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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------339号--2006.05.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「黒豆・アルカリイオン水・香辛料・パン
(Q&A)」「雑穀」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 いただいお便りを紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先日、GAP全国会議に参加してみました。会議の内容は、
http://jgai.jp/News/2006-0403-1243-1.html
で紹介されています。

 「適正農業規範」と言っても、一般の人には???でしょうが、
私も、今回様々なGAPがあることを知り、今後農薬を販売する立
場として、どのGAPに対応していけば良いのか、少々混乱してい
ます。

 元々は、EUで10年前にスタートした「EurepGAP」がスタート
ですが、既に、農産物の輸出を考えている国は、同等性認証を行い、
今年になっては、中国までもChinaGAPをこの5月よりスタ
ートさせるとのこと。

 一方で、日本では、行政GAP・流通GAP(代表的なものは、
イオン・生協など)・生産者GAP(JGAP)と、様々な動きが
並行的に進んでいるとのことでした。

 私自身、30年近く前、医薬品業界でのGMP(適正製造規範)
の導入時に、某医薬メーカーに勤務しており、その経験からしても、
農業生産場面でも避けて通るのではなく、取り組む運動であると考
えていますが、日本では、スタンダードが定まっていない状態のま
まです。

 EUでは、小売大手スーパーとして統一基準を作ろうという動き
が、「EurepGAP」に繋がったと聞きましたが、日本では、イオン・
生協などは、流通業界の差別化の目玉として利用しているようにも
思え、業界標準を作ろうという動きは難しいのではと推察します。

 渡辺さんは、どうお考えでしょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ヨーロッパでは民間の運動が公的なものに進化していく仕組みが
確立しているようですね。「オーガニック」などというのも、一部
の業者や農民がはじめたものが国際的な規格にまで発展していって
います。

 おかげでその国際規格なるものはヨーロッパ中心のもので、アジ
アやアフリカ諸国にはなかなか難しい規格になっています。日本の
JAS規格も、ヨーロッパのものを基準にしていて、かなり実行す
るのが難しく、そのために違反例が続出しているという経緯があり
ます。

 グローバルな基準というのは要するにアメリカ、ヨーロッパの基
準なんだな、と改めて感じる次第です。日本も豊かな国にはなりま
したが、まだまだ文化的な存在感では及ばないです。

 さて、GAPの話ですが、元生協職員としては、「差別化の目玉
として利用している」というのは本当だと断言できます。自分たち
の作る基準を一般的なものにしていく努力は全くされていません。

 逆に、一般的にはできないように基準をつくり、自らの営業に役
立てようとしているわけです。このあたりが前述のヨーロッパの運
動と比べて決定的に劣っているところです。自分たちの運動が一般
化し、社会を変えていくという視点が実はないのですね。

 差別化に利用できるものは何でも利用しますし、「無添加食品」
などのように意図に反して一般化してくるものもありますから、次
々と問題点をクローズアップしていくわけです。私の経験では、チ
ェルノブイリの原発事故の放射能問題あたりから顕著になり、ダイ
オキシンや「環境ホルモン」でピークに達しました。

 日本では消費者運動は「異議申し立て」を中心とした、反権力の
運動という面が強いです。政治的なバックボーンがそうさせている
ともいえますし、「お上」意識の裏返しでもあります。

 GAPについては、農水省も取り組んでいて、「マニュアル」が
出ています。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050428press_14c.pdf

 こういうものは実際に栽培する生産者が取り組まないと意味がな
いと思いますが、日本ではその主体が存在するのかどうかが問題に
なります。

 流通側はいろいろと考えていますが、前述のように、差別化政策
の域を出ないので、このままではうまくいかないと思います。

 日本の農業がこれらの問題に取り組むには、百年はかかるのでは
ないか、冗談抜きにそう思っています。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.妊娠2ヶ月ですが、毎日自分で作ったカスピ海ヨーグルトと、
煎った黒豆(少し焦げて苦い)を食べています。両方とも胎児に影
響が出ると言う事はないでしょうか?

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A.別に心配することはなんと思います。「煎った黒豆」というの
はおもしろいですね。おいしいのでしょうか。

 「カスピ海ヨーグルト」は自家製でしょうか。微生物の勢力図は
変化していきますので、ずっと同じ状態でいることはないと思いま
す。現在、どのような状態になっているか知る方法がありませんの
で、安全とはいえないです。でも胎児に影響が出るというのも考え
にくいのでは?などと思います。

 赤ちゃんは案外丈夫で、何事もなく生まれてくるものです。食事
内容が偏らないようにすること、あまり気にしすぎないことくらい
が注意点でしょうか。

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Q.アルカリイオン整水器にミルクや薬は「浄水」で、と書かれて
いますが、アルカリイオン水で飲む事は何らかの弊害があるのでし
ょうか?

