安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>352号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------352号--2006.08.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「インク・グリシン・食品添加物・シューマ
イ(Q&A)」「ベンゼン」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回もいただいたメールを紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつもながら爽やかなご意見を拝見し嬉しく思います。さて、今
週の記事ですが、八朔酒の中でカビは生えないとの事、可能性とし
ては容器の上方の直接液に接しないところでは、アルコールの殺菌
性が不十分なため(気化したアルコールだけ)カビなら増殖できる
ものもあるかと思います。それが液の中にぽとりと落ちて浮遊する
ということはありそうです。

 さて、米国産牛肉の問題、というより米国産牛肉の日本の報道の
問題、ますます愚劣化を強め、食べればすぐにでもBSEに感染する
かのような姿勢には辟易します。なによりもアメリカでのBSEの牛
の発生は日本よりはるかに少ないということを無視しています。さ
らに日本の屠殺場の設備の問題など、非常に問題が大きいと思いま
すが、それも意識的に不問にしているようで不快感が募ります。政
府の説明責任という中に含まれるのでしょうが、本音をこめて「ア
メリカの靴の底を舐めるように歓心を買ってきたのに、こんな問題
で機嫌を損ねられるか」とでも言えばいいのかも。あるいは、
「BSEに注意しても上からミサイルが降ってきたらおしまいだろう」
とか国民の安全という意味ではそちらの方がはるかに大事かも。ま
あ、政府にもマスコミにも不信と不快が広がりますが。

 一つ強調したいのは、加工食品の原料原産地表示がないのでアメ
リカ産が紛れ込むという論調ですが、表示義務が無くても他の産地
の原料を使っていたらそのメーカーは必ずそのことを表示するはず
です。100%豪州産とか。日本のメーカーの競争心を甘く見ては
いけません。ほとんど差が無いものでもなんとか差別化と言ってい
るメーカーがこんな機会を逃すはずがありません。したがって、
「表示が無いもの」だけを避けていればアメリカ産牛肉を食べずに
いられるはずです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 次も同じ話題ですが、ちょっと質問があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 渡辺様のBSEに対するコメントにあるキーワードの「ピッシング」
と、「きっこの日記」等で繰り返し出てくる「糖蜜飼育」の2つの
ワードでググると、2ちゃんねるのページしか出てこないという非
常に恐ろしい言論弾圧?の状況があり、ちょっとびっくりしてしま
いました。

 渡辺様は、この「糖蜜飼育」に関して何か情報をお持ちでしょう
か?「きっこの日記」などによると、

・アメリカとカナダの2カ国では、鶏糞に糖蜜をかけて牛のえさと
している。
・鶏に肉骨粉を与えることは合法で、未だに行われている。
・肉骨粉に含まれている異常プリオンは、鶏が消化吸収することな
く糞として排泄される。
・故に「糖蜜飼育」は、間接的に牛が肉骨粉を食べていることと同
等であり、牛の体内に異常プリオンが蓄積する原因となり非常に危
険である。

ということだそうです。

 渡辺様のメルマガ中には、この「糖蜜飼育」に関する記述が全く
ないようなのですが、上記のような情報が事実だとすると、それで
もまだ「輸入を禁止する理由はない」という立場を取られるのでし
ょうか?

 私は、ピッシングも糖蜜飼育も同等に危険であり、全廃すべきで
あると考えております。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ピッシングは特定危険部位の除去ということから考えると、ある
程度のリスクがある、現実のリスクです。それに対して鶏に肉骨粉
を食べさせて…というのは現実のリスクというよりは連想ゲームの
ようなものだと思います。

 この方法がよいとか悪いとかいうことではなく、BSEの感染防
止という観点からは問題にならないです。この論法が通るなら、B
SEが発生した牧場を歩くだけでも危険だ、などと言えてしまいま
す。これは「量」の概念を無視しているからです。

 だから私は同列には考えられないというか、あまり根拠のない説
だと考えています。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.先日、お菓子を作っていたんですが生地を切るときにものさし
を使いました。ところがそのものさしに赤ペンのインク(油性か水
性かは分からない)が付着していたため、生地にインクがついてし
まいました。(焼く前)いそいで、生地を水で洗い、ひどいところ
は切り落しましたが生地について食べてしまったかもしれません。
赤ペンのインクは害があるのでしょうか?心配でたまりません。よ
ろしく御願いします。

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A.ちょっと心配のしすぎですね。今さら心配しても仕方ないと思
いますよ。

 インクは多分有害です。しかし「有害」といっても、すべて量と
関係した概念であって、わずかでも存在するだけで害があるという
わけではありません。どんな毒物であっても、症状が発生するため
にはかなりな量が必要です。

 元からものさしについていた量、生地に移った量、取り除いた後
に残ったかもしれない量、食べてしまったかもしれない量、と考え
ていくと、おそらく何の問題もないと考えてよいでしょうね。

