廃止
されていて、その意味では改革は順調に進んでいます。この本が書
かれた時点で語られた希望は実現しつつあると言ってよいでしょう。

 ところが「事件」はおこり続けています。昨年の中国での農民暴
動は一説には2万件を超えたといいます。何故、改革が進んでいる
のに暴動は増えているのか?というのがこの本では書かれていない、
いわば想定外のできごとなのです。

 税や費用という形をとって農民から搾り取っていた腐敗幹部は、
税の方で縛りをかけられたため、土地などの公共資材と環境から、
富を奪い取る作戦に出ているのです。

 中国では共産主義の建前もあって、土地の所有権が明確ではあり
ません。それをよいことに、土地を勝手に処分して、利益を奪い取
ることが横行しています。また、環境破壊的な産業を誘致して、そ
の利益も手中に納めます。そして奪った金を持って海外に逃亡する
というのが常套手段です。

 現在報道されている暴動は、ほとんどが土地の収奪か環境の破壊
が原因で起こっています。税負担が軽くなっても、土地を奪われ、
環境破壊によって住めなくなってしまえば、当然その方がひどいわ
けです。

 この本では朱鎔基前首相が農村の学校を訪問し、その実態を見て
驚き、心を痛めるという場面があります。一国の首相でありながら
自国の教育の実態を知らないとは、何という無能さであろうかと思
います。

 中国では帝国の中央は国の末端には関知しないという伝統があり
ます。まさに現在の政権は共産党を名乗ってはいますが、伝統的な
中華帝国で、地方は腐敗のままに放置されているようです。

 そのような「帝国」に乗り込んでいって、その土地と農民を使っ
て食糧を生産し、日本に輸出することが、目先の利益はともかく、
長い目で見たとき、両国の友好のためになるのか?という疑問を持
ってしまいました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.冷凍していいものダメなものってありますか?たまねぎは切っ
て冷凍しても平気でしょうか?キャベツなどは無理でしょうか?

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A.冷凍したときに問題になるのは、氷の結晶が育つことによって
組織が壊れることです。肉や魚類は比較的細胞が強く、冷凍保存が
可能ですが、野菜類は基本的に生のままでは無理です。凍らせたと
きは問題なく冷凍できたように見えても、解凍するときにもとのよ
うに戻ってくれません。

 したがって、野菜類は調理してから冷凍するのが普通です。

 たまねぎは冷凍できるという報告もあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 玉ねぎをフリージングする時は、煮物や味噌汁、サラダなどに使
いやすくて便利な、くし形切りにして、1回分ずつラップに小分け
し、ジッパー式バックに入れて冷凍します。さらにフードプロセッ
サーでみじん切りにしたものも、同じように冷凍します。

 みじん切りの玉ねぎは、余裕があれば、さらにあめ色になるまで
炒めてから冷凍しておくと、調理の時間も大幅に短縮でき、便利で
す。
http://my.noevirstyle.jp/81823023/archive/591
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 キャベツも冷凍したという話があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 僕んちの冷蔵庫、野菜室のすぐ上がやたら冷えるらしく、キャベ
ツが凍っていた〜。それを、たまたま野菜炒めに使う為に切ると。
。。な、な〜んとっ!めちゃくちゃ切り易いではあ〜りませんか♪
バサバサ散らからずに、サクサク切れて、しかも纏まっている。
おおっ!これは、おもしろい!と思いきや今度は炒めると。。。な、
な〜んとっ!解けたら火がとおったみたいにシンナリとして出来上
がりも、はや〜〜!!笑

http://plaza.rakuten.co.jp/luchapthk/diary/200502210000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これらは解凍したとき元に戻るのではなく、解凍と同時に調理し
てしまえば、組織が壊れていることが気にならない、ということな
のでしょう。調理時間が短くてすむというのはそのためです。

 本来の意味では冷凍保存できていないのですが、ものは使いよう
というわけです。まだまだ工夫の余地はありそうですね。

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Q.ケチャップの主成分ってなんですか。

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A.トマトです。で一行で終りですね。厳密にいうと、トマト以外
のケチャップというのもありだそうです。でも、普通はケチャップ
といえばトマトケチャップのことですよね。

 あるケチャップの原材料はこんな表示でした。

「トマト、糖類(砂糖、ぶどう糖、ぶどう糖果糖液糖)、醸造酢、
食塩、たまねぎ、香辛料 」

 多い順に書いています。原料の大半はトマトで、砂糖、酢、塩が
調味料です。たまねぎも普通少量ですが入っています。たまねぎ以
外の香味野菜を使うこともあります。香辛料はコショウなどでしょ
う。

 着色料が書いていません。トマトケチャップのまっ赤な色はトマ
トの色です。市販のトマトとは違って、ケチャップの原料になる加
工用のトマトは、全体がまっ赤になるまで熟したものを使います。

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Q.簡単なようなんですが、ジャムの定義について教えてください。
(普通のペーストとどう違うのか?)