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A.「ミルク」というのはたぶん「粉ミルク」を溶かすときのこと
でしょうね。

 アルカリイオンというのはカルシウムやマグネシウムなどの金属
イオンです。これらを赤ちゃんに大量に摂取させるのは問題があり
ます。

 また、薬も普通の水と一緒に飲むのが前提です。薬の種類によっ
てはこれらのイオンが弊害をもたらす可能性があるということなの
でしょう。

 安全面からいうと、このような金属イオンの多い水を日常的に飲
むのはやはりリスクがともなうということだと思います。

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Q.ショウガやタマネギ、大根すり等のいわゆる香辛料となるもの
には、どれくらいの抗菌(殺菌、静菌)効果があるのでしょうか?シ
ョウガエキス入りのたれなどいわゆる香辛料となるものが多く入っ
たものは、香辛料が入っていないものより保存性が高いのでしょう
か?

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A.香辛料というのは昔は防腐効果も期待されていたのだそうです。
現在ではその有効成分を抽出して使われています。いちばんよく見
るのはワサビを使ったシートですね。これは食品添加物ではなく、
刺身の上にのせているシートにワサビの有効成分を含ませたもので
す。

 香辛料が食品に含まれているからといって、保存性が高くなると
いう期待はしない方がよいと思います。というのは、これらの有効
成分はだいたい揮発性のもので、時間がたつと失われていくからで
す。

 前述のワサビシートも、仕出し弁当などではかなりの効果を発揮
しますが、数時間という単位のものです。決して何日ももつわけで
はありません。

 厳密に比較すると、香辛料入りの方が保存性がよいという議論も
成り立つかもしれませんが、実際問題としては意味がない程度しか
違わないだろうというのが私の予想です。

 保存性を高めるのは、製造時の衛生管理を徹底して、含まれる菌
数をおさえること、密閉包装すること、そして低温管理です。

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Q.無添加のパンを買って食べてたのですが、乳化剤(レシチン)と
あるのですが、これはどんなものですか?害があるのでしょうか?
どんな働きをしているのでしょうか?

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A.乳化剤を使っていて「無添加」というのは困ったものですね。
こういう表示をしているものは、他の点でも信用できないと思った
方がよいです。

 たぶん「防腐剤を使っていません」程度のことなのでしょうが、
そんなものは珍しくもありません。

 乳化剤を使用するのはこんな効果をねらってのことです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 乳化剤を使うことによってパンの水分を保持し、長時間にわたっ
て柔らかさを保つことができます。

http://www.kobeya.co.jp/qa/qa_1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 引用したのは「神戸屋」のサイトの記事です。ご質問の「無添加
パン」のメーカーはは神戸屋よりも劣ると考えてください。

 レシチンは大豆などからとる成分で、乳化剤として広く使われて
います。安全性については別に問題ありません。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「雑穀」
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 先日、私の参加している「宮沢賢治学会」の春季セミナーが花巻
でありました。そのとき、「雑穀」の話題がとりあげられています。

 「雑穀」というと、雑草のようで差別的ではないか、という説も
出ていましたが、「雑」というのは日本では悪い意味ではなかった、
などという反論も出て、まず雑穀のままでよいだろうという雰囲気
でした。

 東北、特に岩手県は雑穀の栽培が今でもあり、古来からの食文化
が保たれています。日本は割と古い時代に穀物は米一色になってし
まったので、貴重な文化遺産です。

 私なども雑穀というと、小鳥のエサだったキビなどを思い出す程
度です。桃太郎の「きび団子」が雑穀のキビの団子だと聞いて、あ
っと思ったのですが、やはり古い時代には身近なものだったのかも
しれません。

 栃の実から作る栃餅やわらびの根からつくるわらび餅なんかもそ
の仲間で、古いものです。しかしこれは穀物の範疇には入らないよ
うです。厳密にいうと、ソバもタデ科ですので、穀物ではありませ
ん。

 雑穀というのは、三大穀物(米、小麦、トウモロコシ)以外の、
イネ科の穀物をさし、具体的にはアワ、ヒエ、キビが主なものです。
ソバなどは「偽穀」なんだそうです。

 ここで、ちょうどよい紹介文があったので引用しておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1.ヒエ(稗)

  ヒエは強健で耐寒性に富み、冷涼で湿り気の多い土地や、長雨
や日照の少ない気象下でも、また、荒れ地や痩せ地でもよく生育す
る作物として、かつては飢餓年には多くの人々を飢えから救ったと
いわれる。特にも岩手県においては、天候によっての豊凶差が少な
く、蛋白質や脂肪に富んだ穀物として、また、茎葉は家畜の飼料と
して優れていたこと等で、昭和38年には全国のヒエ作付面積3万
2百町歩の約40%、全国収穫量30万3千石の50%を本県産で
占めた実績がある。

 手刈りしたヒエは、島立てにより乾燥し、ヒエ束を逆さにした臼
に叩きつけるか、Y字型のまどりで脱穀した。脱穀したヒエ(玄ヒ
エ)は、よく洗ってゴミや塵を取り除き、1〜2時間から1昼夜水
に浸けて、十分に吸水した玄ヒエを蒸し籠に入れて蒸す。蒸し終え
たヒエは天日や火力で乾燥して、摺臼等で精白し、ヒエめしや粥、
団子などで食された。

2.アワ(粟)