 そのものさしを直接なめたって、被害が出るとは考えられません。
そんな量で被害が出るほど有害なものが身の回りにあったらそれこ
そたいへんです。

 その上、これらは症状がでるかもしれないという仮定の話ですが、
実際にはすでに食べてしまって、何も症状が出ていないのでしょう?
それ以上、何を心配することがあるのかと聞きたいくらいです。

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Q.味の素食品が「グリナ」という健康食品を販売しています。ア
ミノ酸の一種であるグリシンが、睡眠の質を高める効果をもたらす
のだそうです(「グリナ」の原材料表示は「グリシン、クエン酸、
香料」となっています)。ところで、グリシンは食品の保存料とし
て一般的に使われていると聞きました。「グリナ」を飲み続けても
大丈夫でしょうか。また、この製品にかぎらず、各種のアミノ酸製
品に使われているアミノ酸は、どのように製造されているのでしょ
うか?教えてください。

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A.グリシンは最も簡単な構造をしたアミノ酸です。甘みがあるの
で調味料にも使われていましたが、添加物として使うと保存性を高
める効果があるということも知られています。

 ただし、直接微生物を殺したりするわけではありませんので、保
存料として扱われているのではありません。

 睡眠などと関係した生理的な活性については、ごく最近に話題に
なっています。このことの真偽は私にはわかりませんが、少なくと
も健康に害がある物質であるとは思えません。

 グリシンはアミノ酸ですから、タンパク質を構成しています。コ
ラーゲンに多く含まれるということですので、そういうタンパク質
を分解しても得られます。また、非常に簡単な構造のため、他の物
質から変化させるのもできそうです。具体的にどのような方法で作
られているのかはわかりません。

 メーカーもこのあたりを積極的に発表してくれればよいのですけ
れどね。一度メーカーに問い合わせてみられてはいかがでしたでし
ょうか。
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Q.肝臓がよくないので添加物の少ない食品をとりたいのですが、
添加物の入っていない食品はほとんどない世の中。肝臓によくない
添加物はなんでしょうか?大豆由来とか書いてあるのはいいような
気もするのですが。

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A.食品添加物で肝臓の心配をしなければならないものは実質的に
はないと考えてよいです。

 ADIといって、これ以下の摂取なら影響がないという値があり
ます。市販の食品を普通に食べていた場合、食品添加物の摂取量は
一部を除いてこの値の1%以下であり、最大でも数%にとどまるこ
とが知られています。

 ただし、例外があって、亜硝酸だけはADIを越えていると思わ
れます。しかしこれは食品添加物ではなくて、野菜に由来するので
す。

 亜硝酸を恐れて野菜を食べなければ、たぶん食べないことの方が
害があるでしょう。

 食べ物に気を使うのはよいことですが、漠然とした不安を持つ必
要はありません。肝臓によくないのは一に酒、二にタバコ、と考え
て間違いないと思います。あとは食べ過ぎにご注意でしょうか。

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Q.先月買った冷凍のえびシューマイを、今朝、電子レンジで袋の
まま温めて、そのままお皿に小分けして置いて置き、お昼に2人の
子供が食べたところ、中の一つに、蛆虫の幼虫(保健所でそういわ
れました)が、底にうじゃうじゃといました。15個のうち12個
を食べてしまっているのですが、体に影響は、ありませんか?蛆虫
は、内臓を破ってでてくるとか聞くと心配です。また、後々の影響
が心配です。メーカーに電話をすると、ありえない、自宅で付着し
たのではないかといわれました。どういう状況なら、蝿が、直接蛆
虫を生みつけることができるのでしょうか?また、この場合、病院
へ行った方がいいのでしょうか?

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A.レンジであたためて時間はたっていますが、微生物ならともか
く、「虫」が発生するには早すぎます。つまりこの虫はレンジであ
たためてから発生したのではなく、元からあったと思われます。

 製造時、または保管時に何か問題があった可能性が強いです。メ
ーカーの対応は不誠実のように思いますので、もう一度強く言って
みられてはどうでしょうか。

 もし、虫を食べてしまっていても、単なる栄養源です。食べた後
も問題はおこっていないようですから、毒ではないことは確実です。
また、こういう虫は寄生虫でもありませんので、あとに影響がある
こともないです。

 何か症状があったら病院に行くべきですが、何も症状がないのに
行っても、お医者さんが困るだけだと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「ベンゼン」
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 清涼飲料水に含まれるベンゼンのニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

清涼飲料水中のベンゼンについて

1,経緯

 本年春以降、英国等諸外国で、清涼飲料水中の安息香酸(保存料)
とアスコルビン酸(酸味料、酸化防止剤)が、ある条件下で反応し
ベンゼンが生成すること、市販製品中にベンゼンが低濃度検出され
ること等が公表され、英国等ではベンゼン10ppbを超える製品の自
主回収が要請された。

2,我が国での市販製品についての分析

 我が国においても、市場に流通する清涼飲料水の市販品で、安息
香酸とアスコルビン酸の両者が添加されているもの31製品について、
ベンゼンの含有量について分析検査を、5月以降国立医薬品食品衛
生研究所において実施した。

