安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>349号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------349号--2006.07.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「パン・水筒・レモン果汁・マーガリン・鶏
骨(Q&A)」「遺伝子組み換え作物」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 いただいたメールを紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 昨日(7/9 日曜日 23:00前後)素敵な宇宙船地球号というテ
レビ番組を見ておりました。そこで心に残ったのが「中国の奥地か
ら流れる真っ赤な水の河」の映像でした。
http://www.tv-asahi.co.jp/earth/midokoro/2006/20060709/index.html

 番組の趣旨としては、「観光と農業」の融合の間で悩む中国雲南
省農村部の現状をレポートしたものでした。森が丸裸にされて、剥
き出しになった赤土の大地から大雨の度に土が流出し河に流れ込む
時に真っ赤な水となって流れ込んでいました。

 以前にメールで取り上げられていらっしゃった、中国野菜などの
汚染を煽る人々が「中国産の危ない理由」の根拠のひとつとしてオ
ドロオドロシイ真っ赤な水が河に流れている映像を使っているがあ
ったように思います。

 中国では環境破壊が起こっていて、上流から工場から垂れ流され
る水が汚染され赤い水が流れている地域があるとの紹介だったと思
います。映像の赤い河の様子が、以前メールで紹介されていたサイ
トの映像とそっくりだったのです。もちろん違う所かもしれません。

 しかし、もし同じ地方であれば事実は随分ねじ曲げられています。
「環境破壊」がもたらしたものではありますが・・・。

 ちなみに私は中国産が絶対嫌なタイプではなく、なるべく近い所
で作られたものを選ぶようにしています。近畿に住んでいますので、
なるべく近畿地方中心に野菜は選びますよ。季節ですので、山形の
さくらんぼもたべますけど・・・。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 問題のサイトは以下のところですね。
http://blog.livedoor.jp/safe_food_of_asia/

 写真を見る限り、同一の場所ではないように思います。テレビの
方は赤い水でも、風景はきれいなところです。もう一つの方は都会
の川のように見えます。

 このサイトも要するに根拠のない煽りで、困ったところなんです
が、遺伝子組み換え作物の問題とは逆の意味で悪意でやっているわ
けではなく、そういう思い込みなんだと思っています。

 中国を悪く思う右翼勢力による中傷宣伝…。そんな風にとられて
も仕方ないところはありますが、私はそうではないだろうと思って
います。サイト自体は困ったものですが。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.1歳5ケ月の息子が朝かってにロールパン1つを食べていて、
3時ごろ袋に残ったパンに1cm弱の青いカビが1つ生えているのを
見つけました。息子が食べてしまったパンにカビがあったかは不明
で、朝食べてるのを見かけたときにはパッと見にはカビは見えなか
ったので大量のカビがあったとは思えませんが、まだ小さい子供な
ので不安です。(パンを食べてから半日ほどたちましたが特に普段
とかわりありません)カビには発がん性があるといいますが、パン
のカビもでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.こういうのは心配は心配なんですが、どうもしようがないです
ね。お医者さんに行ってもたぶん相手にされません。症状がないの
ですから、手のうちようがありません。

 普通に考えて、何も異常がないのなら、心配しても仕方ないと思
います。カビの生えたものは食べない方がよいのですが、少しくら
い食べたからといって、すぐに害になることもないと思います。

 発ガン性というとアフラトキシンを生成するカビもありますが、
幸い日本ではまず発生しないそうです。味噌や醤油もカビの力を借
りて作ります。そういうことを考えて、あまり心配しないのが一番
だと思います。

------------------------------------------------------------

Q.子供が毎日ストローが飛び出てくるプラスチック水筒を持って
幼稚園に行っていますが、使用後にはお茶を入れている部分とスト
ロー飲み口は毎回洗ってますが、細部や奥部(ストローの飛び出る
部分など分解しなければいけない部分)にどうしても茶色や黒っぽ
いの汚れなどがついてしまい、ずっと茶渋だと思い目立ってくると
爪楊枝などでこすってとっていましたが、今になってこれはカビだ
ったら?とかなり不安に思ってます。

