安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>342号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------342号--2006.05.28------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「トリハロメタン・野菜ジュース・輸入小麦
粉・ひじき(Q&A)」「ポジティブリスト制」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回は間違いの訂正です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

  341号でチオケトンの記述に誤りがありますのでお耳に入れてお
きます。

>A.「チオケトン」というのは化学物質のグループで、「ケトン」
>の炭素原子が硫黄原子に変わったものです。「ミヒラーチオケトン」
>もそうした物質の一つで、試薬として使われているようですね。

チオケトンはケトン(C=O)の【酸素】原子が硫黄原子に変わっ
たもの(C=S)です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは失礼しました。タイプミスなんですが、お恥ずかしい限り
です。おわびして訂正します。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.水に関するものを読んだのですが、トリハロメタン、やはり少
し気になります。赤ちゃんに白湯や麦茶を与えていますが、沸騰し
てすぐ止めていたので・・・。長時間沸騰とはどの位の時間なので
しょうか?また、トチュウ茶にして飲んでいるとのことですが、そ
れは沸騰してすぐのお湯を使っているのでしょうか?

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A.住んでいる場所によって、多少は違うでしょうが、現在では基
本的に心配しなければならないほどトリハロメタンが含まれている
水道水はないと思います。

 もし、そういう水道があるときは、個人的な対処ではなく、行政
と市民がともに問題解決にむかわねばなりません。

 悪質な業者の宣伝がなくならないですが、そういう手にひっかか
らないようにしましょう。

 日本の基準はWHOの基準よりかなりきびしく、実際の検出量は
それよりさらに低い値になっています。ゼロではないので、絶対に
安全とはいえませんが、これを気にするのはもう病気の一種です。

 「短時間の加熱ではトリハロメタンはかえって増加する」という
ことを気にされているのでしょうが、あまり気にすることでもない
と思います。水道水中の有機物も塩素も、大量のトリハロメタンを
生成できるほど含まれているわけではありません。

 沸騰によるトリハロメタンの減少については、以下の記事を参考
にしてください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 トリハロメタンは、加熱条件により多少異なりますがおおよそ5
分程度煮沸すればほとんど除去できます。また、活性炭入りの浄水
器でも低減できますが、除去能力は次第に低下しますので、メーカ
ーの使用法に従い、定期的にカートリッジを交換してください。

http://www.pref.chiba.jp/suidou/suisitsu/situmon/toriharo.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 浄水器を売り込むためによくネタに使われますが、完全にトリハ
ロメタンを取り除くことができる浄水器はないと考えてよいです。
安いものではほとんど効果がなく、高級品でも徐々に能力は低下し
てきます。真水をつくる逆浸透膜を使えばほぼ除去できますが、こ
れは喧嘩に戦車を持ち出すようなもので大げさすぎると思います。

 杜仲茶はお茶といっても麦茶のようなもので、10分ほど沸騰さ
せないといけないので、面倒です。

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Q.今、市販の野菜ジュースが流行っています。小瓶一本で1日分
の本当に直接野菜を食べるのと同じ価値があるのでしょうか?

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A.メーカーはそう主張していますね。別にウソというわけでもな
さそうです。でも、メーカーの宣伝を鵜呑みにする必要はないです。

 「価値」として同じだというのはおかしいと思います。食生活全
体で考えたとき、野菜を食べることと、野菜ジュースを飲むことで
はやはり意味が違うでしょう。

 野菜ジュースを飲んだから、食事のときは野菜をとらなくてもよ
い、というのはおかしいと思います。

 どうしても不足がちなので、他の飲料を飲むくらいなら野菜ジュ
ースにしておくということなら、それで問題はありませんが、どう
も気になるところです。 

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Q.米国などからの輸入小麦粉を子供の頃からパンや麺類で摂取し
続けて来ましたが、今後も摂取し続けて行っても大丈夫と言えるで
しょうか。私は最近は国内産の小麦粉を買っていますが、ホットケ
ーキミックス粉は国内産小麦粉の製品が近所では手に入りません。
輸入小麦粉の殺虫剤・防腐剤の残留は、心配する必要の無い程度と
判断して良いのでしょうか。小学校の給食のパンを国内麦粉のパン
に切り替える地方自治体も在るとインターネットでは見たのですが。