 アワは、イネの伝来以前の主食とされており、主要食糧の三穀
(アワ、ヒエ、キビ)中では最も重視されて、全国的にも作付面積
が多い。他の雑穀と比べて品種改良も進んでいる。なお、アワには
うるち(粳)種とモチ(糯)種とがあり、水田を持たない農家では
モチ種を珍重した。

 生育は、高温多照で乾燥する気候を好み、耕土が深く、肥沃で地
下水の低い壌土又は砂壌土に適しているが、本県では、焼畑に適し
た作物としても普及した。

 アワの乾燥は、畑の島立てではなく、家の近くに「あわゆら」と
言う専用のはせを組み、穂を下にして乾かした。脱穀は刃を上に向
けた鎌に束を押し付けて穂切りをし、掛け矢を小型化し柄を長くし
たような粟槌で叩く、いわゆるアワ独特の「切り扱き」法が行なわ
れた。

3.キビ(黍)

 わが国へは、ヒエやアワより遅れて中国から伝播したとされ、承
平年間(931〜936年)の文献に「黍」が表示されている。北
海道へは明治初年に導入された。

 キビは、高温で乾燥する気候で肥沃な土壌を好むが、酸性土壌や
干ばつにも強い。ヒエに比較して生育期間が短いので寒冷地にも適
応し、我が国の至るところで栽培された。

 収穫法は、穂だけ刈り取る法と根元から鎌で刈り取る法がある。
穂の刈取りでは、結束して軒下などに吊して乾燥し、木槌等で脱穀
する。また、根元からの刈り取りでは、小束に結束してはせ掛けす
るか、島立てして後熟を促し、脱穀機等で脱穀する。


http://www.pref.iwate.jp/~hp2088/park/kikaku/zakkoku.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 セミナーでも話題になっていましたが、アワは「粟餅」、キビは
「黍団子」がポピュラーです。これには理由があるはずですが、ど
うも具体的によくわかりません。

 生産量はヒエが圧倒的に多いそうです。これはヒエが水田で栽培
できるので、休耕田で栽培されているからです。アワやキビは基本
的に畑で栽培される作物です。

 雑穀は市場では人気が出ていて、注目の商品になっています。国
産の生産量は非常に少ないので、中国からの輸入などでまかなって
います。しばらく前に、国産の雑穀だといって中国産のものを売っ
ていた業者が摘発されたことがあります。

 生産量が少なく、品質も不安定な国産ではなく、中国産を扱うの
も悪くないと思いますが、この市場はいわゆる「自然食」と結びつ
いていますので、やはり「国産」と言わないと売れないようです。

 つまり、国内の農家にとってはビジネスチャンスであるわけです。
研究所の人の話では、販売は各種をセットにして売ることが多いの
で、何とかヒエ以外の雑穀も収穫量を増やしていきたい、というこ
とでした。

 それほど大きな市場ではありませんので、小さな村でも対応でき
ると思います。岩手県北部では、かなりまじめに取り組んでいると
ころもあるようでした。

 問題点としては、農家からみると、雑穀の価格があがったといっ
ても、収穫量が少ないため、米と比べるとやはり収入が減ることで
す。もっと収量を増やすか、価格があがらないと増産しにくいと思
います。そのあたりの研究をしていると言っていました。

 雑穀で儲けてみようという農家が増えてくることを期待していま
すが、はたしてどうなるでしょうか。

 ただし、消費者の側からすると、どうも怪しい商品も多いようで
す。生産者には責任のない話なので、こういうことが足をひっぱら
ないか心配ですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 都内の自然食品販売業者が、多数の食品の産地や生産者を偽って
販売していたことがFNNの取材で明らかになった。農水省は近く、
JAS法違反で社名を公表する見通し。

 今回、大がかりな食品産地偽装が明らかになったのは、自社の直
営店を大手百貨店に出店する東京・練馬区の自然食品販売業者「中
田物産」。

 この業者は、無農薬と表示した雑穀や加工食品などを販売してい
たが、FNNの独自調査では、少なくとも10種類以上の食品が、実際
には存在しない農場や個人農家の名前を生産者として表示し、販売
していた。

http://suttonde.exblog.jp/pg/blog.asp?eid=c0072801&iid=21&
acv=&dif=&opt=2&srl=3010654&dte=2005-11-05+00%3A01%3A27.000

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 残念ながら、自然食業界に怪しいところが多い、というのは公然
の秘密です。まじめな業界になるのか、詐欺師の集団のように思わ
れながらも、一部の人から儲けることができればそれでよいと思う
のか、どちらなのでしょうか。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 6日から8日まで、旅行に出ています。81歳になる母が、孫の
顔を見たいというので、連れて行くことになりました。それで5日
のうちに予約して配信しています。

 東北は今が桜の季節です。今回は日本一という評価の高い、弘前
の桜を見物に行きたいと思っています。弘前公園の桜の古木を再生
していった苦労話を読んだことがありますが、桜もリンゴも同じバ
ラ科の植物で、リンゴ栽培の技術が桜にも活かされているというこ
とに驚きました。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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