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A.「ジャム類のJAS(日本農林規格)とCODEX(国際食品規格)」と
いうページがありました。以下にJASの定義を引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ジャム類 次に掲げるものをいう。

1 果実、野菜または花弁(以下「果実等」と総称する。)を砂糖類
等とともにゼリー化するようになるまで加熱したもの

2 1にゲル化剤、酸味料、香料等を加えたもの

ジャム

 ジャム類のうち、マーマレード及びゼリー以外のものをいう。

マーマレード

 ジャム類のうち、柑橘類の果実を原料とし たもので、柑橘類の
果皮が認められるものをいう。

ゼリー

 ジャム類のうち、果実等の搾汁を原料としたものをいう。

プレザーブスタイル

 ジャムのうち、いちごその他のベリー類の果実を原料とするもの
にあっては全形の果実、ベリー類以外の果実等を原料とするものに
あっては5mm以上の厚さの果肉等の片を原料とし、その原形を保持
するようにしたものをいう。

果実等含有率

 原料として使用した果実等(マーマレードにおいて、使用した果
皮の果実全体に対する割合が通常の果実が有する果皮の割合を超え
る場合にあっては、その超える部分に相当する果皮を除く。)及び
その搾汁の重量の製品の重量に対する割合をいう。

http://www.jca-can.or.jp/~njkk/standard.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 詳しくは上記のページをごらんください。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「ニンニク」
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 ニンニクについて、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ニンニクの芽についての質問がありましたが、芽が出ていても食
用できるとのことでした。今、私の手元には2週間前に購入した青
森産と中国産のニンニクがあります。青森産のものは発芽していま
すが、中国産のものは変化なしです。この違いは何でしょうか、ま
た、どちらも食用可能でしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も気になったので、少し調べてみました。まず、産地のレポー
トで、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今でこそニンニクは1年中、店頭に並ぶが、以前は冬から春にか
けて出荷できなかった。消費者に嫌われる芽が出て、商品価値がゼ
ロになってしまうからだ。

 国内で使用が認められているニンニク用の発芽抑制剤は一つしか
ない。まさに「切り札」だ。

 ところが、昨年春、製造メーカーが突然、「発がん性物質が発生
する疑いがある」として販売中止、自主回収を発表した。

(略)

 青森県で発芽抑制剤が使われ始めたのは約30年前。当時の栽培
面積は現在の15分の1で、トップを競っていた宮城県や岩手県の
3分の1にすぎなかった。

(略)

 収穫1週間前までに畑に散布する発芽抑制剤を積極的に使った。
栽培面積は一気に増えた。今では、青森県だけで国内産ニンニクの
生産量の約8割を占める。

(略)

 厳しいせめぎ合いの中で降ってわいた発芽抑制剤の販売中止。青
森県の関係者はいま、氷点下2度で冷蔵する「低温貯蔵」、50度
で乾かす「乾熱処理」、さらに38度で保温する方法など、新しい
発芽抑制技術の開発に躍起だ。

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe124/20030322_01.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以前は「発芽抑制剤」が使われていて、現在では使用できなくな
った、ということです。商品名「エルノー」、有効成分は「マレイ
ン酸ヒドラジッド」で、他の作物にも使われていたようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

マレイン酸ヒドラジッドによるパイナップルの冠芽伸長抑制

 本剤は、2002年4月22日付けで販売中止、出荷品回収の措
置がとられていますので、使用することができなくなりました。

使用できなくなった理由

 理由は、製造メーカーの日本ヒドラジン工業から農水省に、「エ
ルノー液剤は、品質劣化により遊離ヒドラジンが増加する」と報告
があり、遊離ヒドラジンの基準値を設定することになりました。メ
ーカーは、この基準値をクリアーすることが困難として販売中止と
出荷品回収を指示しました。