 お茶しかいれていないのですが、このような状況で万が一カビだ
ったとして発がん性などは大丈夫なのでしょうか?一部のカビには
発がん性があると聞き子供に申し訳なくってしょうがありません。
アドバイスお願いします(すぐに簡単な構造の水筒に買い換えまし
た)

------------------------------------------------------------

A.たぶん、普通に汚れていただけだと思います。その汚れの中に
はカビなどの微生物もいたかもしれませんが、どこにでもいるもの
ですから、心配しても仕方ないです。

 カビ毒の中で代表的なアフラトキシンを生成するカビは日本には
いないとされています。それほど有毒なものはいないと考えてよい
です。

 何か症状が出ている場合以外は、こういう心配はしても仕方あり
ません。清潔や衛生管理ということは大切ですが、心配にとりつか
れてしまうのはどうもいけません。

 もっと余裕が必要ですね。

------------------------------------------------------------

Q.レモン果汁のフタに青カビのようなものがあり、果汁の中には
胞子のようなものがあったのですが(もしかしたらレモンの果肉か
もしれないけど)、先日知らずに紅茶に入れて飲んでしまいました。
ネットで調べるとカビの生えたものは発ガン性があったりと、今す
ごく恐怖を感じています。もし良ければ、対策方法など教えていた
だけたらと思い、質問させていただきます。よろしくお願い致しま
す。

------------------------------------------------------------

A.カビの胞子は目に見えるようなものではないでしょう。大量に
あればホコリのように見えるのかもしれませんが、果汁の中に見え
るのなら、それは胞子ではありません。それに胞子を食べてしまっ
ても別に何もおこりません。スイカのタネを飲み込んだら、おなか
の中で芽がでないか?などと心配したものです。

 気になるのは果汁の瓶の蓋にカビが生えていたということです。
本当にカビなら、かなり古いものということになりますが、保管方
法などは大丈夫なのでしょうか。いきなりカビの心配をするのでは
なく、そういった全体的な注意からはじめてください。

------------------------------------------------------------

Q.マーガリンの安全性についてお尋ねします。液状の植物油に窒
素を強制的に自然の脂肪酸でないものをつくり、これで固形の形に
しているとのことで、外国では販売規制をしているとネットでみま
したが、本当に安全なのでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.窒素ではなくて水素ですね。植物油に多い不飽和脂肪酸という
のは、化合物中の水素の数が少ない(飽和していない)ので、その
分炭素原子同士の二重結合ができています。ここに水素を添加して
二重結合をなくすと、脂肪酸の融点が変化します。この結果液状だ
った植物油が常温で個体のマーガリンになるわけです。

 このとき、一部の不飽和脂肪酸の二重結合が変化して、トランス
型になることが知られています。通常の脂肪酸の二重結合はシス型
と呼ばれる配置になっています。形としてはトランス型の方が飽和
脂肪酸に近く、栄養的には不飽和脂肪酸として評価されないようで
す。

 このトランス型脂肪酸はとりすぎると害があります。自然にもあ
るものなので、どの程度まで摂取してよいとかいろいろと議論され
ています。このサイトにもたくさん情報がありますので、「トラン
ス型脂肪酸」または「トランス酸」で検索してみてください。

 外国での販売規制は、デンマークなどではあるようです。しかし
これは酪農国で、あえてバターの代替品を作る必要がないというこ
とでもあります。ネット上ではよく「ドイツでは販売禁止」という
ような情報が書かれていますが、これは全くのガセネタであること
はドイツ在住の人からのお便りで判明しています。

------------------------------------------------------------

Q.誤まっているかもしれないのですが、骨付きの鶏肉を調理した
際、食べるときに骨が割れることがありますよね?その骨は食べた
らいけない、すぐに手を洗わないといけない人に言われたのですが、
何か悪いものが含まれているのでしょうか?まれにお店で買った鶏
肉にも髄?らしき茶色い部分がありますが、それもダメなのでしょ
うか?おしえてください。