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A.輸入小麦を食べてもよいかどうかというと、別に問題ないと考
えてよいです。ただし、これは絶対の安全性を保証するものではあ
りません。何を原料にしようと、絶対に安全なものなどできません
ので、とりあえず被害が出る恐れがなければよいとしようではあり
ませんか。

 その上で、よりよいものを考えるのは悪いことではありません。
しかし出発点が、すぐにでも被害が出るように思う、誤解からです
と、実はもっと危険な方に飛びついてしまったりします。

 ときどき、健康食品で被害を受けたニュースが出ていますが、そ
ういう誤解と短絡的な発想が根本にあります。もっと情報を集め、
冷静に状況を判断していく知恵を身につけることが大切です。

 学校給食の件は具体的には知らないのですが、小麦産地で地元産
小麦の消費拡大をねらったものでしたら、よい考えですね。もし国
産でないと安全でないと思ってやったのなら、馬鹿げた考えです。

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Q.先日スーパーでひじきを買ったのですが、何箇所かにカビのよ
うなものが付着していました。たべてもだいじょうぶでしょうか?
買ってきた翌日で賞味期限内でした。ちなみにこの白いカビ状のも
のは何ですか?

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A.出し昆布にも白い粉がよくついていますね。これを気にする人
があまりいないのは、やはり慣れのせいでしょうか。ひじきだと気
になるようですね。

 この白い粉の説明は以下をごらんください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「乾燥ひじきに白いものが付着しているが、カビではないか」との
相談が寄せられました。実体顕微鏡で観察したところ,写真(右)
のように針状結晶がみられたので、 FT-IR及びキャピラリー電気泳
動で調べたところ、マンニトールであることが確認されました。

 ひじきや昆布等の海藻類には旨み成分の一種であるマンニトール
(マンニットとも呼ばれ、糖アルコールの一種)の結晶が析出して
くることがあります、もちろん食べても大丈夫です。

http://www.fch.chuo.fukuoka.jp/dna/message/74_76.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「ポジティブリスト制」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 5月29日より、「食品中の残留農薬等」のポジティブリスト制度
が施行されます。

 今まで残留基準が設定されてなかった農薬でも、今後は一定量以
上を含む場合は、販売等を禁止されることになる、と理解していま
す。

 特に輸入食品業界などでは大きな影響があるだろうと思っていま
した。しかし、マスコミなどであまりこのことを取り上げないよう
なので、たいしたことでもないのかな?とも感じています。

 この制度で、業界・関係者、それと一般国民には、どの程度の影
響があるとお考えですか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この話は難しそうなので、「農薬ネット
の方におまかせして、私はパスするつもりだったのですが、仕方な
く私の意見を書いてみます。

 まず、ポジティブリスト制というのは、すべての農薬に残留基準
を設ける、ということです。今までは一部のものにしか基準がなく、
そこに載っていない農薬については、規制するのが難しい状態でし
た。

 詳しいデータのない農薬については、暫定基準を設定し、すべて
の農薬で基準値を越えているかどうかを判断できるようになります。

 この基準を越えていると、食品衛生法違反になります。そこで取
引先にそうでないことを証明する書類を要求したりすることがある
ようです。

 しかしこれは誤解で、厚生労働省もそういうことはしてはいけな
いと言っています。というより、保証書を書いて何を保証するのか
という問題があります。何となく責任問題が発生しそうだから、取
引先に転嫁しておこう、という姑息な考えなのでしょうが、馬鹿げ
た話です。