1.薬剤の説明
  一般名:マレイン酸ヒドラジッド
  商品名:エルノー
  含量及び剤形:39%液剤

http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/cyouseizai/pinegrowth.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 発芽抑制剤は普通にイメージする農薬(殺虫剤、殺菌剤など)と
は働きが違いますが、農薬の登録を受けています。農薬の登録は厳
しいので、わずかでも不安があるとこのように取り消されてしまい
ます。

 最近、発芽しかけているニンニクをよく見るような気がしていま
したが、どうもこのせいだったようです。産地では冷蔵設備を作っ
たり、いろいろと対策に困っているようです。

 こんなニュースもありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 八戸市のポリエチレン製造・包装資材販売業「三信包装」は、三
菱ガス化学の関連会社・エージレスサービスセンター(本社東京都)
と共同で、ニンニクの発芽抑制剤を開発、販売している。出荷時に
ネットの中に入れておけば流通段階での発芽を抑えられる上、熱処
理の必要がないため風味も保てる。同社によると、同様の発芽抑制
剤はほかになく、県内関係者から反響も出始めているという。

 同社は植物ホルモン「エチレン」が発芽を抑制する効果に着目し
た。エチレンを吸着させた鉱物の一種である「ゼオライト」を、乾
燥剤などで使われる通気性のある小袋に収納。ニンニクから湿気が
発生するとエチレンを放出する仕組みだ。

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/0116/nto0116_2.asp
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 効果はあるようですが、コストが問題ですね。高級品には使われ
ると思いますが、中国産と競争になっている市販のニンニクには難
しいかもしれません。

 中国産については、上記のレポートの続きで、こんな記事があり
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 収容量5000トンの巨大冷蔵庫を前に、中国側の関係者は「6
月から出荷直前まで氷点下2度で保管する。翌年4月の出荷後半ま
で、発芽の心配は全くない」と胸を張った。

 だが、川村課長は「バイヤーは、中国産は芽や根が出て困ると話
していた。中国側の説明は、額面通りには受け取れない」と言う。

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe124/20030323_01.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうも何かしているような印象です。もう少し調べてみると、こ
んな記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国では、ニンニクの発芽防止や香辛料等の殺菌方法として、20
品目以上の食品に放射線照射が認められ、年間10万トン以上の食品
に放射線が照射されています。

(略)

 食品に通常含まれている炭素や窒素などの原子が放射線を受けて
放射能を持つようになるためには、10メガ電子ボルト以上のエネル
ギーが必要です。その10分の1のエネルギーの放射線照射を受けれ
ば、10分の1の放射能を持つというものではなく、10メガ電子ボル
ト以下であれば、放射能を持つことはありません。

 国内で「ばれいしょ」の照射に使われるコバルト60のガンマ線は、
最大でも1.3メガ電子ボルトのエネルギーですから、照射された
「ばれいしょ」が放射能を持つことはありません。

 このように、管理された条件のもとで照射される限り、食品に当
たった放射線は熱に変わったり、食品を通り抜けてしまい、食品の
中にとどまって放射線を出すようなことはありません。

http://www.tokyo-eiken.go.jp/issue/health/11/2-2.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 手品のタネはこれだったようです。日本では北海道に一つだけ、
ジャガイモの放射線照射施設がありますが、それ以外では使われて
いない技術です。

 ここにも書かれていますが、安全性の高い技術なので、飢饉の際
の援助物資など、もっと使われてもよい、という議論もあります。
国際的にはすでに使用がはじまっていると考えてよいようです。

 照射された作物は危険ではありませんが、放射線の元になるコバ
ルト60は非常に危険な物質です。放射線照射は農薬と違って、個人
の農家で使える技術ではないところが問題です。日本でやるとすれ
ば、農協あたりで施設を作るのでしょうが、あまり現実的ではない
と思います。

 中国で放射線を扱うとなると、何だかコバルト60を素手で扱って
いたりしそうに思いますが、まさかそんなことはなく、ちゃんとし
た産地で、立派な施設を作っているのでしょうね。そういうものと
競争しなければならないのですから、ニンニクの生産者もたいへん
です。

 ニンニクの芽には毒はありません。芽が出ても気にせず使うとい
うことでよいと思いますが、いかがでしょうか。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 ニンニクの件はQ&Aの欄に書いたのですが、長くなったので独
立させました。サイト掲載時にはQ&Aの一つにしておきます。

 今年の夏は旅行にも行けなくて、家でビデオを見ていました。ま
た中国に行きたいのですが、妻がイヤだというので困っています。

 来週は花巻で「宮沢賢治国際研究大会」に参加しています。金曜
日から行きますので、次回は花巻のホテルから配信の予定です。

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