------------------------------------------------------------

A.どういうことなのでしょうかね。私にはちょっとその理由はわ
からないです。骨髄には別に毒があるわけではないし、BSEなど
の病気も鶏では知られていません。牛の骨髄なら、確かにあまりさ
わらない方がよいのですが…。

 鶏の骨は割れやすいので、犬などに食べさせてはいけないといわ
れています。それ以外に危険情報というのは私は知らないです。

 鶏肉で茶色い部分というのは、脂肪の固まりが見えているところ
だと思います。色が濃いのなら、血の固まりかもしれません。いず
れにせよ、骨髄が残っている可能性はほとんどないと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「遺伝子組み換え作物」
------------------------------------------------------------

 前回の遺伝子組み換え作物のネタについてのメールを紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 生協職員の読者です。この連続講演会には関わっている生協では
ありませんが、「政府やメーカーの言うことは疑うのに、消費者側
に立っているというポーズだけで疑うことをやめてしまいます。議
論は事実と論理に基づいておこなうもので、人の立場を考慮するの
は間違っているのに、先に敵味方を区別してしまうため、あとはだ
まされ放題です」というのは耳の痛い指摘です。この実験のことは、
引用された松永和紀さんのコラムで知りましたが、いくらなんでも
ここまでズサンか・・・というのは信じがたい思いがします。

 このことは自分もブログに書きました。
http://black.ap.teacup.com/niwatori/934.html
 ただ、会場に行った組合員が騙されたのは、こういうチラシ
http://www.kirari.coop/uploads/photos/178.pdf
を事前に見ていれば無理もないかな、と言う気もします。騙される
のは「立場」とともに「肩書き」も大きな意味を持ちますから。

 紹介されていたブログの続報では「東京公演は会場での質問不可
になってました。最初に「今日は質問は出来ません」とあらかじめ
念押し」となってたそうで、問題は“騙されている”だけでなく、
“都合の悪い情報には耳を傾けない”“立場上後に引けない”とい
うところでしょうか。

 食品添加物でも危険と言われたものの、あとで発がん性を否定さ
れたり(サッカリン等)、ということは本来、安全なものを食べて
いた「よかった」って喜ぶべきことだと思うのですが。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

http://blackshadow.seesaa.net/article/20469857.html

これによると質問を封じたそうです。と、いうことは渡辺さんの

>生協関係者が科学に弱いからだまされてしまうの
>か、それとも確信犯的にでっち上げをやっているのか、
>判断に苦しむところです。
>私の経験から考えると、たぶん前者だろうと思います。
>エスコープの専務理事の顔を思い浮かべたりすると、そう思
うのですね。
>いい人なんだけど科学に弱いというのが生協職員に共通する
特徴です。

 好意的な解釈は間違いで、やはりGMOの恐怖を無知な大衆に植え
付け、非遺伝子組換え食品商法で金儲けを狙っているのではないで
すか。お知り合いなら是非確認をお願いしたい。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうも鋭いツッコミをいただきました。どう考えても、デマ宣伝
で大衆を煽ろうとしている図ですが、本人たちの気持ちはそうでは
ないのがやっかいなのです。一部に本当はわかっているのに、大衆
は騙して指導するものだ、と思っている前衛きどりの人はいるので
しょうが、たいていの主催者側の人間はそうでもないのです。

 質問を封じることが、どのように思われることなのかということ
すら理解していないのです。彼らからすると、悪意のある質問を封
じるのは当然のことだと思っているはずです。松永さんの質問は、
資本家や国家権力の意を受けて妨害しにきたものだと思うのですね。
実験の不備やずさんさを指摘されることが「研究への迫害」という
ことになっていたりします。

 アンケートをとって、自分たちを支持する意見が少数だったとき、
もっと組合員を啓蒙しなければならない、という結論を書く人たち
ですから。(実話です。)

 実態は単なる思い込み人間で、悪い人たちではないんです。私は
内部でずいぶん議論をふっかけたのですが、結局相手にしてもらえ
ませんでした。

 外部から見ると何かの思想によってデマ宣伝を繰り返している団
体として見られてしまいますが、中の人たちはやはり単に騙されて
いるだけだと思っています。

 それでは誰にだまされているのか?というと、これがはっきりし
ないのです。どこかに陰謀家が潜んでいるのではなく、単におめで
たい人たちが集って、暴走しているだけと言った方が実態に近いよ
うな気がします。少なくとも私の知っている生協職員に、デマ宣伝
を仕掛ける能力を持っている人はいませんでした。