 今回の基準値はかなり低いもので、隣の畑や他の作物に使った農
薬がついていただけでも、違反となる恐れがあるそうです。そんな
可能性を100%排除できないのに、どうして保証することができ
るでしょうか。

 また、農家ではなく、加工品原料のメーカーに保証書を要求した
りするのはもっと馬鹿げています。全量検査でもやれというのでし
ょうか。

 農薬の検査は破壊的なものですから、検査した作物を食べること
はありません。検査したものはOKでも、残りの出荷される作物が
すべてOKであるとは言えません。逆も同様で、検査にひっかかっ
たといっても、すべての作物が基準値を越えているかどうかはわか
りません。

 自主的に検査する会社は別として、一般には検査は今までどおり
おこなわれるようです。今まででも、市場から農産物を調達してき
て、どの程度の農薬が検出されるかという報告はされてきました。

 このとき、「農薬が検出された」率と、「基準値を上回った」率
が報告されます。今までの基準値のない農薬は、当然基準値を上回
った数には含まれなかったわけです。それがポジティブリスト制で
は、基準値ができますので、「基準値を上回った」率が増加するこ
とが予想されます。

 「農薬が検出された」率の方は、検査の精度と関係しますので、
必ずしも信用できるものではありません。ダイオキシンの検査のよ
うに精度を極限まであげれば必ず検出できますし、なまくらな検査
では何をしても検出しなかったですませてしまいます。

 「基準値を上回った」率としては0.3%程度が報告されていま
した。これは実は国際的に見ても低すぎる値だったそうです。この
数値が1%程度に増えるのではないかと思います。

 要するに市場に出回っている農産物の、残留農薬の実態を広く把
握するのに、ポジティブリスト制は役立つのではないか、というこ
とです。食品衛生法違反だから販売できない、などと考えるのはち
ょっと遵法精神が強すぎると思います。

 基準値を大幅に超えたり、不適切な農薬の使い方をしたものを販
売しないとかいうことは当然しなければなりません。しかしポジテ
ィブリスト制ができたら、全部の農産物の農薬検査をしなければ出
荷できない、と考えるのはあまりにもアブノーマルです。

 農家は適切な農薬の管理と使用法を徹底し、流通業界や消費者も
それを支援する、という普通の取り組みで充分なはずです。その上
で、流通段階での農薬検査でその状況を把握するということです。

 もう一つのポジティブリスト制の使い方に、輸入時の検査があり
ます。これはかなり厳しくなるでしょうね。あまりやりすぎると非
関税障壁などと非難されそうですが、ポジティブリスト制ができた
以上、検査でひっかかれば輸入できないことになります。

 農産物の輸入業者は、現地での農薬管理の徹底と、事前の農薬検
査が必要になると思います。今までの状況からすると、ここはより
安心できることになります。

 国産農産物は今までどおり検査なしで出荷できます。それで野放
しになって、実は輸入農産物の方が検査を受けているから安心だ、
などといわれないようにがんばってほしいと思います。

 ポジティブリスト制の基準値をつかって、「基準値を上回った」
率が今までどおり0.3%程度におさまれば、実にたいしたものだ
と思います。そういう努力を生産者には期待したいです。

 余談ですが、上記の違反率は一般の農作物でも、「無農薬」など
といって売られていた農産物でも、同じような率であったことは有
名な話です。今後もこの状況は変わらないと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 どうも日本人の遵法精神が強すぎるようなのが気になっています。
法律違反しても平気、というのよりはよさそうですが、必ずしもよ
いことばかりではありません。

 「共謀罪」に反対している人たちは、共謀罪ができればすぐにで
も自分たちが逮捕されてしまうかのように言いますが、そんなこと
が本当にあると思っているのでしょうか。などという話は関係ない
ので省略しますが、とにかく法律は運用にこそその精神があると思
います。行き過ぎると中国のように法治ではなく人治だとか言われ
ますが、あまり杓子定規な考えもいかがなものか、というところで
す。

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