3,厚生労働省の対応  

(1) 我が国では食品中のベンゼンに関する法定の基準値はないが、
「WHO飲料水ガイドライン(第3版)」のベンゼンに関するガイ
ドライン値、及び水道法での水道水のベンゼンに関する基準値であ
る10ppbを超えてベンゼンが検出されたものが下記のとおり1品目
あった。

 当該製品については、厚生労働省として販売業者に対し分析結果
を通知し、回収を行うよう要請を行ったところである。

  記

製品名:アロエベラ
販売業者:(株)ディーエイチシー (DHC)(東京都港区)
検出されたベンゼン濃度: 73.6ppb(3検体平均)

(2) また、厚生労働省は、都道府県等及び業界団体を通じて、全国
の清涼飲料水製造業者等に対し、必要に応じ自社製品の実態を把握
するなど所要の措置を講じるよう要請を行った。

(3) さらに、本件に関して厚生労働省ホームページにQ&Aを掲載
し、国民への適切な情報提供を開始した。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/07/h0728-4.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 欧米ではファンタなどのソフトドリンクがやり玉に上げられてい
ましたが、日本で検査してみると、健康食品(アロエ飲料)がひっ
かかったということです。

 このあたりの解説は以下の松永和紀さんのページに詳しいので、
ごらんください。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=683

 安息香酸というのはベンゼン環(俗にいう「亀の甲」)を含む物
質です。保存料として使われます。アスコルビン酸はおなじみのビ
タミンCのことです。ビタミンCには還元力がありますので、安息
香酸からベンゼンができてしまうということなのでしょう。

 どれくらいできるのかということは上記のページにはこう書かれ
ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 豪州・NZ食品基準機関(FSANZ)が、興味深い情報を提供してい
る。1日のベンゼン摂取量として、呼吸220μg/車の1時間運転で
40μg/喫煙で7900μg(ただし、これはEUの情報で、ほかに1800μg
程度という説もあるようだ)/受動喫煙50μg/食品と飲料0.2-3.1
μg----などと紹介されている。

 もし、ベンゼンが70ppb含まれている清涼飲料水を1日に約200ml
飲むとすると、計1.4μg摂取ということになる。呼吸や喫煙摂取に
比べて非常に少ない。(1)で説明したように天然に生成すること
もあり、各国ともにゼロは要求せず、それなりの対策を講じながら
摂取を抑えていこうという姿勢だ。

http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=683
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こう見るとタバコの害は飛び抜けて大きいですね。受動喫煙とい
うのは自分ではタバコをす吸ない人が、周囲のタバコをすう人から
受ける被害です。これだけでもこんな数字になるのですから、家族
の前でタバコを吸うというのは犯罪的なことです。家族でなくても
犯罪的であるのには違いないですが。

 さて、健康食品から検出されたというのがやはり興味をひきます。
健康食品にはいろいろなうたい文句が必要ですので、つい危ない橋
を渡ってしまうということもあります。

 アロエというのは薬草で、わりとよいイメージが持たれています
が、実は今まで食用としては栽培されていませんでした。

 長い年月をかけてつくられてきた食文化には意味があると思いま
す。身近にあるもので食用になっていないものには、食用にならな
かった理由というのがあると考えてよいはずです。

 つまり、今まで食用とされてこなかったアロエを常食することに
ついて、安全性は(普通の食品以上に)保証できないということな
のです。

 食品の安全ということに対して敏感な人ほど、健康食品に手を出
しがちです。しかしこれはイメージでしか考えていないということ
で、本当に安全が大切だったら、健康食品、それも食品とは言い難
い原料を使ったものに手を出してはいけません。

 安全性なんか無視して、「健康のためなら死んでもよい」という
覚悟があるのなら止める理由はありませんが。

 昔、某健康飲料で、「ケール」という野菜を使ったものがありま
した。あるとき、原料のケールがなくなったので、代わりにキャベ
ツを使ったことがバレたという事件がありました。

 しかし成分には変りがなかったので、そのまま売ったというオチ
です。それならはじめからキャベツを使っておけよ…。でも、キャ
ベツではなくケールだから、なんだかよさそうに思うわけです。

 妻がローヤルゼリーを飲む、と言い出したときは「女王蜂になる
つもり?」などと言っていやがられました。健康食品で売れるため
には何かしらのイメージが必要なんですね。これが安全面では健康
食品には不安がある、と言わざるを得ない原因だと思います。

 最後に、今回引用させていただいた松永和紀さんの本を紹介して
おきます。

『踊る「食の安全」―農薬から見える日本の食卓』
家の光協会 刊 1470円

 農薬にスポットをあてて、「農薬を使わない農業」というのが本
当はどういうものであるかを書いています。

 農薬が危険だ、という思い込みは間違いだけれど、農薬に頼った
農業もいけない、というスタンスは私もそのとおりだと思います。

 ぜひ読んでみてやってください。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 もうすぐ「お盆」ですね。あまり宗教行事には関心がないのです
が、今年は昨年亡くなった友人の初盆ということで、いろいろと感
じます。

 夏休み、水の事故には気をつけてください。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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