 科学者の中にも、自分のやっている実験の科学的な価値について
理解できない人がいます。このような人たちが自分の思いつきを実
験結果にして(思いつきから結果が出てくることがすごいですが)
発表したとき、世間(学会など)から受け入れられないと、「自分
の研究は価値のあるものなのに、業界や政府の圧力によって迫害さ
れている」と思うのです。私はここが問題の出発点になっていると
思います。

 そういう学者を、同じように科学的な素養のない人たちが持ち上
げるところから、騒ぎがはじまります。このように理解すると、必
ずしも確信犯でデマをデマとして宣伝しているわけではなくても、
こういった事態になることはあり得る、と思うのです。

 そして何よりの元凶は、「敵と味方(国家権力・大資本と人民)」
の二分法の考え方です。戦後教育の遺産だと思いますが、この二分
法を克服しない限り、議論そのものが成立しないです。

 ここまで書いて、2通目のメールに返信したら、再度こんなメー
ルをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=667

 既にお読みでしょうが、やっぱりあなたの好意的解釈は間違って
いるとしか思えません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 つくば市でのイリーナ・エルマコヴァ氏の講演会はなかなか見物
だったようです。何よりもつくば市の科学者が出席して、質問の声
をあげたというのが注目です。これから、この世界も大きく変って
いく予感がします。

 本物の科学者が登場してくれば、今まで「市民派」として棲み分
けていたニセ科学者は居場所がなくなります。お気の毒ですが、も
ともと科学者としての素養がなかったということで、あきらめても
らうしかないです。彼らが退場すれば、私としても安心です。

 主催者がだいぶあせっていた様子もわかります。今までこういう
ことはなかったですからね。科学的な土俵で議論するという習慣そ
のものが彼らにはないのです。

 私も昔、所属していた生協の代表として、反原発の集会に出席し
たことがあります。全く科学的な事実に基づかない発言が続くので、
そのあたりを質問したら、「重要なのは事実ではなく、反対の声を
あげることです。そういう質問は禁止します。」と言われてしまい
ました。そう言ったのは一応科学者であるはずの、京都精華大学の
槌田劭さんでした。

 このあたりから私はこの運動は見捨てなければいけないな、と考
えはじめたのですが、つくば市の講演会に参加した一般の人はどう
だったのでしょうか。たぶん、変な人たちが現れてせっかくの講演
会が荒らされてしまったと思っているのでしょうね。これは今まで
の経験からいっても、ある程度やむを得ない反応だと思います。人
間、そう簡単に考えを変えられるものではありません。

 私は遺伝子組み換え作物反対の運動をしている人を批判している
つもりなのですが、「好意的解釈」といわれるのは、やはりまだ甘
いということでしょうか。個人的なレベルでよく知っている人たち
なので、悪の団体のように言うのはやはり避けたいと思っています。

 岸田秀さんの本を読んでいたら、こんな一節がありました。最後
に紹介しておきます。

「正しい目的は不正な手段を正当化するのではなく、不正な手段は
正しい目的を腐らせるのです。」

 まさしくそういうことが起こっていると感じさせられる、つくば
市での講演会の話でした。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 最初に紹介した中国のことを煽るサイトは右翼的、遺伝子組み換
え作物に反対している人たちは左翼的ということになるのでしょう。
でも、どうもほとんど同じ症状だと思うようになりました。事実は
そのどちらでもなく、ごく当たり前のところにあるのです。

 今回は「カビ」の質問が3つ連続してありました。私が回答でき
る内容ではないのですが、あえて根拠のない不安について説明した
つもりです。実害が出ていないのに、心配でたまらなくなるという
のはどういうことなのでしょうか。冷静に事実を見る目と、完全な
安全などというものは存在しないという、醒めた意識が必要だと感
じました。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-349号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数4865名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/